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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第九章 呪われた姫と呪いのモンスター
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その十五 クラガとポーション

「やっぱり、ここに居たのね。クラガ……」


私はテレポートで以前クラガ、ラルダと戦った森に来ていた。


「よく来たな。ミノル」


私が思ってた通り、クラガはその森にいた。


「以前あんた達のアジトがここって知ったからね」

「昔はな。今はもう拠点は別だ」

「じゃあ何で、ここに居るのよ」

「貴様がここに来ると思ってな。勘だ」


そう言って不気味に笑う。


「嘘でしょ。どうせ誰かに私達の後を付けてたんでしょ」

「……まっ流石に分かるか。それより体が少し赤いな。火傷でもしたのか?」

「話をそらさないで!私はそんな事を話にここに来たわけじゃない!」


私はクラガを睨みつける。


「……本当に貴様の目は獣の目だな。変わったな」


そう言って懐に手を入れると何かを取り出す。


「貴様が欲しいのはこれだろ?」


そう言って私にポーションを見せつける。


「そうよ。早く渡して!」

「恐喝か?俺がただで渡すと思うか?それは貴様が1番知っていると思うが?」

「くっ!お得意の交換条件ってやつ?元はと言えばあんたがマリクダに何かしなければ、ラミア様が呪いに苦しめられることは無かった!」

「マリクダは失敗作だ。相手を見境なく呪いにかける。あれじゃあ戦力にならない」


こいつ、自分のやった事になんにも責任を感じてないの!?

そうだ、こいつはそういう奴だった。


「何でマリクダをそのまま放置してたの?!」

「気付いた時には居なかった。失敗作だし、追う必要も無いと判断しただけだ」

「そのせいで犠牲者が沢山出てるのよ」

「半獣だろ?死んで当然だ」


っ!?

こいつ…………!

私は拳を力強く握る。


「そうやって、いつもいつも……何で命を軽く見るの!」

「別に命を軽く見てる訳じゃない。ただ半獣は死んで当然なだけだ」


顔色を一切変えずに、平気で命を奪うこいつらにまともな話なんて出来るわけ無かった。


「あんたを今更改心させようなんて思ってないわ。でも、そのポーションは渡してもらう」

「言っただろ?交換条件だ」

「あんたに渡す物なんて何も無いわよ。それでも渡さないって言うなら力ずくで奪う!」


私はクラガに杖を付き出す。


「何で、お前がそこまでする?依頼には無かったろ?報酬だけ貰えばいいだろ」

「あんたらには分からないだろうけど、目の前で助けられる命があったら、助けるのが普通でしょ!」

「……普通か、貴様がそんなことを言うとわな」


するとクラガは持っていたポーションをこちらに投げ捨てる。


「え!?ちょっ!」


私はそれを急いで受け取る。

本物だ、偽物じゃない。


「どういう風の吹き回し?あんたが素直に渡すなんて」

「特に意味はない。あのガキの妹が死んだら、報復に来るかもしれないからな。今、あいつの相手をしてる暇はない。一応ガキだがこの島の王の息子だ。単純な戦闘力で言えばこの島最強だろ。相手にするにはまだ早いと判断しただけだ」

「あっそ。安心して、黒の魔法使いは私がぶっ潰すから」

「やれるもんなら、やってみろ」


そう言って小馬鹿にする様な笑みを浮かべ、クラガは消えていった。


「……テレポート!!」


――――――――――――――――

「行く!俺は行くぞ!お前ら邪魔をするな!!」

「ガルア様!駄目です!勝手な行動は困ります!」

「うるせぇ、ハイト離せ!俺はあいつらをぶっ殺す!!黒の魔法使いー!」

「おいミカ!お前も手伝え!」

「いやぁー何か怖そうなんでやめときます」

「怖そうなんでじゃねぇよ!おわっ!?ガルア様!落ち着いて下さい!」

「にしてもミノルさん、どこに行ってしまったんでしょうか」

「ん?ミノル!帰ってきたぞ」


私が帰ってくるとそこはかなり荒れていた。


「えっと……とりあえずガルア様、このポーションを飲ませてください」

「ん?何だこれ?」

「いいから、早く飲ませてあげてください。本当に死んでしまいますよ」

「分かった」


ガルア様はすぐに蓋を開けて、ラミア様の口の中にポーションを流し込む。

すると早速効果が現れ始めて段々、体に刻まれた文字が消えてきた。


「……ごふっ!はあ……はあ…あれ?私……」

「ラミア!!」


ラミア様が目を覚ますと同時にガルア様が抱きつく。


「ちょっ!お兄ちゃん、苦しい……」

「ああ、すまん。でも、本当に治って良かった」

「でも何で?薬は効かなかったんじゃないの?」

「ミノルが持ってきてくれたんだよ。さすがかつの仲間だな!」

「ミノル……さんが?ありがとうございます」


そう言って、丁寧にお辞儀をする。


「いえいえ、そんなこと無いですよ。頭を上げてください」

「俺達からも礼を言わせてくれ。俺の妹を助けてくれてありがとう」


続けてガルア様とハイトとミカちゃんも頭を下げる。


「そ、そんな私ただやるべきことをしたまでです。だから頭を上げてください」

「うむ、苦しゅうない。おもてをあげい!」


その瞬間リドルがデビの頭を引っ叩く。


「ありがとう、リドル」

「いえいえ、お仕置きは僕に任せてください」

「よし!今日はお祝いだ!お前らも飲んでけ!」

「え?いいんですか?」

「やったぁー!豪勢なごちそうが食べれるのじゃー!」

「おい、お前ら料理を準備して来い!」

「分かりました、ガルア様」

「了解っす!」


こうして私達はガルア様の城で長い長い1日を過ごした。


―――――――――――――――

「はあ………ただいまぁ!」

「久しぶりの我が家じゃ!」

「やっぱり我が家が1番ですね」


私達はガルア様の城で1日を泊まらせてもらい、報酬を貰って家まで送ってもらった。


「それにしても料理すごく美味しかったわね」

「確かにそうじゃのう。でも、妾はやっぱり家の料理が1番かのう」

「まあそうね。確かにそうかも」

「そう言って頂けると作りがいがありますね。それじゃあせっかくですし軽く作りましょうか」


そう言って早速リドルはキッチンに向かう。


「妾、肉が食べたいのじゃー!」

「私はからあげでいいわよ」

「分かりました。それじゃあ待っててください」


そう言ってキッチンからジュ〜っと美味しそうな音が聞こえる。

私は懐からじゃらじゃらとなる袋を取り出す。


「それにしてもかなり報酬を貰えたわね。これでしばらくは大丈夫ね」

「それに何か別の依頼も貰ったしのう」

「それがかつが帰ってきてからでしょ。まだ貰ったとは言えないわ」

「そうじゃのう。早く帰って来ないかのう」

「そうね。私もそう思うわ」

「皆さん出来ましたよ!」


そう言って、机の上に私達がオーダーした食べ物が置かれる。


「待ってたのじゃ!」

「それじゃあ一段落ついた記念を祝してカンパ―――――」


ドンドン!


「ん?誰でしょう。こんな時間に」

「あっ私出るわ」


何気なく椅子から立ち上がり扉へと向かう。

そしてゆっくりと扉を開けた。


「どちら様―――――」

「ひさしぶりだね。ミノル」

「あ、あんたわ……」

「一緒に来てもらうよ」


この出来事をきっかけにパーティーが崩壊する事になるとはかつ達はまだ知らない。



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