その十二 借金返済宣言
「かつさーん!!起きてくださーい!!」
何処からか声が聞こえる。
うるさいな俺はまだ寝ていたいんだよ。
俺は体を横に向けようとするがその先に何か大きな物があった。
な、何だこれ?
「かつさーん!!早く起きてくださーい!!」
う〜ん、もううるさいな〜……
俺は諦めてゆっくりと目を開ける。
目の前には気持ちよなそうに寝ているデビの姿があった。
「え?えええええええ!?」
「かつさん!?どうかしたんですか」
まずい!この状況を見られたら俺はこれからロリコン認定されてしまう!!
「大丈夫だ!すぐ行くからリドルは先に行ってろ!」
俺はすぐにでもリドルを部屋に入れないように何とか遠ざけようとする。
「分かりました。早くしてくださいね」
その声の後にリドルの帰る足音が聞こえ足音が消えたのを確認して俺は大きく息を吐いた。
「はあ〜……危なかった……にしても何でこいつこんな所にいるんだよ」
昨日酒飲んだせいであまり覚えていない。
もしかしてなんかやばいことしてないよな。
「一夜の過ちってやつか……て、そんなわけ無いだろ!!俺に限ってそんなことするわけ無い!!」
だがそんな事を言っても何故デビがここにいるのかと言う理由が解明されなかった。
「とりあえずデビが何でここにいるかは置いといとこの状況を何とかするしかないな」
あまり長居するとまたリドルが来てしまう可能性がある。
早めにそして慎重にやらなければ。
「先ずはこいつをこの部屋から出すしかないよな。問題は出した後どうするか……」
作戦1部屋に出す
部屋に出すのは良いがそのまま外に放置は不味いだろ。
作戦2置いていく
誰も居ないふうにして外に出てリドルに合流するまでは良いがデビを起こしに行った時にデビが、部屋にいないのは不味い。さらにデビが俺の部屋から出てくる瞬間に鉢合わせしてしまう可能性があるから駄目だな。
作戦3デビと一緒に行く
デビと途中で会った。もしくはデビを起こしに行って一緒に来たと言えば怪しまれないだろう。でもこいつ今パジャマを着てしまっている。これじゃあこの作戦は出来ないな。
作戦4部屋に戻す
デビを運んで自分の部屋に戻す。これならデビが起きた時変に怪しまれないし、その後起こしに行けばデビは完全に自分の部屋で起きたと思うし皆も怪しまないだろ。
「よし!これで行こう!すぐにやろう!」
俺はデビをゆっくりとおんぶした。
「よし!早く運んでロリコン回避だ」
俺はすぐに扉を開けた。
その瞬間扉の前にはドアノブに手を掛けようとしたミノルの姿があった。
「…………」
ミノルは驚いていて状況が飲み込めないのか俺を見て黙ってしまっている。
俺はその状況が耐えられずとっさに
「お、おはようミノル」
――――――――――――――
「それじゃあ皆集まったし食べましょうか絶対ロリコン」
「そうですね。食べましょうか絶対クズ」
「そうじゃのう。お腹も減ったし早く食べよう。なあ絶対犯罪者」
「分かったからその呼び方やめろ!」
俺はデビが部屋に入った瞬間を見られ、仲間達に怒られていた。
「ていうか俺はデビを部屋に入れたつもりは無いぞ」
「本当かしら、かつだったらやりかね無いから」
「いやいや、信じろって!本当だから」
「ロリコンというのは自覚症状が無いみたいですね」
「お前まで何言ってんだ!」
「待て待て、お主ら。こいつは確かに犯罪者じゃがロリコンと言う事には納得いかん。妾はそんなに幼くないぞ!」
「何言ってんだお前は!そもそもお前のせいでこんなことになってんだぞ!」
するとミノルが突然笑いだした。
「ふふふ……ははははは!はあー面白いわね。やっぱり仲間っていいわね。1人じゃこんなに笑えないもの」
「え?何、からかったのかお前!」
「決まってるでしょ。あんたがそんな事できるわけ無いじゃない」
「お前なぁ〜……」
まあ、疑いが晴れたから別にいいか。
ちょっとムカつくけど。
「かつさんが連れてきてないとするなら、何でデビさんはかつさんの部屋のベットの中に入ってたんですか?」
「ん?何じゃ妾の顔をじっと見て」
こいつが夜這いに来たのか?
「いや、無いな。ただ寝ぼけて俺の部屋に入っただけだな」
「今お主失礼なことを考えたじゃろ」
「いや、別に」
俺はこれ以上悟られないように目玉焼きが乗った食パンを食べる。
「とりあえず朝食をとりながらでいいから本題に入るわよ」
ミノルは真剣な表情でポケットから紙を取り出した。
「それって………」
それは借金返済の時に使う正に金をドブに捨てる紙だった。
「そ、これは借金返済の紙よ。今の借金額は3億7923万8329ガルアよ。これを完全返済するわよ!」
「え!?ちょっと待て!本気で言ってんのか!?」
「本気よ!」
あ、これマジのやつだ。
「にしてもこの額を返済するのは大分難しいと思いますよ」
「ここまで返済できたのも奇跡みたいなもんだしな。ガルアに借金無しにしてもらえないかな」
「それは無理でしょうね。いくらかつさんがガルア様と親交を深めたとはいえ、そういう所はちゃんとしてるはずです」
「そうかー無理かー」
俺はじっと自分の借金返済の紙を見つめる。
う〜ん見れば見るほど憂鬱になりそうだな。
「そう言えばお主ら借金してたんじゃったな。まだ返せてなかったのか」
「簡単に返せるわけ無いだろ。それで何でいきなりこの話を持ち出したんだよ」
俺は机にうつ伏せになりながら紙の金を置くマークをなぞる。
「もちろんそれには理由があるわ。私達は正式なパーティーメンバーになったのに私とかつはまだ借金を返しきれてない。このまま借金をズルズル引きづるのは駄目だと思うの。だからこれから新しい仲間とあたらしい道を進む為にも一度0から始めるって意味も込めて借金は早く返そうってことなのよ。分かった」
「まあ何となく言いたい事は分かった。でもすぐには無理だろ」
1億返すのにもこんなに時間かかったのに全額返すのに何ヶ月、何年掛かるか。
少なくとも今すぐにとはいかないだろう。
「妾ならどんなモンスターでも一瞬で灰にしてやるぞ」
「そう言えば確認してませんけどデビさんて魔力レベル何だったんですか?」
「ん?妾の魔力レベルは1000じゃぞ」
「は?何、ふざけてんのか?そんなギャグじゃ誰も笑わないぞ」
俺はデビの唐突のボケに少しイラッとしてしまった。
「別にふざけたわけじゃないぞ!妾は本気じゃ!」
「かつさん、あんなことがあったからってデビさんに冷たいですよ」
「だってあともう少しでロリコン認定されるところだったんだぞ!」
「だから妾はロリではない!」
「もー分ったから!デビちゃん魔法許可証を貸して」
ミノルはデビから魔法許可証を受け取る。
するとミノルは食い入る様に魔法許可証を見る。
「こ、これって………魔力レベル10なの!?」
その言葉に関心の無かったリドルすら思わず振り向いた。
「ちょっとすいません!見てもいいですか!」
リドルは思わずデビの魔法許可証を確認する。
「本当ですね……本当にレベル10ですね……」
「マジかよ……デビって意外と凄いやつだったんだな」
「ふっふ〜ん、妾の凄さを思い知ったか」
何かドヤ顔がムカつくな。
「デビちゃんは意外と魔法の威力が高いなと思ったらそういう事だったのね」
「レベル10ってかなりやばいんだろ」
「そうね島中でも確認できてる数で15人位しか居なかったらしいわよ」
「マジかよ!お前何者なんだよ」
「ま、そういう事じゃ。妾を敬うがよい」
「いや、それはいい」
「何でじゃ!!」
するとリドルがデビに魔法許可証を返す。
「ありがとうございました」
「リドルどうした。ぼーっとして」
「いえ、何でもありません」
流石のリドルもデビがレベル10って事にショックを受けてるのか。
「デビちゃんがレベル10ならなおさらね。今回は大勝負するわよ」
「大勝負ですか?まさか………」
「そう、そのまさかよ」
「何、なんだよ。もったいぶらずに言えよ」
俺は中々本題を言わないリドルとミノルを急かした。
するとミノルは力強く拳を握りしめる。
「私達は今回攻略困難洞窟、破滅の洞窟に挑戦するわよ!」




