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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第七章 結成!問題児だらけのパーティー
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その十七 三つ首の犬

「ん?ううん………ここは何処だ?」


全身に寒気を感じる。

まだ洞窟の中なのか?

俺は周りを見渡した。

するとすぐ横にデビが仰向けで寝ていた。

俺はゆっくりと体を起こす。


「他の皆は何処にいるんだ?」


辺りを見渡してもミノルとリドルの姿は無い。


「ここは何階なんだ?」


俺は自分の場所が何処か知るため記憶を辿る。

あ、そうだ。

最後に見た記憶はあの不気味なモンスターだ。

だがそのモンスターの姿もここには無い。


「とりあえず皆と合流するしかないな。おーい、起きろ。起きろってば」


俺はデビの頬をペチペチ叩く。


「ううん……もう食べられないのじゃ………」


そんな典型的な寝言をボソリと呟く。


「何言ってんだお前は。早く起きろ。今モンスターが居なくてもいつ出てくるか分からないんだぞ」


その時、何処からか雄叫びが響き渡った。


「ま、まじかよ。もう出てきたのか。おい!起きろって!」


俺は必死にデビを起こす。

だが全く起きる気配はせず、気持ち良さそうに寝ている。


「くそ!ああ……もう!」


俺はデビをおんぶして岩の後ろに隠れる。

かなりデカイ声だった。

もしかしたら巨大なモンスターかもしれない。

すると何処からか大きな足音の様なものが聞こえる。


「やっぱり居たのか。モンスターが」

「グギャアアァァァァ」


そのモンスターは犬のような3つの頭があり、首に鎖を巻き付け、真っ黒い毛に覆われていた。

それはまるで……


「ケル……べロス……」


それはまさしく、ゲームなどで見かける地獄の番犬ケルベロスそのものだった。

まじかよ!まさかそんなやばいモンスターがいるなんて。

俺は見つからないように息を殺した。

何でこんなラスボス級のモンスターが居るんだよ。


「グルルルル」

「ガウガウ!」

「グギャアァァ!!」


それぞれの頭が、好きな様に吠えたり、唸り声をあげたりしている。

見つかったらやばい!確実に殺される!


「う、ううん……ふわあ〜あ!ここはどこじゃ?」

「おわっ!?お前いきなり起きるなよ!」

「ガル?」

「まずい!」

「なあここは―――ふぐっ!?」


俺はすぐにデビの口を押さえる。

やばいバレたか!?


「う、うううん!うう!」

「静かにしてろデビ!気づかれるだろ!」


俺は声を押し殺してデビをだまらせる。


「ガルル……」


歩くたびに地面が揺れる。

緊張で心臓が張り裂けそうだ。

段々大きくなる足跡に俺は恐怖を覚えたがその音はピタリと止んだ。


「ガルル……」


音が止んだ?

どうしたんだ?居なくなったのか?

確認したいがもし顔を出して見つかったら殺される。

ここは待つんだ。

すると再び足音が鳴り響く。

だが段々足音が大きくなるわけでも無く小さくなって行った。

もしかして違う所に向かったのか?

しばらく立って音が響かなくなった。

それと同時に俺はデビの口を押さえる手を離した。


「はあ〜……助かった……」

「ぷはぁ!はあ……はあ……お主……妾を殺すきか!」


あ、やべ、ちょっと強くやりすぎたかも。


「いやーすまん。こっちも必死だったからな」

「必死だからって妾を殺す理由にはならんぞ!謝れ!」

「は!?何で俺があやまんないといけないんだよ!ていうか謝れって言うならさっき俺を足で転けさせたことを謝れよ!」

「そんな小さい事でケチケチ言うでないわ!短気じゃのう」

「はあ!?だったらお前だってこれくらいで怒ったりすんなよ!お前の方こそ短気だろ!」

「なんじゃと!」

「何だと!」

「「ふん!」」


俺達は互いにそっぽを向く。


「たく!お前と居るとストレスが貯まる!さっきの氷で滑った時もそうだし、少しは我慢ってのができないのかお前は!」

「な!?妾はお主らの役に立とうと思って―――」

「どう考えてもお前は自己満足でやってるだけだろ!俺達の事を思って行動するなら黙って静かにしてろよ!」

「な!?」


俺は興奮した気持ちを制御出来ず思った事を全部言ってしまった。


「そうか……だったら妾はお主らのパーティーなど抜けてやる!妾が居ても迷惑なだけだしな!」


そう言ってデビは怒ってそのまま走って行ってしまった。


「おいちょっと待てよ!くそ!何なんだよ……」


俺もまだ怒りの気持ちが残っていたせいでデビとは反対の方に歩いた。


「何なんだよ。俺はあいつの為を思って言ってんのに!」


俺は愚痴をこぼしていく内に高ぶった感情がだんだん落ち着いてきた。

改めて考えるとあいつなりに頑張ってたのかもしれないな。


「ちょっと言い過ぎたかも知れないな」


しかもここはモンスターがいる洞窟の中だ。

1人で行動するのは危険だしな。


「しょうがない迎えに行くか」

「グギャアァァ!!」

「っ!?今の声はデビが走ったほうだよな」


まさかあいつ戦おうとしてるのか。


「馬鹿野郎!1人で勝てるわけ無いだろ」



俺は急いでデビの所に向かった。



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