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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十一章 売られた少女と闇マーケット
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その十五 広すぎる地下

「うーん、俺達ってどれくらい下に居るんだ?」


階段を1つ上がったが、まだ闇マーケットに戻ることが出来ない。


「俺の経験から推測するに、この闇マーケットは他の所とは比べ物にならないくらいの広さだ。つまり、俺にも分からん」

「おい、結局分からないのかよ」

「かつっちー!私なら分かるよ!!」

「ほんとか?」

「うん!ここの広さわねぇー!私達の夢くらい広いんだー!!」

「うん、これは俺が悪いな」


メイの相変わらずの意味不明な会話をすぐにやめてこれからのことを考える。

このままだとずっと外に出られない気がする。


「なあサキト。この闇マーケットは他とは比べ物にならないとか言ってたけど、こんなのが他にもあるのか?」

「ああ、俺の知ってる限りではそれぞれの街にこういうのがあるな。だが、この闇マーケットは他とは比べ物にならないほどの広さだ。この広さでまだ王様に気付かれてないとなると、ここのバックが余程の権力を持ってるかもな」

「てことはここを仕切ってる奴は王の可能性があるってことか?」

「かもしれないな」

「なあなあ、妾お腹が空いたのじゃ」


そう言うとデビは俺のローブを引っ張る。


「俺だって腹へったよ。くそぅー何でこんなことになったんだよー」


楽しいお出かけになるはずだったのに、ラミアは連れ拐われるは、捕まって迷子になるは散々だ。


「泣いてる暇は無いんじゃないのか?ここで立ち止まってる間にお前のお仲間さんが誰かに買われちまうかもしれないぞ」

「分かってるよ。でも、ここがそんなに広いとなると見つける所か外に出られないかもしれないんだぞ。もう、動きたくねー」

「デビッち、私のおやつあげるね」


メイは袋の中に入っている真っ赤なビスケットみたいな物をデビに渡す。


「おお!さすがメイじゃな!それじゃあいただくのじゃ。ぱく…………………っ!!?からーーーーー!!!?」


デビがその食べ物を口にいれた瞬間口から火を吹きながら辺りを走り出す。


「お、おい!どうしたんだデビ!」

「辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い!!」

「おい、メイ!あのお菓子に何入れたんだよ!」

「え?別にいつも私が食べてるお菓子をあげただけだよ?ドラゴンクッキー」

「ドラゴンクッキー?」


何だ、そのやばそうな名前は。

するとその名前を聞いたサキトが引き気味に言う。


「ドラゴンクッキーってまたえらいもん食べさせたな」

「何だよドラゴンクッキーって」

「めちゃくちゃ辛いんだよ。それがほんとにえらいくらい辛くてな。1口かじっただけで口から火を吹くくらいの辛さだからドラゴンクッキーって呼ばれてんだ。ていうか、何か飲み物やらないと死んじまうぞ」

「まじかよ!おい、メイ!早く飲み物を…………」

「どうしたの?かつっち」


デビの周りにはすでに空の空き瓶が6個置かれていた。

そして最後の一瓶を一気に飲み干すと、そのまま息を吐く。


「ぷはぁー!はあ、はあ、死ぬかと思ったのじゃ………」

「デビ大丈夫か?めちゃくちゃ辛かったんだろ?」

「本当に三途の川が見えそうだったのじゃ」


どんだけやばいクッキーなんだよ。

デビの顔面が完全に真っ白になってるのを確認したところで何やら奥で物音が聞こえた。


「何か聞こえたな。もしかして追ってか?」

「かもしれないな。よし、かつ行ってこい」


サキトはそう言って俺を音のする方へと背中を押してくる。


「ここは俺が行くって言わないのかよ」

「ふっ俺の力は最後までとっておいた方が得策だ。何たって俺は切り札だからな」

「いや、誰もそんなこと言ってないぞ。ああ、もう分かったよ。それじゃあ俺が行ってくるからお前らちゃんとここで待ってろよ」

「分かったのじゃ………」

「任せてんかす!」

「気を付けろよ」

「だからお前が言うなっての」


俺は皆をその場に残して音がした方に向かう。

まあ、ここの魔法使いはそこまで強い奴は居ないから大丈夫だと思うけど、あいつみたいにオリジナル魔法を使ってくる奴は少し面倒だな。

俺は壁に背を付けて顔だけ出す。

見たところ誰かがいる様子はなかった。


「居ないのか…………気のせいだったのかな」


居ないなら別に良いんだが………逆に居ないとなると拍子抜けだな。


「とりあえず戻るか」

「キャーーーー!!!」


その時廊下中に叫び声が響き渡る。


「今の声って………メイ達の!?」


俺は嫌な予感がして、すぐに元の場所に戻る。

だが、そこには空の空き瓶があるだけで皆の姿がなかった。


「メイ、デビ、サキト?皆何処に行ったんだよ!」


たがその言葉に返事するものはいなくただ声が響き渡るだけだった。

皆の姿が何処にもない。

そんな簡単に人が消えるわけがない。

もしかして、何かやばいやつでも来たのか?


「くそ!やばさならメイ達の方が上なのに!」


とりあえず手掛かりを探すしかない。

俺は辺りを見る。

だが、これと言った手懸かりはなかった。


「まずいな………この広い地下ではぐれたとなると、もう会えないかもしれない」


そんな最悪な状況を変えるかのように後ろの壁が突如動き出した。


「何だ?秘密の入り口っぽいのが開いたんだが………」


もしかして入ってこいって言ってんのか?

誘ってるってことだよな?


「どうしようもないし、行くしかないよな」


俺は意を決して中に入っていった。


―――――――――――――――


「ここってあれよね」

「そうですね。多分あれですね。裏社会の市場ですね」

「そうよね………しかも、ここかなり広そうよね。かなり大きな組織かもしれないわね」


ミノルとリドルは地下の闇マーケットに侵入していた。


「ここはガルア様は知ってるのでしょうか?もし、知らないとなればこの大きさの物を隠し続けるのはかなりの力を持ってる方が数人は必要ですね」

「そうね。場合によっては関わってはいけない人かも知れないわね。でも……………」


そう言って捕まってる人達に視線を向ける。


「もしかしてミノルさん。捕まってる人達を助けたいとか思ってますか?」

「え!?いや、そんなことないわよ!!」


ミノルは分かりやすいくらい目を泳がせ動揺する。


「声が裏返ってますよ。でも、やめた方がいいですよ。こういう裏社会の連中を敵に回すと厄介ですからね?」

「…………確かにそうね。それよりも早く2人を探しましょう」

「そうですね。お店には並べられてなさそうですし、もしかしたらもう誰かに買われたか、まだ店に並べられてないだけか」

「もしくは、今も逃げてるかよね」

「そうですね。もうここには居ないって選択肢もありますけど、とりあえず中に入りますか」


そう言ってリドルが店の中に入る。

ミノルも続けて店の中に入っていく。


「いらっしゃい。お客さんうちは初めてでしょ?どんな子がいいの?」


独特な雰囲気の店員が出迎えてくる。

ミノルは辺りを見渡してから、一番奥の子を指差す。


「そうですね。この子はどんな子ですか?」

「その子ですか。その子は少し気難しいんで――――」


店員が立ち上がった瞬間、ミノルが手刀で気絶させる。


「ごめんなさいね。ちょっと寝てて」

「それじゃあ奥に行きましょうか」

「ええ、そうね」


そう言って2人は奥に進んでいった。



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