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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第八章 奪われた道場
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その二十六 魔法陣の強さ

それから1週間後………


「よし、覚えた。今度こそ覚えた」

「なら、忘れない内に紙に全く同じ様に書き写して」


俺はペンを取り、頭の中で魔法陣を想像する。

今まで何100回、何1000回も書き直して来た。

その間違った魔法陣が重なって不要な部分を消していく。

そして俺はその1つ1つを紙に描いていく。

頭の中で出来上がっていく魔法陣と共に俺もペンを進める。

そして、頭の中で魔法陣が完成したと同時に俺の手も、止まる。


「出来た………」


想像通り……頭の中で出て来た魔法陣がそのまま、紙に描かれている。


「どうだサクラ!?」


俺は興奮気味にサクラに紙を見せる。

サクラは俺が描いた魔法陣をじっと見つめ、そして笑った。


「完璧よ。合格」

「――――――っ!?よっ――――」

「ガッツポーズするのはまだ早いわよ」


そう言って俺の腕を掴む。


「後はこの魔法陣をちゃんと頭の中で想像して、展開できるか」

「ああ、そうだな」

「それじゃあ早く行きましょう」


これで魔法陣を展開できればまた1つ強くなれる。

俺達は早速図書館を後にした。


――――――――――――――――

俺達は魔法陣を展開するという修業をクリアする為、森の中に居た。


「それじゃあ早速、魔法陣を展開してみて。もし展開出来れば、はれて駆け出し卒業よ」

「ああ、分かった。じゃあ、早速やるぞ」


俺はゆっくりと目を閉じる。

先ずは頭の中で魔法陣を想像する。

よし!そして、想像した魔法陣を風景と合わせる。

俺は目を開け、目に見える風景に魔法陣が展開されている様子を想像する。


「魔法陣展開!ファイヤー!!」


その瞬間俺が想像した場所に何処からともなく魔法陣が展開され、炎が吐き出される。

そして近くにあった木を燃やした。


「……出来た……展開、出来た!サクラ俺――――」


その瞬間、急にサクラが俺の方に抱きついて来た。


「おめでとうかつ……本当におめでとう!!」

「………サクラ?」


俺は当然の事に戸惑ってしまった。

するとサクラは慌てた様子で俺から離れる。


「っ!?……今のは無し!無し無し無し!!」

「お前ってやっぱり……」

「うるさい!それ以上何か言ったら蹴り飛ばすわよ!!」


そう言ってサクラは怒ってそっぽを向いてしまった。

やっぱりサクラは根は優しいやつだな。

ちょっと素直じゃないだけなんだよな。


「どうやら魔法陣を展開出来る様になったようじゃな」

「ダリ師匠!?いつの間に!」

「おじいちゃん居たの!?」

「ああ、お主らが仲良さそうにしとったのも、バッチリ見たぞ」

「おじいちゃん!からかわないで!!」


そう言って恥ずかしそうにダリ師匠に注意する。


「それはさておき、おめでとう絶対かつ。これでお主も一人前の魔法使い……とはまだ言えんのう」

「え!?何でですか!」


てっきり認めてくれるもんだと思ったがまだ何があるのか?


「魔法陣を1つしか覚えていないだろう。それでは一人前とはまだ言えない。それと、魔法陣を展開出来たと言えど、実戦で使えなければ意味が無い」

「た、たしかに……じゃあ今から戦って来いって事ですか?」

「そういう事じゃ。魔法陣も展開出来る様になったし、実戦練習解禁じゃ」


――――――――――――――

「グルル……」


俺はダリ師匠と一緒に魔法陣を使う為にモンスターの目の前に居た。

ちなみにサクラは先に帰ってもらっている。


「よし、あのモンスターを魔法陣を使って倒して来い」

「わ、分かりました……」


や、やばい!めちゃくちゃ緊張するんだけど。

初めての魔法陣を使った戦闘で、正直物凄く不安なんだけど。

もし、直前で展開できなくなったらどうする?

あ〜もう!嫌なことしか想像できない。

するとダリ師匠がそんな俺を察してか肩を掴む。


「安心しろ、1度魔法陣を展開できれば、忘れることは無い。それに魔法陣を使える事によってどれだけ強くなってるのか、お主自身、驚愕すると思うぞ。ほら、行って来い」


そう言って俺の背中を押す。

俺はそのままモンスターと対峙する。


「グラッ!グガッ!」


集中しろ、さっきと同じ様に展開すればいいんだ。

するとモンスターがしびれを切らしたのかこちらに真っ直ぐ突っ込んでくる。

焦るな、魔法陣を展開する場所を確認して………


「グラッ!」


モンスターが飛んだ瞬間、モンスターの目の前に魔法陣を展開する。


「ファイヤー!!」


空中に魔法陣が展開され、大きな炎がライオンと同じ位の大きさのモンスターを包み込む。

そして、苦しそうな声を上げながらのたうち回り、最終的に全身真っ黒になって動かなくなった。


「何か、この光景どっかで見た気がするんですけど」


そう言えば初めて魔法を使った時もこんな感じだったな。


「どうじゃ?初めての魔法陣を使っての戦いは?」

「何かよく分かんないですけど、ファイヤが以前より格段に強くなった気がする」

「分かったじゃろ?魔法陣を覚える事の恩恵を。戦術の幅が広がるだけでは無く、魔法自体も強化される。それでは次に魔法陣の弱点も教えておこう」

「弱点ですか?」

「ああ、とりあえず魔法陣を展開してみてくれ」


俺はダリ師匠に言われた通り、魔法陣を展開する。


「ほれ」


するとダリ師匠が魔法陣に向かって何かを投げつける。

その瞬間、魔法陣が何かにぶつかりそれと同時に消滅した。


「こ、これって………」

「魔法陣は耐久力が無い。今わしが投げた小石に当たっただけで消滅してしまう。まあ、弱点と言ったらこれくらいじゃ。しかもお主には関係の無いことだろうしな」

「それってどういう事ですか?」

「大体の魔法使いは基礎魔法を使う。魔力レベルが高ければ高いほど、魔法陣も複雑になる。魔法陣が複雑になれば自然と展開するのも遅くなる。じゃがお主はレベル1。恐らく最速で魔法陣を展開出来るようになるじゃろう。もし、壊されたとしてもすぐに2個目3個目を作ることが出来るじゃろうな」

「な、なるほど……」


実はかつはハムスの弟子のサイラとの戦いで魔法陣は壊せるという事に気付いたのだが、今のかつにはその時の事はすっかり忘れていた。


「ダリ師匠、魔法陣って1度に何個まで展開出来るんだ?」

「本人の努力次第では何個でも出来る」

「何個でも、まじか」


てことは一気に10個展開してゴリ押しとかも出来るのか?

なるほど、ちょっと夢があるな。

でも、空中に10個も魔法陣を展開する想像しなきゃいけないなんて……想像しただけで頭が痛くなりそうだな。


「あ、後!昔みたいに手元から魔法って出せるのか」

「出来るやつもいれば出来ないやつもいる。頭の切り替えが下手な奴には無理じゃな」

「分かった。ありがとうございます」

「質問は以上か?ならば新しい魔法陣を覚える魔法を考えとけ」

「は、はい!」


新しい魔法陣か………

俺とダリ師匠は一旦家に帰った。


―――――――――――――――

家の食卓にはサクラが作った料理が並べられていた。


「はい、今夜は私が特別に作ったんだから残さず食べなさいよ」

「おわっ!?うまっ!お前料理めちゃくちゃ美味いな」

「当然でしょ。生き抜く為には自炊も覚えないと、あんたと違ってちゃんと将来の事考えてるんだからね」


うっ!なんかまた嫌味を言われた気がするが、今は料理が美味いから気にしないでおこう。


「いやぁー食った食った!ごっそーさま」


俺は膨れた腹を叩く。

すると空になった皿を片付けているサクラがこちらに話しかけてくる。


「あんた、これからどうすんのよ」

「魔法陣を全部覚えて、さらに魔法陣をより早く展開出来る様にする」

「まあ、いいんじゃない。ていうかまだ私の修業終わってないからね」

「え?まだ何かやるのか?」

「明日から鬼ごっこやるわよ」


鬼ごっこか、ダリ師匠との初めての修業は鬼ごっこだったな。


「まあ、鬼ごっこだったら負けないぞ」

「あの時の復讐もしたいしね」


その言葉から妙なさっきを感じ取る。

やっぱり根に持ってたか。


「そう言えば新しい魔法陣を覚えるのをどれにしようか決めようと思うんだけど、サクラも一緒に決めてくれないか」


俺は、ポケットから魔法許可証を取り出す。

そして、魔法一覧を見る。

一旦皿洗いを止めたサクラが俺の元に歩み寄ってくる。


「どれどれ、なっ!?これって………」

「何何?何か見つけたの?」


これは間違いない。


「新しい、魔法………!」


そして修業が始まってから1年、俺は修業を終わらせた。



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