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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十一章 売られた少女と闇マーケット
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その十一 それじゃあな

「それで、この道でちゃんとあってるのか?」


俺はサキトの案内の元歩みを進める。


「ああ、間違いない。やつらに連れてかれてる途中で変な壁をここで見つけた。俺の経験上、あれは間違いなく隠し扉だ」

「経験上ってサキトはなんの仕事をしてるんだ?」

「俺か?まあ、簡単に言えば情報屋だな。お前が知りたいことなら大体知ってるぞ。まあ脱出できたら特別に1つだけ、知りたい情報を教えてやるぞ」

「知りたい情報ねぇ」


俺が本当に知りたい情報は多分サキトは知らないだろうな。


「ん?どうした?」

「いや、何でもない。それより、後どれくらいで着くんだ?」

「たしか、あそこを曲がったところだと思うが…………ん?待てかつ」


そういって俺の体の前に手を出す。

サキトの視線の先を見ると二人の影が見えた。

一人は見知らぬ奴だったが、もう一人は俺のよく知る人物だった。


「ひっひっひ、やっと捕まえたよ。逃げられた時はどうしようかと思ったぜ」

「何するのじゃ!くそ!何じゃこの手錠は!」


何やら手錠をかけられて、捕まっているようだ。

何やってんだあいつ。

いや、無事なのはよかったが話の内容的に1度逃げてるんだよな。

なのに何でまた、捕まってんだよ。

すると物陰で隠れてみていたサキトが呟く。


「どうやら俺達と同じように首輪を付けるみたいだな」

「首輪!?もしかしてこれのことか!」


俺は自分の首に付いている首輪を指差す。


「ああ、むやみに外そうとするなよ。外れた瞬間、首に毒を注入されるぞ」

「ま、まじか」


危なかったー!

やっぱり俺の嫌な予感は当たってた。

外してたら俺はとっくにあの世行きだったな。


「まっあいつみたいな一筋縄じゃいかないような奴には首輪を付けるんだ」

「そうだったのか。外す方法はないのか?」

「もちろんある。真ん中に鍵穴があるだろ。ここに鍵を指せば外れるぞ」


確かに、首輪の真ん中には鍵穴がある。

てことは鍵を手に入れなければいけないのか。


「鍵か………そういえば首輪をつけるってことはあの男、鍵持ってるんじゃないか?」

「ん?ああ、確かに俺の経験上その可能性が高いな」


そう言うと俺達はデビを捕まえている男の方を見る。


「離すのじゃー!!変態!くず男!」

「ちょっと暴れんなよ!今首輪付けっから待ってろ!」

「ちょっといいか?」

「あ!?今取り込み中だ!後に――――ばおっ!?」


俺は男が振り返った瞬間、顔面をぶん殴った。

それにより地面を転げ回り、体を痙攣させる。


「かつ!」

「無事そうでよかったよ。まっデビなら平気だろうと思ってたけどな」

「そうじゃろ、そうじゃろ!妾は最強だから」

「何だ、お前の知り合いだったのか」


すると、デビがサキトを見た瞬間何故か嫌そうな顔をする。


「おいおい、初対面だってのにそんな顔される筋合いはないぞ」

「何かお主からは駄目そうな男の雰囲気を感じるのじゃ」

「デビ、お前もか。実は俺もそう思ってたんだよ」


こいつ、何となくだがダメ男の雰囲気を感じる。

だから敬語を使うのも何か嫌で、普通に喋ってたんだよな。

すると、サキトは舌を鳴らしながら指を左右に振る。


「何言ってんだ。俺はダメ男じゃないぞ。むしろその逆と言ってもいい。子供にはまだ分からないか」

「じゃあ何で捕まってんだよ」

「そうじゃ、そうじゃ!ダメ男じゃないなら捕まらないじゃろ!」


俺達が詰め寄るとサキトは煩わしそうに口を開く。


「だから、俺は女を助けに行こうとして返り討ちにあい、閉じ込められちまったんだよ」

「本当なのか~怪しいのう」

「別に信じてもらおうと思ってない。解釈は各々好きにしてくれ」


この妙な自信本当なのかもな。

もし、嘘だとしたらたいした度胸だな。


「まっどっちでもいいだろ。脱出するのには関係ないしな」

「お前らが聞いてきたから話したんだが………まあいい。先ずは脱出するのが先だ。早く行くぞ」


そう言って先に進んでいってしまった……と思ったらすぐに引き返してきた。


「お、おい!何で付いてこないんだ!」

「いや、だって首輪外してないから」

「…………そうだったな」


こいつ、やっぱりダメ男かもしれない。

俺は気絶している男の腰についている鍵の束を手に入れる。


「この鍵でいいのか?」

「ああ、鍵の形からして間違いないだろう」

「何で鍵の形が分かるのじゃ?」

「情報を収集している時に色々面白い話が聞けるんだよ。それで、自然と覚えていったってところだな」


サキトはそれを自慢げに語る。


「すごいな。そんな知ってるなら色々出来るんじゃないか?」

「それは無理だな。俺は知識としてそれを得ているが技術は無いからな。ほら、首貸せ」


俺はサキトに鍵穴が見えるように上を向く。

そして、サキトは鍵を鍵穴に入れて回す。

ガチャンと言う音と共に首輪が床に落ちた。

それにより煩わしかった首輪からようやく解放された。


「は、外れた……外れたぞ!」

「やったのう!よく分からんがやったのう!」

「よし、それじゃあ早速俺の方も――――」


その瞬間、落ちた首輪から大きな音が鳴り始めた。


「うわっ!?何だ!」

「何か、すごい鳴ってるのじゃ!」

「しまった!魔法警報か!やられた、おい!早くここから離れるぞ!」


サキトは慌てた様子で足早にその場を去る。

何だかよく分からないが状況がよくなさそうだな。

俺達も急いでその場から離れる。


「逃げるってどこに逃げるんだよ!」

「分からねぇ!だが、あの場にいるよりはマシだ!」

「お、お主らちょっと待ってほしいのじゃ!」


デビは何故かその場で立ち止まってしまった。

それにより俺も足を止める。


「おい、どうしたデビ?立ち止まってる暇ないぞ!」

「何だ?急にごね出したか。たくっこれだから子供は。かつ、抱えてつれてこい」

「違うのじゃ!助けてくれた人が居るのじゃ!」

「助けてくれた人?それってお前が助けられたってことか?」

「おい、お前らなんの話してるんだ!早くしないと奴らが来るぞ!」

「そうなのじゃ!さっきまでそやつと一緒じゃったのじゃが」


どうやらここに来る途中まで一緒に行動してたみたいだな。

しかもデビがここまで言う人物なんて。


「心配なのか?」

「うーん、かなり……いやものすごく心配なのじゃ」

「そ、そんなに心配なのか?」

「うん、あやつはとても変なやつじゃった」

「へ、変なのか」


デビにこんなに心配されて、しかも変なやつと言われるなんてどんなやつだよ。

まあ、でも本気で助けたそうな感じはする。

すると痺れを切らしたサキトが声を荒げる。


「おい、いつまで立ち止まってるんだ。話しは終わっただろ。早く行くぞ!」

「ごめんサキト。俺達、脱出はまだ出来ないんだ」

「は?何言ってんだ」

「お主には申し訳ないのじゃが、妾達には助けなきゃ行けないやつが居るのじゃ」


サキトは突然そんなことを言われたからか、驚いた様子を見せるが納得するように頷く。


「そ、そうなのか」

「だから、俺達はこれから戻る。サキトは先に脱出してくれ」

「そうか………それじゃあ、ここでお別れだな。外で出会えることを祈ってるよ」

「ああ、サキトも気をつけてな」

「じゃあな」


そう言ってサキトは一切迷いなく振り替えることもせず行ってしまった。

するとデビが俺の服の裾を引っ張る。


「なあ、かつ」

「どうしたデビ」

「普通1人で脱出するか?」

「それに関しては俺も同意見だ」


まあ、正直戦闘員ではないサキトには早めに脱出してもらった方がこちらとしても安心するしな。

俺達はすぐに切り替えて来た道を戻る。


「それで、そいつはなんでデビを助けてくれたんだ!」  

「そやつも妾と同じ脱出したやつなのじゃ!」

「そうだったのか。ラミアは見つけてないよな」

「妾はまだ見つけてないのじゃ?お主は?」

「俺は見つけたけど邪魔が入って助けられなかった。何か護衛みたいなやつが現れたんだよ」

「なるほど、ぼこぼこにされたのか」


っこいつ人の傷口を。


「お前、もうちょっとオブラートに包めないのか」

「結果そうなのじゃから変わらないじゃろ。たしか、あの辺りで別れてしまったはずじゃ」

「あそこか!」


俺達はその場所に急いで向かう。


「おい、お主大丈夫……か……」


曲がり角を曲がった時、何故かデビの足が止まった。


「おい、デビどうした?その人は居たの……か…………」


俺も続けて曲がり角を曲がる。

その時、俺は言葉を失った。

そこには強面の男と満面の笑みの女の子がおままごとをしている、奇妙な光景が繰り広げられていた。



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