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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二章 魔法を極めて最強に!!
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その十四 毒

「あんた達もしかして私達が捕まえたゴールドフィッシュが欲しいの?」


ミノルは相手になめられないように冷静に質問した。


「ああそうだぜ。だからそれを早くよこせよ」


傲慢なその態度は俺達を下に見ている何よりの証拠だった。


「残念だけど、素性も分からない奴に私達が捕まえたゴールドフィッシュは渡せないわ。分かったらとっとと帰りなさい」


負けじとミノルも言い返す。


「それは出来ねえな。俺達もゴールドフィッシュは欲しいよなあ、デフ!」

「欲しいだす!よこすだす!」

「そうだよなあ!欲しいよなあ!」


何なんだこいつら!?

細身なやつと太めの男の2人組だ。

2人共顔にはスカーフのような物を巻いている。

もしかしてゲームとかで良くある山賊みたいな奴らか。

まさかこういう奴らが本当に居るとは異世界は面白いなあ。

って言ってる場合じゃないなよなこれ。

どうすんだミノル。


「そんなに欲しいんだったらまず名乗るのが礼儀じゃない?」

「おおっとそりゃあ済まねえな。おれはケイガ、この太っちょはデフだ。よぉ〜しこれで満足だろ!ほらさっさと俺らによこせよ」


こいつら全く人の話を聞かないな。


「名前を聞いただけで上げるとは言ってないわよ。ていうかクエストの紙を持っていなきゃゴールドフィッシュを魔法協会に持って行ってもお金と変えてもらえないのよ。分かったらとっとと諦めなさい」


おおさすがミノル!

ゴールドフィッシュのクエストの紙は今俺達にしか配られてないから、他の奴が持ってる訳が無い。

つまりあいつらは諦めるしかないって事だ。

危なかった、戦闘になったら俺ただの役立たずだったから良かった〜


「おいおい何の話をしてるんだ?ゴールドフィッシュのクエストの紙ならここにあるぞ〜」


何故か2人組の手元にはゴールドフィッシュのクエストの紙が握りしめられていた。


「え!?何であんたが持ってんのよ!」

「おいおいおい何だその言い方わ〜。まるで俺らが持ってるのがおかしいみたいな言い方じゃねぇか」

「くっ!そっそうね持ってるのは普通よね」


まずいぞこいつら、もしかして俺達がクエストを提供してもらった事を知ってるのか?


「そりゃそうだぜ!でも今回は大当たりだな〜。こんな生きの良い奴らが取れるなんてそうそうねえぞ」

「生き良いだす!美味しそうだす!」

「そうだろ〜デフ!けどおかしいよな〜、こんなに当たりの日なのにクエストに来てるのが俺達しかいないなんて!まるで誰かがクエストを独り占めしてるみたいだな〜!」

「独り占めだす!全部だす!」

「―――っ!?」


やっぱりこいつら確実に知ってる。

まああれだけ大声で叫べばそりゃバレるか。


「でもそれは無いよな。だって独り占めだったらクエストに来てるのは1人だけだろうし、俺たちがちゃんとここに来てるんだからそれは無いか!」

「1人じゃないだす!5人だす!」

「バカヤロウ!4人だろ、計算も出来なくなったのか」


ミノルととりあえずどうするか決めよう。

俺はあの2人組にバレないように、小さな声で喋った。


「おいミノル、あいつら俺たちがこっそりクエスト貰った事気づいてるよな」

「多分ね。あいつら想像以上に厄介ね。こうなったらもう戦うしかないかも」

「ちょっと待て、それは駄目だ。モンスターならまだしも魔法使い同士の戦闘じゃ本当に俺ただの役立たずになるから」

「じゃあどうすれば良いのよ。話し合いでどうこう出来る人達じゃないでしょ」


たしかにあいつらはどう考えても話しをしようとしたらナイフぶん投げてきそうな奴らだ。

でも戦闘はなるべく避けたい。

どうしたらいいんだ。


「なあ〜に話し合いしちゃってんだよ。まあゴールドフィッシュを渡す相談ならしてもいいけどな」

「だから言ったでしょこれは私達が捕まえたゴールドフィッシュなの。そう簡単に上げられるわけ無いじゃない」

「つまり俺達には渡さねぇと」

「そういうこと」

「なるほどなるほど、それじゃあしょうがねえな」


するとケイガが魔法を出す構えをした。

それと同時にミノルも同じように構えた。

おいおいホントに戦うのかよ。

仕方ねえこうなったら腹くくるしかないよな。

俺も手を突き出し同じように構えた。


「おもしれぇ。それじゃあやろうぜ!!」


こうなりゃやけだ!

まずは弱そうなケイガだ。

俺はケイガの方に手を向け魔法を唱えようとしたが、急に視界が歪みだした。


「な……何だ……」


俺は体の自由が効かなくなりその場から崩れ落ちた。


「かつ!?」

「やっと効いたか、俺の毒」


毒?

いつそんなもの出した?

するとミノルが何かに気付いたのか手で口を押さえた。


「お?女の方は気づいたみてぇだな。そうさ毒霧だよ」


毒霧?

いつの間にそんなものを。


「これが毒霧だ」


するとケイガがポケットからポーションみたいな物を取り出した。


「これは俺達が作ったポーションでなあ。ばら撒くと目では見えない毒霧を出すんだよ。ちょっとだけ吸ったら別に体に影響は出ないが、数十分ずっと吸い続ければめまいが起きたり、体がしびれたりと様々な症状が出る毒だ。ああだが安心しろよ。死にはしねえよ。数分で治るしな」

「まさか私達が来る前から撒いてたの?」

「そういう事〜!俺達は暇じゃねえんだ。無駄な戦闘は避けるたちでよ〜。こうやって動きを止めたほうが楽だろ?」


先回りされてたって事か、クソ!体が動かねえ。

これじゃあ逃げる事も出来ない。


「結構考えてるのねあなた意外だわ」

「それよく言われる。それじゃあ貰っていくぜ」


そう言ってケイガはゆっくりとミノルに近付いた。


「待ちなさいよ。私はまだ倒れてないわよ」

「おいおい立ってるだけどやっとなお前に何が出来んだよ!」


確かにミノルの足は震えている。

顔もかなり辛そうだ。


「出来るはあなたを倒す事ぐらい」

「おいおい女、もしかして俺が戦わ無い理由が弱いからだと思っちゃいねぇか。もしそうならそれはちげえなぁ〜。俺はただ無駄な戦闘はしたくねぇだけだ。分かるか今のお前じゃあ勝ち目はねえってことだよ」

「勝ち目無いだす!無理だす!」

「勝ち目無いかは自分で決めるわ」


ミノル……かなり辛いはずなのに、俺は何も出来ずただ見てるだけ何てあんまりだ。

せめて腕だけでも動かせれば、魔法で援護出来るのに……ん、こんな所にゴールドフィッシュが落ちてる何でだ?

そういえば俺を襲ってきたゴールドフィッシュが居たな。

もしかして入れるの忘れてたのか。

これは上手く使えばこの状況を打破出来るんじゃないか。


「邪魔だどけよ。どうしても逃げないならお前を倒すぞ」

「あら急に怖い口調になってきたわね。もしかしてそのスカーフの効果が無くなってきたのかしら」

「なっ!?」


するとケイガが巻いているスカーフを強く握る。


「やっぱりね。そのスカーフ私の知り合いの店に合ったから分かったわ。このままじゃ、あなたも毒を吸い込んじゃうんじゃない?」

「へへへなるほどなあ、時間稼ぎしたって訳か、でも残念!この毒は長く吸い込まないと毒は回らないんだよ。忘れたのか」

「さあそれはどうかしら。あとは任せたわよ。か…つ…」


その場でミノルが力無く倒れた。


「おいおい任せたってもしかしてあの男に言ったのかよ!あいつはしばらく動けないんだぜ」


ミノルありがとう。

おかげで時間が稼げた。


「くっ……あ……!」

「ん?何だまだ起きてたのかよ」

「だいぶ…喋れるまで…回復……したぞ」

「だから何だよ。喋れるだけでお前自身何も出来ないだろうが!」


よし!まだバレていないな。


「いやこれで良い。やるのは俺じゃない」

「あん?どう言う意味――――――ぐは!!なっ何だ……腹が…痛え」


その瞬間のケイガの腹にはゴールドフィッシュが突き刺さっていた。


「だから言っただろ……これで良いって」

「まさか……こいつはゴールドフィッシか!?」

「正解。お前らも知ってるよな。ゴールドフィッシュが興奮するとどうなるか」


ケイガはゴールドフィッシュを引っこ抜くがその度に腹にまた突撃する。


「くっくそ!ぐは!!やめろ!おい!デフ!何とかしろ!!」

「分かっただす!ぐぼ―――――!!無理…だす…腹…いっただす…」

「この役立たずが!いで!このスカーフ邪魔だ!くそちょこまかすんじゃねえ!!」


するとケイガがゴールドフィッシュを鷲掴みにした。


「へへやっと捕まえたぜ!デッドリーポイズン!」


するとゴールドフィッシュがみるみるうちに紫色に変色して、痙攣を起こしそのまま動かなくなった。


「ハァハァハア、ざまーみやがれ。1匹減るのは惜しいがこのあと大量に手に入るんだ。1匹ぐらいどうってことねえよな」

「ひでえ事するなお前」


思ったより早く捕まっちまった。

だけどもう少しのはずだ。


「さあお遊びはここまでだ。さっさとリュックを持ってずらかるぞ」

「そんな事させるかよ」


何とか話し合いで足止めするしかない。


「もう無理だ。残念だが諦めろ」


あともう少しだ。

もう少し。


「さあーていただくとする…か…」

「いただくだす!いた…だ……く」


きた!


「嘘だろ!何で……毒が」

「どうした顔色が悪いぞ」


2人共苦しそうにうずくまりながらその場で倒れた。

そして俺はゆっくりとその場から立ち上がった。


「う〜〜ん、やっと立てた」

「な…何でだ。スカーフの効果が消えたとしても……毒が回るには時間が…」

「お前らゴールドフィッシュを捕まえる為にかなり動き回ったろ。そのせいで呼吸が荒いぞ。だから多く毒を吸って普通より早く毒が回ったのさ」


毒を吸い込む量で毒が回ると聞いてこの作戦を思いついた。

ま、ミノルの方が先に気付いてたみたいだけどな。


「ば…かな……このおれ…が…………」

「だ……す……」


2人はその場で気絶した。


「は〜疲れた〜!!」


今回は体力じゃなくて精神的に疲れた。

やっぱり魔法使い同士だとモンスターとは違って駆け引きとかあってかなり疲れる。

とはいえ勝てたのはかなりラッキーだった。

あの時ゴールドフィッシュが居なかったら完全に持ってかれてただろう。


「とりあえずコイツらは縛っておくか」


俺はリュックからロープを取り出し2人を結んだ。


「これで大丈夫だろ。そういえばミノルは」


ミノルはまだ気絶しているようだ。

幸せそうにスヤスヤと寝ている。


「仕方ない。おんぶして帰るか」


俺はリュックとミノルを背負って、魔法協会に戻った。


《ただいま絶対かつ魔法レベル1 覚えた魔法ウィンド》



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