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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第九章 呪われた姫と呪いのモンスター
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その十四 ラミアの生死

「うぅ……うぅ……」


私は現在、ガルア様の城で一時的に休ませてもらっていた。

ベットに横たわり頭に氷を乗っけてもらっている。

だけど相変わらず吐き気や頭の痛みが消えなかった。


「もぐもぐ、大丈夫か、もぐもぐ、ミノル?くちゃくちゃ、なんかくちゃくちゃ、食べるか?」


何か、すっごい食べてるんだけど。


「ありがとうデビちゃん。でも今は食欲が無いの。それと、心配してくれるのはありがたいんだけど、食べながらはやめよっか?」


その時誰かが中に入ってきた。


「失礼しまーす。あれ?お客さんここは飲食禁止なんですけど?はいっ没収しまーす」

「な!?返せ!妾のご飯じゃぞ!」


そう言ってデビちゃんが食べ物を取り返す為に女の子に飛びかかる。

だが、その人はそれをひらりと躱す。


「なにっ!?ぎゃっ!」


そのせいでデビちゃんは地面に激突した。


「いくらお客さんでもここのルールは守ってもらいますからね」


そう言ってテビちゃんから没収した食べ物を全部口の中に入れて1口で平らげた。

自分も結局食べちゃってるような。

すると女の子はこちらに気づいたのか歩み寄ってくる。


「どうですか?元気になりましたか?」

「え?ああ……まだ何とも言えないですね」

「ガルア様が元気になるまでここに居ていいぞって言ってましたから、ゆっくり休んで下さいね」


そう言って笑顔を見せる。

何か愛らしいわね。


「あの、あなたは誰ですか?」

「ああ、紹介がまだでしたね。私はガルア様の左腕でもあり、そして十二魔道士のミカです!」


そう言って決めポーズを決める。


「えっと……十二魔道士なの?」

「はい!十二魔道士ですよ」


十二魔道士にしては若いような気がするわね。


「ごめんなさい。失礼なんだけど何歳なの?」

「今年で16です」

「16!?私とほぼ同い年じゃない!」

「え?そうなんですか?ちなみにミノルさんは何歳ですか?」

「私は17よ」

「17ですか。なら私の先輩ですね。よろしくお願いしますミノル先輩」


そう言って私の手を握る。


「よ、よろしくね。それにしても16歳で十二魔道士になるなんてすごいわね」

「はい、私天才なんで」

「え?」


そう言って清々しい程はっきりと宣言した。


「まあ、当然の結果ですよね。皆とは生まれた時から一目置かれてましたし、それにもうちょっと早く十二魔道士になっても良かったんですけど、誰かの右腕とか左腕にならなきゃいけないじゃないですか。それがちょっと面倒くさくて。でも、ガルア様は変な規則とか無く頼まれた事をしっかりやってくれれば後は自由にしてくれて良いって事でここにしたんですよねー」

「そ、そうなの……」


この子自分が天才って思い込んでるのかしら?

まあこの年齢で十二魔道士になってるんだから天才かもしれないけど、あまり自惚れてると足元掬われるわよ。

ここは先輩としてアドバイスしてあげましょうかね。


「ミカちゃんは確かに凄いけどそれで自惚れては駄目よ。ここから先もっと辛いことが沢山あるんだから、ここで満足しないでもっと先を見るようしなさい」

「なるほど、先輩は先を見てるって事ですね。まあ、でも私は大丈夫です。ハイト先輩もおんなじ様な事言ってましたけど辛くなった時も無いですし。それにハイト先輩がピンチになった時とかも助けてあげましたしね」


ハイトあんたはしっかりして無いと駄目でしょ。

まあでもこの子は実力がしっかりしてるし大丈夫かしらね。


「まあ心配ないなら良いんだけどね」

「妾のご飯が……」


そう言ってトボトボと顔を赤くしたデビちゃんが帰ってきた。

さっき床で顔を擦ったのかしら。


「大丈夫?顔が赤くなってますよ。お客さん」

「誰のせいだと思っておるのじゃ!妾のご飯を返すのじゃ!」


そう言ってミカちゃんの服を引っ張る。


「いや、だからここでは飲食禁止なんですよ。そもそもルールを破ったお客さんが悪いんですからね」

「妾の名前はデビじゃ!お客さんでは無い!」

「いや、別にどうでもいいですよ。ていうかデビ……でしたっけ?どう考えても年下ですよね。私の事はミカ先輩と呼んでくださいね」

「な、何でじゃ!じゃあ妾の事もデビ先輩と呼ぶのじゃ」

「いやいや、年下が先輩はおかしいでしょ。まあデビはあんまり礼儀を知らなそうな感じがするから常識を知らないって事か」


そう言ってデビちゃんの心をえぐる。


「なっ!?妾が礼儀知らずじゃと!そんなわけ無かろう!妾は礼儀を知り過ぎてもう妾自身が礼儀になるくらいじゃ」


う〜ん、ちょっと何言ってるか分からないかな。


「そんなに言うんだったら私の事をミカ先輩って呼んでよ。それが礼儀だから」

「ふっ!任せるのじゃ、ミカ先輩」

「うん、その調子、その調子」

「ミカ先輩!」

「もういっちょ!」

「ミカ先輩!!」

「最後に!」

「ミカ先ぱーーい!!」

「何やってんだお前ら?」


そこには呆れた顔をしているハイトが居た。


「あっお疲れ様です。ハイト先輩」

「お疲れ様ですじゃねぇよ。いくら後輩がいないからって子供に何言わせてんだよ」

「だってえ〜先輩って呼ばれてみたかったんですよ〜」


だからデビちゃんに先輩って言わせてたのね。


「お前は一生後輩だ。来い、ガルア様が呼んでる。お前らもだ」

「そこにご飯はあるのか?」

「さっき食べさせたろ。それで我慢しろ」

「ミカ先輩に取られたのじゃ」

「めんどくさいことしやがって。とりあえずデビ、お前は静かにしてろ。ミカ、ニヤニヤすんな」


先輩と呼ばれて嬉しいのかミカちゃん、先輩って呼ばれるたび凄いニヤケが止まらないわね。


「それと、ミノルお前は行けるのか?」

「大切な話なんでしょ?大丈夫、多少は動けるわよ」

「そうか、なら急げコイツラが変な事をやらかす前に終わらせたい」

「ハイトまだ恥ずかしがっておるのか?髪の毛が真っ赤じゃぞ」

「違うよデビ。ハイト先輩はイメチェンしようとしたけど失敗して赤くなっちゃったの」

「地毛だって言ってんだろうが!!」


――――――――――――――

ハイトに連れられて私達はある部屋へと招かれる。

そこにはガルア様の姿があった。

さらにリドルも既に部屋の中で待っていた。

そして未だに眠っているラミア様の姿があった。


「済まないな。いきなり呼び出したりして。ミノル、体調は大丈夫なのか?」

「大丈夫です。動けるくらいは回復したので」

「何かあったら僕が運びますよ」

「というか、お主ずっとここに居たのか?」


ここは何か色々な医療器具が置いてあった。

怪我などは回復のポーションで治るが病気までは治せない。

なのでそれらを治す器具が置いてある。

そしてベットにはラミア様が寝ていた。


「はい、どうやったらポーションが出来るのか気になったので」

「とりあえずポーションは無事完成した」


そう言ってポーションをみんなに見せる。


「これも皆のおかげだ。ありがとう。報酬はたっぷり支払うから楽しみにしてろ」

「やったー!ご飯じゃ!―――いてっ!何するのじゃ」


ご飯が貰えると思い喜ぶデビちゃんの頭をハイトが叩く。


「静かにしてろ。ラミア様が寝ている」


ハイトが本気で怒ったのが伝わったのか、少し拗ねて静かになった。


「ごめんなさい。私が叱らなきゃいけなかったのに」

「お前じゃそんな怒れないだろ。別に大丈夫だ」


何かさらっと返された気がする。


「とりあえず、ラミアを起こすか」


ガルア様はゆっくりラミア様の布団をめくる。


「なっ!?」

「これは………」

「何じゃあの文字は……」


ラミアの体には至る所に不思議な文字が刻まれていた。

呪いの文字が体を蝕んでる。


「苦しいよな、今終わらせてやるから」


するとラミア様がゆっくりと目を開ける。


「お兄ちゃん………」


その声と瞳は弱々しく、すぐに消えてしまいそうだった。


「ラミア安心しろ。すぐに元気になるから」


するとラミア様がこちらに気づいた。


「皆さん……ごめんなさい、こんな…格好で」


そう言って、こちらに笑顔を見せる。

とても儚くて、消えてしまいそうな笑顔だ。

するとハイトが肘で私の腕を突く。

一瞬何かあったのかと思ったが、自分が多分ラミア様を見て可哀想な子を見る表情をしてしまったのだろう。

ハイトのおかげで私は何とか表情を戻し、ラミア様と話をする。


「ラミア様、そんなこと無いですよ」

「僕達はラミア様が元気になってくれる為に来ただけなので、気にしないで下さい」


デビちゃんは私の後ろで隠れてしまっている。

正直言って子供には刺激が強すぎるのだろう。

私も思わず顔が引きつってしまった。


「そういえば、かつお兄ちゃんは居ないの?」

「かつは今修業していて居ないんですよ」

「そうなの……ざん、ねん……最後に会いたかったのにな……」

「ラミア、最後じゃない。大丈夫だ。これを飲めばお前は助かる」


ガルア様はそっとラミア様にポーションを渡す。


「前も、そう言って、たけど………駄目だった……」

「今回は本当だ。調合も材料も完璧だ。だから、お願いだ飲んでくれ……」


ガルア様も必死なのね。

泣きながらラミア様にお願いする。


「お兄ちゃん、分かった。これが……最後ね……」


そう言ってポーションをゆっくり飲む。


「どうだ?体に変化あるか?」

「……………駄目……みたい」


ラミア様は全部飲み干したが、文字は消えず、体に変化は見られない。


「何でだ!?何で消えないんだよ!」


ガルア様は消えないことへの焦りと苛立ちで怒鳴り声を上げてしまった。


「調合は完璧のはずです。計算上まず間違いなく、呪いは消えるはずです」

「消えるはずですだと?ハイト!結果、消えてないんだよ!!」


そう言ってハイトに掴みかかりそうになった瞬間、ラミア様がガルア様の服を弱々しくつまむ。


「っ!?ラミア……」

「もう、いいの……もう大丈夫……ごめんね、私の為に色々してくれて」

「何言ってんだよ!諦めるなよ!また新しいポーション持ってくるから……だから…」


ガルア様はラミア様のベットにうずくまる。

それを見て優しくラミア様がガルア様の頭を撫でる。


「いつも、いつも、私のわがままを聞いてくれて、ありがとね。だけどそのせいで……自分がしたい事出来なかったよね。ごめんね……お兄ちゃん」

「そんなことない!お前が生きてるだけで……そばにいてくれるだけで俺は…俺は……!」

「ガルア様………」


言葉がかけられない。

辛い現実、ガルア様自身受け止めきれないと思う。


「お兄ちゃん、私……お兄ちゃんの妹で本当に良かった……私の事を第一に考えてくれる、優しいお兄ちゃん……」

「ラミア……死ぬな!まだ、死んじゃ駄目だ!」


ラミア様はガルア様の手を強く握る。


「大好き……お兄ちゃん」


そしてラミア様はそのまま瞼を閉じた。


「うう……うわあああぁぁぁぁ!!!」


何でこんな事になったの?

何で、ラミア様がこんな目に合わなきゃいけないの?

許せない……絶対に許せない!!


「ミノルさん?何してるんですか?」


私はラミア様の心臓が動いてるか確認する。

まだ心臓は動いてる。

でも、呪いが強すぎてもうすぐそこまで死が迫ってる。

覚悟を決め、私は皆から少し離れる。


「おいミノル、何しようとしてるんだ?」

「……ラミア様は私が助ける。テレポート」

「なっ!?ミノルさん!」


私はある場所にテレポートした。



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