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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第七章 結成!問題児だらけのパーティー
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その十八 仲間を失う覚悟

「くそ!何でだ!?いつまで経ってもデビと会えない」


別れてからそんなに時間が経ってるはずないのに何故かデビの声が聞こえるのに会えない。


「どうなってんだよ。もしかしてモンスターの仕業なのか?」

「正解です」


その時後ろから男の人の声がした。


「っ!?お前は……」


俺はすぐにその声の方に振り向いた。

そこにいたのは先程俺の前に現れた帽子を被ったモンスターだった。


「どうも始めまして、半獣の子よ」


言葉が分かるのか、しかも流暢に喋ってるし、確か言葉が喋れる奴は強敵だったっけ。

まずいな、俺1人で勝てるのか。


「ふふふ……緊張してるんですか?手が震えてますよ」

「なっ!?」


俺はすぐに自分の手を掴む。

こいつ、からかってんのか。


「きゃーー!」

「今の声は、デビ!待ってろ!今行くから!」


やっぱり近くに居るはずなんだ。

なのに何で会えない。


「会いたいですか?あの子供に」

「お前やっぱり何かしたのか」

「それはあなたが私の言う事を聞いてくれたらいいですよ」


そう言ってニヤリと不気味に笑う。


「悪魔の契約か?残念だが俺はそんな事するつもりは無いぞ」

「それではこれを見ても同じことが言えますかね」


そう言うと指を弾いた。

パチンと言う音が洞窟に響いた瞬間人影が現れた。


「ああ……嘘だろ……」


そこには体中血まみれで痛々しい姿のミノルとリドルが手足を縛られ横たわっていた。


「この2人のどちらかを私達の食料としてお譲りしてもらいませんか?そうすればあなたとその子供を安全に外に返してあげることを約束しますよ」


そう言って丁寧にお辞儀してまたニヤリと笑う。


「ふざけるなよ!仲間を売れってことか!」

「どちらにしろこの半獣共は助からないでしょう。ここで無駄に死ぬか、それとも仲間を助けて死ぬか。どちらがこの半獣共にとって有意義な死か。どうか仲間の為に考えてください」


そう言って悲しそうな表情で倒れている2人を見る。

どうする!?確かにリドルとミノルの傷は深い、息も浅く、あともう少しで命が消えてしまう。

俺は恐る恐るミノルの顔を触る。


「痛いだろう。辛いだろう。ごめんな、俺がこの洞窟に入るのを止めてればこんな事にならなかったのに」


するとミノルの手がゆっくりと俺の手に触れる。


「……っ!?ミノル!」

「ごめん……な、さい……私……やられ……ちゃ…た……」

「もういい喋るな!まってろ!今俺が助けてやるから!」


するとミノルの手が俺の手を握る。

何て弱々しい力なんだ。

あともう少しでミノルは死んでしまう。


「まだ決断できないようですね。ならばこうしましょう。どちらかを選べば片方は私が怪我を治してあげます。そうすればあなたも決断しやすいでしょう」

「くっ……!人をおちょくりやがって……そういう問題じゃないって――――」


その時ミノルが俺の手を引っ張る。


「私を……選んで………」

「っ!?」

「リドルは……私を庇って……傷を負ったの……だから私を選んで………」

「ミノル……お前……」

「私達が……助かれば……また……冒険が、出来る……リドルも………それを願ってるはず……だから……」


ミノルがまた弱々しく俺に詰め寄る。


「それで決まりましたか?」

「ああ……決めたよ」


俺はミノルを引き剥がす。


「俺は……ミノルを……」

「ああ……かつ…ありがと……」

「ミノル、いや、お前は偽物だ!インパクト!!」


俺はミノルに向かって魔法を放った。


「なっ!?何をやっている!せっかくのチャンスを棒に振るのか!」

「はっ?チャンス?バカ言ってんじゃねぇよ。ミノルわな、どんなに自分が危険な目にあっても他人を気遣う優しいやつなんだよ。どんなに死にそうでも、瀕死の状態でも絶対に自分が助かる方を選ばない。仲間が死にそうでも絶対に仲間を見捨てない。少なくても俺の知ってるミノルはそう言うやつだ」

「ふふふ……ふはははは!面白い!実に面白い!」


何だこいつ急に笑いだして、気色悪いな。


「どうせこれはお前が見せてる幻覚か何かだろ。リドルだって本当は瀕死の状態じゃないだろうし。ま、お前を倒せば分かることだろ」

「2つ、間違えてるな。1つお前は私には勝てない。2つこれは幻覚ではない。これは夢の中だ。私のこの指を弾いた時になる音を聞いた者は夢の中に陥る」

「だったら俺を夢の中から出してくれよ」


するとニヤリと不気味に笑いながら指を弾く。


「うっ!?何だ……」

「あなたが目覚めた時、そこには危機にひんしている仲間がいるでしょう。あなたにその仲間が救えますか?」

「救ってやる……よ……」


そのモンスターは俺が気絶するまでずっと不気味な笑みを浮かべていた。



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