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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第九章 呪われた姫と呪いのモンスター
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その十一 最後のモンスター

「お邪魔しまーす!!」


私達は勢い良く、モンスター専門店のドアを開けた。

するとナギが驚いた様子で本を棚に置こうとしていた状態で体が硬直する。


「………あんたたち早すぎない?まだ朝の4時よ。開店前なんですけど」

「まあまあいいじゃない。友達って事で勘弁してよ。実は聞きたいことが沢山あってね、他のお客さんの迷惑にならないように早めに来たんだから」

「ミノル、あんたこの店に客が来ないこと知ってるでしょ?嫌味なの?嫌味なんでしょ!」


そう言って店に並べる為に持っていた本を私の頬に、押し付ける。


「別に嫌味じゃないわよ。客が来ないのは店の建てた場所が悪いからでしょ。こんな隠れ家みたいな場所に建てるんじゃなくて、もっと人気のある場所に建てなさいよ」

「何言ってんのよミノル。隠れ家的なのがかっこいいんでしょうが」

「単に人見知りなだけでしょ」


するとデビちゃんがリドルの背中の上で寝返りをうつ。


「むにゃむにゃ……」

「ちょっとミノルさん。デビさんを何とかしてください。すごい暴れるんですけど」


そう言ってリドルの背中で気持ちよく寝ているデビちゃんをうざったそうにおんぶしている。


「ああ、ごめんね。ナギ、そこに寝かせてもいい?」

「別に良いけどその子大丈夫なの?子供なんだし無理させちゃ駄目よ」


ナギの許可が降りたことでリドルはすぐに近くのソファーにデビちゃんを寝かす。


「分かってるわよ。でも、ナギが思ってる以上にデビちゃんは強いから心配いらないわ。ていうかこの会話前にもしなかったっけ?」

「そうだっけ?そ、ん、な、こ、と、よ、り」

「な、何よ?」


不気味な笑みを浮かべ、こちらに顔を近づけてくる。

こういう時は大抵良くない事なのよね。


「ガメレオンとの戦いでだいぶ無茶したみたいね」


ほら、やっぱりね。


「相変わらずミノルは自分の命を何だと思ってるのよ」

「別にそう言うんじゃ無いわよ。ただ私のせいで皆が死ぬのは嫌ってだけで」

「はいはい、分かったわよ。ミノルの自分のせい発言。あんた、全部背負い込む癖あるわよ。少しは友達や仲間を頼ったら?」

「分かってる。ちゃんと理解してるわ。ていうか何でガメレオンで苦戦した事を知ってるのよ?」


そういえばハイトが何とか令が出されたって言ってたから結構みんな知ってるのかな?


「私はモンスター専門家よ。モンスター事情なら自然と入ってくるのよ」

「ああ、そういう事ね」


ていうことは他の人にはまだ気付かれてないってことかしら。

するとすやすやと気持ち良さそうにソファーに眠ってるデビちゃんの隣に座ってるリドルがゆっくりと手を上げる。


「あのぅ、そろそろ本題に入っても良いですか?」


リドルは少し気まずそうに話を切り出した。


「そ、そうね。そろそろ本題に入りましょうか」


すっかり話に夢中になっちゃったわ。


「それで聞きたい事って何?」


ナギは仕事モードに入ったのか真剣な表情で椅子に座り、私達に問いかける。

私はリドル達が座ってるソファーの方に座った。


「今の話をして聞きたいことが1つ増えちゃったけど、まず1つ目クランペリーについての情報がほしいの」

「例の素材の1匹ね。それならバッチリよ」


そう言ってクランペリーについての資料や本を机に並べる。


「相変わらずの資料と本の数ですね」

「こういうのは信憑性を持たせないとね。デマだって疑われない為にも調べた本とか資料を出しとくのよ」

「なるほど、そういう事ですか」


納得したのかリドルは置いてある資料を読み始める。


「一般的に言われてるのはドラゴンとトカゲを合わせた姿って言われてるけど、実は魚とも合わさってるのよ」

「魚!?てことはうねうね動くの?」

「そういう事、ドラゴンのような力強さと翼を持ち、トカゲの特殊な爪と分離を持ち、魚の様な俊敏さで相手の攻撃を交わし音も無く近づく、みたいな感じのモンスターね」

「なるほど、かなり手強そうね」


今回の依頼、報酬金が期待出来なきゃかつなら絶対やらなかったわね。

まあラミア様が居るから積極的にやると思うけどね。


「今回のモンスターはレアモンスターって言うより場所が場所なのよね。生息場所が花炎(かえん)火山って言う場所としては有名な所だけど……」

「もしかしてマグマの中に居るってこと?」

「そういう事、マグマの中に潜んで空を飛んでるモンスターをガブッと捕まえるの」

「なるほどね………」


何かまた強そうなモンスターね。

しかも今度は火山とは、何か環境の変化が多過ぎて体調崩しそうね。


「弱点とかは無いんですか?」

「弱点はもちろんあるわよ。クランペリーは寒さに弱いの、だから狩りをする時以外はマグマの中に隠れてるわ。羽も長時間持たないから飛ぶ時も魚の様にマグマを勢い良く泳いで助走をつけてから飛び出すの。それで鋭い爪と牙で獲物に食らいついてそのまま丸呑みするの。丸呑みできない時は壁に爪を引っ掛けてゆっくり食べるのよ」

「なるほどね。でも、寒さが弱点って完全に私の出番じゃない!」

「はい、言うと思ったわ〜!」


ナギはバカにするかのような笑い声をあげながらこちらを指差す。

ムカっ!


「あんたのその言い方すごくムカつくんだけど」

「私はそのミノルの苛ついた顔好きだけどね」


そう言って私の頬を突いてくる。

ムカムカ!


「ちょ!ミノルさん!落ち着いてください!!」


思わず手が出そうになるがリドルが慌てて私の前に立つ。


「ははは!やっぱりミノルと居ると飽きないわね。だからさ、死なないでよね」


先程の冗談ポイ言い回しから一転して真剣な表情でそんなことを言う。

突然の発言に思わず気恥ずかしくなり顔を背けてしまう。


「な、何急に、辛気臭いこと言って」

「あんた1人で何でもやろうとして危なっかしいからさ。だから2人共ミノルの事を守ってあげてね」


そう言ってナギは2人の目を見て(デビちゃんは寝てるけど)頼む。


「ちょ、ちょっとやめてよ!」

「分かりました。僕達に任せてください」

「リドル……」

「そうじゃ任せるのじゃ!!」


すると突然デビちゃんが起き上がる。


「デビちゃん!?起きてたの?」

「いや、何がなんだか分からんがとりあえず言っておいたほうがいいと思って」

「相変わらずね、デビちゃんは」


デビちゃんの様子を見て思わず苦笑いする。


「ふふふ、確かにこのパーティーなら大丈夫そうね。それじゃあとっておきの情報を教えて、あ、げ、る。出血大サービスよ」

「まじか!太っ腹じゃのう」


確かにまだクランペリーの倒し方も決まって無いし、少し喋り方はムカつくけど聞くしかないわね。


「さっき寒さが苦手って言ったでしょ?でもただ氷の魔法や水の魔法を使うのは駄目。外は超高温で皮も分厚いからそんな魔法じゃ効かないの」

「じゃあ全然弱点じゃないじゃない」

「弱点は弱点よ。でも、生半可な寒さじゃ全然平気なのよ」

「どれくらいの寒さが必要なんですか?」

「どれくらいとかそういう次元じゃないのよ。あんた、馬鹿でしょ?」

「なっ!?」


バカと言われたことでリドルは目を見開き動揺する。

リドルが動揺してるの珍しいわね。


「外から凍らせるのはほぼ不可能。だったらどうする?」

「中で凍らせるってこと?」

「そういう事よ。流石ミノルね」

「そう言うのいいから、早く続き話して」

「冷たいわね〜。まあそういう事でクランペリーの倒し方は体の中から凍らせる事以上!」

「え?それだけ」


突然の終了の言葉に思わず聞き返してしまう。


「これだけ、倒し方は各々考えて。あっ!後ね体の中も超高温だから気をつけてね」

「ええっと……とりあえずありがとうございます。倒し方はこっちで考えますね」


珍しくリドルがフォローに入ったわね。


「私はモンスターの情報を教えるだけだから、倒し方はあんた達で決めなさい。それで、他に質問したい事はある?」

「えっ?あっ!それ何だけどね………」


私は残りの知りたい情報をナギに伝える。


「なるほどね。黒いモンスターは流石に情報が無いのよね。結構いろんなルートから情報を探してるんだけど今の所無いわね」

「そうなの………」


やっぱりそう簡単に情報が漏れることは無いか。


「そんな残念そうな顔しないでよ。でも、マリクダの情報なら知ってるわよ」

「本当!?教えて!」


私は情報をすぐに知りた過ぎて思わず前のめりになる。


「凄い食いつき………まあマリクダは呪いって言う特殊な攻撃をするから気になって調べたの。死ぬレベルの呪いをかけるマリクダは去年見つかったのよね。今までのマリクダは、せいぜい占いの結果がいつも悪くなる程度の不幸にさせる呪いだけだったんだけどね。それで死ぬレベルのマリクダの呪いは短くて3ヶ月、長くて1年位で死んでしまうわね」

「そんなに短いのね。あれ?でも、ラミア様が呪いに掛かったのって確か去年だった気が………」

「そうなの?もしかしたら呪いの力が通常よりも弱かったのかもしれないわね。でも、それも時間の問題ね」

「そうなのよね。助けてあげたいの。ねえ、このモンスターの材料で作ったもので治るの?」

「そうね。これらの材料で治るっていう結果は出てるわ。でも、100%かは分からない」

「そうよね………」


するとナギは、私の頭をそっと撫でる。


「心配しなくても大丈夫よ。何事も挑戦挑戦」

「何か私、子供扱いされてない?」

「まだまだミノルは子供でしょ?大丈夫でちゅか〜?心配いらないでちゅよ〜?」

「それ子供じゃなくてもう赤ちゃんじゃない!」


そう言って私はナギの手を振り払う。


「たくもう……でも、ありがとね。少しだけ楽になった」

「そう、それならもう大丈夫ね。それじゃあさっさと討伐しに行ってきなさいよ!」


そう言って私の背中を押す。

そうだ、前もこんなふうに背中を押してもらったっけ。

ナギに背中を押されると何か勇気が湧いてくるな。


「うん、行ってくる」


するとデビちゃんが私の服を引っ張る。


「ん?どうしたの?」

「あの女急に喋り方変わったけどどうしたのじゃ?もしかしてこの一瞬で退化したのか?」

「あー……多分そうよ気にしないで」

「ちょっと!ミノル!?」

「そうか、何か可愛そうじゃのう」


そう言って、哀れみの視線でナギを見る。


「そうねー可愛そうねー」

「それじゃあ行きましょうか」

「ちょっと待ちなさいよ!!訂正しなさーーい!!」


こうして次の目的地に向かうのであった。



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