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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十章 奪われた花嫁
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その二十七 成果発表

「それじゃあ、早速作業に取りかかるが、何人分必要なんだ?」

「えっと……俺とリドルとデビとふんふんふんふん………6個くらいかな」

「なら8個だな」

「え?何でだ?」


何故か浜崎は俺が言った数より多い数を作ろうとする。


「予備はあった方がいいだろう。何があるか分からないからな」

「え?そんなことまでしてくれるのか?」

「俺が関わってんだ。やるからには全力でやる。だから、絶対に失敗するなよ」


そう言って、真剣な表情で念を押してくる。


「ああ、絶対に成功して見せる」

「ならいい。いつまでに作ればいい?」

「出来れば結婚の前日には出来てて欲しいんだよな」


前日なら皆に配れば使い方の説明もゆっくり出来るしな。


「なら今から5日後だな」

「え?何で日にちが分かるんだ?」


いつ結婚式が始まるのかは言ってないよな俺。


「あんな、大々的に貼られてれば嫌でも目につく」

「なるほどね………」


やっぱり、あんなに人が集まってれば目にはいるよな。

ていうか、こんなところで引きこもってそうな浜崎が知ってるんだから、シアラルスの人全員知ってるんじゃないのか?


「にしても、王様が意地でも結婚したい程いい女性なのか?そのミノルは」

「おい、まさか狙ってる訳じゃないだろうな」

「恋愛などに興味はない。ただ、少しだけ気になっただけだ」

「本当に興味ないんだな」

「俺は機械以外に興味を持ったことがない」


まあ、機械を作る時間の無駄だからって言って、博士号取らないほどだしな。


「それじゃあ、俺はもう行くけど後は任せたぞ」

「ああ、期日までには終わらせておく」

「頼んだぞ。締め切りの日にまた来るから、じゃあな」


そう言って、俺は黒い建物を出た。


「よし、それじゃあ一旦家に戻るか」


もしかしたら、他の仲間も戻ってるかもしれないしな。

俺はすぐに家に帰った。


――――――――――――――――――

「ただいまー」


俺が扉を開けると騒がしい声が聞こえてきた。


「デビさん、まだありますから人の食べ物を取らないでください」

「何言っておるのじゃ!名前も書いてないのに何で人のものだと決めつけるのじゃ。これは妾のエビフライじゃ!」

「喧嘩しないで~私のあげるよ~」

「おお優しいやつじゃのう!いただき――――からーーー!!?」


何か、元気だなこいつら。

するとリツがこちらに気づき手を振ってくる。


「あ、ぜっちゃんお帰り~」

「ああ、ただいま」

「かつさんおかえりなさい。かつさんの分もちゃんとありますよ」

「ありがとな、助かるよ」

「ぎゃあああ!かーらーいーのーじゃ~!!」


デビは悲痛な叫び声をあげながら家中を暴れまわる。


「えっと………何したんだリツ」

「悪い子には~お仕置きだよ~」


そう言って赤い液体が入った瓶を見せる。

よし、やっぱりリツは怒らせないようにしよう。


「とりあえず、リドル!水を用意してあげろ」


さっきからずっと騒がしいから、これで落ち着くだろ。

俺は早くご飯を食べよーっと。

俺は早速椅子に座る。


「デビさん水ですよ」

「水ーー!!」

「それじゃあ、いただき―――」


その瞬間、デビが机を踏みつけた衝撃で俺のご飯がぶっ飛ぶ。

そして、床にご飯がぶち巻かれた。


「…………………」

「ふぅ………舌が焼けるところだったのじゃ」

「デ~ビーー!!」

「へ?な、何じゃ?ぼ、暴力反対!絶対暴力はんた―――いやぁぁぁぁ!!!」


―――――――――――――

「ふう、ありがとな。作り直してくれて」

「別に大丈夫ですよ。料理を作るのが好きですし」


俺は食後を終えて、お茶を飲む。

あの後リドルがもう一度料理を作り直してくれた。

そのお陰で飯が抜きになることは何とか免れた。

するとリツが何故か笑みを浮かべていた。


「ふふっ」

「ん?どうしたのじゃ?急ににやけて」

「何かね~こういうのいいな~って思ってね~」

「こう言うのって何がだ?」

「皆で~ごはん食べるの~皆で~こうやって~まったりするの~」


そう言って、にっこりと笑う。


「確かに、いいな」

「妾も何かいいのじゃ!」

「1人よりも皆で居た方が安心するからじゃないですか?」

「かもしれないな」


ミノルも居てくれたらいいのにな。


「ミッちゃんが~ここを失いたくない気持ち~今なら、分かるな~」

「大丈夫じゃ!失くなったりしないのじゃ!ミノルも取り返すのじゃ!そしたらまたごはんをここで食べようなのじゃ!そしたら、もっと………もっと幸せな気持ちになるのじゃ!」


そう言って満面の笑みを皆に向ける。


「ああ、そうだな」


絶対に助けて見せるからな、待ってろよミノル。


「まだ帰ってきませんね。ハイ&ローさん達」

「そういえば、居ないな。まだ帰ってきてないのか?」

「まだだね~もしかしたら~何かあったのかも~」

「うーん、確かにその可能性もあるよな」


今日の朝出たっきりでまだ帰ってきていないとなると、地図を取るのを失敗して、捕まってる可能性があるな。

そんな不安が頭をよぎる。

だがそんな不安を振り払うかのようにデビの大声が聞こえてくる。


「大丈夫じゃ!あの人達はすごい人達なのじゃ。だから、大丈夫じゃ」

「どっからそんな自信が沸くんだよ」

「な、何となくじゃ」

「どっちみち、待つしかないですよ。地図が来ないと次の作戦が決められませんしね」

「確かにそうだな。待つしかないか…………」


俺はコップを手に取りお茶を飲む。


「ふぅ………そういえば、なにか情報は手に入ったか?」


デビとリドルは今日は情報収集に行かせたはずだ。

もしかしたら、何か情報をゲットしたかもしれない。

そんな淡い期待を持って2人に聞く。


「残念ですがこれと言った情報は得られませんでした」

「そうじゃのう。結婚式当日は警備が増えるとか、多くの偉い貴族に招待状が送られるって事くらいしか分からなかったのじゃ」

「招待状?あ!その手があったか!」


俺はあることに気付いて思わず立ち上がる。


「どうしたのじゃ?お茶が熱かったのか?」

「いや、これ冷たいから。ていうかそういうことじゃねえ。招待状だよ!招待状を貰って招待されればいいんだよ!」


何でこんなことに気付かなかったんだ。

盲点だった。


「かつさん、僕たちが招待されればこんな苦労しなくていいんですよ」

「そうじゃぞ!あの子供が妾に招待状なんて出さないのじゃ!」

「あ~もしかして~結構攻めたやり方~しようとしてる~」


リツは何やら俺の言おうとしていることに気付いた様子だ。


「ああ、貰うんじゃなくて貰いに行くんだよ」


その言葉を聞いて、リドルとデビはポカーンとしていて、リツは少しにやけている。


「本気ですか?招待状を盗むってことですか?」

「いや、盗むのはさすがに難しいだろう。頼みに行くんだよ」

「それこそ無謀じゃ。あんな頭かっちかっちの子供に頼んだだけで招待状をくれるとは思わないのじゃ」


こいつ、さっきからムラキの事をえらい悪口言うな。

そんなにあいつが嫌いなのか?

まあ、俺も嫌いだけど。


「ムラキに頼むんじゃない」

「もしかして………」

「ミッちゃんの事だよね~」


その言葉に俺は頷く。


「ミノルに俺達に招待状を送ってくれないかと頼むんだ。そうすれば、多分大丈夫だと思う」

「でも、今のミノルさんがその頼み事を聞いてくれますかね」

「それに妾達、今キンメキラタウンには入れないぞ」

「私が頼みに行こうか~?」

「いや、もしそれでリツもキンメキラタウンから追い出されたら面倒だ。これ以上顔がばれるのはまずいからな。自由に動ける人は出来るだけ多い方がいい」

「じゃあ、どうするのじゃ?」


俺はしばらく考えて、そして行く人を決めた。


「俺が行く」

「「ええええ!?」」

「やっぱりそうだよね~」


そう言って、リツは分かりきったように頷く。


「それはやめた方がいいですよ。かつさんは僕たちの中でも特に目をつけられてるじゃないですか。殺されるかもしれませんよ?」

「さすがにそこまではしないだろ」

「お主が行くなら妾も行くぞ!」


そう言って、デビが勢いよく立候補をしてくる。


「気持ちは嬉しいけど、駄目だ」

「な、何でじゃ!?」

「人数は少ない方がいい。相手が警戒しないようにな。大人数で行って攻めてきたと思われたら厄介だ」

「たしかにそうですけど………さすがに危険すぎると思うのですが」

「そ、そうじゃよ。別に招待状がなくても侵入する方法はあるわけだし、別にいらないじゃろ」


その言葉を聞いて俺はリツの方を向いた。


「リツ、例の機械の許可は取れたのか?」 

「それは~まだだけど~」

「なら必要だ。もし、許可が取れなかった時の為の保険は作るべきだ」

「たしかにそうですね。直前で取れなかったじゃ話になりませんしね」

「でも…………」


俺はしゃがんでデビの肩を掴む。


「ミノルを助けるためだ。分かってくれ」

「うう………分かったのじゃ。でも、危険だったらすぐ帰ってくるのじゃぞ」

「分かってる。自分の身に何かあったらさすがに逃げるよ」


俺はデビに向かって笑顔を見せて立ち上がる。


「明日、俺はキンメキラタウンに向かう。お前らはここでハイ&ローの帰りを待っててくれ」

「分かりました」

「分かったのじゃ」

「分かったよ~」


皆が返事をしたのを確認して俺は寝室へと向かう。


「それじゃあ、おやすみ」



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