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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二章 魔法を極めて最強に!!
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その六 決着

「逆転?あんた本気で言ってんの」

「ああ本気だ」

「この状況でどうやって逆転するのよ。ただの時間稼ぎなら無駄よ」

「それはどうだろうな」


俺の発言が嘘じゃないと思ったのか、警戒するように足を広げすぐ動ける体制に入った。

どうしようホントにこの作戦でいくか?

かなり賭けになるしやっぱり他でいくしか……でも他に思い浮かばないしな。


「どうしたの立ち止まって、やっぱり嘘だったのね」

「嘘じゃねぇよ。ちょっと考え事してただけだ。それじゃあ行くぞ」


やってみなくちゃ分かんないよな。


「まずはウオーター!」

「さっきと同じ魔法……こんなの簡単に避けられるわよ!」


サクラは宣言通り簡単に魔法を避けていく。


「まだだ!アイス!」

「またさっきと同じ魔法……ふざけないで!同じ魔法が効くわけ無いでしょ!勝つ気がないのならさっさと負けを認めなさいよ!」


なめられてると思ったのか怒りをあらわにして怒鳴り散らして来る。

そうだ、怒れ怒れ、そうすれば怒りで注意力を失う。


「おいおい何を怒ってるんだよ。俺は真剣に戦ってるぞ」

「それが真剣に戦ってるって言うのならあなたの戦い方は、とてもじゃないけど見てられないわ。さっさと出てって……何これ地面が凍ってる」


よし無事地面を凍らせられたぞ。

これであいつの動きはかなり遅くなるはずだ。


「なるほどねぇ……地面を凍らせば私が滑って動きが鈍くなるってことかしら」


俺の意図を理解したのか、先程よりも表情が柔らかくなり冷静な口調に戻った。


「そうゆう事。真剣に戦ってただろ」

「そうね。でも……まだ私が優勢なのは変わらないわ」


そう言いながらも、俺の手をじっと見てるあたり警戒心は高いようだ。


「そうだな。だけどここからだ。アイス!」


俺はしゃがんで靴の裏を少し凍らせた。

ちょっとバランスを取るのが難しいがこれで早く動ける。

そのままバランスを取りながら後ろに手を突き出した。


「何その姿?頭を使い過ぎて壊れちゃったの?」

「お前……いちいちムカつく事言うなぁ〜。まっそう言ってられるのも今の内だけどな」


俺はそのままの体制でぐっと構え後ろに突き出した手を凍っている床の方に向けた。


「待ってろ!今からそっちに行くから!」

「あんた何言って……」


俺はゆっくり呼吸をして


「ウィンド!!」


魔法を叫んだ。

その瞬間俺の掌から風が勢い良く出て物凄いスピードでサクラの方に向かって滑った。


「はやっ―――――!」


サクラは予想外だったのか少し反応が遅れている。

このスピードなら行ける!

俺はサクラに狙いを定めて。


「タッチ!!」


俺はその勢いのまま壁にぶつかった。


「痛ってぇ〜」


確実に触ったそう思っただけど……


「避けられた……」

「危なかった。油断してたけどこれでもずっと修業してたのよ。あのぐらいのスピードなら氷の上だろうと避けられるわ」


くそ!確実に決まったと思ったのに、あいつのスピードをなめてた。


「ふっ、もしかしてもう終わりかしら」


するとサクラは俺を鼻で笑った。


「くそ……もう…」


何も作戦が思いつかない。

あれが駄目ならもう勝てないだろ。

諦めるしかないのか。


「どんな気分?絶対に上手くいくって思ってた作戦があっけなく潰されるのは」


こいつ調子乗りやがって!


「……お前をぶっ飛ばしたい気分」

「それは残念ね、ぶっ飛ばせなくて」


今すぐ飛び掛かって殴り飛ばしたいけどすぐ避けられるだろうな。

ていうかあんだけ足早いなら魔法の方がまだマシだったんじゃねえのか。

くそ!せめてあいつが止まってくれたら。

欲を言えばこっちに来てくれたら尚更いいんだが。

………待てよ。もしかしたらコッチに来させられるかもしれないな。


「なあ1つ聞いていいか」

「何?」

「この勝負の内容ってもしかしておまえが有利な内容だよな」


するとサクラが一瞬言葉に詰まった。


「……そうよ。もしかして勝負の内容が公平じゃないから無しって言いたいの?」


やっぱりか、おそらくこの勝負を挑んだのは魔法があまり得意じゃないからだな。

だから足の勝負、つまり鬼ごっこにしたってことか。

ならこれは使えるぞ。


「いやそう言う事じゃなくてさ〜もしかしてお前って実は負けるのが怖かったのかな〜と思って」

「は?どう言うこと」


その言葉を聞いてサクラの眉がピクリと動く。

いいぞ、反応してるな。


「いやだってよ〜、自分が有利の内容にするってことは負ける可能性を少なくしてるって事だろ。てことは負けるのが怖かったのかな〜と思って」


俺はサクラを怒らせる為にわざとだるそうに話、苛つかせた。


「言っている意味がよく分からないんだけど。私がいつ負けるのが怖いって言ったの?」

「口では言ってないけどこの勝負の内容を考えてみたらそう思ってな。違うか?」


これで怒ってくれれば逆上して襲って来るはず。

さあ……怒れ!


「へぇあんた私に喧嘩売ってんの?」

「いやいや別にそんな事無いぞ。ただ思ったことを聞いただけだよ」


よしいいぞ口調もかなり変わってきた。


「それが喧嘩売ってんのよ!!そっちがその気ならいいわ。受けてあげる!ほら!早く来なさいよ!」


くそ惜しいな。

起こっているがまだ冷静だ。

まだ自分から行こうとは思わないか。

だったらもうちょっと揺さぶるか。


「なんで俺が行かなきゃいけないんだよ。来るならお前が来いよ」


俺は挑発するように手を動かした。


「そんな見え見えの魂胆に騙されると思う。あんたの所に行く訳無いでしょ」

「何だ、ビビってんのか?」


すると鋭い目つきでこちらを睨みつけてくる。


「はあ?ビビる訳無いじゃない。あんたの所に行ったら触られるから行か無いのよ」

「そんな無理して言い訳しなくてもいいんだぞ。あっもしかしてホントはそこまで強くなかったのか。だとしたらゴメンな恥かかせるような事しようとして」

「あんたねぇ〜!!こうなったら私絶対そっちに行かないから!」


逆効果か?

いや、そうは言いつつかなり苛立ってる、後もう少しのはずだ。

これで決める!


「弱虫だなぁ〜」


するとサクラは静かに聞き返してきた。


「……今なんて言った」

「弱虫って言ったんだよ」

「………違う」


ボソボソと言っていてよく聞こえない。


「え?今なんて―――」

「私は弱虫じゃない!!!」


するとサクラが物凄いスピードでこっちに向かって来た。

作戦は成功したが想像以上に怒こってしまったでも――――


「俺の勝ちだ!!」

「はっ!しま――――――」


俺の言葉で我に返り、後ろに戻ろうとする。

だが、もう遅い。

俺はその瞬間を見逃さず、すぐにさっきと同じようにしゃがんだ姿勢で風の魔法を唱えた。


「ウィンド!!」


物凄いスピードでサクラのもとに突っ込んで行った。


「今度こそタッチだ!」

「くっ――――!」


俺は思いっきり手を伸ばし後ろに戻ろうとしているサクラの横を通り過ぎた。

そしてその勢いのまま、また壁にぶつかった。


「いててて、また止めるの考えるの忘れてた。でも……肩に触ったぞ!」


ギリギリだったけど触った感触は確実にあった。

サクラは触られたのが余程ショックだったのかその場で立ち尽くしている。


「まさか私が口車に乗せられるとわね。私の負けよ」


言葉では負けを認めているが、手を強く握りしめたり、歯を食いしばってたりしてるあたり悔しさはあるようだ。


「ありがとな。後悪口言ってゴメンな。お前は弱くはないよ十分強い」


俺の言葉が予想外だったのか、顔がキョトンとしている。


「え、あ、あんたに言われても嬉しくないけど……まあ一応ありがとって言っておくわ」


素直じゃないな。

まあ別にいいか。


「どうやら決着はついたようじゃな」

「ああ……」


するとサクラが申し訳なさそうに、顔を俯かせる。


「おじいちゃん、ごめん負けちゃって」

「いいんじゃよ別に生徒が増えることはありがたいしの」

「うう……!本当にごめんなさい……」


サクラは泣きながらダリに抱きついていた。

ダリはそんなサクラを優しく頭を撫でる。

口ではあんな事言ってたがやっぱり悔しかったのだろう。


「かつ大丈夫なの?そんなボロボロで」


ミノルが心配そうな顔で近付いて来た。


「いや、体中痛いな」


そう言いながら俺は1番痛みがある頭を擦る。


「そりゃああんなに壁に勢い良くぶつかれば痛いでしょう。何も考えずに突っ込んで行くからよ。ほら包帯巻いてあげるからこっち来て」


そう言うとミノルは包帯を頭に巻いてくれた。


「しょうがないだろ後の事考える余裕なかったし。ありがと」


するとダリが俺達に祝福の言葉を投げかけた。


「合格おめでとう。今からお主らはわしの弟子じゃ。今日は帰って明日から修業をする。それじゃあ今夜はゆっくり休むのじゃよ」


明日から修業か………


「分かった。それじゃあ明日からよろしくな師匠」

「ああ明日はビシバシ行くから覚悟するが良い」


そう言ってニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

マジかよあんまりきついのはやりたく無いのだが、まあ修業だししょうがないか。


「それじゃあかつ明日また会いましょう。傷…ちゃんと治すのよ」

「分かってるよ。お金も結構溜まってるし薬とか買って帰るよ」


それでも納得しないのか少し心配そうな顔を見せる。


「それなら良いけど……それじゃあね」

「ああじゃあな」


俺はミノルと別れを済ませ薬を買いに行く事にした。

もう外はすっかり夜だな。

とりあえず薬でも買って行くか。

その瞬間俺の肩を誰かが掴んだ。


「何か用ですか――――」


その瞬間知らない人にいきなり肩を組まれた。


「え?」


状況を理解出来て無い状態でその男が喋りだした。


「俺の質問だけ答えろ。それ以外は何も喋るな」


なっ何だこの人。

フードを被ってよく見え無いが何かヤバイオーラがする。

声の低さからして男か?


「お前は黒いスライムを倒した魔法使いを知っているか」

「黒い…スライム…」


それって俺が倒したあの黒いスライムだよな。

何でコイツが知ってるんだ。


「早く答えろ!」


恐怖で体が動かない。

これは大人しく従った方がいいな。


「えっと……知らないです」

「………そうか。済まないな時間を取らせて」


そしてその男はすぐに何処かに消えていった。


「………なっ何だったんだあいつは」


今でも心臓がバクバクしている。

あのまま正直に答えていたらどうなってたんだろう。

いや、考えるのはやめよう。


「今日は色々あって疲れた。早く薬買って帰ろう」


俺は薬を買ってそのまま家に帰った。



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