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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第八章 奪われた道場
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その二 魔力袋

ど、どういうことだ!?

魔力レベル10分の魔力があるって事は俺の魔力レベルは10ってことなのか!?


「あの!もっと詳しく!」


俺は早くどういう事なのか知りた過ぎて男の医者に詰め寄る。


「あ〜分かった分かった。少し落ち着きましょうか」

「え?あ、すいません……」


やばい、興奮し過ぎて我を一瞬忘れてしまった。


「それではちょっとややこしくなるけど、説明しますよ。それじゃあ絶対さんの体の中に、昨日田中さんが使った袋があるという事にします」

「いや、それは普通の袋でいいんじゃないんですか?」

「何言ってんだ。昨日田中さんが使った袋だと言うことが重要なんですよ」

「いや、絶対重要なとこそこじゃないでしょ。ていうかそんな事どうでもいいんで、早く教えてください」


俺は早く教えて欲しすぎて貧乏ゆすりをする。


「まず、絶対さんの元々持っている魔力は1レベルです。そしてあなたの中山さんが一昨日使った袋にはその魔力レベル1分の魔力が入っています」


名前は違うし日にちも変わってんじゃねえかよ。

結局何でもいいんじゃん。

まあそんな事を言うと話が進まなそうなので、あえてここは黙っておこう。


「普通の人ならそこには後残り魔力レベル9分の空きがある。だが絶対さん、あなたの先週……いや、来週?もうどっちでもいいや」


結局面倒くさくなってるし。


「とりあえず絶対さんの魔力袋には何故か既に魔力レベル9分の魔力が入ってるんですよ。本当にこれにはびっくりしましたよ」

「え?でもそれって俺は元々魔力レベル10って事じゃないのか」

「いや、普通そう思いますよね。でも詳しく調べてみるとレベル9の魔力の方が先に入ってたんですよね。その後に魔力レベル1が上から上乗せしてきたイメージね」

「つまり、レベル1分の魔力とレベル9分の魔力で分けられているって事ですか?」

「そういう事ですね」


うわぁ……なんつー複雑な体の構造をしてるんだ俺は。


「この構造になるには全く説明がつくものが無いんだよね。その驚きぶりだと魔力レベルは1なんですよね」

「はい、そうです」

「それだとメインの魔力が魔力レベル1と言うわけですね。つまり絶対さんは魔力をたくさん持っている魔力レベル1の魔法使いというわけ」

「え!?でもそれって、これからどんどん魔力が上がれば他の人よりも魔力が多くなるってことですか!」


その答えに医者は首を降る。


「ここから先はおふざけ無しの真面目な話になるんだけどね。絶対さん、限界というのを知ってますよね。モンスターの限界、人間の限界、そして半獣の限界。魔力レベルが何で10あると思う?」

「そ、それは……」


言いたくない。

そんな現実受け止めたくない。

だけどそんな願いは届くわけも無く医者は話を続ける。


「それは半獣が持てる魔力量の限界なんだよ。つまり、半獣はこれ以上魔力を上げられない。それは絶対さんも例外では無いよ。絶対さんの場合何故か分からないが、最初から魔力レベル9の魔力を持っていて、それから魔力レベル1の魔力を手に入れた。9+1で10。絶対さん、あなたはこれ以上魔力レベルは上げられません」

「………っ!?」


分かっていた。

魔力レベルが1の時から俺には強くなる事が出来ないと。

それでも皆が居て、魔法を手に入れていく内に少しずつ自信になっていった。

そして黒の魔法使いとの対決、俺もレベル1なりに戦えている。

だけど戦えているだけで勝てるとは言ってはいない。


「これ以上俺は強くなれないってことですよね。あ、でも!魔力レベルが合わさって10という事は魔法協会に行けば魔力レベル10になるって事ですよね。なぁんだそう言う事なら魔法も沢山覚えられるって事ですよね」

「残念だけど、それは無理です。そもそも魔法許可証の魔力レベルは魔法抵抗の魔力レベルと同じです。かつさんは魔法抵抗もレベル1ですよね?つまり今のかつさんは、魔力レベル1の魔法使いが魔力レベル9分の魔石を持っているという状態です。だから魔力レベルが上がることはありません」

「………っ!?で、でも!魔法は沢山覚えられますよね!」

「それは絶対さんの努力次第だね。だけど基礎魔法は覚える事は出来ない」

「き、基礎魔法?」


何だ、急に知らない単語が出てきたな。


「え?基礎魔法をご存知ないと?」

「ええ、まあ……」

「魔法使いなのに基礎魔法を知らないなんて………絶対さん、これ基礎中の基礎だよ」

「す、すみません。俺、そう言うの勉強してなくて」


まずい!これ以上喋ると俺がこの島の住人じゃないことがバレちまう。

ここは慎重に行こう。


「まあ、一応医者として患者が納得いくように説明するけどね。基礎魔法って言うのは魔法許可証に書かれている魔法陣の事を言うんだ。それで―――――――」

「えっと……まず魔法許可証に魔法陣なんて書いてありましたっけ」


すると医者がこちらを怪しい視線で見出した。


「あなた……この島の住人ですか?」


その言葉を聞いて思わず一瞬体が震えた。

まずい!バレたか!?


「え、えっと……どういう事ですか?」

「魔法使いとして生きているのにも関わらず、魔法の事について知らな過ぎだと思いましてね。ちょっと……いや、かなり今怪しんでるんですけど」

「はははは……そんなわけ無いじゃないですか!ほら、あれ!俺、むかしヤンチャしてたんで、人の話とか聞かず、勉強もせずに魔法使いになったんですよ!」


俺の話を聞いても、疑いの目をやめない。

やばいな、ここで万事休すか?


「ふぅー、わかりましたよ。絶対さんの言葉を信じます。それに私は愉快な医者です。こんなふうに人を疑うのは仕事では無いからね」

「そ、そうですね………あはははは」


あぶねー、ギリギリセーフ!


「とりあえずもう帰ってください。次の患者も居ますし。後のことは、仲間に聞けば分かると思いますし」


これ以上ここに居たら正体バレそうだし早めに行くのが吉だよな。


「分かりました。ありがとうございました色々教えていただき」

「医者として当然のことをしたまでですよ兜さん」

「いや、兜さんって誰ですか?あんたさっきから俺の名前普通に言えてただろ」

「あ〜すいません。まん丸さんでしたね」

「あんた絶対わざとでしょ!」


俺は最後に医者にツッコミを入れてその場を後にした。


「と、ちょっと待って下さい。1つ言い忘れていました」

「え?何ですか?」


また何か残酷な事を言われるんじゃないだろうな。


「絶対さん、もしかして魔石などを大量に使って、自分の限界の魔力量を超えた魔力を摂取してませんか?そのせいであなたの体は今ボロボロなんだよね。これ以上その様な限界を超えた魔力量を摂取すれば、最悪の場合体が魔力に耐えられず爆発するから気を付けるように」

「は、はい……」


俺は不安な事を言われて部屋を出た。



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