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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十二章 2人の十二魔道士
272/827

その十六 会議だよ全員集合

「っ!?………っここがウォータープラメントー!!」


目を開くとそこには見たこともない街が広がっていた。

目の前には巨大な噴水が透き通る水を出している。

至るところに美味しそうなフルーツを持っている人がいる。

店にも沢山並べられているし、この街はフルーツを沢山作ってるのか?

それに妙に空気が清んでいる気がする。


「この街に来るのは初めてか?」

「ああ、何かすごく綺麗な街だな」

「ここの王が頑張ってんだろうな。まあ、あいつはキレイ好きだしな。街にはゴミ1つ落ちてないだろ」


ガルアの言っていた通りに今のところ街にゴミは全く落ちてない。


「ここがはじめてなら私が後で案内してあげます。先輩として私に着いてきなさい!」


そう言って、ミカは張り切って俺の先頭に立つ。


「待て!その前にお前らは十二魔道士に挨拶をしろ」

「え?他の十二魔道士も来てるのか?」

「当たり前だろ。十二魔道士は王を護衛する立場なんだから。まあ、今回は後5人の十二魔道士に会うだろうな」

「え?十二魔道士って12人要るんじゃないのか?」


俺とミカを会わせて残り10人の十二魔道士が居ると思ったが居ないのかもしれないな。


「王不在の街を守らなきゃいけないからな。それぞれ、1人は街に残るんだよ」

「なるほどな」


俺達がこうしてこれたのはハイトが留守番してくれてるからか。


「それじゃあ、早速行くぞ。ちゃんとついてこいよ」


俺達はガルアの後ろにしっかりと着いていく。

それにしても、街は活気づいてるな。

魚も野菜も果物も新鮮で瑞々しくて、どれも美味しそうだ。


「ん?何だこれ?」


何故か水の入った瓶が並べられていた。

ただの店先に並んでいるのは珍しいな。

興味本位で店の商品を見てみる。


「えーと、500ガルア!?高すぎないか!?」


500ガルアもあればそこそこの料理が食えるぞ。

ただの水にどうしてこんな値段がつけられてんだ。

その時、店の奥から店主らしき人が出てくる。


「バカいっちゃいけねえよ、お客さん。他の街ではこれの倍以上はするぜ」

「これの倍って……これただの水だろ!」

「ウォータープラメントの水はただの水じゃねえんだよ」


そう言って、ガルアが水の入った瓶を1つ手に取る。


「これ2個くれ」

「おおっ!これはこれは、はるばる遠いところからありがとうございます、ガルア様。おまけにもう1つお付けします」


そう言って、店主は追加でもう1瓶ガルアに手渡す貰う。


「そうか、悪いな」


満足げにそう言うとガルアは三つの水を持って俺達の方に戻ってくる。

すると、俺に水を1つ渡してくる。


「ほら、飲んでみろって。味の違いが分かるぞ」

「えーそうなのか?」


俺は少し疑いつつも水を1口飲む。


「っ!?甘っ!てか旨い!何で!?ただの水だろ!?」

「ここの水は全て天然水だ。あそこの川でそのまま汲まれている」

「え?何にもしないのか?」

「まあ、多少は魔法で検査をしているが、味は何も変えてない。川を直のみすれば分かるぞ」

「しかも、野菜とか育てるのにこの水使うとすっごい美味しくなるんでオススメ!」


だから、この街の食材はどれも美味しそうなのか。


「へえ、そうなのか本当にすごいなこれ」


確かに、500ガルアって値段も納得だな。

後でお土産として買ってくか。

俺はそう思いながら残りの水を一気に飲み干す。


「よし、早く城に行くぞ」


俺達は寄り道も程々に城に向かった。


――――――――――――――――――

「ここが、ウォータープラメントの王が住んでる城か」


真下から城を見上げる。

どの街でも城のデカさは相変わらずだな。


「よし、早速中に入るぞ」

「お待ちしておりました。ガルア様ですね」


すると、城の前に若い大人の男が出迎えをする。


「お前はミュウラの執事か」

「はい、ご無沙汰しております。おや、そこの方々はガルア様の新たな十二魔道士ですか?」

「ああ、こいつは絶対かつ、そしてミカだ」

「よ、よろしくお願いします」

「私はミュウラの執事をしているサザメと言います。城のことで分からないことがあったら何なりと」


そう言って、丁寧に頭を下げる。

すると、ミカがサザメをじっと見つめ、謎の笑みを浮かべる。


「あんた、まあまあやるね。私ほどではないですけど」

「お褒めいただいて光栄です」


今のは褒めたのか?

でも、確かに何かただ者じゃない雰囲気を感じる。

シニアみたいな感じかと思ったが、あいつよりは全然まともそうだな。


「それではご案内します」


俺達はサザメに案内してもらいある部屋に着いた。


「ここで、王達がお待ちしております」


そこは入る前から分かる位の威圧感が出ていた。

なるほど、この中に入りたくねえな。

扉から遠ざかろうとした時、ガルアが俺の背中を叩く。


「よし、お前らも入ってこい」

「え?俺も入るの!?」

「当たり前だろ。新しい十二魔道士として王たちに挨拶は大事だろ。挨拶するだけでいいからほら行くぞ」


やべぇすごく緊張してきた。

あの部屋の中にこの島の王が大集合してるってことだよな。

色んな王には会ってみたが本物の王はガルアだけだし、やっぱり緊張する。

あれ?そういえば…………


「それじゃあ、入るぞ」


俺が思考を巡らせてる間に扉はあっけなく開かれた。

ちょっいきなりかよ!

気持ちの整理もつかぬまま中を見ると、そこには長い机の周りにそれぞれの王が座っている。


「おっ!来たなガルア。遅かった………て、お前かつか?」


あーそうだった、こいつはカルシナシティの王だった。


「お、おう」

「何だよ。お前が新しく入った十二魔道士ってやつか。なるほどな、こりゃあ面白くなってきたな」


最悪だ、絶対こいつ俺に嫌がらせするよ。

開始早々嫌な気持ちになったと思いきや、別のところから大きな声が聞こえてくる。


「ちょっと待て!何で、そいつが十二魔道士になってんだ!?」


そこには他の王より一際小さい、子供がいた。

この生意気そうな口調とこのクソガキ感はムラキだな。


「お前はムラキか。そういえば、お前も王だったな」

「何だその口の聞き方!俺様は王だぞ!敬意をはらえ!」

「ただのエロガキ王だな」

「この!」

「静粛に!」


ムラキが俺を睨み付けて襲いかかってくる瞬間、もう1人の王がその場を静める。


「あなた方、私の城で騒がないでもらえますか?神がそう言っているので」

「えっと……すみません」


何なんだあの人、何かこの城はあの人の物っぽいけど神がどうとか言ってたよな。


「あいつはこの街の王、ミュウラだ。ミュウラ、こいつは俺の十二魔道士の絶対かつとミカだ」

「よろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いします」


軽くお辞儀もするもミュウラは不機嫌そうにこちらを見てくる。

何か、ものすごい睨まれてる気がするんだけど。


「それが、あなたの十二魔道士。随分と礼儀知らずの人を連れてきたわね」

「中々面白い奴らだろ。まっ俺こいつらで島王選に参加する」

「ふふっそれは楽しみですね」


含み笑いを浮かべる仕草も何だか只者じゃない感があるな。

その時白い肌に優しい笑みを浮かべるもう1人の王がこちらをじっと見てくる。


「あっあの……………」

「申し遅れました。わたくし、ウォームウッズの王シンラです」


そう言って、小さく会釈する。

あれも王様なのか、でも何か王というより優しいお姉さんみたいな感じだな。


「俺はネッパニンスの王、カノエだ!よろしくな!」


そう言って、満面の笑みで自己紹介をする。

この人はこの人で暑苦しそうな感じがする。


「よろしくお願いします………」

「よし、それじゃあ俺達は会議があるからお前は外に出てくれ」

「え?これでいいのか?」

「ああ、挨拶だけだって言っただろ。ほら、外で他の十二魔道士と話してろよ」


そう言って、俺達はあっという間に外に追い出されてしまった。

何だったんだ一体、まあ何事もなくてよかったけど。


「あの王様たち、中々の強さでしたね」

「確かに、ただ者じゃない雰囲気を感じたな。あれが王なのか」


一部論外は居たけど。

ていうかあの輪の中であいつだけは浮いてるだろ。

よく堂々と座ってられるな。


「それじゃあ後輩、私がこの街を案内してあげる。ほら、着いてきな!」


さっきもそれ言ってたような気がする。

まあでも正直案内役は必要だよな。


「分かった、付いていくよ」

「俺達に挨拶なしにどこ行くんだ?」


突如声をかけられそちらの方を振り向くと、そこには大きな体をした男が目の前に立っていた。


「誰ですか?私達今から観光にいきたいんですけど」

「ちょっと、ちょっと!あんた生意気すぎない!」


そういうと、少し背のちっちゃい女の子が突っかかってきた。

何だ何だ色々出てきたな。


「何偉そうな態度しちゃってるの?もしかして、反抗した方がかっこいいとか思っちゃってる?そういうのもう古いから」


何か、めちゃくちゃディスってくるんだけど。


「……ふっ!」


その時、その女の子を見てミカが何故か吹き出す。


「な、何笑ってんのよ」

「いや、先輩ちっちゃくて可愛いですね」

「なっ!?わ、私の事をちっちゃいって言うな!!」


そう言って、ミカに突っかかってくる。

その時、そのちっちゃい子の体が中に浮かぶ。

いや、浮かんでるんじゃなくて持ち上げられていた。


「おいおい、そのへんにしとけよ。お前も良い大人何だからちっちゃいって言われたくらいで怒るなよ」

「うるさいわよ!無駄にデカイ体して何!?私への当て付け!」

「おい、イナミ!お前と同じところの十二魔道士何だから何か言ってやれよ!」

「……………………………」

「あの陰キャが喋るわけないでしょ!ていうか早く下ろしなさいよ、無駄筋!」


何なんだこの人達、十二魔道士何だよな?

ちっちゃい子は毒舌だし、大男は何か暑苦しいし、イナミって奴は黙ったまんまだし、色々とおかしな人たちだ。

でも確かに、ただ者ではないな。


「あのー先輩方話は終わりましたか?」

「ん?」

「私達、観光に行くので退いてくれませんか?」


するとミカは十二魔道士の人達を押し退けていく。

それを見た一人の十二魔道士が苛立ちを覚える。


「挨拶はしないってことか?」

「挨拶する必要ってあるんですか?」

「あんた、島王選に出るんでしょ。そんな舐めた態度とってたら袋叩きにされるわよ」

「心配しないでください先輩方。私、天才なんで。負けませんから」


その時、この場で異様な雰囲気を感じる。

こ、これはまずい!

何とか場を和ませないと!


「す、すみません!冗談ですよ!そんなわけないじゃないですか!!」

「後輩!勝手に冗談にするな!」

「うるさい!冗談なの!冗談にしておけよ!!」

「何、冗談じゃないの?」


やーばーい!完全に地雷を踏んでしまった!

このままではここが戦場になってしまう。

何とかみんなの機嫌を取らなければ。


「ふふっがっはっはっ!」

「ふえ?」


すると、巨大な男はいきなり笑い出した。

あれ?怒ってない?


「お前ら面白いな!気に入ったぜ!俺はカノエ様の十二魔道士のエングだ、よろしくな!」


そう言って、握手を求めてくる。

俺は突然の出来事で無意識に握手をしてしまう。


「ほら、お前も自己紹介しろよ」

「何で、私がこんな生意気な奴らに自己紹介しないといけないのよ」

「こいつはシンラ様の十二魔道士のピンカだ。少し、狂暴だが。まあ、仲良くしてやってくれ」

「何で、あんたが勝手に自己紹介するのよ!」

「それと、あっちの隅っこにいる奴はピンカと同じシンラ様の十二魔道士のイナミだ」

「だから、勝手に自己紹介すんなって言ってんでしょ!」


何なんだ一体。

話についていけないと言うか、圧倒されて訳がわからない。


「先輩達も島王選に出るんですよね」

「もちろんだ。お前らとも戦うことになるかもな」


するとミカがニヤリと笑みを浮かべる。


「先輩達を完膚なきまでに叩き潰しますよ」

「な!?ちょ、何でお前そんな喧嘩腰で」

「いやいや、喧嘩売ってきたのあっちじゃないですか。だから、言ってやったんですよ」

「ねえ、私やっぱりこのクソガキどもぶっ飛ばしたいんだけど」


え?今、どもって言った?

もしかして、俺もカウントされてる?


「まあまあ落ち着けてって。お前、名前はなんだ?」

「ミカですけど」

「絶対かつです」

「ミカと絶対かつ、お前らに先輩としてアドバイスをしてやる」

「別にアドバイスなんて要らないですよ」

「まあ聞けって」


アドバイスをしてくれるなんて、意外と怒ってなさそうでよかった。


「島王選を舐めるなよ」

「っ!?」

「あそこは魔法を極めた奴らが集まる場所だ。舐めてると足下掬われるぜ」


やっぱり、怒ってたー!


「それじゃあな!観光楽しめよ!」

「っ!?」


そう言って、俺の背中を叩く。

いったー!あの人、どんだけ力込めてるんだよ。

ていうか絶対八つ当たりだろ。

俺はヒリヒリする背中を擦っていると、エングに対してミカが口を開く。


「先輩1つ間違ってるところがありますね」

「ん?何だ」

「私、別に舐めてませんから。ただ、負けたことがないので余裕なだけです。だから、負けるって経験を私にさせられるようにしてくださいね。じゃっ行きましょうか、後輩」

「え!ちょ!」


こいつ、また怒らせるようなことを。

案の定俺達が立ち去るときに後ろで怒号が聞こえてきた。

あー本当に大変なことになった。


「あのガキ私達を舐めてないとか言っといて完全になめてるわね」

「ああ、そうだな」

「やっぱりあんたも怒ってるんじゃない」

「ふっ俺はただ、生意気な奴が大好物なだけだ。次の島王選が待ちきれないぜ」

「ていうか、何さりげなく私の頭に手を置いてんのよ」

「あっ!ちょうど良い高さだったからついな」

「私をバカにするな!!!」



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