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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十二章 2人の十二魔道士
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その九 炎に慣れろ

「それじゃあ、私達は先に家に戻ってるけどかつ達は頑張ってね」

「おいおい、美女さん達は着いてきてくれないのか?やる気しないなぁ」

「別にやる気出さなくてもいいぞ。それなら約束は無しだ」

「冗談だよ。俺は約束はちゃんと守るタイプだ。後で文句言われたくないからな」


くそ、やる気出してなかったら約束は無しにしようと思ったんだけど、ちゃんと分かってやがる。


「じゃっ頑張ってね」


そう言って、ミノル達は家に入ってしまった。


「今の時間は午後1時、十分時間はあるな。よし、場所を変えるぞ」


―――――――――――――――――――

「ここなら、邪魔は入らないしのびのび特訓できるな」


俺達は特訓するために広々とした野原に来ていた。

確かにここなら迷惑もかからないし、動き回るには十分な広さだ。


「それじゃあ、早速炎の魔法を頼む」

「いいぞ。先ずはどれくらいのレベルがいい?」

「そうだな、先ずはお前の魔法の中で1番弱い炎の魔法を頼む」


徐々に慣れさせていこう。

段階的にあげていけば順序よく炎の魔法になれていける可能性がある。


「分かった。ちなみに俺が生まれたときの魔力レベルは6だ。見たところお前はそこまで魔力が無さそうだな。当たったら火傷じゃすまないぞ」

「大丈夫だ。俺だって対処法くらいは心得てある」

「まっだろうな。純粋な魔力はそこまでだがお前には何か別のものがある気がする。それに王直々に十二魔道士候補に選ばれてるしな。遠慮はしない」


そう言って、空中に魔法陣を展開する。

この魔法陣は確か………………


「いくぞ!ファイヤーブレス!」


魔法陣から大きな炎が襲いかかる。

これくらいなら黒の魔法使いの炎を受けてるから楽勝だな。

俺は魔法を使わず脚力でその魔法を避ける。

それを見たクラックは感心したような様子を見せる。


「ほう、なるほどな。足に自信ありってところか。だが、足だけで避けれるほど俺の魔法は甘くないぞ。いくぞ!グランドファイヤー!」

「え!?ちょ、まっ!」


先程よりも範囲が広くそして灼熱の炎が襲い掛かってくる。

いきなりレベル上げやがったな。

さすがにこれはまずい。


「ワープ!」


俺は魔法で何とか避ける。

突発的な広範囲攻撃はきちんと予測してないと脚力だけじゃ避けきれないな。


「なるほど、そんなもの持ってたのか。通りでお前がここまで生きてこられたわけだ。瞬間移動の魔法か?」

「ああ、ていうかいきなりそんな強い魔法撃つなよな!死ぬかと思ったんだぞ!」

「あまっちょろいこと言ってる場合か?お前の相手は事前に撃つ魔法を伝えてから撃つのか?いつも突然に来るだろ。分かってて避けるのなんて誰でも出来る。ここからは実践を想定した戦いをする。安心しろ炎の魔法以外は使わねぇよ」


くっ確かにその通りだ。


「分かったよ。それじゃあ、ばっちこい!!」


それから俺はひたすら魔法を避けまくった。

元だけどさすがは十二魔道士だ。

1つ1つの魔法が即死級で、選択をミスれば即あの世行きだ。

ていうか、俺の魔力レベルに関係なくこいつの魔法はやばいくらい強い。

あいつが炎の魔法しか使ってくれないからなんとかなってるが、これが十二魔道士か。

すると、魔法がピタリと止まった。


「っ?」

「一旦休憩だ」

「何でだ?まだやれるぞ」

「全身汗びっしょりだぞ。脱水症状になったらどうする?健康状態はしっかりしておけ」

「本当だ。いつの間にこんなに汗出てたのか」


夢中になってたから気がつかなかった。

て言うかあいつそう言うところも見てくれてるんだな。

俺は近くの川で水分を補給し体を洗い、服を乾かす。

そして野原に座って少し休憩をとる。


「それで、どうだった?」


俺は背後に立っているクラックに声をかける。


「なにがだ?」

「俺はちゃんと炎を避けられてるか?」

「お前はどう思う?」


そう聞かれて俺は先程の修行内容を振り返る。


「俺はまだまだだと思う。避けるのもギリギリだし、何より本気の戦いだったら勝ち目がなかった」

「まっそうだろうな。相手も別に得意魔法だからって炎を使うって訳じゃない。色々な魔法を組み合わせて使ってくるだろうな」

「だけど、今の俺にはこれくらいしか思い付かないんだ。だから、この後もよろしく頼む」

「まっ約束はしたからな。お前の気が収まるまで付き合ってやるよ」


そう言って、ニヤリと笑う。


「そういえばお前、魔力レベル1だろ?」

「………気づいてたのか?」

「ふっまだ俺のことなめてんのか?元だが一応十二魔道士になった男だぞ?相手の魔力量で魔力レベル位分かる」


でも、俺の本当の魔力までは誰も分からないんだよな。


「だけど、お前魔力を隠してるな?」

「え?ちょ、分かるの!?」


絶対に分からないと思ってた瞬間に言われたので思わず聞いてしまった。


「ただの魔力レベル1の魔法使いがここまでやれるわけないだろ。まっなにか深い事情があるんだろうけど、俺は女性以外は興味ないんでね」

「聞かないのか」

「言っただろ、興味ない」

「本当に女好きだな。ていうか、今は十二魔道士じゃないんだろ?どうやって生活してんだ?」

「適当にそこら辺のモンスターを倒して素材を売って生活してんだよ」


そう言って、湖に石を投げる。

石は水の表面に当たると跳ね上がりそれが連続して起こる。


「ああ、魔法協会にある依頼をこなしてるのか」

「魔法協会?そんなとこ使ってねえよ。普通に素材売り場に売ってんだよ」

「え?それだともったいなくないか?魔法協会ならクエストの報酬もついてくるのに」


モンスターを駆るのなら以来を受けた上でやった方が絶対お得だ。

駆ると言う行為事態は何も変わらないんだし。

だがクロックは俺の言葉に対して相づちを打つことはなかった。


「別にそこまで金をほしいとは思わねぇからな。女を喜ばせるための分の金さえあればいい」

「本当に女好きだな。まあ、お前がそれでいいならいいんだけど」


すると、おもむろにクラックがその場から離れる。


「もうしっかり休んだろ。特訓を再開するぞ」


―――――――――――――――――

「あっ!お帰り………ってどうしたのその格好ボロボロじゃない」

「いや、ちょっと魔法喰らっちゃって」


俺は疲労がたまった身体を頑張って動かして椅子に腰かける。

するとミノルが心配そうにこちらを見る。


「特訓、その様子だと厳しいみたいね」

「ああ、だけど意外と炎の魔法は慣れてきたかもしれない」

「そう。あっ一応ご飯冷蔵庫にあるけど食べる?」


そう言って、ミノルが立ち上がる。


「ああ、食べようかな。そういえば、他のみんなは?」

「皆もう寝ちゃったわよ。あっごはんの前にお風呂に入った方がいいんじゃ…………ふふっ寝ちゃったか」

「すー……すー………」

「頑張ってねかつ」


――――――――――――――――――――

「どうだ?昨日はぐっすり眠れたか?」


明日になって早速俺はクラックの元で修行をつけてもらっていた。


「ああ、ていうかぐっすり眠ることしか出来なかったけど」

「まあ、昨日は何回か魔法を喰らってたしな。とりあえず今回は炎の魔法について知ろうか」

「炎の魔法について?」

「まぁ、ちょっとこれを見てろ」


そう言って、魔法陣を展開させる。


「先ずはファイヤーブレス」


魔法陣が輝くと空中に炎を出す。


「もう1回やるぞ。ファイヤーブレス」


またもや同じ魔法を見せてくる。

普通なら同じ魔法を見せられただけだが、俺はその二つの魔法の微妙な変化に気づいた。


「っ!?今のさっきのよりも炎の威力が落ちた?」

「まっこれが得意魔法の特権みたいなもんだ。ある程度魔法になれてくると同じ魔法でも炎の火力を少し下げたり、高さを上げたりと自在に炎を操れるようになる」

「あっそれもやったことあるな。ファイヤーボールってやつでファイヤーの時に溜めをして撃つと途中で爆発する炎の玉が作れたんだよ」

「それみたいなもんだ。まっこれはちょっとしたもんだから別に気にすることはない。だが、一応頭に入れておけ。それと、ファイヤーボールみたいな即席魔法は通常の魔法には威力は劣る」

「なるほど、分かった」

「じゃっ早速やるか」


そして、再び昨日と同じ特訓が始まった。


「いいぞ!その調子だ!だが、まだ動き出しが遅いぞ!来る魔法が分かってるならすぐに対応しろ!お前の魔法から逃げるやり方は足で逃げるか、魔法で避けるかしかないぞ!」

「分かってる!くっ!」


相変わらず炎の威力と範囲がえげつないな。

昨日よりは慣れてきたけど、やっぱり油断は出来ないな。


「中々出来るようになってきたな!それじゃあ、もっと強めに行くぞ!!」

「うえっ!?ちょ、さすがにそれはヤバイって!!!」


付いていけると思った矢先にまた突き放される。

結局俺はその後ぼこぼこにされた。


「おい、さすがにあれはなかったんじゃねえか。いきなり魔方2つも出してくるなんて」

「ふははははは!そりゃ悪かったな。お前の相手の実力はしらないが十二魔道士候補なら魔法陣の2つ位出せるだろうな。こっからは、より高度な戦いをするぞほら、構えろ」


こっからは、クラックの言った通り魔法陣を複数使ってくる。

さっきの特訓よりも倍くらいやばい。

息つく暇もなく、一瞬の油断も出来ない。

自分からやりたいと言ったけどさすがにこれはきつい!

そして、今日の特訓が終了する。


「あっお帰り…………って昨日よりもひどい姿ね」

「今日は………ちょっと……辛すぎ……た」


俺はその場で気絶した。


「お帰りなのじゃ!妾頑張って起きたのじゃ!って、あれ?」

「しーっかつまた寝ちゃったみたい」

「大丈夫なのか?何か死にそうじゃが」

「大丈夫よ。それに確か明後日よね。かつ、頑張ってね」


――――――――――――――――――――――――

「さて、今日が最終日はわけだが、ある程度炎の魔法には慣れてきたか?結構強引なやり方をしてきたけど」

「ああ、結構炎の魔法を受けてきたお陰である程度分かるようになってきた」

「それじゃあ、最終特訓だ。今回は俺に攻撃を当てろ」

「っ!?」

「避けることに慣れただけじゃその相手は倒せないだろ。今回は反撃してこい」


反撃か、確かに今までずっと避けただけだった。

攻撃も考えていかないといけないよな。

何せ俺はハイトを倒さなきゃいけないんだから


「よし、分かった」

「じゃ、さっそくいくぞ。ネオファイヤーブレス!」

「ウィンド!」


俺は風の魔法で炎の向きを変えて逃げ道を作る。

そして、クラックの方に近づく。

その瞬間右と左に魔法陣が展開される。

俺は避けるために空中に飛ぶ。


「ファイヤーボール!!」

「グランドファイヤー!」


俺の魔法が相手の魔法に飲み込まれる。

やはり低級レベルの魔法じゃぶつかりあいで勝てるわけがない。


「ワープ!」


俺はクラックの後ろにワープする。

背後を取った!


「ふっかかったな」

「なっ!?」


ワープした先にはもうすでに魔法陣が存在した。

予想されてたか!


「ファイヤーブレス!」

「ワープ!!」


俺は再びワープで距離を取る。

クラックにはワープを1回しか使ってないのに、もうワープの弱点を理解したのか。

さすがだな、やっぱり十二魔道士って言う肩書きを持ってる奴らはどいつもこいつもやばいんだな。


「とっておきの魔法を持ってるんだろ?」

「とっておきの魔法?さあな」

「さあなって言ってる時点であるんだな」


やばい、もろばれだ。


「とりあえず、それ使わなきゃ俺に攻撃はあてられないぞ!!」


再び魔法陣を展開させる。

こうなったら無理矢理にでも行くしかないな。

俺は空中に3つの魔法陣を展開させる。


「ウィンド!サンダー!ウオーター!3つ合わせてサイクロン!」

「低級が合わさったところで意味がない」


これは攻撃用じゃなくて、移動用だ。

俺は炎の中にサイクロンで空洞を作りそこを通って、クラックの目の前に飛ぶ。


「グランドファイヤー!!」

「インパクト!!」


その瞬間大きな衝撃波と爆発により吹き飛ばされる。

何とか受け身をとったお陰でぶっ飛んだだけですんだな。

するとクラックも吹き飛ばされただけですんだようで、すぐにこちらへとかけてくる。


「ふぅー当たったな。俺の魔法」

「いや、今のはちょっと無理だろ。なんだその魔法、見たことないぞ。オリジナル魔法ってわけないよな。あれはそう簡単に作れるものではないからな」

「まあちょっとした魔法だよ」

「まっそんな強い魔法を持ってれば後はどうにでもなるな。よし、これで特訓は終了だ」


そう言うと、クラックは両手を叩いた。

これで終わりだと示すように。


「え?終わり?」

「これ以上何を学ぶんだ。明日が本番だろ。炎の魔法はこれである程度防げるだろ」


終わり時は唐突だ。

でも、確かに強くはなった。

これで、あいつとの戦いも多少は楽になるかもしれない。


「まっせっかくだいくつかアドバイスをしてやろう。相手は多分オリジナル魔法を使う。オリジナル魔法は分かるな?戦ったことはあるか?」

「一応ある。でも、勝てはしなかった」

「まあ、死ななかったってことは多少はその性質を理解できたってことだよな」

「まあ、そうだな」


あの時は考えるのが精一杯だったな。

するとクラックが真剣な表情で語り出す。


「オリジナル魔法は本当に厄介な魔法だ。基礎魔法やレベル魔法は図書館の魔法の本に乗っていていくらでも対策は出来るがオリジナル魔法だけは対策のしようがない」

「じゃあ、どうすればいいんだ?」

「まあ、これは経験を積むとしか言えないな。オリジナル魔法ってのはそういうものだ」

「クラックは使えないのか?」

「使えない」


即答!?

て言うかてっきり十二魔道士だから使えるもんかと思ったのに。


「何でだ?」

「俺は十二魔道士の初期メンバーだったからな、そもそもその前にあまり強くなる理由もなかったし、十二魔道士も途中でやめたからそのあとも作る意味無かったからな」

「もし、続けてたら作ってたか?」


その問いにクラックは間髪入れずに答える。


「作ってたろうな。強い魔法使いに勝つには基礎魔法やレベル魔法だけじゃ限界が来るからな。そういえば、ガルアの所に天才が来てるらしいな」

「ああ、そう言えばいたな。それがどうかしたのか?」

「いや、ただの天才ってのは反対に言えば努力してないみたいなものだ」

「つまり?」

「足元掬われやすいってことだな。まっ気を付けろよ」


天才は足元掬われすいか。

たしかに、努力して天才を越えるまんがとかあるもんな。


「そいつはオリジナル魔法を持ってると思うか?」

「いや、持ってないだろうな。いくら天才といえどもオリジナル魔法を数ヶ月で完成させる何て無理だ。オリジナル魔法ってのは経験と魔力と知識が必要だ。たかだが、数ヶ月魔法使いをしたやつには出来ない」

「そうなのか」


天才でも無理ってことはやっぱりオリジナル魔法を作るのは難しいんだな。

俺も作ろうと思ったけどまだまだ無理そうだな。


「これで、俺のアドバイスは以上だ。俺が特訓したんだ、負けんのは許さねぇぞ」

「分かってるよ。それじゃあ、特訓してくれてありがとう」


俺はお礼を言ってその場に立ち去る。

だがクラックはそんな俺に対して肩を掴んで制止させる。


「ちょっと待った。約束、忘れた訳じゃないだろうな?」

「えっと…………何だっけな?」

「安心しろ、どっち道家まで着いていくから」


くそ、やっぱりこうなるのか。

ちゃっかり覚えてやがって。

俺は渋々クラックをつれて家に帰った。

扉を開けるとミノルが出迎えてくれたが、クラックを見るとその表情は沈んでいった。


「あっ!お帰りかつ!今日は早かった………」

「よっ!ミノルちゃん、俺の事待っててくれた」

「かつっちお帰りー!あれ?その人はどなた?」

「あははは、相変わらず君は面白いな。今日はミノルちゃんに会いに来たんだ」


そう言って、ミノルに向かってウィンクをする。


「かつお帰りなのじゃ!なんじゃ、クロックお主も居たのか?」

「デビちゃん、俺の名前はクラックだよ。それじゃあ、ホテルはもう予約してある。行こっか?」

「………………分かったわ」


ミノルはクラックの言葉におとなしく従い着いていこうとする。

本当に良いのかこれで、確かに約束はしたけどそれでもやっぱり。


「ちょ!待てよミノル!」

「大丈夫、かつ私を信じて」


そう言って、微笑む。

ミノル、本当に信じていいのか?


「ミノル!」

「デビちゃん、よろしくね」


そう言うとミノルはクラックとともに行ってしまった。


「かつっちあれってどう言うこと?」

「……………ごめん。ちょっと留守番任せた!」

「え!?ちょ、かつっち!」


ミノル、ごめん!!

やっぱり俺!


「くそ!どこ行ったんだ!」


姿が見えない、でもそう遠くには行ってないはず。

その時近くの宿に2人が入っていくのが見えた。


「ミノル!!」


だが、俺の声は聞こえなかったのか、ミノル達はもうすでに宿の中に入ってしまった。

俺はすぐに宿屋に入り受け付けに向かう。


「あのすいません!あそこに2人の男女が入ってきませんでしたか!」

「それがどうかなさいました?」

「知り合いなんです!だから」

「すいませんお客様。そういうのは」

「……………くそ!」


どうすればいい、このまま突き破って行くか?

………いや、そんなことする権利があるのか?

あいつには色々世話になった、なのに約束破っても……いいのか?

それに、ミノルは大丈夫と言っていたなのに俺は………


「帰ろう。こんなことしても虚しいだけだ」


俺が帰ろうとした時男の叫び声が聞こえた。


「ひぃぃぃ!くそ!何なんだ一体!」


するとクラックが出てきた。

叫び声をあげてたのはクラック?


「え?クラック?どうしたんだ」

「お前!?俺をはめやがったな!」


そう言うと何故かこちらを恨めしそうに睨み付けてくる。


「は?えっと、よく分かんないんだけど」

「最悪だ!くそ!最悪だぁぁぁぁ!」


そう叫びながら言ってしまった。

意味が分からない、何が起きたんだ?

すると、ミノルが出てきた。


「ミノル!何が起きたんだ!?俺には何がなんだかさっぱりで」

「あっかつ。来てたのね。もしかして心配してくれたの?でも、大丈夫よ。言ったでしょ、信じてって」

「は?何したんだ?」

「デビちゃんの幻覚魔法で私を男に見えるようにしたの」

「え?ええええええ!?本当か!?」

「本当よ、嘘つくわけないでしょ」


意外とえげつないことしてるな。

なるほど、そりゃ叫んで怒るわけだ。


「えぇ………すごいな、それを考えたミノルも元十二魔道士に幻覚を見せたデビも」

「私も成功するかどうかヒヤヒヤしたわ」


成功するかどうか、ヒヤヒヤしたか。

それを聞いて俺はある可能性をどうしても考えてしまう。


「もし、成功しなかったらどうしたんだ?」

「それ聞く?」

「うっ!やめとく」


するとミノルはくすりと笑みをこぼす。


「その時はその時よ。終わったことなんだし、掘り返さなくてもいいでしょ」

「まぁそうだな」

「それに、明日が本番でしょ。頑張ってね、私も見に行っていいのかな?」

「もしかして、見に来るのか?」

「どうせなら、かつの勇姿を近くで見たいしね」

「何か、恥ずかしいな。まっ明日は頑張るよ」


まっ何だかんだ言って、順調に行ったかな。

後は本番を待つだけだ。

色々な困難を乗り越えてかつは明日を迎える。



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