エピローグ 祭りの後
「うーん、完敗だねぇ。かつのボウヤには逃げれるし、こそ泥にも逃げられるなんてね。まだまだあたいも修業が足りないってことだね」
サラは荒らされた結婚式場を見てそんなことをぼやく。
すると先程サラの前に立ち塞がったマナが、警戒しながらサラに質問する。
「処罰をしないのですか?私はあなたの邪魔をしました。処罰を受け入れる覚悟は出来てます」
「ずいぶん肝っ玉が据わってるじゃないか。でも、あたいはなにもしないよ。そういうのは王様がすることだからね。まっその本人は脱け殻みたいになっちまってるけど」
そう言って、ミノルに振られたムラキの方を見る。
文字通り脱け殻のようになっていて上の空で何かをぶつぶつ呟いていた。
その時、大きな声が聞こえてきた。
「かつー!!俺と戦おうぜー!!」
「うるさいのが来たねぇ」
大声をあげながら一人の男が、式場に入ってくる。
それはもう一人の十二魔道士のガイであり周りに人がいないのとに気づくと、目を丸くさせる。
「何だ?誰もいないじゃねえか!どうなってんだよ!」
「祭りはもう終わっちまったってことさ」
ガイはそう言うサラの方を振り向く。
「サラ!どういう意味だ!」
「そのまんまの意味だよ。かつのボウヤも逃げたし、ミノルのお嬢さんにも逃げられた。まあ、その代わりお金が手に入ったからあたい的には大満足だけどね」
「くそぉー!また戦えなかった!早くあいつと戦いたいのに!!」
そう言って、ガイは頭をかきむしる。
するとガイは未だに立ち直れていないムラキを見つける。
「うう………何でだ………」
「おい、あいつは何であんなうなだれてんだ?」
「婚約者を奪われたからだろ?まあ、今あんな状態だから言うけど、自業自得だね」
「ああ、何かそんな女が居たな。興味ないから会ってねえけどな」
「それにしても、噂通り中々面白いボウヤだったよ」
「だろ?あいつは俺が倒すんだ。邪魔すんなよ」
「生意気言ってんじゃないよ。そう言うことはあたいより強くなってから、言うんだね」
サラはそう言うとガイの頭を叩く。
「いてっ!?何すんだこのおば―――」
「何だって?」
「…………何でもねえ」
サラの殺気を感じとりそれ以上余計なことは言わなかった。
すると気を取り直してサラがガイに訪ねる。
「あのボウヤは十二魔道士じゃないんだろ?」
「え?いや、知らねえ。そう言うのはサラが1番わかんだろ?」
「あたいはあんまり他の十二魔道士とはつるんでないからね。でも、もしなってないとしたら、ガルアが黙ってないだろうね。あんな面白そうな魔法使い。ふっ次の島王選が楽しみだね」
「おい、何ぶつぶつ言ってんだよ」
「何でもないよ。それじゃあ、あたい達も修業し直すとするかい」
「ああ、そうだな!俺はまだまだ強くなるぜ!」
戦えなかった為、ガイはやる気に満ちており張り切って式場を出ようとする。
サラもその後に着いていこうとするが、何かを思い出した素振りを見せるとマナの方に振り向く。
「あっマナ!ムラキの事、頼んでも良いかい?」
「はい、お任せください」
「じゃっよろしく頼むよ。あたい達がどこに行ったか聞かれたら、修業してるって言っといてくれ」
「分かりました。行ってらっしゃいませ」
そう言って、マナはお辞儀をする。
それを見て、サラはガイの後を追うのだった。




