プロローグ 新たな仲間と新たな食事
「みんな~!あーさーだーよー!」
そんな声が下の階から聞こえてくると、今度は鉄同士がぶつかる音が聞こえる。
この声はメイだな。
そういえば昨日朝ごはんは私が作るぞって息巻いてたな。
「ふわぁ………起きるか」
さすがにこううるさくちゃ二度寝も出来やしない。
俺は体を起こして部屋を出るとあくびをしながら階段を降りる。
「おはようかつ。今日は早起きね」
既にミノルが起きていて、俺に挨拶をしてくる。
だがなんだろう、目が虚ろでいつもよりも声に覇気がない。
ミノルに生気がないような。
リドルも居るがあいつも微動だにしないな。
「おはようミノル。そりゃああんな大きな音が聞こえたら寝られないだろ。それで、今日は一体どんなご飯だ?結構お腹がペコペ…………」
椅子に付こうと机に向かった時、皿の上にはうにょうにょと動いている水色の物体が合った。
「………お、おいそれなんだよ。気色悪すぎんだろ」
「おはようかつっちー!ほら、席にどぞどぞー!」
「ちょっ!おい!」
まだ状況を理解できていない合間にメイが強引に座らせてくる。
そして自信満々に俺の目の前に何かが出される。
「ほら、ほら!一気に掻き込んじゃって!」
目の前には普通の食べ物ではない料理が置かれている。
水色の妙にブヨブヨとした謎の物体。
これを、食べろと。
横にはメイが居て逃げられない。
俺は目の前で座っているリドルの方に視線で助けを求める。
「ニコ」
爽やかな笑顔を見せんじゃねえよ。
助けろって!
ていうかあいつ食べてないじゃん!
「なあメイ、あいつ食べてないぞ」
「何かリドッちはお腹空いてないんだよ」
「いやいや、絶対腹減ってるから!いつもめちゃくちゃ食べてるから!」
「何言ってるんですかかつさん。僕は少食ですから、しかも今日はお腹の調子が悪いので」
こいつ絶対悪くねえよ。
くそ、リドルに何言ったって流されちまう。
「ほら、かつっちばくっと行っちゃって!」
「い、いや俺もあんまり腹が減ってないし………」
「嘘つきは泥棒の始まりだぞー、さっきお腹ペコペコって言ってたよね?」
やばい!墓穴掘った。
「しょうがないなー」
その時何故かメイがスプーンを手に取るとそれで水色のブヨブヨの何かを掬う。
「はい、あーんだよ」
そう言って、そのスプーンを近づけてくる。
やばいー!!やばいやばいやばい!
俺は横に座っているミノルを見る。
「助けてー、ミノルー!」
俺は小声でミノルに助けを求める。
だがミノルは反応せずに何かを一点に見つめる。
どうしたんだミノル?
ん?よく見ると口に何か青いのが…………まさか!
俺はミノルの皿を見る。
空になってるし、食べたのかミノル。
「何処見てるの?こっちだよ!」
そう言って、首を無理矢理スプーンの方に向ける。
こいつ強引すぎだろ。
「ほら、あーんだよ!あーん!」
「くっ!マジお腹空いてんがっ!?」
だが、無理矢理口を開かせられる。
あっこれ終わった。
俺の口の中に未知の料理が押し込まれる!
「あー!妾抜きで何ご飯食べてるのじゃ!!」
「ふぇひ!?」
がっ寸前でそれは止まった。
デビ?驚いて変な声が出ちまったが助かった。
するとデビはすぐに椅子に座る。
「ん?何じゃ余り見たことないのう。まあよいか、いっただきまーす!」
そう言って、俺の皿に置かれてる謎の料理にかぶりつく。
「うえ!?お前マジか?」
「どうどう?デビッち美味しい?」
「うーん、独特な味じゃのう。美味しいのじゃ。こんな味は初めてなのじゃ!」
「まじで?」
「やったー!上手く出来たみたいでよかったよ。ほら、かつっちも食べて食べて」
美味しいのか?
ゲテモノ料理は意外と美味しいと言うしな。
行くか。
俺は料理を口に運ぶ。
「うん、確かに悪くないがふっ!!」
気づけば俺は意識を失っていた。




