その一 医者の診断
「それじゃあ早速調べますね」
そう言って俺は台に横たわり手足を拘束されていた。
「えっと〜これで本当に今の俺の魔力レベルが分かるんですか?」
「正確に言うとかつ様のいま体の中にある魔力量を調べます。ですから今ある魔力量がレベル1以上だとしても魔力レベルが上がることは無いので。正式な手続きは魔法協会でお願いします」
「あ、分かりました」
「それじゃあ始めますよ」
そう言って俺の頭にベルトみたいな物をつける。
そしてそのベルトみたいな物に繋がっているコードの先にある機械のスイッチを入れた。
その瞬間頭に物凄い頭痛が走った。
「ぐ、ぐわあああぁぁ!!」
俺はあまりの痛さに悶える。
まるで頭から直接脳みそを抜き出されてるような痛みだ。
「大丈夫ですよ。すぐに終わりますからね」
「うぐっ!?ぐわぁ!うわぁぁ!!」
やばいやばいやばい!
いつまで続くんだ!
早く終わってくれ!
1分1秒が長く感じる!
「落ち着いて。深呼吸してください」
「うぐぁ!?ふぅーふぅーうぐ!」
俺は苦痛に耐えながら終わるのを今か今かと待ち続けた。
―――――――――
「はあ……クソ……頭イテェ……」
俺は痛む頭と脱力感に襲われていた。
控室に座り頭を抱えているとミノルが優しく背中をさすってくれる。
「大丈夫?かなり苦しそうな声が聞こえたけど」
「大丈夫だと思うか?まじで死ぬかと思ったぞ」
「まあここの見方は体の中にある魔力を全部出して魔力量を見ると言う方法ですからね」
「何か騙された気分だ」
「まぁまぁ元気出すのじゃ。ほら、肉食うか?」
そう言って俺に骨つき肉を渡してくる。
「デビ、ここは飲食物持ってくの禁止だぞ」
「絶対様〜絶対かつ様は居ますか〜」
白いナース服を着た人に名前を呼ばれたことでゆっくりと立ち上がる。
「呼ばれたから行ってくる」
俺はフラフラとした足取りで向かった。
「大丈夫ですかね。かつさん」
「まあ大丈夫でしょう」
――――――――――――
「それでどうだったんですか」
「まあとりあえず座ってください」
俺は男のお医者さんに言われた通り椅子に座る。
「それでどうなんですか俺は?」
「そうですね〜言いにくいんですけど」
「いや、もうズバって言ってくれて構いませんよ。覚悟してるんで」
「あなたあと2日で死にます」
「―――――――!?」
思いもよらぬ答えに声にならない叫びが出る。
「え?ちょ、えちょまって!死ぬの?俺あと2日で死ぬの?」
「はい、死にますね」
「え?ていうか冷静すぎませんか?もうちょっとやばい感出せないんですか?」
「医者がテンション上げて言ったら失礼でしょ」
「いや、確かにそうだけども……」
ていうか俺本当に2日しか命が無いのか?
くそ、まだまだやりたいことがあったのに、あいつらになんて説明すれば。
「まあ嘘なんですけどね」
「はあ!?嘘!」
この医者何言ってんだ。
「そうですよ。本当の診断はこっち」
「いやいや、あんた医者として最低のことしてるぞ」
「場を和ませようとしたんですよ。絶対さんの顔は少し暗かったので」
「いやいや病院に来て元気なやつなんていないでしょうか」
「確かにそうですね。こりゃ1本取られました」
そう言って、自分の頭を軽くこづく。
こいつ何なんだ。
失礼だと思うが思いっきりぶん殴りたいんだけど。
「それじゃ、本題に入りますね」
「ていうかまずそれが最初でしょ」
「ええっとね。絶対さんの体は少し不思議な事になってるんですよ。これ本当に」
「不思議な事?それってどういう事ですか?」
「いや、私もよく分からないんだけどね。絶対さんは魔力が2つあるんだよ」
そう言って、男の医者は片手でピースする。
「それってどういう事ですか」
「まあ何というか使ってる魔力と使ってない魔力があるんだよ」
「つまり?」
「簡単に言うと絶対さんの体の中には魔力レベル10分の魔力があるんだよね」
「は、はあぁぁぁ!?」




