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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十章 奪われた花嫁
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その二十三 皆の作戦

俺は頭を整理させるためにある場所に来ていた。

そこはサクラがお気に入りの場所と言っていた湖だ。


「朝は始めてくるけど、朝でも綺麗だな」


湖が太陽の光に照らされて夜とはまた違った印象だ。

サクラがここをお気に入りの場所と言って気に入っているように俺も気に入ってしまった。

それにしても、どうすれば良いんだ。

金はあるのに、中に入れないなんて。

どうにかして中に入ったとしても、金を受け取らないなんてことあり得るのか?

いくら、王だからって身勝手だろ。


「はあ、ここにいれば少しは冷静になれると思ったが、逆効果だったな」


ここにいても仕方ない。

俺は立ち上がり家に帰ろうとしたその時、誰かがこちらを見ていた。


「サクラ?」

「サクラ?じゃないわよ。あんた、こんなところで何やってんのよ」

「いや、ちょっと気晴らしをしようかなと」


すると、サクラがこちらにずんずんと近づいてくる。


「え?どうしたんだよ?何か怒ってないか」

「怒るに決まってんでしょ。あんた、こんなところで油売ってる場合じゃないでしょ。さっさとミノルを助けに行きなさい!」


そう言って俺の尻を蹴り出す。


「ぐわっ!いった!なにすんだよ!」

「気合いをいれてやってるんだから、感謝しなさいよ!ミノルを、私の友達を泣かせたら許さないから!」

「いやいや、俺も友達だろ!?」

「あんたは私の弟子でしょ」


ああ、そういう風になるのね。


「て言うかなんで知ってるんだよ」

「あんな大々的に掲示されてればいやでも目に入るわよ」


ああ、そうだった。

この事はみんな知ってるんだった。


「それで、どうするの?何か作戦あるの?」

「いや、今のところは何にも思い浮かばないんだよ。キンメキラタウンも閉め出されて、中に入れないしな」

「街から締め出される何てどんだけ悪いことしたのよ」

「城の中に潜入した」

「なるほど、そりゃそうなるわね」


サクラは俺の言葉に納得して頷く。

俺の言葉にサクラはすんなりと受け入れたようだ。


「普通に信じるのかよ」

「あんただったらやりそうだしね。嘘なの?」

「いや、本当だけど………どうすれば良いと思う?」


つい弱音をこぼしてしまう。

するとサクラはそのままそっぽを向く。


「気持ち悪い、何、慰めてほしいの?」

「お前、俺の弱った心にさらに追い討ちをかけたな」

「本当に打つ手がないの?」


サクラが心配そうに振り返りこちらを見る。


「ミノルを取り戻すためにお金は用意したのに、それを渡す手段もないし。それを渡してもミノルが帰ってくるかも分からないしで、どうしたら良いか分からないんだよ」

「ふーん、何か大変なことになってるわね。でも、大丈夫でしょ。あんたなら」

「それどっから出てる自信だよ。俺だって出来ないことだってあるんだぞ」

「大丈夫よ。だって私の道場を取り戻せたんだしね。変態で間抜けで弱くてどうしようもない奴だけど………」

「おいおい、そこまで言わなくても良いだろ」

「それでも、そこそこ信頼してるのよ………」


するとサクラが何故か目線を外して再びそっぽを向いてしまう。

サクラがそんな風に思っててくれてたなんて、一応信頼はされてるんだな。


「ありがとな。何か元気出たよ」

「別に励ますとかじゃないからね。それにそこそこだからね。そこん所ちゃんと分かってるんでしょうね」

「分かってるって、お前なりに元気付けてくれたんだろ」

「全然分かってないじゃない!!」


何故かサクラは怒りだし顔を真っ赤にさせながら俺を睨み付ける。


「なあ、お前だったらこんな状況でどうやって助ける?」

「へ?私だったら………走って連れ去るかもね。そのお金だけおいて」

「なるほどな………走っていくか……でも、十二魔道士も居るし、それは無理だろうな」

「じゃあ、いっそのこと隠れていくのは?」

「隠れていく?」

「そっ最近怪盗とかが現れてきたじゃない。そいつらは姿を変えられるみたいだから他の人に変身して、潜入すれば?」


他の人に変身か………そんなことが出来たら潜入は簡単になるかもしれないな。


「でも、もし潜入できても金を受け取れなかったら意味ないよな」

「そこら辺は知らないわよ。て言うかそれが無理だったらお金を用意した意味ないじゃない」

「そうだよな。そうなんだよな………でも、参考にさせてもらう。そろそろ行くよ」


俺はそう言ってサクラに手を降る。


「負けんじゃないわよー!」


その言葉を背中に受けて俺はもう1つの場所に向かった。


――――――――――――

「ふう、やっぱなんだかんだ言ってここが1番落ち着くかもな」


俺は魔法協会の懐かしさと安心感を感じて、席に座る。


「ん?お!かつじゃねえか!ここ、良いか?」


すると俺を見つけたウルフが少し興奮ぎみに話しかけてくる。


「ウルフか。良いぞ」


俺が了承するとウルフらすぐに向かいの椅子に座る。


「なあ、聞いたぞ。ミノルが結婚するみたいだな。それってマジなのか?」


やっぱりその話か。

まあもうみんな知ってるし、質問もしてくるよな。


「今のところはな」

「そうなのか。それってミノルが自ら結婚を決めたのか?」

「それは絶対に違うぞ!多分………」

「多分って何だよ。ルルも結婚するって聞いた時、心配しててよ。しかもお前らキンメキラタウンから出禁くらってんだろ?お前ら本当に大丈夫なのか?」


本当なら、ここで大丈夫と答えるべきなのだが、本心は全然大丈夫じゃない。

正直、何もかも精神的にも苦しい。

だが俺はそれを悟られないために無理矢理笑顔で答えた。


「大丈夫だ。必ずミノルは救い出すつもりだ」

「そうか。でも、どうやって救うんだ?キンメキラタウンには入れないんだろ」

「何とかするよ。大丈夫、俺には仲間が居るしな。なんとかなるよ」

「何か、無理してるけど暗い気持ちになってなくてよかったよ」


そう言って少し安心したような顔をする。

たが俺はその言葉に引っ掛かりを覚えてしまった。


「それどういう意味だ?」

「何でもねぇよ。何か困ったことがあったら言えよ。私でよければ力になるぜ」


そう言って力強く拳を握る。

こう言うことを言ってくれる人が居ると言うだけで気持ちが楽になるな。


「頼もしいな。ありがとう。それじゃあ、早速力になってほしいんだけど」


その時どこからか大きな足音が聞こえた。


「かつさーん!!」

「え!?ルルさん!?」


ルルさんはものすごい早さで俺のところに来て肩を掴んでくる。


「ミノルさんは!?ミノルさんは大丈夫なんですか!?」


荒い息を吐きながら俺の詰め寄ってくる。

何か、目が怖いんですけど。


「と、とりあえず落ち着けよ!なっ?ほら水飲んで」


俺は席に着いた時に貰った水をルルさんに渡す。


「あ、ありがとうございます」


ルルさんは水を受けとると一気に飲み干した。


「ごくっごくっぷはぁ!ありがとうございます。落ち着きました」

「そうか、それなら良いんだけど、どうかしたのか?」


ルルさんは落ち着きを取り戻し、コップを机に置く。

そして不安そうな声色で俺に告げてくる。


「あの、ミノルさんは本当に結婚するんですか?」

「ああ、それは…………しない。て言うかさせません」

「ほっ…それを聞いて安心しました。でも、このままでは結婚してしまうんですよね?」

「このままだと確かに結婚をしてしまいますけど、大丈夫です。俺らで絶対止めるんで。そうだ、2人にも聞きたいことがあるんだけど。2人だったらどうやってミノルを助ける?」


そう、俺は皆に意見を聞くためにここに来たのだ。

1人だと、全然案が思い付かない。

仲間にはいつでも聞けるから、あまり会えない皆に意見を聞くことにしたのだ。


「私たちが?そうだな…………ぶっ飛ばして進むのはどうだ?」


そう言って、ウルフら名案が浮かんだみたいな風に言ってくる。


「そんなの出来たらとっくのとうにやってるよ」

「そう言えば、そもそもなんでミノルさんは結婚することになっちゃったんですか?」

「あんまり言わない方が良いと思うけど、借金を払えないから結婚するみたいなんだ。でも、借金を返す金は俺達で集めたんだけど」

「集まってんなら、さっさと渡して取り返しに行かないのか?」

「それが出来たら、もうやってるだろ。もしかしたら渡しても結婚をするかもしれないんだよ。城で渡しても相手は王様だからそんなことはなかったとか言ってな」

「何だそれ?そんなの有りえるのか」


するとルルさんが何やら考え込んでいる。

もしかして、何か思い付いたのか?


「ルルさん、何か思い付いたんですか?」

「うーん、城の中で渡したら、その約束が嘘になるんなら、みんなの前で渡せばいいんじゃないのかなと」

「みんなの前で?」

「はい、その街に住んでる人の前でその事を言って渡すんです。そうすれば、認めざるおえないと思うんですけど」

「みんなの前でか…………」

「そんなこと出来るわけ無いだろ?そのムラキって奴が街の奴等の前にわざわざ現れるわけないだろ」

「わ、分かってるよ。そんな否定しなくてもいいでしょ」


街の人の前で宣言させるか………確かにそれなら了承せざるおえないよな。

王が約束を守らないなんて事があってはならないしな。

でも、ウルフの言った通り、そう簡単に街の人達の前には現れない。

………いや、ある。街の人達の前に現れて、しかもミノルも一緒に居る時が!


「そうか!分かったぞ!!」


これなら、ミノルの事を救えるかもしれない!


「ど、どうしたんだかつ?」

「いい案が思い付いたんですか?」

「ああ!お前らのお陰だよ!ありがとな!それじゃあ、ちょっと用事が出来たから帰るよ!」


俺はすぐさま家に帰るために席を離れる。


「え!ちょ、かつさん!………行っちゃったね」


かつが、行った後ウルフはルルの方に顔を近づける。


「て言うか、聞かなくて良かったのか?」

「え?何が?」


ルルはウルフからの質問に質問で返す。


「例の日本の件だよ。まさか、忘れちまったなんてことないよな」

「分かってるよ。忘れたくても、忘れられないし。でも、かつさんは悪い人には見えないから、あんまり詮索するのも悪いと思うから………」

「お人好しだな。まっそれがルルの良いところだけどな」


そういいながら、嬉しそうにルルの肩に手を回す。


「別にそんなんじゃないよ。でも、私たちが気にすることじゃないから、私は今まで通りのお客さんとその受付の人だから。それは変わらないと思う」

「まっそうだな。それじゃあ私も気にしないことにするよ。私だってかつが日本とか言う場所に居ても付き合いはかわんねぇよ」


――――――――――――――

すぐに家に帰ろうとしたけど………あれって怪盗ハイ&ローだよな?



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