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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十章 奪われた花嫁
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その十七 かつの探索2

「おい、この階に侵入者が来てるのはホントか?」

「1階の見回りから情報が来たので恐らく」

「くそっ!どこに行きやがった。おい、あっちの方を見に行くぞ!」

「はい!」


そう言って2人の見回りはその場を離れた。

俺はキチンと居なくなったのを確認して姿を現す。


「よし、行ったか……ふう、きついな。見つかったせいでずっと気を張ってなきゃいけないし、休む暇がないな」


まっそれも俺が見つかったのが原因なんだけど。


「あ〜!いつまでも後悔してても仕方ない!とりあえず早く上に行ってミノルに会えればそれでいいんだ」


そう思い、3階に向かおうとしたその時後ろでなにかの気配を察知した。


「お前が侵入者か?」

「っ!?」


その声を聞いた瞬間、とっさに後ろを振り返る。


「なるほど、まだ若いな。なんでここに侵入してきた」


見ただけで分かる。

こいつは他の見回りとはレベルが違う。


「俺はミノルを助けに来たんだ。すまないけど、そこをどいてくれないか?」


だが、その男は動く様子も見せず、ニヤリと笑う。


「俺はこの城の警備をしてかなり経つ。それなりに腕っぷしも強いぞ。そんな俺から見て、お前は俺より断然格下だ。ここまで来たのは褒めてやるが大人しく帰ったほうが身のためだぞ」


そう言って、余裕の笑みを浮かべる。

完全に舐められてるな。

まっそれもそうか。

俺の表の魔力は1だし、弱いと思うのが普通だよな。

まっそう思ってる奴ほど倒しやすいんだけどな。

俺はゆっくりと相手の方に歩み寄る。


「向かってくるっと言うことは戦う意志があるということだな?」

「しょうがないだろ。俺はミノルを助けに来たんだから逃げるわけには行かないし、お前はそこを退く気は無いんだろ?」

「はっはっは!勇気だけは認めてやる!だが、現実は酷だぞ!」


その瞬間男は大きな高笑いと共にこっちに走ってくる。

それを見て俺は右手に魔力を集中させる。

威力は最小限で、周りに衝撃があまりいかないように一転集中して……撃つ!


「インパクト!!」

「っ!?がは―――――」


男はそのまま空中に投げ飛ばされ、天井に衝突した。

その瞬間、城が大きく揺れ出す。


「しまった!結構弱めに撃ったつもりだったんだが……まあ、すぐに逃げれば大丈夫―――」

「見つけたぞ!行けー!」

「うおっ!?何でこんなにいっぱいいるんだよ!」


いくら何でも、来るのが早すぎだろ!

あっそうか、元々俺がこの階にいる事を知っていたからすぐ来れたのか。

どっちみち早く逃げよ!

俺はとりあえず全力で大量の見回りの人達をまこうとするが中々まくことができない。

やっぱり人数が多すぎる!


「これじゃあ、きりがないな。こうなったら!」


俺は急旋回して、見回りの人達の方を向く。

そして見回りの人達の近くに魔法陣を展開させて………魔法を放った。


「インパクト!!」

「ぐわぁぁ!!」


インパクトによって吹っ飛んだ見回りの人達を確認して、俺はその場を離れた。


―――――――――――――――

「おい、まだ見つからないのか!」

「すみません!現在捜索中でして……」

「つべこべ言わずに早く探して来い!」

「わ、分かりました!!」


……足音が止んだな。


「よし、行ったか」


俺は部屋の中に隠れて何とか追ってから逃れている。

そして、目の前に階段があるという所までやって来たが、階段の所には誰かが待ち構えている。

険しい顔で周りを見渡している。

見つかれば少々厄介なことになるのは明白だ。


「だけど1人だけなら何とかなりそうだな」


俺はその人以外誰か居ないか、ドアを少しだけ開けて確認する。


「よし、居なさそうだ。それなら、ワープ!」


俺はワープで階段の前に居た男の後ろにワープする。


「ん?今後ろに――ぐふっ!」


俺はその瞬間首を絞めて口を掌で覆う。

そして、掌の下で魔法陣を展開させる。


「ウォーター!」

「がぼっ!?がぼぼぼ!!」


まずは口の中を水で一杯にして、その次にまた掌に魔法陣を展開する。


「アイス!」


そしてその水をすべて凍らせる。


「…………!?」


口が凍っているので声も出せず、息も出来ないのでその場で苦しそうに悶える。


「よし、これで大丈夫だろ。これだけ、騒ぎになってるし、すぐに見つけてくれるさ。それじゃあな」


俺はその人を地面に置いて、3階の階段を駆け上がる。


「ふぅ、やっと3階だな。それにしてもあいつらは大丈夫なのだろうか」


リドルは大丈夫だろう。

あいつは用心深いし、慎重な男だ。

何よりしっかりしてるし、そう簡単には捕まらないだろう。

心配なのはむしろあいつの方だ。


「デビ、あいつ大丈夫だろうな。捕まってないか心配だな」


まあ他人の心配してる場合じゃないよな。

それで、俺が捕まったらあいつらに顔向けできない。

リーダーとしてしっかりしねえとな。

すると廊下から話し声が聞こえる。

やべっ隠れないと。

俺はとっさに物陰に隠れる。


「侵入者が出たらしいな。おいおい、大丈夫なのか?」

「今まで侵入者がいたことなんて無かったもんな。突然城をほっといてどっかに行っちまう事もあるし、あの人が王で本当に大丈夫なのか?」

「しっ!聞かれたらどうすんだよ。俺達の首も飛ぶぞ」

「悪い悪い。しーだな」


そう言ってそのまま通り過ぎていった。

どうやら現王に不満があるみたいだな。

俺は実際には見たことが無いが、リドルが言うに俺達と同じ位の青年らしいし、まだ若いのもあってあまり向いてないのかもしれないな。

まっこの島の王で俺より背がちっさい奴はいるがな。


「とりあえず、この建物からしてまだ上の階があると思うし、早く上に行くか」


そう思い、早速移動しようとした瞬間、誰かが俺の近くを通りかかる。


「っ!?……あ、あぶねえ……この階、他の階よりも少し狭いから出会う確率が上がるのか。そうなったらマジでうかつに移動できないな」


だが、ここで諦めるわけにはいかない。

何度も言うが、俺がここに来たのはミノルを助ける為だ。

そう簡単には諦めるわけにはいかない。


「こうなったら、ワープで移動して行くしかないな」


本当はやりたくなかった。

移動は早くなるが移動する方向に魔法陣を展開させなきゃいけないし、死角があったりして、ワープした瞬間鉢合わせしたりしてしまうからだ。


「それでも、やるしかないよな。ワープ!」


俺は自分が視認出来る範囲でワープする。

人は居ない、よし!この流れで。


「ワープ!ワープ!ワープ!」


俺は慎重かつ素早く魔法陣を展開して行く。

そしてだいぶ移動してから少し休憩をした。


「よし、大分移動したからそろそろ階段が……あった!」


少し離れているが、この距離なら走っていけるな。


「よし、さっさと行こ――いっ!」


その時少女漫画のシチュエーションみたいに曲がり角で誰かとぶつかった。


「いった!いてて、すみません。こちらの不注意で………」

「いや、俺もろくに確認せずに走ってしまったので……」


だが、これは少女漫画でも何でもない、ただの現実なのだ。

そして、俺がいる場所は絶対にぶつかっては行けない場所なのだ。


「え?」

「あれ?」


俺達はお互いに目が合い、そして次の行動はそれぞれ違っていた。

叫ぶ者と止める者、その行動をするのは明白だった。


「し、しん……」

「やめ、ろー!」


俺はギリギリの所で相手の口を抑える。

よし、何とかこれで叫ばれる事はない。


「おい、どうした?何かあった……」


一難去ってまた一難ということわざがあるように、俺みたいな奴にはこんな所で終わるわけが無かった。


「っ!?」


や、やめ……!!

俺は何とか手を伸ばしたが、それが届く訳もなく。


「侵入者だーー!!」


その声が高らかに響き渡った。


「くそっ!ワープ!」


俺はすぐにその場を離れる。

とりあえず、出来るだけ遠くに逃げよう。

そう思った瞬間、目の前に見回りが現れる。


「あっ!居たぞ!」

「やばっ!」


俺はすぐに来た道を戻る。

くそ、駄目だ。

この狭い廊下じゃすぐに見つかる。

こうなったら一か八か。


「鉢合わせしませんように!」


そう思い、俺は近くの扉のドアノブに手をかけるのだった。


かつの階層[3階]

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