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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十二章 2人の十二魔道士
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その十七 会議だよ全員集合その弐

「まずは何処行きます、後輩」


ミカは上機嫌に先頭を歩くがどうにも俺は納得がいかずにいた。


「あのさ、確かに俺は後輩だけどさ。何か後輩って言われるの嫌なんだよ。名前で呼んでくれないか」

「めんどくさい後輩ですねー。しょうがないから、かつ後輩って呼んであげます」

「それでも後輩は付くのかよ。まあ、いいや。ていうか、観光は―――――」

「おおっと!そこにいるのはいつかのボウヤじゃないかい。久しぶりだね。元気にしてたかい?」


この声は、ムラキの十二魔道士の…………


「サラか」

「そんなに嫌な顔するんじゃないよ。あたいは会えて嬉しいんだから。ボウヤなら十二魔道士になれると思ってたからね」

「誰ですか?このおばさん」


あっ地雷踏んだ。


「おばっ!?ふふ、中々冗談が上手いお嬢ちゃんじゃないか」

「いや、別に冗談言ったつもりは―――」

「よぉーし、よぉーし、お姉さんが撫でであげよう」


そう言って、頭をごりごりとさせながら撫でる。

うわあ、完全に怒ってるな。


「いたっ!痛い!離してください!」

「なんだい?もう終わりかい。もっとやってもよかったんだけどね。首の骨が折れるくらい撫でてあげたんだけど」


もう完全に隠す気がないな、この人。

するとミカがすぐさま距離を取り俺の後ろに隠れる。


「あの人、恐ろしいですね」

「地雷元を踏んだお前が悪い。ここに居るってことはムラキの護衛か?」

「もちろん。あたいも十二魔道士だからね。当然王もお守りするさ。もしかして、ガイの方をご所望だったかい?」

「いや、別にそういうんじゃないけど。お前らはそういうのしなさそうだから」


あいつは守るよりも突っ走っていきそうだし。

あの時もいの一番に囮に引っ掛かってたからな。


「まっ確かにガイはそう言うことはしないと言うか出来ないからね。あたいは恩があるから。これくらいのことはするさ」

「そうか、ていうかお前はここで何をしてるんだ?他の十二魔道士と話さないのか?」

「そういうのはあんまり得意じゃないからね」

「お前、もしかして人見知りなのか?」


あんまりそういう風には見えないけどな。


「そういうんじゃないって言ったろ?あたいは1匹狼なんだよ」


一匹狼ねえ。

するとミカがその言葉に反応する。


「そうやって誤魔化しても無駄ですよ、先輩。確かに先輩って友達いなさそうですしね」

「あんたは、1回黙ろうか。それとも喧嘩を売ってんなら受けてたつけど」


そう言って、戦闘態勢に入る。

俺はすぐさま喧嘩が始まりそうな二人を止める。


「やめろ、お前ら!変なことして問題になったらどうするんだよ」

「分かってるよ。命拾いしたね、でも島王選では容赦しないよ」


サラはそう言うとそのまま何処かへ行ってしまった。

ふう、何とか面倒事は避けられたかな。


「やっぱ、おばさんて短期ですよね」

「おまえ、もうちょっと考えてから言葉をいえ」

「言いたいこと言うの気持ちいいですよ。無駄なストレス溜めずに済むし」

「分かった、分かった。もう何も言わねえよ」


結果的にサラに何か、目の敵にされたっぽいな。

あんまり、敵とか増やしたくないんだけど。

島王選で不利になるような事にはなりたくないし。


「それじゃあ、早速観光に行きましょうか!私はアップルパイDXを食べようかな。かつ後輩は何にします」

「あっ俺は行かないから」


その時、上機嫌に先頭を歩いていたミカがこちらに急に振り返ってきた。


「何言ってんの?」


真顔でそんなことを俺に言ってくる。


「いや、急にどうした。だって観光はいつでも出来るけど城の中何て滅多なことじゃ入れないだろ?これを機に色々見てみたくてさ」


もしかしたら何かこの島について分かるかもしれないし。

よくよく考えてみると、ガルアの城以外で注意深く探索してないしな。


「物好きですねー。私は全く興味ないんでパスで。1人で頑張ってくださいね~」


そう言って、陽気なステップでその場を後にしていった。

あいつも自由なやつだな。


「よし、先ずは探索だな」


この城はガルアの城とは違って園庭が沢山ある。

自然の空気も入ってくるからこれはこれで心地良いかもしれない。

侵入されやすそうだけど、これだけの事をしてるんだ。

何か対策はしてあるだろうな。


「そう言えばまだ十二魔道士全員と会ってないな」


カノエの十二魔道士のエング、シンラの十二魔道士のピンカとイナミ、ムラキの十二魔道士のサラ今のところ4人としか会ってないな。

ていうか、今さらだがシンラのところの十二魔道士2人も来てないか?

てことは今、シンラの街には十二魔道士が誰も居ないってことだよな。


「まっ俺が心配することでもないか」


あの人も王なんだし対策もしているだろう。

ていうか、他の王に会うの何かすごく緊張したな。

ガルアとはタメ口で話してるけど他の王にはそんなわけには行かないよな。

あまりそういう言葉遣いはしてきてないからついボロが出そうで心配だ。

そんなことを考えているといつの間にか大きな扉の前に来ていた。


「ん?ここって…………」

「あーーーーー!!!」

「っ!?何だ!?」


いきなり背後から大声をあげられて思わず体をびくっとなる。

後ろを振り替えると一人の男が驚いた表情でこちらを指差していた。


「ああ、ごめん。急に大声出しちゃって。君、もしかして、絶対かつさんですか」

「え、あっああそうだけど」


こいつ、十二魔道士か?

ていうか、何で俺の名前知ってるんだ。


「やっぱり!会えて光栄です!」


そう言って、俺の手を掴み握手をしてくる。


「お、おおい!落ち着けって!」

「あ!すみません、僕風間様の十二魔道士のマイトと申します」

「え!風間の十二魔道士!?」


まさか、あいつに十二魔道士が居たなんて。

いや、あいつも王だし居るのが普通か。

それにしても何だか気にくわないな。


「やっぱり!風間様を呼び捨てするなんて、ずっと会いたかったんですよ!」

「それは、分かったから。ていうか、俺の事知ってるのか?」

「それは、もちろん。風間様からよく、絶対さんの事を聞いていますよ。それで、僕も会いたいなって思って」

「なるほど、あいつが」


何か嫌な予感がする。


「ちなみにどんなこと言ってた?」

「昔、よく泣いていたとか、弱い自分を変えようと走り込みをしたら足がもつれて坂を転げ回ってしまうほどのおっちょこちょいとか、それと………」

「もういい分かった!」


やっぱりあいつろくなこと言ってなかったな。

事実だから否定できないのがむかつく。


「それにも関わらず数々の功績を残してきたとか。僕知ってますよ。ムラキ様の花嫁を連れ去ったこと。もう、今はその話題で持ちきりですから」

「あっそうなの」


やっぱり、やばいことなんだな。

まあ、普通の人の花嫁を連れ去るのもヤバイのに王の花嫁なんてもっとやばいんだろうな。


「ていうか、マイト今何歳?見たところ俺と同じように見えるけど」

「僕ですか?今は17ですかね」

「じゃあ同い年だな。それじゃあ、敬語とか使わずに仲良くしようぜ」

「分かった!それじゃあ、早速だけどかつの魔法を見せてくれないかな!?」


そう言ってキラキラした目で近づいてくる。

ていうか、圧がすごい。


「ま、魔法?どうしていきなり」

「実は僕、魔法が大好きなんだよ!!魔法陣の奥深さ、あの模様と多種多様な種類に僕は引き込まれたんだ」


あーこいつは変態だ。

間違いなく変態だ。


「それに、かつからは全然魔力を感じられないんだ。まるで魔力レベル1だよ!」

「まあ、実際魔力レベル1だしな」

「やっぱりそうなんだ!てことはオリジナル魔法持ってるってことだよね。だって基礎魔法だけどここまで強くなるなんて無理だし、覚えてるんでしょオリジナル魔法」


すごい圧だな、さすが魔法マニア熱がすごい。


「まあ、それは持ってるけどさすがに言えないよ」

「そうだよね。やっぱりそうだよね。僕達はライバルでもあるし、自分の切り札を言えないよね」


そう言いながら肩を落として口を狭める。

えー露骨に落ち込んでるんですけど。

いや、さすがに言えないよな。

ガルアの人生もかかってるし、それに俺は言ったら勝てる確率下がるからな。


「すまん、これは流石にな」

「分かってる。ちゃんと分かってるから、でも!でも、ほんのちょっと見せることは」

「いやーやっぱり無理だな」

「やっぱりかーまあそうだよね。分かった!よし、理解したよ。理解したよでも、ほんの少し見せることぐらいは」

「しつこいな!見せれないって言ってるだろ!」

「くっ駄目か」


こいつ、全然納得してないじゃん。

まっそれほど魔法が好きなんだろうな。


「かつの魔法は島王選でじっくり見させてもらうよ」

「そうしてくれ」

「それじゃあ、島王選で会おう」

「ああ、じゃあな!」


別れを告げてマイトは行ってしまった。

最後まで慌ただしかったな。


「変なやつだったな~」


今の所十二魔道士にまともな奴は居ないな。


「さてと……何しようとしてたんだっけ」


その時、後ろの扉を見て先程までやりたかったことを思い出す。


「ああ、そうだ図書室に入ろうとしてたんだった」


この部屋に何か重要な書物が無いかなと思ったらいきなり声をかけられたんだった。


「じゃあ、中に入るとするか」


俺はゆっくりと扉を開けて中に入る。

中は沢山の本が置かれてる紙の独特な匂いがする。

相変わらずの静けさだ。

ていうか、人いないのか?


「結構本あるな…………」


中々古そうな本から新しい本まで様々な本が棚に並べられている。

普通に修行の時に通ってた図書館並みに本があるな。


「見た目だけじゃ全然分からないな」


タイトルを見ただけだと重要な本なのかも分からない。

俺が何かないかと探していると、誰かが椅子に座って本を読んでいた。


「居たのか人……」


その人は俺の姿に気付いてないのか、本をじっと見つめている。

気付いてないのか?

俺はさりげなく、目の前の椅子に座る。


「………………………」

「………………………」


全く反応してくれないんだけど!

え!?嘘だろ!目の前に座ってるのに!?

くっこれはもしかして没入しちゃってるやつか。

なら、ちょっとわざとらしいがやるしかないな。


「うっごほん!ごほん!ごほん!」


よし、これでどうだ?

チラリと目の前の人の様子をうかがう。

すると、目の前にその人の姿はなく、別の椅子に移っていた。

避けられたー!え?避けられたんですけど!

何も言わずに、居なくなるとすごく傷つく。


「おお!ここに居たのか!」


すると、体のでかい男のエングが図書室に入ってきた。

この人図書室とはかなり相性が悪そうだな。


「えっと、エングさんでしたっけ?」

「エングでいいぜ。それより、お前ミズトに話しかけようとしてただろ?」


ミズト、もしかしてさっき俺を避けた人の名前か。


「いや、一応挨拶はしておこうと思って」

「あいつは手強いぞー何せ必要なこと以外は話せねえかんな。まあ、見てろ」


そう言って、エングはミズトの方に近寄る。


「よお!久しぶりだな!元気にしてるか!そう言えばお前…………」


エングはミズトのすぐ近くでかなりの声量で話している。

聞こえなかったはあり得ないだろう。

絶対聞こえてるはずだ、聞こえてるはずなのだが……全く反応しない。

本当に静かな図書室で本を読んでいる位黙々と本を読んでいる。

一通り話終えるとエングが諦めて帰ってくる。


「ほらな?」

「確かに、何かお前が悲しく見えてくる」

「あいつはまじで世間話なんて物は絶対参加しねえし、口を開く時は小難しい話ばかりだ。あんなんで結婚とか出来んのかね」

「いや、余計なお世話だろ。まあ、確かに本当に大事なことしか話さないんだな」


するとエングが図書室に掛けられてる時計を見る。


「そろそろか………」

「何がだ?」

「集合時間だ。ミズト!そろそろ会議が終了するぞ!」

「分かったわ」


すると、ミズトは本を閉じて棚に戻し、俺達に挨拶するわけもなく出ていった。


「な?重要な事以外は話さないだろ?」

「中々濃いやつしかいないな」


十二魔道士の恐ろしさを別の意味で体感した。



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