エピローグ その裏で
「…………今帰った」
「お帰りリーダー、それでどうだったの?」
「予感は的中した。地下がやられた」
「へえーよかったねサキ。感が当たって」
だが、サキはラルダの言葉を流してパソコンを見続ける。
「あんたと話したくないってさ」
「これは手厳しいな。僕何かしましたか?」
「気持ち悪いからじゃないの?人の絶望した顔を見て喜んでるサイコパス糞やろうとは誰とも話したくないしね」
スイのトゲのある発言にたいしてラルダはわざと落ち込んだ風な声をあげる。
「うーんおかしいな。皆なら分かってくれると思ってたんだけど」
「話の続きをして」
「っ!?」
「っ!?」
『『サキが喋った』』
「さすがサキだな。貴様らが黙るまで3分もかかったぞ」
「ご、ごめんなさいリーダー」
「すみません、つい話し込んじゃって。続けてください」
そう言って2人は話すのをやめて話を聞く姿勢になる。
「地下がやられた原因はガルアだ」
だがラルダはあまり驚いた様子を見せずにいた。
「へぇーあの王が関わってたのか。ということは前々から目をつけられてたってこと?」
「いや、おそらくガルアの妹………ラミアのせいだろう」
「ラミアねー私あの子嫌い。何か癪にさわるのよね」
「ラミアの魔力を検知してあの地下を見つけたんだろう」
「魔力を検知って、普通そんなこと出来たっけ」
「あいつが普通じゃないくらい、前々から分かってたでしょ。このバカ」
またもやスイのトゲのある発言がくるも気にせずに笑い返す。
「ははは、たしかに。でも、そんな奴を殺そうとしてる僕達も普通じゃない。そうですよね?」
ラルダの言葉にスイが言葉をつまらせる。
反論がないことを確認してからラルダは次の話を始める。
「それで、今後の作戦に支障が出ることは?」
「ない。奴らは資金を集めるためにやらせてただけだ。かつてのモンスターも戦力として居ても居なくても変わらん」
「てことは余り痛手にはならなかったってことですね。それじゃあ早速ガルアの首でも取りますか?」
すると、ラルダの軽はずみな発言にスイが怒りをあらわにする。
「テメェそれが出来たら苦労しないってのが分かんねぇのかよ!この単細胞!」
「やだなーそんな怒らないでよ。ちょっとしたジャークだよ」
「今はただでさえあのゴリラが捕まって戦力ガタ落ちでイラついてんの!今度バカみたいなこと言ったらぶっ殺すからね!」
「おー怖い怖い。クラガー、スイってこんな凶暴だったっけ?」
「貴様がそうさせたんだろ。とりあえずトガについてはアルバが救出に向かっている。作戦実行までには合流できるだろ」
「アルバ、あいつが行ってんの?」
すると、スイが少し不安げに名前を呼ぶ。
それを察知してかクラガがその事に言及する。
「何か不満があるのか?」
「不満て言うか不安。アルバってたまーにおっちょこちょいなのよね。ちゃんと帰ってこれるのかなー」
「やる時はやる男だ。大丈夫だろう。それより作戦決行は変更しない。ちゃんと準備は出来てるんだろうな、ラルダ」
名前を呼ばれたラルダは躊躇うことなく頷いた。
「準備は滞りなく進めてるよ」
「よし、ラルダはそのまま進めててくれ。スイは――」
「何の話をしてるの~?」
その時、この空気に似つかわしくない気の抜けた声が聞こえてくる。
そして、クラガは待ち望んでいたかのように、その声が聞こえた方向へと視線を移動させる。
「…………来たか」
「え?ちょ、何であんたが居んのよ!」
「俺が呼んだ。改めて紹介しよう。今日から俺達の仲間になるリツだ」




