そのニ 反省
「それでかつはこれからどうするの?」
「どうするって?」
俺たちは今ミノルのおすすめの店でご飯を食べていた。
「ほらなんかやりたい事とかないの?」
ミノルは肉を頬張りながら質問して来た。
ちなみにこの肉はモンスターの一部だ。
食べ物は全部モンスターで作ってるらしい。
「やりたい事か〜〜、そうだな今はもっと強くなりたいな。そしてこの島で最強になる。やっぱり魔法を覚えたんだからそれは目指さなきゃ駄目だよな〜」
まあ最強にならなくても強くはどっちみちならなきゃいけないし。
「最強ね〜、かつが?」
「何だよその言い方。まるでなれないみたいな言い方だぞ」
「そういう言い方したつもりだけど」
「なっ!?」
ミノルは、再び肉を頬張りながら無情な言葉を俺に投げかけた。
「かつさ〜もしかしていつか頑張れば最強になれる〜なんて馬鹿なこと考えてないわよね」
「え?違うのか」
漫画やアニメはそんなもんだった気がするが。
「そんな簡単になれるわけ無いでしょ。魔法で最強になるってことは、この島にいる半獣をすべて倒すってことを言うのよ。かつにそれができるの」
「なるほど……」
確かにミノルの言うとおりだ。
魔力レベル1の俺が最強を目指すなんて無理に決まってるだろうな。
「でもさ、夢を持つのは自由だろ。なれないかもしれないけど、この世界に来て初めてやりたい目標ができたから、俺はそれで満足なんだ」
「日本ではやりたいことがなかったの?」
そんなミノルの質問に俺は少し戸惑った。
「色々事情があってな夢を持つとか目標を立てるとか全く考えなかった。だから俺この世界に来て良かったよ」
「そう良かったわね。だったら…たくさん食べて後悔しないようにしなさい」
そう言ってミノルは唐揚げみたいな物を俺に渡してきた。
「何だよそれ、まっ食べるけど。それでミノルはこれからどうするんだ」
「そうねかつと一緒かしら」
「えっ?ミノルも最強目指すのか」
そうなると今日からライバルになってしまうのか。
やだな知り合いと戦うのは。
「違うわよ!そっちじゃなくて強くなるって所よ」
「ああそっちか」
良かった、まあ俺が戦ってもボロボロにされて終わるだけだろうけど。
「黒いスライムの時に本当は私が倒さなきゃいけないのに簡単に倒されちゃって、まだ魔法になれてないかつに任せちゃったのがとても悔しかった。だから私も強くなって簡単に倒されないようにする」
そう言ってミノルは拳を高々と上げ力説する。
「そうか。てことはお互いやりたいことが一緒ってわけだな」
「そういう事になるわね」
「じゃあさ一緒に強くなろうぜ。まだ聞きたい事とかいっぱいあるし」
ミノルはその言葉に答えるように頷いた。
「それは構わないけど…何かあてがあるの?」
そう言いながらミノルは食べ終わった食器を重ねた。
「それはミノルが決めてくれていいぞ」
俺もミノルが重ねた食器に同じように食べ終わった食器だけを重ねる。
「結局人任せなのね。いいわ、だったら魔法の熟練度を上げるわよ」
「熟練度?」
また知らない単語が出てきたな。
「それは歩きながら説明するわ」
そう言ってミノルはお会計をする為にカウンターに向かった。
「ちょっ!?待てよ!」
俺は急いで残りのご飯を口に流し込んでミノルの後を追った。




