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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十一章 売られた少女と闇マーケット
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その八 グフッグフフ

「ラミアーーー!!!どこだーー!!」


辺りは完全に夜の世界になっている中、俺とデビは消えたラミアを捜索していた。


「こっちにはいなかったぞーー!!」

「俺の方もだ!本当にどこ行ったんだ?」


ラミアが姿を消してから1時間が経った。

もし、人攫いだとしたらもうこの近くには居ないかもしれない。


「くそ!何でこんなことに。デビはラミアのこと見てなかったのか!?」

「わ、妾は起きたらお腹が空いたから、屋台を見てて………戻ったらもうラミアは………」

「何でラミアを1人にしたんだよ!!」


俺は思わずデビにあたってしまった。

それに驚いたデビが身を震わせて視線が下にいく。


「うっ!ご、ごめんなさいなのじゃ…………」


いつもみたいに生意気なことを言うデビが素直に謝罪をする姿を見て、冷静さを取り戻した。


「あっごめんデビ。お前は何も悪くないのに怒鳴っちまって」

「いいんじゃ。妾が見てなかったのがいけなかったのじゃ」

「いや、これは完全に俺の責任だ。ラミア自身、正体はみんな知らないって言ってたから油断してた。多分城から出てくるのを見られてたんだろ。途中まで高い服も来ていたし、ガルアの妹と気づかなくてもそれなりの貴族の娘だと思って誘拐したのかもしれない」

「これからどうするのじゃ」


不安そうにしながら俺のことを見る。

俺はしゃがんでデビの肩を掴む。


「デビ、この事は俺とお前だけの秘密だ。絶対に誰にも喋るなよ」

「おい、まさかお主………このまま見過ごすつもりか!?」

「バカ!そんなことするわけないだろ!!ラミアは絶対助ける。だがその前にガルアの耳にこの事が伝われば俺達は即刻処刑だ」


デビは自分の処刑された姿を思い浮かべたのか、青ざめながら全力で頷く。


「それで、妾はどうすればいいのじゃ?」

「まず、犯人の目的は何かだ」

「子供好きなんじゃないか!?ロリコンなのじゃ!」

「いや、ちょっと待て。それは早すぎるな。て言うか、もうちょっと考えようぜ」


デビが早々に犯人をロリコン判定する前に止める。


「じゃあ、目的は何なのじゃ?」

「うーんと、もしかしたら身代金目当ての犯行かもしれないな」

「身代金?」

「ああ、金持ちとかの娘や息子を誘拐して返してほしければお金を用意しろって言うやつだ。でも、それだとラミアがガルアの妹だって知ってなきゃ意味ないんだよな」

「もしかして犯人はラミアのことを知っている城のやつらか!?」

「いや、さすがにそれはないだろ。さすがに………いないよな?」


そんな風な人は城では見かけなかったけどな。

まあ、人の心は分からないし、もしかしたら顔に出してないだけで相当ガルアのことを恨んでる可能性もあるしな。


「結局犯人の目的は何なのじゃ?」

「犯人の目的か………正直こういうことに関しては素人の俺達が考えたところで分からないよな」


もし、身代金が目的なら電話もないこの異世界では手紙などで色々命令するんだろうな。

でも、王の妹を攫う何てこと普通しないよな。

妹を拐う何てことをガルアに伝えたら、ぶちギレて命令も聞かずにそいつら殺しに行きそうだし。

そうなると、そう言うこと出来るのはそれなりにデカイ組織とかになるのか?


「なあーなあー本当にどうするのじゃ?ラミアは助けられるのか?」

「正直打つ手がない。もう、暗いし時間も時間だしここから探すのは無理だな」

「それじゃあどうするのじゃ?諦めるのか!?」

「いや、絶対に諦めない。ラミアの為にも絶対にだ」

「でも見つける方法がないんじゃろ?」

「いや………1つだけ…………かなり賭けにはなるけど」

「何じゃ?妾に出来ることあったら何でも言ってくれ」


こいつ、いつにもまして積極的だな。

ラミアのことを見ていなかった責任を少なからず感じているのか、それともラミアのことを友達として心配しているのか。


「それじゃあ、お前にやってもらいたいことがある」

「何じゃ、何じゃ?何でもやるぞ」


その言葉を聞いて、俺は早速デビに作戦を伝える。


――――――――――――――

デビは人気のいない道を1人で歩く。

そして、ちょくちょく上を見てくる。


「バカっこっち見るな」


俺は誰にもばれないようにワープで空の上からデビを監視する。

今回の作戦は単純明快囮作戦だ。

こっちから行けないなら相手から来てもらおうと言うことでデビには囮を任せた。

もし、相手が身代金などの目的はなくただの人攫いだとしたら、もう1度来るんじゃないかと思いデビを人を拐うのには絶好の場所に1人で歩かせた。


「さあーて、食いついてくるか?」


すると木の影から怪しげな人影が見える。

1人、いや2人か?

その人影は徐々にデビに近づいていく。

そして、1人がデビの方に一気に近づいた。

ここからじゃ遠くて分かりづらいがどうやらデビが男に気付き抵抗してるみたいだ。

だが、すぐにもう1人の男が加勢に入りデビを袋みたいな物に入れる。

普通だったらあんなやつら簡単に追い払えるがデビには事前に抵抗するなと言ってある。


「よし、後はあいつらがラミアを拐った奴の仲間かそれとも本人かだな」


俺は上空からその2人組を追跡する。

追跡してから数分後ある建物中に入って行った。


「ん?あそこが拠点か?」


俺は一旦地上に降りてその建物の周りを見る。


「うーん、一見ただの何処にでもある普通の建物だな。ここが本当にあいつらの拠点なのか?」


物を隠すならなんとやら、逆に普通だからこそ見付かりにくいのかもしれないな。

俺はしばらく外で監視していたがあの2人組が出てくることはなかった。


「出てこないな…………入ってみるか」


これ以上待ってても意味ないだろう。

そう思って俺は中に入ることを決意する。


「さて、どう入ろうか」 


さすがに真っ正面から入る訳には行かないよな。

俺は中から声が聞こえないか耳を澄ます。


「うーん、やっぱり聞こえないな」


半獣の耳はかなり良いから声が聞こえると思ったんだけど、もしかして扉の近くには居ないのか?

一軒家程度の広さだしそこまで大きくはないと思うんだが、見た目に反して中は広いのか?


「よし、行くか」


俺は恐る恐るドアノブを捻る。

すると、あっさりと扉が開いた。


「鍵がかかってない?」


そんな不用心なことがあるか?

だってここは…………まさか!

俺はあることに気付き急いで扉を開けて中に入る。

だが、そこには誰もいなかった。


「やっぱり……!くそ!どこ行ったんだ!!」


間違いなく、この部屋の中に入っていったはずだ。

でも、ここに人の気配はしない。

てことはもうこの部屋の中にはいない。


「どこかに別の入り口があるはずだ。どこだ!」


俺はすぐに部屋のなかを色々調べた。

だが、何処にも入り口らしきものはなかった。


「だとすると、後はここかな」


この部屋に入ってすぐに目に入った場所。

この部屋の雰囲気と合わないこの本棚。

明らかに怪しい。

本がぎっしり詰められているのに1ヶ所だけ空いている。

怪しい。


「漫画とかスパイ映画とかで見たことあるが、多分あそこに本を入れれば棚が動いて扉が開くんだろうな」


だが、その肝心の本が周りに置いていなかった。

てことはあそこに入れる物が無いと言うわけだ。


「絶対どっかにあるはずだ」


俺は周りを注意深く探す。

すると、少し気になるものを見つけた。


「ん?窪んでる?」


床の一部に窪みがあり、俺は爪を引っ掻けて上に引っ張る。

すると蓋になっていて中には本が1冊置いてあった。


「見っけ!」


俺はすぐに本を取り出す。

この重量感、やっぱり普通の本じゃないな。

そのまま本棚にその本を入れる。

すると、本棚が急に動き出して下に続く階段が現れた。


「なるほど、あいつらはこの下にいるのか」


俺は慎重に階段を降りる。

にしても、こんなものを作るなんて以外とヤバイ集団なのか?

デビとラミア無事だろうな。

すると大きな扉が見えた。

その奥には声が聞こえる。


「この奥にデビとラミアが居るのか」


このまま、扉を開けて中に入っても良いのだろうか?

だがこの扉から入る以外に中に入る方法は無さそうだし。


「しょうがない。とりあえず襲い掛かってきたら倒す方向でいこう」


俺はすぐに戦えるように準備して扉を開けた。


「っ!?これって………」


そこにはたくさんの大きなケージの中に半獣が入れられていた。

この光景見たことある。


「裏……マーケット」


てことは昨日行ったのと同じ場所。

あの2人組も裏マーケットの人間。

でも、ここは売り場ではなさそうだな。

売り場に出されてない倉庫みたいだ。

気味が悪い、皆首輪をつけられている。

可哀想に助けてやりたいが、ここで変な騒ぎを起こすわけにはいかない。


「ラミアとデビを探すか」


俺は周りの人達を助けたい気持ちを押さえて2人を探す。


「おい!そろそろこいつ出しても良いんじゃないか!?」

「ああ、そうだな。大分大人しくなったしそろそろ商品として出すか」


何て気色の悪い会話だ。

だからと言ってここで暴れるわけにはいかない、こう言う時こそ冷静になれ俺!


「あの、ここに女の子が来ませんでしたか?」

「あ?女の子?そう言えば今日、女の子供が2人位入ってきたな」


デビとラミアだな。


「その人達は何処に?」

「あーそうだな。中々上物だったからもう商品として出されちまってるかもな」

「な!?それほんとか!」

「あ?何だ、お前?もしかして狙ってたのか?おい!ちょ、何処いくんだよ!」


俺はすぐに倉庫を出て、2人が出てる店を探す。

くそ!どこだ!?何処に出されてる。

半獣が売られてる場所はあるが、どの店にも2人の姿はない。


「ほほう!これは中々上物ですな」


ん?今の話………もしかして!

俺は声のする方に向かう。


「そうでしょ?今日見つけて捕まえてきたかなりの上物ですよ」


あれは、ラミア!?


「そうですな。最近はこれくらいの女の子供が好まれますからな。3万ガルアでどうでしょう?」

「勘弁してくださいよ。これを商品として出せば軽く10万ガルアは出るでしょう」

「さすがですな。今の市場価値を分かってらっしゃる。そうですな………10万5千ガルアでどうでしょう」

「いいや」

「しょうがないですな。11万で手を打ちましょう」

「お買い上げありがとうございます」


あいつら、ラミアに値段なんて付けやがって………!


「グッフッフッ!いい買い物が出来ましたな。早速魔法陣を刻まなければ」

「ひっ!」


ケージの中に閉じ込められているラミアを不気味な笑みを浮かべながら見る。

そして、店の裏にラミアを連れて消えていった。


「待ってろラミア。絶対助けてやるから」


俺はすぐに先程消えていった店の裏に行った。

そこには先程らラミアを購入した男と閉じ込められてるラミアがいた。


「おい!ラミアを離せ!」


俺はすぐにその男に詰め寄る。

するとその男は一瞬驚きつつも冷静にこちらを観察してくる。


「おやおや、お客さん……ではなさそうですな」

「かつお兄ちゃん!?助けて!!」

「ラミア、待ってろよ!すぐ助けてやるからな!」


あんなケージ今すぐにぶっ壊してやる。


「なるほど、なるほど。お知り合いでしたか」

「ああ、そうだ。早くラミアを解放しろ。さまなくば――」

「さまなくば、何と?」


何だ、こいつ?

全然焦ってない、むしろ余裕がある。

見た感じそこまで強い印象は抱かないけど。

たしかに、不気味さはかなりあるが。


「こんな仕事をしてるもんですから、あなたみたいな人には恨まれたりもします。そして、あなたみたいに取り返しに来たりする人が居るんですよね」


いやな、予感がする。

何だ?この嫌な予感は。


「私が何の対策もしてないと本気で思ってるんですか?グフッグフフフ」


男が指を弾くと奥から異様な気配を感じた。


「こういう仕事をしてる人は必ず1人は居るんですよね。護衛の人が」


すぐさま後ろを振り替えると一人の男が立っていた。

その男はよどんだ空気をまとい、ただ純粋に俺を殺す対象としてみていた。



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