その十一 パーティー結成お祝いパーティー
「う〜ん2人共、入って早々何で土下座するの〜?」
俺とデビはリツの店の前で土下座をしていた。
理由は簡単リツの怒りをなるべく最小限にする為だ。
リツは困った顔でミノルを見た。
「えっと……実はこれが壊れちゃって」
そう言ってミノルが壊れたスイットをリツに見せる。
「なるほどね〜だから土下座してたんだ〜」
リツのこのゆったりとした声はもしかして怒ってないのか?
「それじゃあ1人300万払ってもらおうかな」
やっぱり怒ってたー!
「り、リツ俺達は本当に反省してんだよ。いや、自分で言うのも何だけど本当に。弁償はするつもりだ。だけどもうちょっと安くならないかな?」
俺はリツが逆ギレしない様になるべく声を低くして正座しながら交渉する。
するとリツがクスクスと笑い出した。
「嘘だよ〜ちゃんと謝ってくれたし、私は許すよ〜」
「本当か!やったぞ!妾、これで許されたぞ!!」
「おい、ちょっと待て。流石にそれじゃあ納得いかない。俺達に何かできることは無いか?」
流石にこんなことしといて何もしないのもあれだろう。
「う〜んそうだなぁ……それじゃあ私の店の手伝いをするってのはどうかな〜?」
「分かった!それでいこう」
「えー!?ちょっと待つのじゃ!妾はやるとは言っておらんぞ!」
「やるんだよ。じゃなきゃ飯抜きにするぞ」
「妾!本気で店番するぞ!」
そう言って綺麗な姿勢で敬礼をする。
「本気で店番って言うのはよく分からないけどこれで解決って事でいいわよね」
「そうだな。それじゃあ残りの掃除道具がこれだ」
俺達は残りの掃除道具を全部床に置いた。
「うんありがと〜。一部のスイット以外はちゃんと全部あるね〜。安心したよ〜」
ちゃんと1つ1つ確認してリツがうなずく。
「それじゃあ全部返したからもう私達は帰るわね」
「え〜!もう帰っちゃうの〜?」
リツが残念そうな顔で見てくる。
「しょうがないでしょ。私達だって忙しいんだから」
「忙しいって言うか疲れて休みたいだけだろお前」
「う、うるさいわね!それじゃあねリツ。また来るわ」
図星だったのだろうか、少し戸惑っている気がする。
「うん待ってるよ〜。それとぜっちゃんとデッちゃんは来てほしい時に手紙で伝えるね〜」
「おう、分かった。じゃあな」
「何か妾の呼び方変じゃないか?」
俺達はリツの店を後にして家に帰って行った。
―――――――――――
「デッちゃんって呼び方妾的には少し不服なのじゃが」
「いつまで言ってんだよ。ほら着いたぞ」
俺はそのまま屋敷の扉を開けた。
「あ、おかえりなさい。どうでしたか?」
そこにはテーブルにたくさんの料理が置いてあった。
「何じゃこれは!?美味しそうなものばかりではないか!」
デビはすぐさまテーブルに一直線に向かう。
「リドル準備ありがとうね。リツにちゃんと道具は返してきたわよ」
「それなら良かったです。あ、デビさんまだ食べちゃ駄目ですよ」
「おい、リドルこれはどういう事だよ。美味そうな料理が選り取り見取りじゃないか」
見るだけでヨダレが出てしまう程の美味そうな料理が机一杯に置いてある。
「はい、ミノルさんに頼まれたので皆さんが出かけている間に作っておきました」
「いつの間にそんなこと頼んでたのかよ」
「当然でしょ!せっかくパーティーを結成したのにお祝いしないわけ無いでしょう!外食もいいかなと思ったんだけど、やっぱりパーティー結成お祝いパーティーだから家でやった方がいいかと思って頼んどいたのよ」
ドヤ顔で語りだす。
こいつ意外とパーティーメンバーの中でパーティー結成したの1番喜んでるよな。
「もう待ちきれんぞ!早く食べたいのじゃ!」
「分かったわ。ほら皆席につきましょ」
全員が席についたのを確認してミノルがグラスを取る。
「それじゃあ皆グラスを持って乾杯するわよ」
その言葉で俺達もグラスを取る。
「それじゃあ今日からこの瞬間この家が私達の我が家であり帰る場所よ!パーティー結成に乾杯!!」
「「「乾杯!!!」」」
―――――――――――――
3時間後
「おりゃーにゃっと酒持ってこーい!」
「かちゅかちゅ!リドルの顔マネー!」
「ギャハハハハハハ!!!」
「いやー酒癖悪いですね皆さん」
案の定このテンションで1日が過ぎたのは言うまでもない。
それから数時間後…………
「う、う〜んここ何処だ?」
俺は痛む頭を手で押さえながら周りを見渡す。
「あれ?俺何してたんだっけ」
目の前には何かの料理が乗っていた皿と横たわっているデビの姿があった。
「う……頭痛え……酒飲み過ぎたのか?」
俺は壁にかかっている時計を確認した。
時刻はすでに午前3時になっていた。
「やっば……そんな寝てたのか。とりあえず皆に毛布でも被せて俺は布団で寝ようかな」
俺はダルい体を立たせ毛布を取りに行こうと部屋に向かう。
だが俺は見てしまった。
棚に逆さまの状態で寝ているミノルの姿を。
「どうしたらそうなんの」
ミノル酒癖悪いがここまでとは。
俺はとりあえずミノルを逆さまの状態から普通の状態に戻した。
「俺だって体ボロボロ何だから仕事増やさせんなよ」
「う、う〜ん……」
するとミノルが急に寝苦しそうな声を出した。
やば、起きちゃったか。
目を開けたミノルと目があったが目が虚ろなのもあってまだ寝ぼけてるんだろうな。
するとミノルが急に抱きついて来た。
「ちょ、おい!寝ぼけてんのかお前!」
するとミノルが寝言を呟いた。
「ごめん……なさい……まほ……う……おぼ……え……るか……ら……ゆるし……て……くだ……さ……い……」
「………ミノル?」
「スゥ……スゥ……」
またミノルは静かに寝息をたて始めた。
「ただの寝言か………」
俺はゆっくりミノルを体から引き剥がし、おんぶして部屋まで運んだ。
「おやすみ、ミノル」
俺はミノルをベットで寝かせて部屋を出た。
「あー眠。駄目だ。このままじゃ、急に落ちちまう」
俺はフラフラとした足取りで自分の部屋に入ってベットに倒れたと同時にそのまま寝た。




