その二十二 破滅からの脱出
「グギャアア!!」
「かつさん!今は喜んでる場合じゃないですよ!ここのフロアのモンスターはかなり倒しましたがまだ数は残ってます。早くここを離れないと」
「そうだな。早く階段に向かおう!」
するとミノルがその場に動こうとしない。
「どうした、ミノル?」
「もう、帰りましょう」
「何言って――――デビ!?」
その瞬間デビが崩れる様にその場で倒れる。
「はあ……はあ……はあ……」
「デビちゃん、もう限界みたいだし。それに私も魔力の使い過ぎでこれ以上は戦えそうにないの」
「そうか、無理させてたのか。よし、早くかえ――――」
「グシャアアアァァァ!!」
その瞬間地面の下から巨大なサメが出てきた。
「なっ!?何で下からサメが出てきてんだ!?」
「かつさん!早く行きましょう!正直言って僕もこれ以上戦える気がしないので」
「分かった。それじゃあデビは俺が背負うよ。ミノルは歩けるか?」
「私は大丈夫、早く行きましょう」
「グシァァァ!!」
するとまた地面に潜りスイスイと泳ぎながらこちらに迫ってくる。
あいつ地面を海の中みたいに移動できるのか。
この状況では厄介なモンスターだな。
「俺がインパクトを撃つから、その間にお前ら逃げるんだ」
「分かりました!」
「気をつけてね!」
そう言って2人は階段の方に走る。
「グシャアアァァァ!!」
「ちょっとやられてもらうぞ!インパクト!!」
「グジャバァァァ!!」
俺はインパクトを放ってすぐに階段の方に走って行った。
そしてモンスターをかなりの数倒したおかげかすぐに階段に到着する事ができた。
「はあ、はあ、よかった。みんな無事に到着できたみたいだな」
俺は周りを見て皆の姿を確認する。
「そうね。でもデビちゃんが」
俺はおんぶしていたデビをゆっくり下ろす。
「はあ……はあ……はあ……ううん……」
「苦しそうだな。大丈夫そうか?」
するとデビが苦しそうに何かを呟く。
「お腹が減ったのじゃ………苦しいのじゃ………」
「うん、大丈夫そうだな」
「まあ実際魔力不足なだけだと思うし大人しくしてれば大丈夫よ」
「てことは今日はここの階段で野宿ってことか?」
「そういう事になるわね」
マジかよ。ここ本当に階段しかないから凄い寝にくいんだが。
「それじゃあ、僕はもう寝ますね」
そう言って階段の段差に横たわってリドルは寝た。
「すげーなお前。よく寝れるな」
「昔は色々と野宿する事が多かったので、寝るとこさえあれば代々どこでも寝れるんです。おやすみなさい」
「おやすみー」
そう言ってリドルは眠りについた。
俺もそろそろ寝ようかな。
「ねえかつ。まだ起きてる?」
「え?ああ、起きてるけど」
正直言うともう寝る準備してたんだけど。
「ごめんね。階層、4階止まりで」
「その事だったら別に気にしてないよ。無理して死んだら元も子もないしな」
「違うの。本当は6階に行くのが目標だったの」
「6階?それは何でだ?」
「この破滅の洞窟を最後に挑戦されたのは去年の4月の事なの。その時は20人位の魔法使いが、調査したのよ。そして帰って来たのはたったの2人。しかも20人で調査したのにもかかわらず5階までしか到達できなかったのよ」
階段内にミノルの声が響く。
ああ、そうかだからこいつは5階以上を目指していたのか。
「でも、20人で調査して5階までしか行けてないんだろ?俺達は4人で4階も行ったんだから上出来だろ!」
「違うわよかつ。人数が多かった分見つかりやすかったのよ。私達は少人数で挑んだからあまり見つからずに済んだの。運が良かったのよ」
う〜ん何かネガティブに捉えてしまったみたいだな。
「まあどっちにしろ、俺達にしては頑張った方だろ。まだ出来たばかりのパーティーでここまで行ったやつなんて中々居ないんじゃないのか?」
「まあ確かにそうね。でも、借金また返せなかったわね」
「そもそもそんなすぐに返せるような額じゃないだろ。気長に行こうぜ」
「気長にね………そうね、それが1番かもね。それじゃあおやすみ」
そう言ってすぐにミノルは横になり眠りについた。
「………おやすみ」
俺はミノルの妙な間を気にしつつ、俺も眠りについた。
そして起きては上って、起きては上ってを繰り返し、3日が経った。
―――――――――――――――
3日後
「よし!出口が見えたぞ!」
「グギャアア!!」
「何をしておるのじゃ!早く走れい!」
「お前、人がおんぶしてやってるのにその態度はなんだ!」
「かつさん!一気に飛び込みますよ」
「行くわよ!せーっの!」
俺達は一斉に扉に飛び込んだ。
「ぐわっ!?痛ててて……脱出出来たのか?」
「そうみたいね」
周りを見ると久しぶりの緑に囲まれた自然だった。
「空気が美味しいですね。やっぱり新鮮な空気が1番です」
そう言って、思いっきり深呼吸をする。
「いやー妾のおかげで無事脱出できたのう」
「何言ってんだ。ずっと魔力不足でぐったりしてた癖に」
「それよりもお腹空いたわね。今から食べに行きましょうか」
ミノルは腹が減ったようでお腹を擦る。
「そうだな。よし!魔法協会で飯食べに行こうぜ!」
「さんせーい!妾沢山食べるぞ!」
「それじゃあ早速行きましょうか」
俺達は破滅の洞窟を脱出した。




