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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十二章 2人の十二魔道士
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その六 認められるまで

「よし!これでお前は今日から十二魔道士(仮)だ。よろしく頼むぞ」

「ああ、よろしく」

「それじゃあ早速お前にやるべきことを伝える」


そう言って、ガルアは3本指を出す。


「お前も知ってるだろうが、十二魔道士はそれぞれの王が側近として使える為に2人程選ぶ。魔法使いにとってそれは名誉ある称号だ。普通なら王が独断で選ぶかその街のランキングで1位になった者から選ぶこともあるがまあそこはどうでもいいだろう」


ランキング?

そういえばそんなものがあったな。

全く忘れていた。

そのランキングで言うと俺は何位なのだろうか。


「気になるのか?自分は何位なのか」

「え?いやぁ………どうだろうな」


やばい、顔に出てたのか。

俺って意外と顔に出やすいのかもな。


「別に隠すことないだろ。誰だって気になるもんだ。ちなみにお前らのパーティーは1位だぞ」

「へえー1位なのか。………え?1位!?1位なの俺たち!」

「そりゃそうだろ。倒した数こそ少ないがどのモンスターも討伐レベルは相当なものだし、それにお前らは色々な事にも挑戦していた。破滅の洞窟とかな。それと、黒の魔法使いも倒してんだ。文句無しの1位だろうな」

「そ、そうなのか………」


俺達が1位。

あんまり気にしてなかったけど俺達って意外とすごいことしてたんだな。


「それで話を戻すが、さっきも言った通り王は十二魔道士を2人選ぶ。そして現在俺の元に3人の十二魔道士が居る」


ん?待てよ、それってもしかして。


「もう分かるよな。お前の考えてる通りだ」

「誰が十二魔道士になるか決めるってことか」


だから三本指を立てたのか。


「そういうことだ。だが既に1人は決めてある」

「あっそうなのか。てことは後1人をもう1人の十二魔道士と俺のどっちかで考えるってことか」

「そういうことだ。すまないな、あんだけ誘っておいて選ぶような真似させて」

「いや、別にいいよ。今回は真面目な物だしな。俺がお前の立場だったら同じように慎重になるよ」


島王選、島の代表を決める戦いに参加させるメンバーなんだし、じっくり考えるべきだよな。

でも、もう1人は決めてあるって言ってたけど多分ハイトだろうな。

て言うかハイト以外の十二魔道士知らないし。


「それでその決まってるメンバーはミカだ」

「え?ミカ?ハイトじゃないのか?そのミカって人は会ったことないからそんな言えないけどハイトよりも強いのか?」


皆からもハイトは強いと聞いたことがある。

それよりも強い奴が居たのか。


「純粋な強さで言ったら断然ミカだ。あいつは天才だからな。しかも十二魔道士の中でも最年少だ。実質魔法使いになった瞬間十二魔道士になれるレベルの天才だ」

「天才…………そんな奴が居るのか」


聞いた限りではかなり強そうなやつだな。

トガみたいな喧嘩早いやつじゃないと良いんだが。


「だが、ハイトが弱いと言うわけでもない。初めの頃、あいつは魔力レベル5位だったが努力を重ねて1年で魔力レベル10まで上げることが出来た。ハイトは努力の天才だ。今の自分の現状に満足することなく、日々鍛えている」

「なのに、選ばれないのか?」

「別に力だけが全てじゃない。精神面や人格、その他諸々含めてハイトはまだ正式に十二魔道士にはなれないと判断した」


努力しても選ばれないほどの物があるってことなのか。


「ハイトは何が足らないんだ」

「そうだな。あいつは持ってはいけないものを持っている」

「持ってはいけないものを持っている?」

「ああ、あのまま戦場に出せばそれによって殺される。しかも今回の島王選ならなおさらだ」


今回の島王選?

てことは前回と何か違うってことなのか?

前回を知らないから何とも言えないんだけど。


「既にハイトとミカには伝えてある。ハイトはもう修業をしているみたいだぜ」

「そうなのか……選ぶ方法って」

「もちろん戦って、勝った方だ」


やっぱりそうだよな。

てことは俺は十二魔道士と戦うってことだよな。

王の側近候補のやつと戦うのか。

俺は拳を強く握る。


「どうした?臆したか?」

「いや、ちょっと緊張してるだけだ」

「自信を持て、何度も言うがお前の力は既に十二魔道士に匹敵する。十二魔道士としての足りないものはほとんど無いと言ってもいいだろう。ただあえて言うならば、経験だ」

「経験………」


まあ、それは戦った数が物を言うしそればっかりは仕方ないよな。

するとガルアは俺の呟きに力強く頷く。


「ああ、全力でぶつかれよ。戦う日は来週だ」

「来週って後3日しかないだろ」

「だって島王選の締め切りが近いんだよ。すまないが来週にはやってもらう。それじゃあ、俺からの話はここまでだ。後はお前が正式に十二魔道士になった後に話す。てことで当日を楽しみにしてろよ」


楽しみね、まだそれを楽しむほど俺の肝っ玉は座ってはいない。


「3日後が決戦の日」


だが負けるつもりもない。

その日を考えると身体中が震えるな。

これが武者震いって奴なのか。

どっちにしろやるしかないんだろうな。


「それじゃあまた来週」

「おう期待してるぜ」


とにかく来週までに俺も何かしないとな。

ガルアに別れの挨拶を言って、部屋を出て城の門へと向かう道中見知らぬ女の子がこちらに駆け寄ってきた。


「えっと………何か用か?」

「お客さん、絶対かつですか?」

「え?何で俺の名前を………て、ちょっと待てよ」


この何とも言えない余裕に満ち溢れてる表情。

俺より年下と思わせる幼気な顔と身長。

そして、ただならぬ気配。


「お前もしかしてミカか?」

「あれ?私のこと知ってるんですか?いやぁまさかもうここまで有名になってるとわ。もしかして、サインほしいんですか?」

「いや、要らないし。ていうか、ガルアに聞いたんだよ」

「あっそうなんですね」


そう言うと、顔をシュンとさせて露骨に落ち込む。

何だ、自分が有名じゃないのがそんなにショックなのか?

そう思った時、再び笑みを取り戻すと顔をあげる。


「まっそんなことよりもハイト先輩からの伝言です」

「え?ハイトから!?聞かせてくれ」

「『俺は本気でお前を倒す。死にたくなければ棄権しろ。もし来たなら覚悟しておけ』だそうですよ。どうします?」


めちゃくちゃ怖いんだけど、すごい脅してくるじゃん。

でも、ここで引くわけにはいかないよな。


「なあ、ミカ。伝言頼んでくれるか?」

「ええ、ちょっとめんどくさいですけど、まあ先輩なんでしょうがないからいいですよ」


やっぱりこいつ、ちょっとムカつくな。

だがまあ、俺は気にせず言いたいことをミカに伝える。


「望むところだ!!」


――――――――――――――――――

「ただいまー」


家に帰るとミノルとデビが椅子に座ってのんびりとしている姿が見えた。

そして、俺が帰ったことに気づくとミノルは頭だけをこちらに向ける。


「お帰りなさい。どうだった?結果――――」

「結果はどうだったのじゃ!?」


そう言って、デビが食いぎみに近寄ってくる。


「一応十二魔道士になることにしたよ」

「え?結局やることにしたの?」

「なんじゃと!てことはお主はこのパーティーから抜けると言うことか!?」

「いや、ちょっと違うんだよ。実はな」


俺はさっきまでの経緯を話した。


「なるほどね。てことは3日後が勝負の日になるってこと」

「そうなんだよ。どっち道それに勝てなきゃ、そもそも十二魔道士になれないんだよ」

「てことはお主はパーティーを離れなきゃいけないのか?」

「え?お前嘘だろ。聞いてなかったのか話?」


結構デビにも分かりやすいように話したつもりだったんだが。


「いや、何か長かったから聞くのめんどくさくなっちゃったのじゃ」

「お前なあ。まあつまり俺はこのパーティーを抜けないってことだよ」

「そうなのか!それならよかったのじゃ」


そう言うとそれだけ聞きたかったのか安心した様子で、再びソファーへと戻っていった。

こいつには長めの説明はしないようにしよう。


「ん?そういえば、他の2人は何処に行った?部屋にいるのか?」


俺は改めて周りを見渡すが2人の姿が見えない。


「リドル達は今、メイの魔法の使い方を教えにクエストに行ってるわよ。多分もうそろそろ帰ってくると思うけどね」

「そうなのか。そういえば、メイって魔法覚えて無かったんだったな」


そう考えると、何で魔法許可証を取ってなかったんだ?

産まれたときに貰えるって聞いたけど、もしかして貰いにいかなかったのか?

いや、たしか拭くものに使ったと言っていたから一時は取得してたのか?

まあ、変に詮索するのはやめておくか。

その時玄関の扉が開かれる。


「ただいマンゴー!」

「お帰りなサイ。ちょうど2人の話をしてたのよ」

「あれ?かつさん帰ってきてたんですね」

「私達の話って何々!」


メイは帰ってきて早々に元気一杯でこちらに詰め寄ってくる。


「ああ、さっき帰ってきたんだよ。それと、魔法は上手くなったのか?」

「バッチグーだよ!」

「そういえば、お主の魔力レベルはなんじゃったのじゃ?」

「聞きたいの?しょうがないから聞かせてあげよう!パンパカパーン!私の魔力レベルは9なのだー!」


そう言って、魔法許可証を取り出す。


「魔力レベル9!?すごいじゃない!初めからそんな高いなんて」

「だな、それって何か意味とかあるのか?」

「初めから高いのは生まれる前に魔力を大量に溜めていたからですね。食材とかに魔力が込められてることが多いので、質の高い食材が使われてる料理を日頃から摂取されてる人から生まれれば魔力は高くなりますよ。あと空気中に漂うマナが多いところに住んでいたりですかね。自然が多いところはマナも多いんですよ」

「そうなのか?でも、そんなに日頃から高級な食べ物なんて食べられないじゃろう」

「そうですね。だから貴族の人などは日頃からそう言った物を食べてるので、魔力レベルが高い半獣が多いんですよ」


そういえば、メイは貴族だったな。

あんまりメイ的にもそこは触れてほしいところでは無いだろうし、ここは黙っておこう。


「てことはメイは貴族ってことなのか?」

「ばっ!お前、もうちょっとデリカシーを持て!ていうか、お前あの時話聞いてたろ!」

「何だと!妾はデリカシーの塊じゃぞ!デリカシーで右に出るものは居ないのじゃ!ていうか、あの時とはどの時じゃ!」

「どこがだ!穴だらけじゃねえか!」

「2人共落ち着いて!私は全然だいじょうぶい!皆はもう分かってると思うけど、私は本当は貴族の人の生まれなんだ。でも、もうその人とは会ってないし、多分これからも会うことは無いと思う。だから、皆も気にしないでね!」


そう言って、満面の笑みを見せる。

無理してる………よな。

でも、まあ昔みたいな無理をしてるわけではないし大丈夫そうか。


「それじゃあ、ちゃんと戦力に加えても良いってことだな」

「バリバリ戦っちゃうよ!」


そう言って、マッスルポーズをする。


「それなら妾は早くメイと一緒に戦いたいのじゃ!今すぐにクエストをしたいのじゃ!」

「ちょっと待ってください。そういえば、かつさんの結果はどうなったんですか?」


リドルは思い出したかのようにその話題を持ち込んでくる。

そしてメイもその話題に食いついてきた。


「そうだよ!かつっち、パーティー抜けたりしないよね。大丈夫だよね」

「ああ、パーティーは抜けたりしないよ。ただ島王選までは十二魔道士になることにした」

「島王選?何それ美味しいの?」

「メイさん、それは食べ物じゃないですよ。島王選はこの島の王を決める大会みたいな物ですね。でも、それに参加するなんてかつさんすごいですね」


何か、すごい喜んでくれてるが、まだ完全には決まってないことを言いづらいな。


「かつ、まだ決まってないんでしょ?」


あっ言われた。


「そうなんですか?」

「まあ、一応3日後にハイトと戦うんだよ。それによって俺は十二魔道士になるかもしれないって話だよ」

「あのハイトと戦うのか?お主勝てるのか?悔しいがあやつは中々強いぞ。妾程じゃないけどな」

「分かってるよ。だからこそ、作戦をしっかり立てたいんだよ」


やはり十二魔道士、何もせずに勝てるほど甘い敵ではないだろう。

こちらも残りの日数を無駄に過ごすわけにはいかない。


「どうするんですか?」

「ハイトの得意魔法ってもしかして炎か?」

「確かそうでしたね。見た目的にも」

「炎の魔法に慣れておきたいんだ。だから、俺に炎の魔法を撃ってくれないか」

「別にいいですけど、それよりももっと炎の魔法に優れた人にした方が言いと思いますよ」


リドルは誰か知ってるような様子を見せる。


「心当たりがあるのか?」

「実はここ最近、ある魔法使いがこの街に来てると言われてるですよ」

「ある魔法使い?」

「誰なんじゃそれ?」

「元十二魔道士クラックという男です」



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