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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十章 奪われた花嫁
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その三 久しぶりの仲間達

「えっと……縛る物、縛る物……まあつるでいっか」


俺は少し歩いた先にある森の中にある木のつるでトガの手首と足を縛る。


「よっと、重たいな。それじゃあ魔法協会に寄ってこいつを引き取ってもらうか」


何か、実感沸かないな。

俺が黒の魔法使いの1人を倒したなんて。

夢みたいだ。

でも、何回も頬つねっているが痛いし夢では無いだろう。


「本当に強くなれたんだな、俺」


その瞬間何故か涙がこぼれ落ちる。

気が緩んでしまったのか、とにかくもう一度気を引き締めなければ。


「………泣いてる場合じゃないだろ。まだこれからなんだから」


俺は自分の頬を叩き、魔法協会に向かった。


―――――――――――――――

「え?ちょっとあれって」

「いや、無いだろ?」

「だよな、まさかな」


魔法協会に入った瞬間皆俺を見て何やらザワザワしている。

ここに来る前にも何か周りの人達がヒソヒソと話していたし、まあ予想は出来たけど。

そりゃそうだよな、何せ3億の賞金首だしな。

そりゃ驚くのも無理は無い。


「ルルさん、久しぶりです」

「あ、かつさん久しぶりですね……えっと、その肩に乗ってる人ってもしかして……」

「そうです、黒の魔法使いの1人トガです」


その瞬間、野次馬が一斉に近寄ってくる。


「ね、ねぇ!ちょっと触ってもいい?」

「なんか今にも暴れだしそうだな」

「すげぇ!本物じゃん!」

「皆さん!!離れてください!この人は重要指名手配犯ですから近づかないで!!」


そう言ってルルさんが野次馬を退かそうとするが、中々散らない。


「はいはい、どいたどいた!警察が来てんだ、散れ散れ!」


そう言ってウルフが警察を連れて野次馬を散らす。

それにより周りの人たちは消えてウルフが警察と共にやって来る。


「ウルフ!?何で警察を連れてんだ?」

「かつがそいつを連れて魔法協会行くのを見たんだよ。それで警察が必要だと思って連れてきたってわけ」

「ウルフ……お前すごいな」


さすが出来る女は違うな。


「それでは少し見せてもらってもよろしいですか」

「あ、はいどうぞ」


警察の人が縛られているトガをまじまじと見る。


「よし、本物だな。おい、こいつを拘束して連れて行け!」

「「はい!!」」


そう言って、よりしっかりした高速器具でトガを縛り付ける。

あれなら起きたとしても逃げることは出来ないだろう。


「それにしても凄いですね。まさか、黒の魔法使いを連れてくるなんて」

「実はここ1年修業してたんですよ。ほら、筋肉ついたでしょ?」

「確かに何だか男前になったんじゃないか?」

「ほんとか?いやあやっぱり成長するもんだな。そういえば、報酬の方なんですけど――――」

「おい!絶対かつ!!」


その声と共に誰かが俺の方に走ってくる。


「おい、その男を止めろ!!トガが逃げたぞ!!」


へ?トガ?トガ!?

声に気を取られている間にいつの間にか誰かが俺の目の前で捕まった。


「よし!捕まえたぞ!早く拘束しろ!」

「トガ!?何でお前……ていうか何しに来たんだよ!復讐か!?」


トガは体を床に伏せられたまま頭だけを上げて、こちらを睨み付けてくる。


「今更お前に復讐しようとは思わねぇ!だがな絶対かつ、これだけは覚えておけよ!!黒の魔法使いに手を出すって事は、いつ殺されるか分からない恐怖を背負うってことだぞ!」

「おい!早くこいつを拘束しろ!!口を押さえつけろ!!」

「せいぜい足掻けよ。絶対かつ!ははははは!!」

「早く連れてけ!!」

「は、はい!」


そして今度こそトガは連れてかれた。

あいつ、最後まで騒がしいやつだったな。

すると、ウルフが心配そうにこちらに歩み寄ってくる。


「えっと……かつ大丈夫なのか?何なら私が守ってやろうか?」

「いや、大丈夫。それはもともと覚悟してたから」

「言うようになったじゃんか!見直したぞ!」


そう言って俺の背中を強く叩く。

痛いんですけど。


「何だ少年、久しぶりにあったと思ったらいきなり絶体絶命だな」


いつも通りのテンションでアカリがやってきた。


「久しぶりだな。アカリも何にも変わってなさそうで安心したよ。悪い意味でな」

「少年は手厳しいな。それより今回の報酬金はかなりの額なんじゃないか?」

「そうそう、その話なんだけど、いつくらいに報酬金もらえるんだ?」


正直3億なんて大金すぐに貰えるとは思ってない。

まあそんなに早く欲しいとは思ってないし、時期くらいは知っておきたい。


「そうですね、報酬はきちんと支払います。でも、すぐには払えないんですよね」

「やっぱりそうですよね」

「額も額何で直接は手渡せないんですよ。家に直接送ることになると思います」

「分かりました」


家に帰ったらあいつらに教えてやるか。

多分大喜びするだろうな。


「少年!顔がニヤついて気持ち悪いぞ!」

「おい、何故わざわざそれを言う。それじゃあ俺もう帰ります」

「あっそういえばミノルさんとリドルさんとデビさんは何かあったんですか?」

「へっ?どうしてそんな事を?」

「最近来てないんですよね。それで、何かあったんじゃないかと思って」


最近来ていない?

もしかしたら俺がいないから気を使って依頼を受けてないのか?


「多分大丈夫だと思います。俺もしばらく会ってないから分かりませんがあいつらはそう簡単にはくたばりませんし」

「そうですね。ふふ」


すると何故かルルさんが笑みを浮かべる。


「どうかしましたか?」

「何だか嬉しそうですね」

「え?そうですか?」

「確かに仲間の話をする時のお前、特に嬉しそうだよな」

「いやいや、別にそんなことないだろ」


そんなことないよな?


「確かに少年はニヤニヤしながら話してるから、普通にセクハラしてるように見えるぞ!」

「アカリ、ちょっと黙ってろ!それじゃあもう行きます。あいつらも待ってるので」

「はい、皆さんにまたいつでも来てくださいって伝えといてください」

「分かりました。それじゃあ」


俺は魔法協会を後にしてすぐに家に向かった。

一年くらい経っているが意外と覚えているもんだな。

そしてついに我が家が見えてきた。


「やっと着いた。やっと会えるんだな」


俺は深く深呼吸をする。

緊張するな何せ1年ぶりだしな。

俺はドアノブを握りしめる。


「よし、行くか」


そして俺はゆっくりと扉を開ける。


「みんな!ただい――――」

「ミノルーー!!」

「ぐふっ!」


顔面に何かが勢いよく張り付いてきて、目の前が真っ暗になる。


「ミノル!!やっぱり妾達の事を見捨てなかったのじゃな!!良かったのじゃー!!」

「ちょ!デビかお前!?離れろって!前なんも見えないんだけど!」

「ん?何じゃミノル、声が少し低くなったか?」

「だからミノルじゃないって言ってんだろうが!!」

「ぎゃーーー!かつの幽霊じゃー!!」

「死んでねえから!」


こいつ、まじで帰ってそうそう騒がしいやつだな!

俺は何とかデビを引き剥がそうとすると、扉からリドルが出てくる。


「かつさんおかえりなさい。修業、無事に終わったみたいですね」


ようやくデビを引き剥がすことに成功し、リドルがきちんと見えるようになる。


「ああ、バッチリ強くなってきたぞ!それでミノルは何処に居るんだ?」


すると何故か皆黙ったままでミノルが何処にいるのか話さない。


「おい、どうしたんだよ皆。久しぶりの再開だってのになんか辛気臭い顔してるぞ」

「かつ………ミノルを助けてほしいのじゃ」

「え?それってどういうことだ?」

「かつさんとりあえず中に入りましょう。それからお話します。かつさんが居ない間に何が起きたのかを」



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