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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第九章 呪われた姫と呪いのモンスター
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その八 黒い変化

馬車に揺られながら目的地へと向かっていた私達は四日目にしてようやく目的の場所についた。


「ふーっ……長かったわね。馬車の旅」

「そうですね。思ったよりも時間掛かってしまいましたね」

「まさか4日も馬車の中で揺らされるとわ。ちょっと気持ち悪くなったかもしれん……」


デビちゃんは顔面蒼白で吐きそうになっているその背中を私は擦る。


「たしかに今回は道中モンスターに襲われたりして、時間が予定よりも遅れちゃったわね。でも、そのおかげである程度作戦を立てられたし、結果オーライってことで前向きに行きましょう」

「そうですね。これからモンスターの討伐もありますし、気持ちが沈んでは倒せる者も倒せないですからね」

「そうじゃ――うぷっ!」


するとデビちゃんは吐きそうなのか口を手で抑える。


「ちょっとデビちゃん!?本当に大丈夫?」

「だ、大丈夫じゃ………」


すっごく大丈夫じゃ無さそうなんだけど。

まあデビちゃん自身が大丈夫って言うんだから大丈夫か。


「本当に苦しくなったら言ってよ?無理しないでね」

「分かっておるわ。無理はしないぞ」


そう言ってふらつきながらも歩いていく。


「本当に大丈夫かしら?」

「まあ無理そうだったら僕がおんぶしますよ」

「そうね。それじゃあ早速探しましょうか」


ガメレオンを探すにはどうするか?

ナギが持ってきた資料の中にはガメレオンを見つける方法が書かれていた。

ガメレオンは自分が決めた枝以外の枝には絶対に移り変わらない。

もし、自分の枝が何かの拍子に壊れたり無くなったりしたら、ガメレオンは自ら命を絶ってしまう。

それでも死体を回収するってわけにもいかないのよね。

死んだガメレオンはしばらくするとすぐに皮膚が透明になる。

そして完全に消えて誰にも気付かれないまま骨となり土に還る。

だからむやみに枝を壊す事は出来無いのだ。

そして、最初に言ってたガメレオンを探す方法それは………


「見つけたぞー!!」


そう言ってデビちゃんが興奮気味に枝を指差す。


「本当に!?」

「やりましたね!デビさん!」

「ふっふ〜ん!妾は凄いのじゃ!」


自信満々に指差していた枝には傷は付いていたがガメレオンの爪痕にしては少し小さかった。


「ああ……言いにいくんだけど、多分これ違うわね」

「ええ!?そうなのか!」

「資料に載ってた物と比べるとちょっと違いますね」


するとデビちゃんは自信満々に言ってたのが間違った事が悔しいのか不満そうに頬を膨らませる。


「まっそう簡単に見つかるものでも無いでしょ?気長に探しましょう」

「うう……次こそ絶対見つけてやるぞ!!」


やる気を再び出すと枝を食い入る様に見始めた。

そうガメレオンがいる枝を見極める方法は枝についている傷だ。

地道だけど、確実にガメレオンを見つけることが出来る。


「それじゃあ私達も再開しましょうか」

「そうですね。それじゃあまた後で」


そう言ってリドルも探す為に奥に進んでいってしまった。


「よし!私も探そうかしら」


しばらく探して分かったけど、モンスターはやけに多い。

何とかバレずにやり過ごしてるけどさすが、新種のモンスターがたまに出るジメンジね。

不気味な花とか虫とか居るし、肌荒れしそうだしなんか変な病気とかにも掛かりそう。

木々も生い茂って太陽の光もあまり入って来ないしね。

なんかジャングルみたい。

早く見つけてさっさとここから出たいわ。


「てっあの爪跡……もしかして」


私はすぐに枝の爪痕と資料に載っている爪痕を比較した。


「やっぱり……大きさと深さ、それに長さもほとんど一緒。ビンゴね。早くみんなに伝えないと」


すぐさま皆を呼んで木の枝の所に集合させる。

リドルとデビちゃんはその木の枝を興味深そうに見つめる。


「なるほど、確かにそうですね。間違いないと思います」

「何じゃ、妾が先に見つけてやろうと思っとったのに」

「とりあえず辺りにガメレオンの気配は無い?」


辺りを見渡してもそれらしいモンスターは見られなかった。


「居ないみたいですね。でも、ナギさんが言うには相手から見えない位置にガメレオンは観察してるみたいですよ」

「それか透明状態で見えなくしてるかのどっちかね。とりあえず正体を現してもらいましょう」


私は早速爪痕の付いた枝をへし折る。


「だ、大胆ですね」

「ミノルは筋肉ムキムキじゃな!」


私はデビちゃんの肩を掴み目線を外すことなく見続ける。


「デビちゃん?女性にあんまりそう言うこと言うもんじゃないからね?」

「そ、そうなのか?す、すまないのじゃ……」


あれ?何か、怯えてる?


「ミノルさん。早くやりましょう」

「わ、分かってるわよ。はいっ!」


気を取り直して私はその枝を空中に放り投げる。

その瞬間その枝は一瞬で消えた。


「っ!?リドル!」

「見つけました!アグレッシブフルート!!」


リドルは木の枝が向かった方向に魔法を放つ。

魔法が直撃した瞬間、何かが動いた。

空中でシルエットが現れ、それが段々と視認出来るようになっていく。


「見つけたわ。あんたがガメレオンね!」

「見つかっちまったら、しょうがねぇ。そうさ!俺様がガメレオンだ!」


木の枝を持ったガメレオンはそう高々に名を名乗る。

ていうか喋ってる!?

ガメレオンって喋れるの?

緑色の皮、2本のくるくる巻にされてる角。

ギョロギョロ動く赤い目玉。

長い舌、間違いないガメレオンね。


「あんた、喋れるのね」

「普通の奴は喋れない。俺は特別なんだよ」


自画自賛、自分の事を特別な存在だと思い込んでる。

最初に聞いてたガメレオンのイメージとはだいぶ違う。

弱気な性格って聞いたのに逃げたりせずに、立ち向かおうとしてる。

本当に他とは違う様な気がする。


「あのガメレオン、本当に特別な存在なんですかね?ちょっと聞いてた情報と違う気がします」

「そうね、私もそう思うわ」


異様な雰囲気を感じる。

嫌な予感がするわ。


「なあおい、これ……お前がやったのか?」


ガメレオンは少し苛立つように折られた枝を見せつける。


「え、えっと……」

「折ったかって聞いてんだよ!」


すると威嚇するように枝を投げつけてきた。


「っ!?」


そのまま枝は地面に突き刺さる。

間違いない、このモンスターはガメレオンだけどガメレオンじゃない!

するとデビちゃんがガメレオンの方に歩いて行く。


「デビちゃん!駄目!」

「お主、本当にガメレオンか?妙に自信家じゃのう。ビビリだと聞いておるぞ?」

「ああ、そうだな。俺は昔はビビリだった」


ガメレオンは何処か語るような口調で告げる。

何?様子がおかしい。


「デビちゃん!離れて!」

「だが、ある日俺は強さを手に入れた。もう逃げる必要は無い」


大きくなってる……模様が変化してる……


「み、ミノルさん?これって……」

「な、何じゃこれは」

「俺は、強い!!」

「デビちゃん!!」


ガメレオンはデビちゃんに向かって長い舌を伸ばす。

私は何とかギリギリの所でデビちゃんを抱えて舌を避ける。


「ミノルさん!くっ!?」


するとガメレオンは長い舌で木をなぎ倒していく。

何て攻撃力なの!


「はあ、はあ、はあ……あれは……」


間違いない、あの黒い模様は。


「黒いモンスター……黒の魔法使い!」

「ぎゃはははは!!俺は強い!!」


まさかここにまで来てるのあいつら!?


「まずいことになったわ。デビちゃん立てる?」

「あ、ありがとうなのじゃ」


デビちゃんは先程の恐怖心があるのか、足が震えてしまってる。


「おい、かかってこいよ!この力を試したいんだよ!」

「力持っていなかったやつが力を持った途端、自分が神にでもなったつもり?あんたはただのモンスターよ」

「うるせぇー!だったら倒してみろよ!」


今度は長い舌をこちらに向かって飛ばす。


「良いわ。やってやるわよ」


どっちにしろ逃げないのなら好都合。

黒いモンスターだろうと倒すのには変わらない。

私はすぐに目の前に魔法陣を展開させる。


「アブソリュートフリーズ!!」


その瞬間、ガメレオンの体が一気に凍りつく。

その様子を見ていたリドルが唖然するように凍ったガメレオンを見る。


「す、すごいですね……1発で仕留めました」

「つい本気でやっちゃったけど、角回収しなきゃいけないんだったわよね」

「どうじゃ!ミノルの力を思い知ったか!」


とりあえず何とか仕留められて良かった。

すぐに角を回収するためにガメレオンの元に行く。


「ん?」


あれ?なんか亀裂が。

その瞬間その亀裂が徐々に広がっていく。


「み、ミノルさん?もしかして、これって……」

「やばいわね……2人共、逃げて!!」

「グギャアアアア!!!」


その瞬間、氷を突き破ってガメレオンが飛び出してきた。


「ぎゃあああ!!出てきたのじゃ!突き破ってきたぞ!!」

「ぎゃはははは!遊ぼうぜー!!」


これは本当にまずいことになったわ。


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