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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第九章 呪われた姫と呪いのモンスター
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その十二 花炎火山

「また来たんですね。皆さん」


私達はクランペリーを倒す為に再び旅飛びに来ていた。

旅飛びの店主は私達を歓迎するかのような笑みを見せる。


「ええ、今度は花炎火山に行きたいの」

「花炎火山ですか?またすごい所に……だから皆さんローブの下は水着なんですね」


そう、今回はマグマが吹き出す超高温地帯。

普通の服なんかすぐに燃えてしまうので特殊加工の水着をもう既に着ている。

ちなみに水着なのは予算の関係上これしか買えなかったから。

しかも花炎火山は名前の通りマグマの花と呼ばれる、マグマを栄養にして育つ陽炎花(ようえんか)と言う珍しい花もある。

それを入手出来れば小遣い稼ぎにもなるんだけど、触ることも困難な花を取る余裕も無いしね。


「ここだと寒いから早く中に入りたいのじゃ!」


デビちゃんは少し寒いのか鼻水を啜る。


「花炎火山に行けば死ぬ程熱くなりますよ」

「まあ、こんな所で待っててもしょうがないし早く行きましょうか」

「えっと、とりあえず熱の耐性があるスイッチを渡しますが、危険なようならすぐに押してくださいね」


そう言って私にスイッチを渡す。


「分かりました。無茶はしませんよ」


私はポケットにそのスイッチをしまう。


「もう我慢できないのじゃ!」


するとデビちゃんが扉のドアを勢いよく開ける。


「ちょっ!?デビちゃん!」


また勝手に行くなんて!

私はデビちゃんに続いて扉を潜った。


「ははは……それじゃあ皆さん、行ってらっしゃい」


―――――――――――――――

扉の中をくぐった瞬間、もの凄い熱気が全身を覆い尽くす。


「あっつ!?」


まだ5秒しか経ってないのに全身から汗が止まらないわ。

あまりの熱さに渡しはすぐにローブを脱ぐ。


「暑い……水着で来て正解だったわ……そういえばデビちゃんは?」

「あ、ああ……焼かれてしまうのじゃ………ジュウジュウなのじゃ………」


デビちゃんは既に暑さでダウンしていた。

暑さでうなだれながら地面に横たわっている。


「デビちゃん!こんな所で寝てたら全身炙られるわよ」


私は急いでデビちゃんを地面から引き剥がす。

デビちゃんも体から汗が止まらないせいでベトベトしてるわね。


「暑いのじゃあ……やばいのじゃ……」

「だから言ったじゃないですか。死ぬほど暑くなるって」

「うう……こんなはずじゃ……」


そう言いながらデビちゃんは私の背中でぐったりしてしまってる。


「それならローブを脱いだ方がいいんじゃないですか?」


そう言って、リドルがデビちゃんのローブを脱がそうとする。

その瞬間突然、デビちゃんが機敏な動きでその場を離れる。


「デビちゃん?」

「はあ、はあ、はあ、わ、妾のローブに触れるでない!変態め!」

「いや、別にそう言うつもりじゃなかったんですけど。それなら自分で脱いでください」

「だ、大丈夫じゃ。妾がこれくらいの暑さに負けるわけ無かろう!」


そう言ってはいるが全身滝の様な汗が出ている。

ていうか明らかに顔色も悪いのよね。


「せめてフードは取ったら?いつも付けてるけど今日くらいわね?」

「や、やじゃ!妾は絶対負けないのじゃ!!」


デビちゃんは頑なにフードを取ろうとせず、そのまま逃げるように走り出してしまった。


「ちょ!そっちは!!」


その瞬間デビちゃんの走った方向に大きな地震と共に小さい亀裂が出来そこからマグマが吹き出した。


「わっ!?マグマじゃーー!!」


デビちゃんは溢れ出るマグマにびびって呆気なくこっちに戻って来た。


「おかえりなさい。デビさん」

「ただいまなのじゃ……」

「まあ焦らずゆっくり行きましょう」


それにしても所々隙間からマグマが漏れ出ているわね。

少しでも触れたら一瞬で溶けて無くなる。


「デビちゃん足元気をつけてね」

「山全体が紅く煌めいてますね。それにあそこに咲いてある花って………」


リドルが指差した方向にはこの山でしか取れない陽炎花だった。


「何じゃあれは?きれいなのじゃ………」

「でも、今の私達じゃ持って帰れる術は無いし、諦めて頂上を目指しましょう」

「そうですね」


ここまで来たのに取っていかないのは勿体無いけど仕方ないわね。

そしてしばらくすると頂上が見えてきた。

頂上が見れるにつれて、足場のひびが大きくなりマグマがボコボコと沸騰しているのが見える。


「見えた。あそこが頂上よ」


そこには巨大な穴が空いておりその中には真っ赤に染まったマグマが落ちてくる岩を溶かしていく。


「凄いわね。この中にクランペリーが居るのかしら」


普通に考えて生物が住める環境とは思えないけど。


「居なきゃ困りますよ。どうします?魔法で刺激させますか?」

「クランペリーに届く前にマグマで溶かされるだけよ」

「じゃあ……どうするのじゃ……」


たしかに、どうしよう。

どうしようかと考えてたその時頭上から大きな声が聞こえた。


「今の声は………モンスターですかね?」

「そうかもね。ん?ちょっと待って、いいこと思いついたわ。ちょっとこっち来て」


私はマグマから少し離れた所に皆を移動させてしゃがむ。


「何するつもりなのじゃ?」

「空中で飛んでるモンスターが居るってことはクランペリーが出てくる可能性が高いわ」

「なるほど、だから離れたんですね」

「そういう事、それじゃあ出てくるまで待ちましょうか………て、何この揺れ」


その時、山全体が大きく揺れだした。


「この揺れはもしかして……」


その揺れはどんどん大きくなっていく。

すると火山の穴から大きな揺れと共にマグマが盛り上がってきたと、同時に何かが空中に飛んで行く。


「グギィィィィ!!」

「「「で、出たぁーー!!」」」


岩のようにゴツゴツした黒い皮膚の隙間からマグマが紅く輝く。

巨大な羽も同じ様にゴツゴツとしている。

しっぽは魚の様な尾をしていて、巨大な爪も見える。

クランペリーは巨大な口で空に飛んでいたモンスターに噛み付く。


「グラァ!グラ、グラァ――――」


咥えられながら暴れていたモンスターが突然ぐったりと動かなくなった。


「一瞬で息の根を止めましたね。流石になれてますね」

「私達があのモンスターみたいにならない様に気をつけましょう」


そしてゆっくりと下降して穴の中に入って、壁に爪を立ててしがみつく。

そこでゆっくりと食事を取り始める。


「よし、それじゃあモンスター討伐始めるわよ」



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