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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十章 奪われた花嫁
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その二十六 失態と取得

「たしか、ここの路地裏に行けば入り口があるんだよな」


ケインが教えてくれた秘密の入り口、だが肝心のケインの姿が見えない。

路地裏で一緒に過ごした人達にケインの事を聞いたら、大分前に出て行ってしまったっと言う事しか分からなかった。

何で、出て行っちゃったんだ?


「もしかしたら、浜崎が何か知ってるかもな」


俺はすぐにケインが使っていた秘密の入り口を使う。

特定の場所を押すと最初に見つけた時と同じ様に壁が動きだし、入り口が現れる。


「よし、行くか」


俺はすぐにその入り口の中に入る。

中は相変わらず真っ暗だ。

だが、何とか夜目が効く様に修業したお陰で少し見える。


「これなら、何とか行けるな」


その時、俺の足元で何か音が聞こえた。

何だ?今の音?

そう思った瞬間、大きな警報音が辺りに響く。


「うわっ!うるさ!?」


俺はあまりに大きい音のせいで耳を塞ぎその場でうずくまる。

すると、光が段々と消えていってるのが見えた。

俺はとっさに振り向くと、入り口の扉が閉まっていく。


「まずい!閉じ込められる!?」


俺はすぐに扉の方に向かったが、無情にも入り口は塞がれて、目の前にはただの壁になってしまった。


「くそ!開けろ!!開けよ!」


何度も壁を叩くがびくともしない。

この壁どんだけ固いんだよ!

こうなったら魔法で………

そう思った瞬間、壁から煙の様なものが辺りを包む。


「な、何だこの煙?」


俺はとっさに口を塞ぐが、もう遅かった。

急な目眩に襲われて、立つ事も出来ず俺は倒れてしまった。


「くそ………何なんだよ………」


そのままゆっくりと、意識を失っていった。


――――――――――――

「う、うーん………こっち来るな………」

「おい、起きろ。早く起きろ!」


その時、顔に何か冷たいものがかけられ思わず飛び起きる。


「っ!?冷た!!」

「やっと起きたか」


何で、顔がこんなに濡れてるんだ?

俺は立とうとした時、手が思い通りに動かなくて、転んでしまった。


「何だ?手錠か?」


俺の手首には何故か手鎖がかけられていた。


「ここで魔法を使われたら、たまったものじゃないからな。それで、一時的に魔法が使えなくなる。まっ一応の保険だ」

「魔法が使えなくなる?ちょっと待て?お前、浜崎か!?」

「今更か。それで、何でお前はここに侵入して来たんだ?誰かに頼まれたのか?」


てことはここは浜崎の部屋か。

上手く侵入出来たって事だな。

にしても、この手鎖が魔法を使えなくさせてたのか。

てことは、あの時は俺のせいでは無くて手錠のせいだったのか。

それなら、良かった。


「おい、何ぼーっとしてるんだ。俺の話を聞いてたのか?」

「あっ!そうだ、こんな事してる場合じゃないんだ!浜崎!お前に頼みたい事があるんだ!」

「いや、先ず俺の話を……」

「お前に通信機を作って欲しいんだ!」


すると、浜崎は頷くわけも無く否定するわけも無く、ただ頭を掻いた。


「お前なあ、俺は信じられる奴以外の頼み事は聞かない。ましてや、人の話を聞かない奴の話などさらに聞かない。分かったら、帰れ。手錠は外してやる」


そう言って、俺の手錠を外す。


「それじゃあな、絶対かつ」


それだけ言うと俺に背を向けて、机に向かう。

だがこれだけで帰るわけにはいかない


「ちょっと待て!まだ話は終わって無いぞ!」


俺は浜崎の肩を掴み、自分の方に向かせる。


「お前と話す事など何も無い。それにお前みたいな何も知らない奴とそんな危険は侵せない」

「お前はにゃんこ島に居る期間は8年だろ?」


すると、先程まで動いてた口が止まる。

そして睨み付けるような視線で口を開いた。


「誰から聞いた?」

「それは言えないな」

「まあ、大体見当はつくけどな。それで、それだけか?この島の事については?」

「この島はいくつ物柱に囲まれている。そして、その柱がこの島から出ようとしている者に落雷を落とす。そうだろ?」

「それで?」


こいつ……少しは反応してくれても良いだろ。


「それで、落雷の他に外の人からの認識を無くさせる事も出来る。だからこの島には他の島から来た人が居ない。そして、島の他にも怪しい部分がある」

「それは何だ?」

「この島の歴史だ。この島の歴史は長くて、しっかりしてる様で所々不自然な点が多い。人間の王と半獣の王が居たという所も怪しい。人間の王が一体どんな人なのか調べても出てこないし、同じ様に半獣の王が誰だったのかも分からない。それなのに皆王が死んだ事は知っている。その時に生きていた人がこの時代に居ないと言えばそれで終わりだけど、それでも本にも残されてないのが不思議だ」

「なるほど、基本的なこの島の事については理解出来てる様だな」


何か分からないけど、認めてもらったのか?


「だが、まだ不自然な所はあるだろ」

「それは………人々の記憶?」

「ああ…………何故だが皆一様に今から11年前の事を覚えていない。いや、詳しく言えば所々でしか覚えていない。それなのに、戦争の出来事はハッキリしているが、詳しく聞いても細かい所は分からない。戦争の歴史しか、覚えていないんだ」

「それって………もしかして、歴史事態―――――」


その瞬間、俺の口を浜崎が塞ぐ。


「うぐっ!?」


な、何で急にこんな事するんだ!?

突然の事で困惑する俺を冷静な口調で説明する。


「それ以上はやめておけ。消されるぞ」


消される!?

こいつ、何言ってるんだ?

だけど、浜崎が冗談を言う奴とは思えない。

本当なのか?

だとしたら誰に。

とりあえず、大人しく従っておこう。

俺はゆっくりと頷く。

そして、俺の口から手をゆっくり離す。


「ぷはっー!ふぅ……いきなり掴むなよ。びっくりしただろ」

「そうしなきゃ、喋り続けるだろ。怒鳴るのは苦手だしな」


普通に言ってくれれば黙ったと思うんだが。


「それより、それ位基本的な事が分かっているなら、まあ、合格で良いだろう」


何か、良く分からんが合格みたいだな。


「それじゃあ、俺の頼みを聞いてくれるのか?」

「内容によるな。何を作って欲しいんだ?」

「最初に言ったと思うけど通信機を作って欲しいんだ」

「通信機?それは駄目だな」


そう言って、あっさり却下された。


「え!?ちょ、ちょっと待ってくれ!確かに難しいかもしれないが、何とか………」

「作る方は問題ない。問題なのはガルアだ」

「ガルア?何でガルアの名前が出るんだ?」


すると、浜崎が机の引き戸を引いて、紙を取り出す。


「それって………技術創作許可証か?」


リツが持っていたのと同じ紙だな。


「知ってたのか。それじゃあ、これを持っている意味は分かるな」

「確か、それを持っていれば物を作っても良いって事になるんだろ?」

「ああ、物を作る為に俺もこれを取得したが少々厄介な事がある」

「何だ?厄介な事って」


作る事以外で何か面倒な事合ったっけ?


「ガルアに報告をする事だ」

「ガルアに報告?ああ、確かそうだったな。それが厄介なのか?それなら俺から言おうか?」


リツも行ってると思うし、ちょうど良いだろう。

だが浜崎はそれに対して微妙な反応を見せる。


「報告したら作れなくなる。それが厄介何だよ」

「何で作れなくなるんだ?報告するだけだろ?」

「ガルアはこの島を発展させる恐れのある物を作らせないんだ」

「どういう意味だ?」

「そのまんまの意味だこれ以上は言えない。俺はまだ死にたくないからな」


死にたくない?

さっきの消されると言う発言と言い、こいつは誰に恐れてるんだ?


「お前はガルアと親しいみたいだな」

「何で知ってるんだ?」

「大体の奴は様を付けるがお前は付けないだろ。ただ単に様を付けないだけって事もあるけどな」

「何か失礼な奴だと思ってないか?俺の事を」

「人の話を聞かずに自分の話をする奴が失礼な奴に含まれ無いとはな」

「うっ!何かすまん」


こいつ、以外と根に持つのか。


「とりあえず忠告しておくが。ガルアとはあまり関わらない方が良いぞ」

「何でだ?」

「お前がこの島を良く思ってない限り、あいつはお前の敵だ。忠告はしたぞ。それじゃあな」

「ああ、それじゃあな」


大きな不安を残し、俺は部屋へと…………


「ちょっと待て!!何か流れで出て行く雰囲気になってるが俺の頼みを聞けよ!」


あぶねえ、完璧に相手のペースになっていた。


「まだ諦めてないのか。さっきも言ったが。この島が発展する物を作るのは禁止されてるんだよ。俺がそんな物を作ったら首切られるぞ」


そう言って、首を親指で切る仕草をする。

こいつの場合本当に首切られるんだろうけど。


「何でそんなに発展させたくないんだ?」

「俺の口からは言えない。何処で見てるか分からないからな」


見てるってガルアの事か?

何でそこまでして、この島を発展させたくないんだよ。

意味が分からない。


「まあ、簡単に言うと、島を発展させるメリットよりもデメリットの方が大きいからだ。これ以上は言えない」


メリットよりもデメリットの方がデカイのか?

普通に考えたら逆だけど、やっぱり何かを隠してるのか?


「それを踏まえた上で俺に頼むのか?」

「ああ、お願いだ。頼む!通信機を作ってくれ!」


俺は浜崎に頭を下げる。

浜崎は少し考えて口を開いた。


「何で、そこまでして通信機が欲しいんだ。今の生活で必要は無いだろ」

「実は助けたい仲間が居るんだよ。その人は騙されて結婚を了承するしか無かったんだ。そんな事であいつには結婚して欲しく無いんだよ。だから、どうしても助けたいんだ!」

「それと、通信機がどう関係するんだ?」

「今回の作戦は仲間が皆バラバラになるんだ。成功率を高める為にも離れた仲間ともコミュニケーション出来たら良いと思って、だから作ってください!」


俺は再び頭を下げる。


「お前にとってそこまでして助ける意味があるのか?」

「ああ、あいつには色々世話になったし、見捨てる事何て出来ない」

「言い方を変えるぞ。そいつはお前や他の人を危険に侵してまで助ける価値があるのか?」

「っ!?助ける価値…………」


ミノルは色々な人を巻き込んでまで助ける価値があるのか?

そんなこと考えた事なかった。


「ミノルは………誰かを巻き込んでまで助けて欲しく無いのかもしれない」

「どういう意味だ?」

「ミノルは優しい人って事だよ。あいつは誰よりも優しくて、誰よりも自分を犠牲にしてるバカな奴だ。だからこそ、誰かが手を差し伸べなきゃ、駄目何だ」

「質問の答えになってないぞ」

「だから、助ける価値とかそう言う事じゃないんだよ。あいつは助けなきゃいけないんだ」

「…………話になら無いな」


そう言って俺に背を向ける。


「お願いだ!お前に迷惑はかけない!」

「だがらさっきから言ってるだろ。話になら無いと」

「通信機を作ってくれたら、何でもする!だから、お願いだ!」

「………………今何でもするって言ったか?」


あっ何かやばい事言ってしまったか?

ていうか、完璧に言ったな。


「よし!それなら良いだろう。通信機を作れば良いんだな」

「え?あっちょっと………」

「仲間を救いたいんだろ?」

「………はい」


今日この日俺はとんでもない失態をしてしまった。



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