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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第九章 呪われた姫と呪いのモンスター
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その十三 デビの本気

「ガリッ!グシャ!グキッ!」


クランペリーは壁に張り付きながらゆっくりと食事を取っている。

骨が砕かれるような硬質な音が火山の中から響いてくる。

骨を噛み砕いたりしてる辺り顎の力は強そうね。

鋭い牙もあるし、噛みつかれたら1発アウトね。


「食事中の所申し訳無いけど1発いかせてもらうわよ」


私はクランペリーを狙って空中にバレない様に魔法陣を展開する。


「にしても何か不気味なモンスターじゃのう」

「デビさん、離れたほうが良いですよ。多分暴れると思うので」


そう言ってリドルは少し後ろに下がる。

それに続いてデビちゃんも後ろに下がった。

何かあまりみんな後ろに下がると物凄く不安になるんだけど。


「それじゃあ始めるわよ!ロックガン!」


魔法陣から巨大な岩が2つクランペリーに向かって飛んでいく。

するとクランペリーは気付いたのか食べていたモンスターを吐き出して、捕まってた場所から空中に飛んで、岩を避けた。


「グアァァァァァ!!!!」


私達を見つけたと同時に奇声を発した。

その声は鼓膜を破くのには十分すぎるほどの声量でとっさに耳を手で塞ぐ。


「うるさっ!?」

「耳が痛いのじゃー!!!」

「これはやばいですね」


食事を邪魔されたからかなり怒ってるみたいね。

すると次は何か口の中で溜め始めた。


「今度は何!?」

「何かしようとしてるぞ!」

「あれはエネルギーを溜めてるんでしょうか?」

「いや、私の予想だとあれは熱光線ね」

「グラァァァァ!!」


その瞬間口から高熱の光線が放たれた。


「「「ぎゃあぁぁぁああぁあ!!」」」


地面を焼きながら私達の後ろを追いかけて来る。

あまりの暑さに後ろでは大爆発が起こっているほどだ。

それのよって飛び散った岩石や溶けた岩などが襲い掛かってくる。


「あつ!あつ、暑すぎるのじゃ!!」

「今ので空気中の温度が一気に上がりましたね」

「やばいわ。これ、火傷どころじゃすまないわよ」

「グラァァァ!!」


するとクランペリーは尚もこちらを威嚇してくる。

このままじゃただやられるだけね。


「やられっぱなしは性に合わないわね。皆、反撃しましょう!」

「いいじゃろう!妾の力を見せつけてやる!」

「僕も微力ながら頑張らせて頂きます」


私達は同時に空中に魔法陣を展開する。


「メガアイスガン!」

「アグレッシブフルート!」

「デビルオンインパクト!」


私達の魔法が見事クランペリーに直撃する。

それによりクランペリーの体が大きくのけ反る。

落ちてくるか!


「グラァァァアアア!!!」

「よし、だいぶ効いてるみたいじゃぞ!」

「いや、これってもしかして………」

「はい、多分逆効果ですね」


クランペリーは体勢を立て直すと再び空中から私達を見下ろす。


「グゥゥゥアアアアァァァ!!!」


先程の攻撃でさらに怒りを買ったのか熱光線を狙う訳でもなく適当に乱発しまくってる。


「わぁっ!?危ないのじゃ!当たりそうになったのじゃ!」

「ちょっと!だいぶ怒ってるんですけど!」

「これじゃあ近付けませんよ!どうするんですか?」


確かにあの乱発してるクランペリーに魔法を撃ち込むのは難しいわね。

でも、待ってれば必ずチャンスは来る………あれ?足が暑い?


「ぎゃあああ!!足が焦げてしまうのじゃ!」


そう言ってデビちゃんが暑そうにぴょんぴょん飛んでいる。


「うっ!確かに足元が暑くなってきたような……」


わざわざ熱を感じないように厚底の靴で来たのに、まさか地面が熱されてる?


「熱光線を何度も発射されたせいで地面の熱が上昇してしまったんでしょうね」

「なるほどねっ!だからっこんなにっあついのっね!」


私はあまりの暑さに、常に足を地面から離すために飛んでいた。


「やばいっのじゃっ!このままじゃっ足が美味しく焼かれてしまうのじゃっ!」

「とりあえずっアブソリュートフリーズ!」


私はこの暑さを何とかするべき地面を凍らせた。


「ふぅ……これで足がまる焦げになる心配はなくなったわね」

「助かったのじゃミノル………」

「これで足が焼かれる心配はなくなりましたね」

「グギャアアアァァァァ!!」


するとクランペリーが1回疲れたのか地面に降りてきた。


「来たぞ!」

「ついに地上戦ってわけね」

「気を付けてください。何するか分かりませんよ」

「グラァ!」


その時クランペリーが次は炎の玉らしき物をこちらに飛ばしてくる。


「ぎゃっ!なんか飛んできたのじゃ!」

「ちょっと前失礼しますよ。ブローウインド!」


リドルの魔法によって炎の玉が吹き飛ばされクランペリーに直撃する。


「グギャアッ!?」

「ナイスじゃリドル!良くやったぞ」

「デビさんも仕事してください」

「グギィィィィ!グワァァ―――」


するとクランペリーが再び熱光線を放とうとする。


「させないわ!ロックタワー!」


クランペリーの顎の下に魔法陣を展開させ岩を出現させて顎に直撃させる。

すると急に口が閉じてしまった事に驚いたのか動揺すると共に口の中で暴発した。


「グアアアァァ………」

「よし!どんなもんよ!」

「流石ミノルじゃ!」


流石に今のは効いたのか少しふらついている。

そろそろ地面の氷も溶けてきたし、とどめを刺したい所ね。


「よし、最後は妾がトドメを――――」


その瞬間、クランペリーは大きくジャンプしそのまま翼を動かし穴の中に戻って行く。


「どこ行くのじゃー!逃げるなぁー!」

「何しようとしてるのかしら?」

「もしかしてマグマで体力を回復してるんですかね?」

「それならそうで少し面倒ね。早くトドメを――――」

「グオォォォゥゥ!」


その瞬間マグマの中から、咆哮と共にクランペリーが勢いよく出て来た。

そして全身が紅く輝いていて空中で翼を広げた瞬間まるで太陽の様に輝いて見えた。


「きれい……」


私はその姿を見てそんな言葉がつい漏れてしまった。


「ミノルさん!見とれてる場合じゃないですよ。あれはまずいです」

「はっ!ご、ごめんなさい。待ってあれ、何してるの!?」


そこには今までに無い程の熱を込めたエネルギーが口の中で形成されていた。


「まずい!にげ――――」


その瞬間鋭い方向と共に無情にも高熱光線が降り注がれた。


――――――――――――――――――――

何が起きたの?

体が暑い……地面が暑い……今どうなってるの?


「ミノルさん!ミノルさん!」

「………リド、ル?」


私、岩にもたれ掛かってる?


「ミノル大丈夫か!?怪我はしてないか!?」

「頭がぼーっとして体が暑くて燃えそう………」

「もしかしたら熱中症になってるのかもしれませんね。すごい汗ですしすぐに水分を取らないと危険です。とりあえず氷を作るのでこれで水分補給して下さい」


そう言って小さい氷を作って私の口の中に入れる。


「ありが、とう。あのモンスターは?」

「まだ居るのじゃ」

「上手く隠れて何とか逃れてますが時間の問題です」

「そう、なのね」


駄目ね。

頭がぼーっとして何も考えられない。

するとデビちゃんがおもむろに立ち上がる。


「デビさん?」

「デビちゃん?何して―――」


その瞬間デビちゃんが岩陰から飛び出す。


「デビさん!何してるんですか!?戻って来てください、見つかってしまいます」

「そうよ、デビちゃん……戻って………」

「この依頼は絶対成功させなきゃいけないんじゃろ?なら、動ける妾がやるしかないじゃろ」

「でも………」

「それに、せっかく出来た友達をこんな所で失うのは嫌じゃからな」


デビちゃんは満面の笑みでこちらを見ると首に付けていたネックレスを外してリドルに渡した。


「妾の宝物じゃ。ちょっとの間預かってくれ」

「分かりました………」

「少し、本気だそうかのう」


そう呟くとデビちゃんはそのままクランペリーと対峙した。


――――――――――――――――――――――


「かかってこい!気色の悪い害虫め!」

「グラァッ!?グワァァ!!」


デビを見つけると空中に飛んでいたクランペリーはすぐに熱光線の構えに入る。


「リドル!妾をあいつより高く飛ばしてくれ!」

「分かりました!」


そう言ってリドルはデビの足元に魔法陣を展開する。


「いくのじゃ!」


そのままデビは大きくジャンプする。

それと同時にリドルが作った魔法陣が光る。


「ブローウィンド!」


リドルの完璧なタイミングによる魔法によって的確にデビの体を宙に浮かべる。


「流石リドルじゃ。この高さなら完璧じゃ。どうじゃモンスター!妾のほうが偉いんじゃぞ!ずっと妾達を見下しおって絶対許さんぞ」


するとすぐにクランペリーがデビの方に体を向き直す。

クランペリーも知能は低くは無い。

今まで何度も魔法攻撃を受けたクランペリーが取った行動は先手必勝だった。


「グラァァァアア!!」

「なっ!?ちょ、まっ!」


予想外の攻撃にデビの反応が一歩遅れる。

それはこの状況では致命的なミスだった。

デビは自分の力に絶対の自信を持ってた。

だから想定外の事があっても何とかなるだろうと楽観視していた。

空中ではデビは何もする事は出来なかった。

ただ攻撃を受け止めようとしているデビを見てミノルは居てもたっても要られなかった。


「グガッ!?」

「っ!?ミノル!」


高熱線を撃とうとした瞬間ミノルの魔法によってそれが妨げられた。


「デビ!やっちゃいなさい!」


ミノルの声援を受けてデビはまた笑みを浮かべる。


「ありがとうなのじゃ、ミノル」


デビは魔法陣を展開する。


「気色の悪いモンスター。よくも妾の友達を傷つけたな!」


デビの魔法陣が怪しく光りだす。


「妾の友達を傷つける奴は、誰であろうと許さないのじゃ!地獄に落ちろ!デビルオンインパクト!!!」


その瞬間、魔法陣から怪しき雷が出現しクランペリーに直撃する。


「グラァァァァァァァァ!!!」


苦しそうな声を上げながら巨大なモンスターは力なくそのまま落ちて行った。


「て、妾も落ちるー!!」


モンスターが大きな音をたてながら地面に衝突する。


「ブローウインド!」


続けて落ちてきたデビをリドルは魔法で何とか無事着地させる。


「ありがとうなのじゃ」

「こちらこそ、ありがとうございます」

「やったわね。デビちゃん」

「やっぱり妾は最強じゃな!」


こうして、デビの活躍により無事クランペリーの材料を入手して帰還した。



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