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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十三章 開幕!島王選
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その三 超特急

大玉転がしそれは大きな玉をゴールまで運ぶ競技。

それが、何故か島王選でやろうとしている。


「おい、サザミ。大玉転がしと言うのは何だ?」

「クフフっさあ俺も知らないな」


ベテランの2人も知らないってことはこれは今回始めてやるってことだよな。

観客も困惑している、てことはまず大玉転がし自体この島に浸透していないと言うことだ。


「なあ、ミノル大玉転がしってなんなのじゃ?」

「さあ、私もよく分からないわ」

「僕も島王選を見に来たのは今回で初ですし、よく分かりませんね」

「それでは、早速ルール説明に参ります!先ずは今回の島王選の勝利条件から説明しましょう!今回はポイント制となっていて、数ある競技を勝ち抜き1番多くポイントを取った十二魔道士が勝利となります!」


ポイント制?

てことは、競技は少なくとも1つってわけじゃないのか。


「そして、その競技は全部で4つです!最後にボーナスもあるので最後まで諦めずに頑張ってくださいね!」


救済処置ってやつか。

まあ、どれだけ貰えるか知らないけどやっぱり普通に勝ち上がってった方が安全か。


「それでは、大玉転がしの説明に参りましょう!ルールは至って単純!大玉をゴールまで運ぶ、以上!」

「何だ?そんなもんなのか。俺はバチバチ戦いたいんだけど」

「まっいいんじゃないかい。ただのバトルも少し味気ないからね」


ルールも俺が知ってる通りだな。

にしても、島王選がまさか学校の運動会みたいな奴だとは思わなかっ…………た………まさか!

俺はすぐに風間の方を見た。

すると、風間も俺に見られてるのに気付いたのかニヤリと笑みを浮かべる。

やっぱり!あいつ、完全に俺をおちょくりに来やがったな。

今回の島王選は急遽カルシナシティに変わったと聞いている。

てことは島王選の内容もあいつが関わってるに違いない。

なるほど、そう言うことかよ、俺が1番嫌いな出来事を思い出させようとしてるんだな。

上等だよ、あの時の惨めな俺のままだと思うなよ。

絶対負けない!


「細かいルールを説明しますと大玉を壊したりするのは反則です!もし、相手チームの大玉を破壊もしくは自分で破壊してしまった場合その十二魔道士のチームは無条件で0ポイントとさせてもらいます!ですが、壊さなければ何しても大丈夫です!もちろん死人を出すのは駄目ですよ!」


てことはむやみに魔法が使えないな。

いざとなったら大玉をガードとして使えるかもしれない。


「ルールは以上です!それでは、早速参りましょうか!」


その瞬間、俺達の地面が光輝く。


「な、何だ!?」

「これってテレポート?」

「ここが会場ではないので皆さんにはテレポートで会場に向かってもらいます!テレポートした所に大玉があるので皆さん大切にしてくださいね。ゴールする時は必ず大玉と一緒ですよ」

「へぇーこんな大きな魔法陣は始めてだな!」

「マイト……呑気……」


遂に始まるのか、島王選が。


「あっちなみにゴールは1番高い木です!それでは、行ってらっしゃい!」

「え?今さらっと重要な事言ってなかったか!?うわっ!?」


その瞬間、辺りに光が包まれて俺達は会場に向かった。



そして王の席ではガルアが不敵な笑みを浮かべる。


「遂に始まったな。今回の島王選は特別楽しみだな」

「余裕ですね、ガルア」


ガルアの様子を見ていたミュウラがそんな言葉をかける。

ガルアはそれに対し自信満々に答える。


「当たり前だろ、俺の十二魔道士は負けないからな」

「………あなたの人を見る目は私も高く評価しています。私自身他の方の潜在能力をあそこまで正確に見ることは出来ません」

「珍しいなミュウラがそんな誉めてくれるなんてな」


そう言いながらもガルアは少し警戒した様子を見せる。

ミュウラもそう言いつつも敵対心を消すことはなかった。


「ですが、今回は明らかに失敗ですね。あのミカと言う十二魔道士はともかく絶対かつは明らかに足手まとい。そもそも他の十二魔道士の敵ですらないでしょう。私も楽しみです、あなたが王の椅子から転げ落ちる瞬間を見るのが」


今回は嬉しそうな笑みを浮かべる。

宣戦布告と受け取ったガルアも同じような笑みを浮かべる。


「ミュウラ、お前は今回始めての島王選だから先輩として助言してやるよ。島王選では何が起きるか分からないぞ?今回は特にな」


―――――――――――――――――

「ここは、森の中?」


他の十二魔道士の姿が見えない、皆それぞれ違うところにテレポートされたのか?


「かつ後輩、これが例の大玉ってやつ?」


いつの間にかミカは大玉を見つけていた。

そこには俺たちよりも大きい大玉が不自然に森に落ちていた。


「だな、これを1番高い木の所に持ってけばいいってことなのか」

「何か、直前で行ってましたね。でも、高い木って何処ですか?」

「ちょっと待ってろ。俺が見てくる」


俺はすぐに一番近くの木を登る。


「へえ、器用ですね」


もしかしたら他の十二魔道士が既に向かってる可能性もある。

早く場所を見つけないと。


「えーっと、高い木高い木…………あれ?」


てっぺんに付き辺りを見渡した時違和感に気づく。

1番高い木が3つある!?

まじかよ、高さも太さも大きさもほぼ一緒だ。

………駄目だ!違いが分からない。


「かつ後輩ー!どうだったんですかー!」


一旦ミカに伝えるか。

木の上から飛び降りて下にいるミカに報告に行く。


「あっ降りてきました。それで、何処に行けばいいんですか?」

「実は同じくらいの高さの木が3つ合ったんだよ」

「3つ!?じゃあ、何処に行けばいいんですか」

「うーん、はっきりとは分からないな」


これが今回の仕掛けってことか。

運も味方にしろってことなのか。


「とりあえず、さっさと行きましょう。迷ってたって仕方ないし、結局どれか分からないんでしょ?」

「ああ、そうだな。こんなところで油売ってるうちにもしかしたらゴールされちまうかも知れないしな」


今回のポイント配分の説明がなかった。

もしかしたら、最下位は0ポイントの可能性もある。


「ちなみに何処と何処と何処とにあるんですか?」

「あそことあそことあそこだ」


俺は木のある方向を指差す。


「1番近いのはこっちの方だな」

「じゃあ、そっちに行きましょう。ほら、早く行きますよ」

「わ、分かってるよ」


まさか、島王選がこんな感じとは思わなかったな。

まっ真正面で勝負するよりも勝算があるからいいけど。

俺達は早速木の場所へと向かっていく。


その頃ドームは。


「さて!遂に始まりました!第1競技大玉転がしが!現在まだゴールにたどり着いているものは居ません!ちなみに特殊な魔法陣を持たせたモンスターを通じて鏡に十二魔道士の活躍を写し出しております。島王選の巨大な写し鏡以外にも手元の鏡で見たい十二魔道士を見ることも出来ますので、是非活用ください」

「かつっち、順調そうだね!がんばライジング!」

「1番高い木ですか。少々引っ掛かりますね」

「ええ、私もそう思うわ。かつ、大丈夫かしらね」


――――――――――――――――

俺達は現在大玉を転がしながら目的の木へと目指していた。

するとミカが上機嫌にお喋りする。


「何か、ワクワクしますね。私、こう言うの始めてなんです!」

「俺だって始めてだよ。そもそも、十二魔道士何て俺にとっては無縁な存在だと思ってたしな」

「まあ、でも成れたわけですし今を楽しみましょうよ」

「いや、お前はもうちょっと緊張感を持てよ。にしても、大玉を転がしながらは意外ときついな」


ここは平坦な道じゃないから動かすのに体を使う、しかも不規則に動くから常に力を入れてないとどっかに行ってしまう。

俺は鍛えてるから何とか大丈夫だけど、ミカは…………


「はあ、はあ、疲れたんですけど」


やっぱりな。

するとミカは大玉から手を離し、息を整える。


「かつ後輩、ちょっと任せます」

「お前体力ないな。魔法強くてもそっちの方は鍛えてないのか?」

「何で魔法があるのに鍛えなきゃいけないんですか。そっちの方はかつ後輩に任せます」

「分かったよ。お前は休んでろ」


ということで俺が一人で大玉を転がすことになった。


「あれ、意外と素直に応じてくれるんですね。実は私の事が好きとか?」

「何でそうなるんだよ。正直言って魔法使いの勝負になったら俺が足手まといになるからな。それが出来ない分俺はこれで貢献するって訳」

「なるほど、足手まといは足手まとい割に役割を見つけるってことですね」

「お前ってたまに毒舌吐くよな」

「私は思ったこと言っただけですよ」


と言うことは心が真っ黒ってことか。

それにしても、まずいな。

こんなモタモタしてたらいつまで経ってもたどり着けない。

もっと効率のいい運び方は無いのか?


「かつ後輩、私暇です。早く着かないですか?」

「バカ言うな。これが精一杯だ」

「テレポート使えれば一瞬だったのに」

「そんなの使えたら勝負の意味がないだろ」


もし、この玉がすごく固かったらインパクトで吹っ飛ばせたのにな。

やってみるか?


「どうしました?」

「え?いや、何でもない」


いや、やめておこうこれで壊れたら元もこもない。

挑戦するにはリスクが高過ぎる。


「あっいいこと思い付きました」

「え?何が」

「かつ後輩はそこに立っていてください」

「分かった………」


何だ?何しようとしてるんだ?

その時空中に魔法陣を展開させる。


「ヒューズコールド!」


その瞬間、道を作るように地面が凍っていく。


「これで早くなりますね」

「なるほど、その手があったか!」


氷で滑っていけば、歩くよりも断然早くなる。


「よし、早速いくか!」


俺は大玉持って氷の上に座る。


「よし、滑るのは任せろ。ウィンドどなら無駄に魔力を消費せずに行けるだろ」

「かつ後輩、ウィンドなんて遅すぎますよ」

「え?」


嫌な予感がする。

何か、この流れは何度も体験したことある。


「それじゃあ、しっかり捕まってくださいね」

「ねえ、ちょっと待っ―――――」

「ラノストーム!」

「ぎゃああ!!」


その瞬間、ものすごいスピードで氷の上を滑っていく。

やばい!これ、意識飛んじゃう!


「ミミミミミカ!スススススピード落とせ!」

「え!?上げて!?かつ後輩って意外とワイルドなんですね!分かりました!もういっちょ行きます!」

「ちげーよ!ばっ…………ぎゃあああ!!!」


さらにスピードが上がってしまった。

が、我慢だ!このスピードならすぐに木に着ける。


「……………?かつ後輩、何か大玉に魔力が………」

「は!?なに言ってるのか聞こえな…………な、何だ!?」


手に持っている大玉から強力な魔力を感じた瞬間、大玉が光り輝いた。


「ま、眩しい!」

「かつ後輩!光らないでください」

「ちげえー!別に光りたくて光った訳じゃない!」


すると、急にその光は消えていく。


「な、何だったんだ」

「かつ後輩!逃げて!」

「え?――――ぐえ!?」


その瞬間、俺はミカにローブを捕まれて放り投げられる。

いや、魔法で放り投げられたと言った方が正しいな。

そして、その瞬間巨大な炎が氷の道を壊す。


「な、何だ!?」

「ガハハ!見つけたぜ!さあ、やろうぜ!」



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