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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第九章 呪われた姫と呪いのモンスター
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その一 ガルアの依頼

「うう〜ん、頭が痛いわね〜」


私は痛む頭を抑えながらフラフラな足取りで洗面所に向かう。


「昨日は飲みすぎたは完全に。やっぱり調子に乗って飲み過ぎるんじゃなかった」


蛇口に魔力を注ぎ、水を出して顔を洗う。

酔った時にはこうして冷水を浴びるのが早い。

酔い醒ましには最適だ。


「よし!」


私はすっきりした状態でリビングに向かう。

既にリビングにはリドルの姿が見えた。


「おはようリドル」

「おはようございますミノルさん」


リドルは挨拶を済ませるとすぐに朝食の準備を再開する。

デビ近くは、見当たらないけど大体この時間帯くらいに降りてくるのよね。


「う〜んふわぁ……眠たいのう」


眠たそうに目を擦りながらデビちゃんが上から降りてきた。

やっぱりね。


「デビちゃんおはよう」

「おはようなのじゃ」


そう言って眠たそうな声で挨拶をして椅子に座る。

いつもだったらかつと一緒に降りてくるけど、やっぱり居ないのか少し元気が無いような気がするわね。


「デビさん。出来たから持ってってください」

「やったー!ご飯なのじゃー!」


無邪気な笑みを浮かべて台所へと走っていく。

やっぱり変わらないかもしれない。

私は自分の朝食を取って机に置く。

そしてみんなの準備が出来たら手を合わせる。


「いただきます」

「いただきます!」

「デビさん、静かに食べてくださいね。いただきます」


それから食事を終えリドルは食器洗いに入り、デビちゃんはお腹いっぱいになったのかソファーに寝転がる。

私は椅子に座ってこの後の予定を考えていた。


「ねぇー皆。これからどうする?」

「そのことで僕から1つ話があります」


するとリドルは濡れた手をタオルで拭いてポケットから手紙を取る。


「これってガルア様から?」

「何じゃなんじゃ?またあいつから頼まれごとでもされたのか?」

「デビちゃん、ガルア様をあいつ呼ばわりしないで、それよりもしかしてまた何かあったのかもしれないわね。早速見ましょう」


私は早速手紙を読み始める。

内容は今すぐ城に来いとだけ書かれており、詳しい事は書かれていない。


「詳しい事は城に来てから説明するってことかしら?」

「多分そうじゃないですか。手紙も殴り書きですしかなり急いで書いたのかもしれません。もしかしたら大変な事を要求されるかもしれませんね」

「とりあえず早く行きましょうか。デビちゃん!準備して、すぐ行くわよ」


するとデビちゃんがソファーからゆっくり立ち上がり何か言いたげにこちらを見る。


「どうしたの?」

「あ………妾は今日ちょっと用事があって行けないのじゃ」

「え!?そうなの……用事って何?」


デビちゃんに用事があるなんて、ご飯食べに行く以外考えられないのよね。


「ちょっと実家に帰ろうと思っておるのじゃ。でもすぐに帰るから今日はちょっと……」

「分かったわ。それじゃあリドルと私で行ってくるから、デビちゃんは実家に帰りなさい」

「ありがとうなのじゃ!」


そう言って嬉しそうに私に抱きつく。

何か妹みたいで可愛いわね。


「それじゃあ早速行きましょうか」

「そうですね。あ、そう言えばミノルさん宛に手紙が来てましたよ」


そう言ってリドルがもう1通の手紙を取り出し、手渡してくる。


「ありがとう」


封筒に名前が書いてあるわね。

この名前…………

私はすぐに手紙をポケットに入れる。


「どうしました?顔色が悪いですけど」

「っ!な、何でもないわ。早く行きましょう」

「?、分かりました……」


私達はすぐにガルア様の城に向かうため、テレポートで向かった。


―――――――――――――

テレポートですぐに城に着くと、出迎えてくれた人に客間に連れられていた。

客間ではガルア様が待っており早速本題に移る。


「それで急な話って何ですか?」

「ああ、その前にかつはどうした?」

「かつさんは今、修業に出ていて居ません。デビさんは実家に帰ると言って、今日は来れないみたいです」

「そうか……特にかつには来てほしかったんだけどな……」


かつとガルア様は何故か仲が良いから、何かあったとしても大抵笑って許してくれるけど、今はかつも居ないし言動はより一層気をつけないと。

ガルア様は不満げな表情をするも気を取り直して表情を戻す。


「まあいい!居ないのなら仕方がねぇ。ここに呼んだのは他でも無い、重要な任務を任せたいからだ」

「重要な任務?」


思わず復唱をしてしまう。

ガルア様からの重要任務、少なくとも楽に終わるものじゃないでしょうね。

固唾を飲んで次の言葉を待った。


「ああ、俺の妹の事は知ってるな」

「はい、ラミア様ですよね。そう言えば見かけませんけど、もしかしてラミア様に何かあったとか?」


するとガルア様が神妙な面持ちで口を開く。


「実はラミアには昔、あるモンスターの手によって呪いにかけられている」

「呪い!?それって、もしかしてマリクダの?」

「知ってるのか!?」


ガルア様は私がマリクダを知ってるのを驚いたのか思わず前のめりになっている。


「呪いなんて特殊な攻撃をするモンスターなんてマリクダ以外考えられませんから」

「ちょっと待って下さい。話の腰を折ってすみませんがマリクダってそんなに強い呪いをかけるモンスターでしたっけ?僕が知る限りではせいぜいよくコケたりする程度の不幸の呪いを掛けるモンスターだと思うんですが」

「普通ならね。でも、そのマリクダは普通じゃないのよ」

「普通じゃないってどう言うことだ!?」


ガルア様は大きな声で威圧するかの様に私に追求する。

もしかしたら気付いていたのかもしれない。


「ガルア様は誰かに呪いを解呪出来ると言われませんでしたか?」

「黒の魔法使いに言われた。呪いを解くポーションがあるって」


黒の魔法使い、その言葉が出てきて思わず顔を歪ませる。


「やっぱり、そうですか。そのマリクダは黒の魔法使いが改造した物です」

「っ!?黒の魔法使い………!」


やっぱり予想していたのだろうかあまり驚きは無く、だが拳を握りしめ、悔しさと怒りは滲み出ていた。

するとリドルが疑問そうに口を開く。


「黒の魔法使いが何でそんなことをするんですか?」

「もしかしたら王としての権限を自分のものにする為にやったのかも。ガルア様、何かそのポーションを貰う為の条件とか言われませんでしたか」

「ポーションを渡す代わりに魔法許可証を発行しろと言われたな。なるほど、やっぱりそういう事だったのか」


魔法許可証の発行、許可証さえあれば自由に行動ができるしね。

まだ何か企んでそうだけど。


「昔からあいつらはモンスターを改造したりなどをして来ました。多分今回もそのモンスターを使ってラミア様を………本当にゴミ野郎ですよ」

「最近では黒いモンスターを作ってるしな。にしてもミノルお前何でお前そんなに黒の魔法使いに詳しいんだ?」


ガルア様は純粋な疑問をこちらにぶつけてくる。


「私は黒の魔法使いが昔から大っキライですから。自分の手で終わらせてやろうと思って色々調べたりしてたので」

「ふっそうだったのか。まあ、あいつらを嫌いな奴は沢山いるだろう。お前もそうだろリドル?」

「へっ?あ、はい。確かに黒の魔法使いは僕もかなり嫌悪感があります」

「だろうな、お前から殺してやりたいって言う殺気をビンビン感じるからな」


そう言ってガルア様はニヤリと笑い、それをリドルが苦笑いで受け止める。

殺気なんて放ってたんだ。

全然気付かなかった。


「さて、本題に戻るぞ。マリクダの呪いを解呪する為の材料は分かってんだ。でも、それは討伐禁止モンスターに指定されている。王として流石にそれを破るわけにはいかない」

「まさか討伐禁止モンスターを私達にやらせようとしてるんですか」

「流石にそれはやらせねぇよ。故意で討伐禁止モンスターを倒した場合、物によっちゃあ100万の罰金が課せられるからな。だから代用出来るモンスターを見つけた」


すると3枚のモンスターの絵が描かれた紙を取り出した。


「このモンスターって」

「このモンスターのそれぞれの部位を使えば、討伐禁止モンスターを狩らずにポーションを作れる」

「でも、このモンスターはかなり希少のモンスターですよ」

「ああ、だからある程度俺もサポートする」


私はしばらくその紙を見つめる。

どれもこれも見つければラッキーレベルのモンスター。

これを見てるとふと思ってしまう。

私達で良いのだろうかと。


「ガルア様。十二魔道士では駄目なんですか?」

「あいつらには別の事をやってもらっている」

「そうですか………」


やっぱり私達がやるしかないのね。

するとガルア様はこちらを安心させる為に笑顔を見せる。


「そんな気張んなくて良いって。普通のやつにはこんな依頼しないぞ。お前らを信頼してるから頼んでるんだ。もちろん報酬もたんまりやるよ」


ガルア様の精一杯の励ましだろう。

だが、この人が言うと言葉の重みも違ってくる。

それでも私達を頼ってくれたのなら、その期待に応えたい。


「分かりました。精一杯頑張ります」

「おお頼んだぞ」


するとリドルが見ていた紙を机に置く。


「これの期限はいつまでですか?」


確かに期限によっては探し方も変えなくてはいけない。

この3匹を見つけて倒すとなると余程の運が無い限り8ヶ月が限界かしら。


「ラミアの寿命が残り9ヶ月だ。だから8ヶ月には材料を揃えて欲しい」

「8ヶ月ですか………」


リドルが苦い顔をするのは当然ね。

これはかなり厳しい物になりそうね。

でも、ここでやめる選択をするわけにはいかない。


「分かりました。やります」

「ミノルさん、本気ですか?これは無理だと思いますけどね」

「最初から決めつけるのは良くないわよ。それにかつは今一生懸命強くなろうとしてる。かつをちゃんと迎えられる様に私達も成長しないと」


昔の私だったら諦めてたでも、今は違う。

今は仲間が居る、だからなのか何でも出来そうな気がする。

今だから、受けようと思える。


「分かりました。ガルア様、よろしくお願いします」

「おう、それじゃあ後は頼んだぞ。ミノル、リドル」


そう言って私達の肩に手を置いてガルア様は部屋を出て行った。


「それじゃあ明日、出発しましょうか」

「はい」


私達は明日の準備をする為一旦家に帰るのだった。



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