その一 クエスト審査
「えーっと朝は色々合ったが、とりあえずクエスト行くぞ」
「やったー!クエストだー!パーティーでクエスト行くの楽しみ!」
メイは嬉しそうに跳び跳ねる。
この中で唯一あれを食べていないため元気があり余ってるんだな。
「でも、本当によかったの?正式なパーティーにならなくて」
「大丈夫だよミノッち。正式じゃなくても仲間にはなれるんだよ」
「そうだけど…………」
「それに、私はまだまだだから。だから、皆に認めてもらうまで頑張るぞい!」
「まっメイがそれでいいんならいいんじゃないか。メイの言う通り正式じゃなくても仲間は仲間だ」
「かつっちやっぱり分かってるー!」
そう言って、俺の頬をつんつんする。
「分かったからやめろって」
「それでかつさん。クエストとは何をやるんですか?」
「メイの強さも知りたいからな。そこまで難しくもなく、簡単でもないちょうどいいクエストを選ぼうと思う」
「と言うことはまだ決まってないってことですね」
「まあ、そういうことだな」
クエスト何て久しぶりだな。
ここ最近はそんな余裕なかったしな。
「楽しみじゃのう!妾達ならどんなモンスターも1撃じゃ!」
「そうだねデビッち!私達が居れば百戦錬磨の最強戦士だ!行くぞ!相棒!」
「任せるのじゃ!レッツゴー!」
テンションマックスの二人組はそのまま流れで先に、魔法協会へと行ってしまった。
そういえば、あいつは食べても平気だったな。
「元気いいなあいつら」
「デビちゃんは嬉しいのよ。友達がパーティーに入ってきてくれて」
「そうかもしれないな。それじゃあ俺たちも行くか」
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「妾はこれがいいのじゃ!」
「違うよデビッち!私はこっちがいい!」
魔法協会に入るや否や2人が言い争いをしている。
仲いいなと思った矢先にこれかよ。
俺は仕方なく喧嘩を止めるために二人の元にいく。
「おいおい、何やってんだお前ら。クエストは皆で選んで決めるんだぞ。お前らの独断で決めるな」
するとデビが無言で受付を指差す。
そこにはリドルがおり、何やら受付の人と話している。
「ルルさん、これお願いします」
「おおおい!!ちょっと待て!お前何してんの!?やるか普通!?」
あまりにも自然の流れでクエストを出していたので、俺は慌ててそれを止めた。
すると、リドルは悪びれる様子もなく笑みを見せる。
「ここはこういう流れだと思いまして」
「てことは私もいいってこと!?」
そう言って、メイもちゃっかりクエストを提示する。
「リドルもメイも勝手に選ぶな!!」
俺達は一旦落ち着いて、クエストを選ぶことにした。
クエストの掲示板と俺達はにらみ合いをする。
「それじゃあどれにしよっか。私は何でもいいんだけど」
「それじゃあこれなんかどうじゃ?」
デビが持ってきたのは危険度最高ランクのヤバイクエストだった。
俺はそれをゆっくりと戻すと、デビの肩に手を置く。
「おいデビ。俺の言ったこと覚えてるか?」
「全く!」
「清々しいほど正直だな。とりあえず、これはダメだ。もうちょっとちょうどいいクエストを持ってこい」
「ちぇー」
デビは不服そうにしながらももう一度クエストを探し始める。
「ねえねえかつっちこんなのどう?」
今度はメイが俺にクエストの紙を持ってくる。
「ん?どれどれ………」
内容はこの街の近くにモンスターが出現したということだった。
しかもそのモンスターのせいで道が塞がれてしまい、人が通れなくなってしまっているらしい。
「そのモンスターの討伐か………難易度もそこまで難しくないし、報酬もそこそこいいな」
メイにしてはかなりちょうどいいクエストを選んだのではなかろうか。
隣で見ていたリドルも満足げに頷く。
「かなりいいクエストじゃないですか。人助けも出来ますしね」
「そうね。これにしましょうかつ」
「そうだな。これで行くか」
「それじゃあかつっち、私がこのクエスト受けてくるね」
「ああ、任せた」
俺はメイにクエストの紙を渡すとそのまま嬉しそうにクエストの申請をしに行った。
と思ったら方向転換してすぐに戻ってきた。
「どうしたのメイ?何かあったの?」
「やり方分からなかったー」
こいつ何しに行ったんだ。
「あーそういえば」
「やり方教えてませんでしたね」
「いいよ、俺が教えるよ」
「ありがとうかつっち」
俺はメイにやり方を教えるために一緒に受付に向かう。
受け付けにはいつも通りルルさんが待っていた。
「かつさん、おはようございます。本日はどのような用件ですか?」
「おはようございますルルさん、このクエストをやりたいんですけど」
「クエストですね、分かりました。あれ?そちらの方は………」
ルルさんはメイを発見するとまじまじと観察し始める。
「ああ、俺達の新しい仲間だ。名前はメイ。ほら、挨拶しな」
メイに話題をすると、メイは真剣な表情で口を開いた。
「ねえ、ルッちって………かつの彼女なの?」
「ふえ!?」
「ちょ!お前バカ!そんなわけないだろ!!ごめんなさいルルさん!それじゃあ!」
あまりの気恥ずかしさから俺はメイを抱えてすぐにその場を去った。
「お前バカ!何急にそんな質問してるんだよ!」
「だってだって!かつっちと嬉しそうに喋ってたから!」
「あれは営業スマイルだよ!たくっ!後で謝らないとな」
にしても意外とルルさん否定しなかったよな。
もしかして…………
「おいお主、何気持ち悪い顔をしておるのじゃ」
「へ?いや、別になんでもない。それよりクエスト受理してきたから早く行くぞ」
「そうね。それにしても何かすごい汗かいてるけどどうしたの?」
「え?いや、別に何でもないから!いや、ほんと!」
「怪しいわね……まさか、ルルに何か失礼なことしたんじゃないでしょうね」
「は!?そんなわけないだろ!」
俺は逆に失礼なことされた方だよ!
その時メイが申し訳なさそうに呟く。
「私のせいでごめんねかつっち」
「いや、別にって言うかそれ今言うなよ!」
「やっぱりなんかしたんだ」
「何したんですかかつさん。面白そうなんで早く話した方がいいですよ」
「それお前が聞きたいだけだろうが!とりあえず早く行くぞ!!」
これ以上言及されたらあらぬ誤解を生みそうだ。
俺は逃げるようにして、クエストの紙を扉にかざしてすぐにドアの中に入っていった。




