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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十章 奪われた花嫁
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その二十一 ミノルの想い

俺達は今、壊れた扉を弁償するため家で夕食を作らされるのであった。


「う~ん!美味しいね~!」

「そうじゃろう。リドルの料理は世界一じゃぞ!」 


そう言ってデビは大量の料理を口の中に押し込む。

あいつの口はどうなってんだ。


「世界一は流石に言い過ぎだろ。プロの味くらいはするだろうな。リドル、俺の分は?」

「あれ?食欲は無いと言ってませんでしたか?」

「な!?」


こいつまさか、さっきの事を根に持ってやがるな。


「あーそうかよ。そっちがそう来るなら、俺だってお前の料理なんて食いたくないよ!」


そう言った瞬間、俺のお腹は空気を読まず鳴り出す。


「……………………今のは、屁だ」

「ぜっちゃん、それはそれで、嫌だよ~」

「お腹が空いたのなら素直にいってくれれば良いんですよ。はい、かつさんの分です」


リドルはそう言うと目の前に日の丸ご飯を出される。


「……………は?なにこれ?」

「ご飯です」

「え?これが、俺のご飯だって?」

「はい、健康に良いらしいですよ。苛々防止に聞くみたいですよ」


その瞬間、俺は頭にきて机を思いっきり叩きリドルを睨み付ける。


「誰のせいでイラついてると思ってるんだ」

「それは僕のせいだと言いたいんでしょうか?」


こいつ、相変わらず何考えてるかわからない、にやけた顔しやがって。

思いっきりぶん殴ってやりたい。


「えっと~なんかすごいピリピリしてるけど、どうしたの~?」

「そ、そうじゃ!その事も合ってリツに話があったのじゃ!そ、そうじゃろみんな!」


デビの声かけで一旦冷静を取り戻し、リツの方を向く。


「そうだな、実は――――――」


俺はリツに今の状況を話した。


「えええ!?ミッちゃんが結婚する!?しかも、ムラキと!!?」

「その様子だと何か知ってるのか?」


リツはかなり動揺した様子で、いつものおっとりとした口調ではなく、ハキハキとした喋り方に変わっていた。


「ムラキって、実は私とミッちゃんの知り合いみたいなものなの。子供頃に初めて会って、その時は本当に小さい男の子だったんだけど、まさかミッちゃんと結婚することになるなんて……………」


リツは少し、困惑した様子を見せるが何故か妙に納得してるような気がする。


「もしかして、結婚することを知ってたのか?」

「なに!?お主、知っておったのか!?そんな大事なこと!」

「知ってたって言うか~、そんな可能性があるな~って思っただけ。実はムラキとはしばらく遊んでたんだけど途中から遊べなくなっちゃって、私はしばらく会ってなかったんだけど、ミッちゃんが会ってたみたいで~」


ミノルがムラキと会ってた?

何でミノルだけ、あいつと会ってたんだ?


「ところでリツさんはムラキ様とはあまり仲は良くなかったんですか?」

「何でそう思うのじゃ?」

「リツさんは誰かを呼ぶ時に最初の文字にちゃんを付けて呼ぶのに、ムラキ様の事は呼び捨てなので」


たしかに、言われてみればリツが誰かを呼び捨てするのは少なくとも俺は聞いたことがないな。


「どうなんだよ。あいつの事は嫌いだったのか」

「そうだね~嫌いと言えば嫌いかな~。だって、ムラキはミッちゃんの事を虐めてたから」


ミノルの事を虐めてた?

やっぱり俺が知らない間に会っていたのか?


「リツ!その事について詳しく教えてくれ!」

「実は、ぜっちゃんと会うまでムラキから家を借りてたんだよ~。その話はミッちゃんから聞かされてたんだけど、その時は明るく話してて別に何ともなかったんだ~でも」

「でも?」

「日に日に顔色が悪くなってきて、いつもの元気なミッちゃんじゃなくなってきちゃったんだ~。その時は何が合ったのかも教えてくれなくて、聞いても最近依頼をこなすのが大変って言うことしか、教えてくれなかったんだ~」


この時からあいつは自分の事を他の人には言わなかったんだな。


「でも、後から思えばムラキになにか言われてたのかもしれない。それからぜっちゃんが来て、リッちゃんやデッちゃんとパーティーを組んで昔みたいに笑顔が戻ったけど、まさかミッちゃんが結婚することになるなんて~」

「それで、理由はなんなんだよ!あいつが結婚を選んだ理由を!」


俺は中々本題を言わないリツのことを急かす。


「ちょ、ちょっと落ち着いて~!ミッちゃんが家に帰らなくなってきた頃に家の中に侵入したの」

「どうやって侵入したんですか?」

「今は関係の無い事を聞くな!それで、どうだったんだよ」

「家の中を調べたらこんな紙が合ったの~」


そう言ってくしゃくしゃになっている紙を取り出した。


「これは?」

「契約書の紙ですかね。内容は所々滲んでいて完全には読めないですね」


すると、デビが頭を出しその契約書らしき物を見る。

そして、何かに気付いたのかその箇所を指で指す。


「なあ、ここの所に小さく何か書かれてるのじゃ」

「ん?たしかに何か書いてあるな」


その箇所に目を凝らして見る。

そこには信じられないような、内容が書かれていた。


「注意 一定の期間を過ぎてもその家に移住をする場合その時点で4億ガルアの支払いを承諾したものとみなす。だって?なんだよこれ、どういうことだよ」

「簡単なことです。ミノルさんはこの契約書にサインをしてしまい。この注意書きの事を知らない内にその一定の期間を過ぎてしまい、4億の借金を背負わせられた、と言うことです」

「な!嘘じゃろ!そんなこと、何かの間違いじゃないのか!?」

「嘘じゃありません。実際、ここにミノルさんのサインも書かれていますしね。魔印も押されてますしね」


そう言って、ミノルと書かれている箇所を指す。

魔印は何か不規則な文字がそこに焼き入れたように付けられていた。


「偽物じゃないのか?」 

「サインは偽造できても魔印は偽造できないからね~。ミッちゃんので間違いないよ~」

「そう、なのか…………」


あいつ、そんな大金を…………そういえば、最近浮かない顔とかしてたな。

金のことで悩んでたなんて、くそ!何で言ってくれなかったんだ。


「そういえば、勝手ながらミノルさんが居なくなった後ミノルさんの部屋でこれを見つけました」

「なんだよ。手紙か?」

「最近、ミノルさんがやたらポストを確認していたので、もしかしたらと思ったのですが。安心してください、中身は見てません」


そう言って5つの封筒を机に置く。


「今は非常事態だ。見るぞ」


俺達はそれぞれ手紙を手に取り、中身を確認する。

そしてその中には手紙と請求書が入っていた。


「なんだよ、これ。こんなの脅迫だろ!」


そこには借金の返済を急かせる内容と払えないのなら結婚をしろと言う内容が書かれていた。


「ひどいのじゃ!無理やり結婚させようとしてるのじゃ!」

「選択肢は1つしかない。結婚を何があってもさせるつもりみたいですね」

「最後の1つって最近のだよね~」


机には後もう1つの手紙がある。

俺は恐る恐る、その最後の手紙を手に取り開いた。


「『時間はもう残されてない。これ以上引き延ばすなら、仲間がどうなるか分かっているな?近々直接そちらに向かう。良い返事を楽しみにしている。』だって?なんなんだよ。何でこんなことするんだよ!」


俺は思わずその手紙を破り捨てる。


「今までの事を振り替えると、ムラキ様の目的は最初から結婚をする事。その為にこんな回りくどいことをしていたんですね」

「ミノルが可愛そうなのじゃ!すぐ助けなきゃ!」

「どうやって助けるの~?もう、皆は1回城に行って追い出されたんでしょ~」

「だからってこんなところで待ってても意味ないだろ!」


俺はすぐにミノルの元へと向かおうとする。

だが、リツは俺の腕を掴み、行くのを止める。


「行った所で同じことを繰り返すだけだよ~。ここはもう少し皆で話し合った方が――――」

「リツには関係ないだろ!」


俺は真剣に説得するリツの手を振りほどく。

だがリドルは俺を諭すような声で話しかけてくる。


「かつさん。僕もリツさんに賛成です。ここは一旦、冷静になるべきです」

「じゃあ、お前は何か助ける方法があるのかよ」

「今は思い付きません。だから、皆さんと話し合って解決策を見つけましょう」

「そんな話し合いをしてる間にもあいつは苦しんでるんだぞ!少しはあいつの気持ちも考えろよ!」

「ミノルさんの気持ちを本当に考えるなら、感情に任せずに確実な方法を選ぶべきです!」

「なら、依頼を沢山やってお金を稼ぐか?それなら良いのか!?」

「4億何て大金、そんな短期間には集まりませんよ」

「じゃあどうするんだよ!否定ばっか言って、なにもしないじゃねえか!お前は本当にミノルの事を助けたいと思ってんのか?」

「どういう意味ですか?」

「お前は本当に俺達の事を仲間だと思ってるのか?」

「思ってますよ」

「じゃあ、何でそんなに冷静でいられるんだよ!心のどっかでは、他人事なんだろ。どうせやれるだけやって無理だったら即諦める!そういうやつなんだろ!」

「その言い方は無いんじゃないですか。僕だって、ミノルさんの事を助けたいですよ。仲間だって思ってますよ。それなのに………かつさん、あなたはリーダー失格ですね」

「なんだと?」


俺はリドルの胸ぐらを掴む。

溢れ出した怒りを留まることを知らず、どちらも言い合いになってしまい、どんどん言ってはいけない方に行く。


「リーダーが仲間を危険な目に合わしてること、気付かないんですか?あなたの暴走に僕達を巻き込まないでください」


そして、イライラ、ストレス、不満、それらの負の感情が一気に爆発した。


「そうかよ。お前が俺のやり方に気に食わないって言うなら、出てけよ」

「………っ!」

「かつ!?何を言っておるのじゃ!」

「デビは黙ってろ!俺とこいつの問題だ」

「それは、本心ですか?」

「ああ、分かりやすいようにはっきり言ってやるよ!お前はもう仲間じゃ――――ぐぼっ!?」


その瞬間、ほおに強い衝撃が走り、そのまま壁に激突する。


「ぜっちゃん!今、何て言おうとした!?なあ、今なんて言おうとした!」

「ふ、ふえっ?」


突然の出来事で脳が追い付かない。

俺、殴られたんだよな。

リドルに…………


「ねえ、聞いてんの!?あんた、自分が言おうとした言葉の意味分かってる!?」


殴ったのはリドルじゃない?

もしかして、リツ!?


「その言葉、ミノルを傷付けることにもなるんだよ!」


そして、俺はその言葉でようやく状況を理解できた。

俺の上に乗って胸ぐらを掴むリツの顔は今まで見たこと無いくらいものすごい剣幕で俺を怒鳴る。


「何で、ミッちゃんが結婚を受け入れたか分かる!?皆を守るためだよ?皆が大切だから!傷付けさせたくないから、自分の身を犠牲にして皆を守ったんだよ?それなのに何で当の本人達は、守ってくれたミッちゃんの事で喧嘩してるの!こんなことミッちゃんが望んでると思ってるの!?」


俺の胸ぐらを何度も揺すり、この度に俺は床に頭をぶつける。


「わ、分かったから!ちょっと落ち着け!頭ぶつかってる!」


その時、顔に冷たい感触が俺の頬を伝う。


「お願いだから、ミッちゃんをこれ以上傷付けないで………これ以上悲しませないで………皆がここでパーティーを解散させたら、ミッちゃんは何のために自分を犠牲にしたの?これじゃあ、ミッちゃんが浮かばれないよ」

「リツ…………」


リツの涙が何度も何度も俺の頬を伝う。

そうか…………俺達は忘れてた。

仲間の大切さをミノルの伝えたかったことを。

俺はリツの涙を拭き取る。


「ごめん、リツ。俺が間違ってた。自分だけ突っ走って、仲間の事を何にも考えてなかった。いや、考えたって気になってたのかもしれないな。本当に馬鹿なことをしてたよ」

「ぜっちゃん…………」


俺はゆっくりと立ち上がる。

そして、リドルの目の前で頭を下げる。


「ごめん、リドル!……俺が間違ってた。自分が正しいと思ってお前の話を全然聞かなかった。リーダー失格って言われても仕方ないよな」


すると、リドルも頭を下げる。


「リドル!?何やってるんだよ!」

「相手が自分が間違っていると言って頭を下げているのに、間違っていることをした自分が下げないのはおかしいでしょう。僕もかつさんが居ない間に仲間を守ることが出来ずすみませんでした。元々僕がしっかりしていれば、こんなことにもなりませんでした。リーダーが居ない時に何も出来ないなんて仲間として恥ずべき行為をしました」

「リドル………」

「そ、それなら妾もそうじゃ!ミノルを守れず、ただ泣いてただけで何にも出来なかったのじゃ。ごめんなのじゃ!!」


そう言ってデビは綺麗な土下座をする。


「おおい!そこまでしなくても良いって!」


俺はすぐにデビの頭を上げるように言って、立ち上がらせる。

そして、俺達は互いに顔を見合う。


「皆、まだまだってことだよな」

「そうですね。僕達はパーティーとしてまだまだ未熟でした」

「妾も全然分かってなかったのじゃ。これからはもっともっと頑張るのじゃ!」


そう言って俺達は己の未熟さを認める。

そして、俺達は拳を突き出す。


「それじゃあ、やろうか」

「はい、やりましょうか」

「力を合わせてやってやるのじゃ!」

「「「仲間を助けるために、作戦準備だ!(です)(じゃ!)」」」


俺達は自分達のやるべき事を見つけることが出来た。


「よかった~ぜっちゃん達、ちゃんと分かってくれたんだ~」


リツは涙を流さなくなり、いつもの口調に戻った。

何か、強い人だな。


「ありがとなリツ。お前のお陰で仲間の大切さを改めて気づくことが出来た」

「私は、ミッちゃんの気持ちを代弁しただけだよ~」

「それでも、ありがとう。それじゃあ、もう1人の仲間を迎えに行く準備をしなきゃな。リツも手伝ってくれるよな」

「もちろんだよ~」


――――――――――――


俺達は机を取り囲んで話し合いをすることにした。


「それで、作戦を考えることになったけど正直言って、城に行ってミノルを連れ去るのは無理だ」

「たしかにそうですね。もう警備も厳重になってると思いますし、あの中で連れていくのは無理ですね」

「て言うか城に入る前にあそこの警備員に止められてしまうのじゃ」

「そもそも~借金がある時点で~ミッちゃんを連れていっても意味ないと思うな~」

「そうだよな。だとすると、ミノルを助けるにはお金が必要だな」


そのお金が4億ガルア、とんでもない大金なんだよな。

ていうか、また借金の事で頭を悩ませなきゃいけないとわ。

俺達が持ってた借金5億ガルアだって何ヵ月も頑張ってようやく払えたしな。

それより1億低いけど、どっち道そう簡単にはいかないよな。


「4億ともなると短期間では集まりませんね。ですが、無理に集めようとしても時間が掛かりすぎていつの間にか結婚してるって言うことにもなりかねませんからね」

「ミッちゃんは、ずっとあの城にいるんだよね~。城にミッちゃんが居るから油断して、結婚もまだしてないんだろうけど、ぜっちゃんも来ちゃったし、ミッちゃんの決心が揺らいでると思うんだ~。だから、結婚をもうそろそろするかもしれないよ~」

「どっちみち時間がないってことだよな。くそ、どうすれば」


俺が悩んでいるとリツが机を思いっきり叩く!


「よし!皆の気持ちが伝わったから~私も一肌脱ぐね~!」


そう言って、慌てた様子で出て行った。


「なんだ?何であんな急いでんだ?」

「さあ?分からんのじゃ」


リツが何をしようとしてるのか分からないため、その間にリツ抜きで話し合うこととなった。

しばらくすると、扉が勢いよく開いた。

そこには息を切らしながら何かを持っているリツの姿が合った。


「はあ、はあ、ただいま~っ」

「お、おかえり?ていうか、何処行ってたんだよ」

「店に行ってたの~これを取りに行ったんだ~」


そう言って白いアタッシュケースを取り出す。


「なんじゃこれは?食べ物が入っておるのか?」

「違うよ~食べ物よりも~素敵な物だよ~」


そう言って、そのアタッシュケースを開ける。


「……………な、なんだこれ!?」

「これは、もしかして………」

「そうだよ~この中全部で1億ガルアだよ~」

「い、1億ガルアじゃとー!!」


そう、その中には1億の金貨が敷き詰められていた。


「もしかして、使っていいのか?」

「もちろんだよ~」

「でも、いいんですか?こんな大金」

「ミッちゃんを助けるためならこのくらい平気だよ~」

「でも、何でこんな大金持ってるんだ?」

「昔はね~私だって中々強かったんだよ~」

「つまり、昔に依頼で稼いだお金なんですね」


すると、デビが金貨を1つ手に取る。


「でもこれだけじゃ、足らないのじゃ」

「後、3億ガルアか…………リツが出て行った後、色々考えたんだけど、いい案が思い付かなくてな」

「依頼を順当にやったとしても、1年は平気で行くんですよね」

「そんなの難しいクエストをやれば簡単じゃ!」

「言葉で言うのは簡単だけどな、仲間が1人居ない状態でそんな難しいクエストをクリア出来るとは思えない」


ミノルはこのパーティーのなかでも主戦力だ。

ミノルが居ない中で高難易度の依頼は引き受けられない。


「となると、正直言って可能性があるのが賭け事ですかね」

「と、言う結果になったんだけどどうかな?」


これは文字通りギャンブルになってしまうが、正直言ってこれ意外何にも思い付かない。


「う~ん、却下だね~」

「駄目ですか」

「いや、確かに危険だが、これ以外他にあるのか?」

「大丈夫だと思うよ~だってぜっちゃんは黒を倒した男なんだから~」

「なに言って…………」


その時、ドアを叩く音が聞こえた。

皆の視線がその扉の方に集まる。


「ん?誰じゃ、こんな時に?まさか、泥棒か!?」

「泥棒はドアから来ねえよ。俺が出るよ」


ミノルはあり得ないし、いったい誰だ?

俺は叩かれているドアを開ける。

そこには女性が立っていた。


「あっ!よかったです。中々出ないので留守だと思いました。それじゃあ、これをどうぞ。では」


そう言って大きな箱を置いて行き、行ってしまった。

突然のことで俺はただ呆然と先程渡された箱を持ったまま彼女の背中を見続けることしか出来なかった。


「何なんだ一体?」

「なんじゃなんじゃ?物凄くデカイのう」

「何かの荷物ですか?」

「多分な。ん?報酬金?えっと………黒の魔法使いトガ捕縛の報酬金!?」

「ちょっと待ってください!黒の魔法使いのトガですか!?たしか、トガの懸賞金は……」

「「3億ガルア!!」」


俺とリドルは互いに顔を見合わせて、早速中身を確認する。


「くそ!なんだこれ!?開かないぞ!」

「大金だから、そう簡単に開かないようになってるんですよ。そこの手形に手を当ててください」

「手形?」


箱の真ん中に手形のような物がある。

俺は恐る恐る、そこに手をかざす。

その瞬間手形が光出すと箱がゆっくりと開いた。


「うおおお!!」

「金ピカじゃ!お金がザックザックなのじゃ!」

「これは間違いなく、3億ガルアですね」

「じゃあ、これで~」

「借金返済が出来るぞーー!!」



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