表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第八章 奪われた道場
153/827

その六 解禁

俺はぼーっとしながら朝食を食べる。


「どうしたんですか、かつさん?目にクマができてますよ。寝不足ですか?」

「お前なぁ〜、まあいいや」


絶対こいつ分かって言ってるよ。


「昨日のことなら妾も何故か昨日の記憶があやふやなのじゃ。妾昨日何したかのう」

「安心しろ、ご飯を食べただけだ」


毒入りだけどな。


「何じゃ、それだけか。なら安心じゃ!」


そう言って再び朝食を食べ始める。

こいつはお気楽でいいな。

俺なんて今、ミノルを見るだけであの時の光景を思い出すから直視出来ないのに。

そう言った矢先目があってしまい、思わず顔をそむける。


「何しておるのじゃ?」

「な、何でもねえよ」


顔を反らしたの俺だけじゃねえか。

何か恥ずかし。


「とりあえず食べ終わったらあの部屋に行くんでしょ」

「そうだな。鍵も貰ったし、すぐに確かめようぜ」


俺はすぐに食べ終え、部屋に行く為の鍵を取り出す。


「それじゃあ、早速行くか」

「ちょっと待つのじゃ!……よし、行くか!」


そう言ってほんの一瞬で残った朝食を流し込む。


「お前のちょっと待ては本当にちょっと待てだな」

「そう褒めるでない。恥ずかしいじゃろ」

「全く褒めてないんだけど。まあいっか、早く行こうぜ」


俺達はすぐに扉の前に向かった。

何か分かんないけどやっぱり開かずの扉を開けるのはドキドキするな。


「何が入ってるのか気になりますね」

「何せ、虫やモンスターが住み着く位昔からある建物だし、もしかしたらお宝があるかもしれないわね」

「食べ物はあるかのう!」

「あっても腐ってるから食べられないだろ。よし、開けるぞ」


俺は鍵穴に鍵を差し込む、そしてそのまま右に鍵を動かす。

そしてカチャリと言う開いた音が聞こえた。


「っ!?開いた………」


俺は恐る恐るドアノブを捻った。

そしてギーっと言うきしむ音と共にドアが開いた。


「こ、ここは……書斎か?」


そこにはたくさんの本が置かれていた。


「そうかも知れないわね。机も置いてあるし、もしかしたらここで本を執筆してたのかしら」

「魔法に関することや。にゃんこ島の歴史についての本が沢山ありますね」

「すげぇな、でも何でここだけ鍵が付いてたんだ?」


ぱっと見はただの書斎だし、特別な場所にも見えない。

するとデビが、何かゴソゴソと色々いじっている。


「おい、あんまり荒らすなよ。掃除してないんだから、ホコリが舞うだろ」

「食べ物……食べ物は無いのか?」

「おまえもしあったとしてもそれ食べる気か?」


するとデビが棚を1つ1つ調べ始めた。

そして中に1つの本が入っていた。


「ん?何じゃこれ?」

「それって本か?どんな内容だ?」

「何かよくわからんが鍵がかかっておるぞ」


それは鍵付きの謎の本だった。


「ちょっと貸してくれないか。もしかしたら無理やり開けられるかもしれないからな」

「やめた方がいいと思いますよ」


そう言ってリドルが本を手に取る。


「やっぱり魔法がかかっていますよ。無理やり開ければこの本自体が燃えてしまうかもしれませんよ」

「まじかよ。でも、何でそんな魔法がついてんだ」

「まあ、考えられる1番の理由は他の人に見せられないような内容が書かれてる、という事ですかね」


そう言ってその本を俺に渡した。


「他の人に見せられないような内容か………それってどんなだ?」

「最終兵器の設計図が書かれてたりして」


そう言ってミノルが無邪気に笑う。

か、かわいい!


「最終兵器か。何か響きがかっこいいのう!よし!早く見るのじゃ!」

「お前人の話聞いてたのか?無理やり開けたら燃えるって言ってんだよ」

「じゃあどうするのじゃ?」

「鍵があれば開けられるんだけど」

「多分鍵はすでに前にここに住んでた人が持ってった可能性があるんじゃないんですか」

「だよな……」


どっち道これはしばらくはまた棚の中かな。


「いらないなら妾がほしいのじゃ」

「いや、あげるわけにはいかねえよ。そうだな、じゃあ預けるって事でどうだ?これなら別にいいけど」

「それでいいぞ!」

「絶対に失くすなよ。約束だぞ」


俺は小指を出す。


「何じゃ?折ってほしいのか?」

「なわけ無いだろ!指切りげんまんだよ!知らないのか?」

「指切りげんまん?何じゃそれは」


まじか、本当に知らないとは。


「えっと、まずこうやって小指同士を絡ませるんだよ」

「ふむふむ」

「それで、指切りげんまん嘘ついたら、えっと……ご飯抜きにな〜る指切った!」

「指切られたのか!」

「いや、別にそういう訳じゃなくて。とりあえず、これで約束したからな。破ったらご飯抜きにするぞ」

「わ、分かった!妾この本を絶対守るぞ!」


そう言って大事そうに両手に本を抱える。


「よし!それじゃあこれからどうするか?」

「そうね、最近色々あったし少しは休むのも大事なんじゃない」

「確かにそうだな。じゃあ今日は各々フリーってことで」

「やったぞ!それじゃあ妾は早速、食べ歩きでもしてくるのじゃ!」


そう言って、デビはすぐに出て行ってしまった。


「それじゃあ私も出掛けるわね。あ!そういえば、かつに手紙が来てたわよ」


そう言って、俺に白い封筒を渡す。


「あ、ありがとう」


あれ?手紙が来てないか確認するのはリドルの役目じゃなかったっけ?

多分ミノルが早く受け取ってたのかな。


「手紙って誰からだ?」


俺はすぐに封筒を開けた。

そこには地図と手紙が入っていた。

俺は早速手紙を読む。


「絶対かつ様へ。今回この手紙を書かせてもらったのは絶対かつ様にお願いしたい依頼があって書かせてもらいました。細かい内容は家に来てから話します。都合があったらどうか今日の11時にここまで来てください。て、これってなんだ?」


一通り読み終え、俺はミノルに質問する。


「すごいじゃないかつ!個人依頼が来るなんて」

「個人依頼ってなんだ?」

「一般の人が個人的に魔法使いに依頼する事よ。あまり大人数は必要ない小さい依頼とかを魔法使いに、個人的にこうやって手紙を出してお願いするの。こう言うのってその魔法使いの評判とか実力が認められないと来ないものなのよ」

「そ、そうなのか……そうか、俺も認められたのか」


人に認められるのって何だか嬉しいな。


「だから言ったじゃない。かつは弱くないって。もちろん受けるわよね」

「当たり前だろ。ミノルは来ないのか?」

「依頼主はかつをご所望なのよ。私は行くわけには行かないわ」

「だよな。てことは俺1人でクエストをやるのか」

「まあそこまで難しい依頼じゃないと思うけど気をつけてね」


そう言って俺に屈託のない笑顔を向ける。

やっぱりミノルの笑顔は癒やされる。


「よし!任せろ!ぱぱっと行ってぱぱっと帰ってくっから!」

「ふふ、それじゃあ任せたわよ」


よし!久しぶりの1人でやるクエストだ。

昔よりは確実に強くなってるはずだ。

だから今までよりもスムーズにモンスターを倒せるはず。


「かつさん、個人依頼きたんですか?頑張ってください」

「うわっ!?びっくりした。お前いつの間にいたのか。ていうか何で雑巾とか持ってんだ」


リドルの手にはこの前掃除に使った道具が握られている。


「僕はやることが無いので書斎の掃除をしようと思いまして、リツさんから借りてきました」

「おまえ、いつの間に……まあいいや。それじゃあ行ってくるぞ」

「言ってらっしゃいかつ」

「頑張ってください」

「それじゃあ行ってくる」


俺は自信満々に外を飛び出した。

だがこの出来事が俺の未熟さを知る事になるとはこの時知る由もなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ