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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十二章 2人の十二魔道士
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その四 休憩と質問

「たっだいまー!」

「妾部屋に戻るのじゃ」

「僕も部屋に行ってきますね」


疲れきった体を癒すため一目散に皆自分の部屋へと向かう。

まっ俺も正直クタクタだ。


「ふぅーやっとゆっくり出来る」


俺も部屋の中に戻りローブを脱いでベットに横たわる。

その時おもむろに棚に置いてある本に視線を移す。

それと同時に脱ぎ捨てられたローブの裏側に記された魔法陣が目に止まる。


「そういえば、ローブの所に描いてあった模様って………」


俺は修業の頃を思い出す。

サクラがある時質問をしに来たんだ。


『ねえ、ちょっと気になることがあるんだけど』

『ん?何だよ、俺はもう寝たいんだけど』

『何?自分は手伝ってもらってるのに私は質問すらしちゃいけないの』

『いや!別にそういう訳じゃ………それで気になったことって何だよ』

『あんたはぐらかしたわね。まあいいわ。気になったのはこれよ』


そう言って、俺のローブを手に取る。


『俺のローブを?何?気に入ったのか?欲しいならあげてもいいぞ』

『嫌よ、臭いもん』

『っ!?え………俺臭いの?まじで……俺臭いんだ………』


サクラの思わぬ発言にメンタルが崩壊寸前だ。

するとサクラは慌てた様子で捲し立てる。


『ちょっ!そんなに落ち込まないでよ!冗談に決まってるでしょ。何本気にしてんのよ』

『本当か!?本当に冗談か!』

『だから冗談って言ってるでしょ!て言うかそんなことよりこれよ!』


そう言って、俺のローブを広げ裏地に描いてある模様を指差す。


『この模様は何なのよ。魔法使いのローブにこんな模様ついてるの見たことないから、気になってしょうがないのよ』

『そんなこと言われても、俺買ったやつだから知らないぞ。そんなの店員に聞けよ。まあ、店員も知らなさそうにしてたから、望み薄だけどな』

『使えないわね。まあ、いいわ。それより明日もビシバシいくからね!』


――――――――――――――――――


「そういえばあの模様………」


俺は空中に魔法陣を展開させる。

そしてその魔法陣とローブの模様を見比べる。


「やっぱり!そういうことだったのか!」


その模様はインパクトの魔法陣と一致していた。


「そういえば何故かインパクトの魔法陣は展開できたんだよな。覚えた記憶もなかったのに………」


あの時はそこまで深く考えてなかったしな。

それによくよく考えてみると切り替えもインパクトだけは1発で成功したんだよな。


「そういえば覚えた時はたしか…………ローブを買ったすぐ後だったよな………っ!?」


俺はすぐに本を手にしてページをめくる。


「………ないか」


本の中にインパクトの魔法陣があると思ってたけど………まあこの本の中にある魔法陣はみんなの知らない魔法陣が描かれてるからインパクトは無いのか。


「にしても誰がこの本を書いたんだ。その人が分かればこの島の秘密について知ることが出来るかもしれないのに」


まあ、この本を書いた人はもうこの世に居ない可能性があるよな。

生きてるか死んでるかだったら死んでる可能性の方が高いだろう。


「ああー!結局振り出しに戻ったーー!本の著者も分からないし!魔法もそもそも存在してないし!て言うかこれ!落書きの可能性もあるよな」


日本語で書かれてる時点で俺と同じくこの世界に来た日本人がこんな魔法があったら言いなって妄想で書いた説はあるんだよな。

それなら見られるのが恥ずかしいからで本に鍵をかけるのも納得できるし。

いや……それなら燃やすか?


「あー駄目だ。この話題は一旦やめとくか」


俺はこの本のことについて考えるのをやめて、今後の事を考える。

先ずは十二魔道士の返事をしなきゃな。

十二魔道士か………たしか詳しい期限は言ってなかったけどすぐに返事は出した方がいいんだよな。

浜崎は否定も肯定もしてなかったけど、注意しろとは言ってたな。

浜崎は俺を日本から来たとガルアは疑ってると、その為に十二魔道士に誘ったって言ってたけど。

違うよなガルア。

あれは俺を本当に認めてくれたから、俺の力を信じてくれたから誘ってくれたんだよな。

俺はそう、信じるぞ。


「十二魔道士か。俺がそこに誘われてるなんて何か夢みたいだな」


十二魔道士になったら何不自由なく暮らせる、今みたいにクエストで死ぬ思いもしなくてもいいし、借金なんてすることもない。


「普通なら十二魔道士、1択だよな。普通なら」


決めなければいけない、少なくともこの1週間以内には。


「かーつー!リドルがデザートを作ってくれたぞ!食べないのか!?食べないんじゃな!リドル!かつは食べないようじゃぞ!」


突然一階からデビの声が聞こえてくる。

あいつ部屋に戻ってたんじゃなかったのかよ。

ていうか、俺の食べるとか言ったか。


「食べるから!勝手に返事をするな!!」


俺はデビにデザートを食べられないように急いで階段を降りた。


―――――――――――――――

魔法協会


「えーっと………ウルフ、何で私が質疑応答をしなきゃいけないの?その仕事はウルフの仕事でしょ」


現状に不満なのかルルは椅子に座りながら、ウルフに文句を言っている。


「たまにはルルも質疑応答した方がいいと思ってよ。それにメイとも仲直りした方がいいだろ?かつの仲間だし、会う機会も多いと思うからな。それじゃあ、後よろしくな!」

「え?ちょ!ウルフ!?」


そう言って、ウルフは先に部屋を出ていってしまった。

そして、この部屋に残されたのはルルとメイ、そして私だった。

何か、めんどくさいから押し付けたって感じね。

ウルフらしいと言えばらしいかも。


「まあ、何か合ったら私が何とかするから。ルルはいつも通りに仕事して」

「ミノルさん……分かりました。メイさん」

「何?」


突如話しかけられたことでメイは不思議そうに首をかしげる。

するとルルは真剣な表情で話し始める。


「これからあなたにいくつかの質問をします。その質問に嘘偽りなく答えてくださいね」

「嘘偽りなくってどれくらい?」

「へ?」


出鼻をくじかれたわね。

まさか質問する前から躓くとは思っても見なかったでしょうね。


「どれくらいの嘘なら大丈夫?」

「いえ、嘘は駄目なんですよ。本当のことしか話しちゃ駄目なんです」

「でも、嘘かどうかは分からないじゃん」

「あ!それは任せてください。この嘘発見器で本当か嘘か分かるので」


するとメイがその機械をじっと見つめる。


「本当に分かるの?」

「はい、分かりますよ。それじゃあ、メイさん。何でもいいので嘘ついてみてください」

「了解!ルッちは怒らすと鬼より怖い」

「え?ちょ、メイさん!?」

「あれ?ランプが緑色だよ?」

「え?お、おかしいな。そんなはずは。ちょっと待ってくださいね!」


そう言って機械に顔を近づける。

その瞬間、赤色に点滅した。


「ほら!この通り嘘だとランプは赤色になるんです!」


今完全に小声で何か嘘発見器に吹き込んでたわよね。


「本当だ!赤色にちゃんとなってる」

「これで、この機械の信憑性は高まりましたね。それじゃあ、早速質疑応答を」

「ルッちには好きな人がいる!」

「へ?メイさん!?」

「ちょっとメイ!?急に変なこと言わないの!」


目の前で友人に好きな人がいるか晒されるのは流石にかわいそうでしょ!

そう思い慌てて止めようとしたが、質疑応答の機械はそれを聞き取っていたのかランプが光出す。


「赤………ね」

「も、もう急に変な質問するからビックリしちゃいましたよ」

「てことは本当にかつっちと何でもないんだ」

「へ?はい、かつさんとは別になんともないですよ」

「よかった!よかった!あんシンクの裏はいつも濡れぬれー!」

「と、とりあえず早く質疑応答をしましょうか」


ルルは切り替えてようやく質疑応答が始まるみたいね。

メイのことだからすぐには終わらないと思ったけど、これは夜までコースかしら。


「ミノッちには好きな人がいる!!」

「ふぇ!?ちょ!メイ!?」


油断した隙にこの子は!

私はすぐにメイの口を閉ざす。

だが、一足遅かったのか嘘発見器はその言葉に反応してランプを光らせる。 


「あれ?緑だよ?てことはミノッちには…………」

「ええぇ!?ミノルさん、好きな人が居るんですか!誰なんです!?私の知ってる人ですか?」 


そう言って、ルルは嬉しそうにミノルの好きな人を想像する。


「ちょ!これ今回の事とは関係ないでしょ!もうやめ!」

「やめさせないよミノッち!ミノッちの好きな人はぜっ――――」

「駄目ーーーーー!!!!」


私はその瞬間、全力で嘘発見器を破壊した。


「はあ、はあ、はあ…………弁償します」

「お願いします」


この後質疑応答は大分遅れたのであった。



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