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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第七章 結成!問題児だらけのパーティー
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その十 壊れたら弁償

俺は蜘蛛の巣やホコリを払いながら掃除を進めた。

にしてもこのスイットすごいな。

魔力を注ぎ込むだけでかなりの吸引力があるな。

何でも吸い込んでくれるから蜘蛛の巣やホコリもバッチリ吸い込んでくれる。

一家に1台は欲しいなこれ。


「おおー!すごいぞこれ!面白いのう!」


するとデビがスイットで色んなもんを吸い込んでいた。

目を離したらこれだな。


「お前何やってんだよ。変なもん吸い込むなよ」

「何言っておるのじゃ。妾はそんな間違いするわけ――――」


するとスイットがガキン!という音がしたかと思うと煙を出し始めた。


「お、おおおおお前!何やってんだよ!」

「わ、わわわわわ妾は知らんぞ!何か勝手になったんじゃ!」


そう言って持っていたスイットを床に置く。


「知らないじゃ無いだろ!完璧に何か変なもんでも吸い込んで壊したんだろお前!」

「知らん!妾は知らん!」


そう言って地面に置いたスイットと距離をおく。

こいつ意地でも認めない気だな。


「ま、お前が認めるか認めないかなんてどうでも良い。俺はミノルに報告するからな」


俺は早速ミノルに報告をしに行く。


「それは駄目ーー!!」


そう言って俺の背中に勢いよく飛び乗って来た。


「ぐえ!?何だいきなり!」

「行かせんぞ!妾は絶対行かせんぞ!!」

「ちょ、おま!首締まってるから!死ぬってまじで!」

「ミノルには言わないで!妾の飯がなくなる!だから言わないで!」

「わ、分かったから!一旦落ち着け!マジで死ぬから!」


俺はデビを何とか背中から降ろした。

何とか呼吸が出来るようになり、急いで空気を吸い込む。

マジで走馬灯が見えたな。


「げほ、げほ、お前なあ………いくら嫌だからってそれは………」

「かつ、お願いじゃ。妾の事助けてくれぬか?」


涙目で神に願うように手を合わせる。

こいつ上目遣い何て覚えやがって。


「うう………はあ……今回だけだぞ。貸し1だからな」

「まじか!ありがとなかつ!」


突然デビが俺に抱きついてきた。


「お、おい!急に抱きつくんじゃねえよ!そんなことしてる暇があるならこれ何とかする方法を考えるぞ」


俺はデビをすぐ引き剥がしスイットの方を指差す。

くそ、いきなりの事で思わずドキッとしてしまった。

これは俺の女の子免疫が無いからであり、ロリコンでは無い!


「そうじゃな。でもどうするのじゃ」

「だいぶ無理矢理だがあの女王グモの糸が機械の中に入ってたって事にしておこう。居なくなったモンスターのせいにすれば誰も本当のことなんて分からないだろう」

「なるほど。困った時はモンスターのせいにするということじゃな」

「まあそういうことだな」


あんまり変な知識を教えると本当にやりそうだから怖いな。


「よし中に糸を詰めてこれで完成だ。これならモンスターの糸で壊れたって思うだろ」

「何がモンスターの糸で壊れたって?」

「え?」


俺は声のする方を向くとミノルが引きつった笑顔で腕を組んで仁王立ちしていた。


「あ、ああ……えっと……」

「その手に持ってるスイットから煙が出てるんだけどどういうことかしら?」

「じ、実はモンスターの糸が入っちゃってたみたいでそのせいで壊れちゃったんだよ。なあデビ」


デビ頼んだぞ。


「そ、そそそそうじゃ!妾が壊した―――じゃなくて、糸が壊れてスイットが入っちゃって、あれがそうなって妾が壊し―――じゃなくて煙が出たのじゃ!」


あ、これ駄目やつだ。

デビはあまりの動揺で何言ってんのかよくわからない。


「よく分からないけどかつ達が壊したわけじゃないのよね」

「そうだ。俺達は何も悪くない」

「本当に?」


そう言って笑顔で詰め寄ってくる。

だがその笑顔は怒りが籠もっているのは明白だった。


「本当だよ」

「本当に?」

「ほ、本当だよ」

「本当に?」

「……本当だよ」

「本当に?」

「え、えっと……」

「本当に?」

「……………」

「本当に?本!当!に?」

「すいませんデビが壊しました」


これ以上は俺のメンタルが持たない。

俺は土下座をしながらデビを指さした。


「な!?お主裏切る気か!」

「うるせー!これ以上は辛いんだよ!怖いんだよ!トラウマなんだよ!あとは自分でなんとかしろ!」

「何言っておるのじゃ!助けてくれると言ったじゃろ!死ぬ時は共に死ぬのが仲間じゃろ!」

「何でお前のミスに巻き込まれなきゃいけないんだよ!第一お前が変な使い方しなければこんな事になってなかった!お前の責任だ!」

「2人共黙って!」


俺達が取っ組み合いをしているとミノルが大きな声で俺達を睨み付ける。

その声に俺達は体を震わせる。


「くだらない喧嘩するよりもやる事があるんじゃないの?」


俺達は互いに顔を合わせ、同じポーズを取った。


「「ごめんなさい!!」」


俺達は床にめり込む程頭を床に付けて土下座した。


「はあ……2人共もうこんなことしちゃ駄目だからね。壊れちゃった物は仕方無いし後で謝りに行くわよ。いいわね」

「それはもちろん」

「妾も同じじゃ」


するとミノルの表情が先程の怒った表情とは違い優しい表情に戻った。


「それじゃあ掃除に戻ってよね。まだまだ仕事が残ってるんだから」

「分かったぞ!妾、粉骨砕身の心で頑張るぞ!」

「そのいきよデビちゃん!ほら、かつは?」 

「分かってるよ。俺もその心で掃除頑張るよ」

「よく言ったわ!それじゃあ私休んでるからあとよろしくね」


そう言って俺に掃除道具を押し付けてきた。


「は?ちょ、ちょっとどういうことだよ!」

「粉骨砕身の心で頑張るんでしょ?それの件もあるしそれ位頑張りなさいよ」

「いやいや、それとこれとは」

「じゃ、よろしくね〜!」


そう言って逃げるように廊下を走って行った。


「あいつ………始めっからこうするつもりだったな」


まああともう少しだしこれ位なら別にいいか。


「かつ!妾今ものすごく幸せじゃ!ご飯を抜きにされなかったぞ!」

「お前は本当に幸せもんだな」


俺は妙にやる気に満ちたデビと一緒に残りの部屋を掃除した。


2時間後


「ふぅ〜だいぶ掃除したな。後はこの部屋だけか」


俺達は残りの部屋を掃除し最後の部屋の前に立っていた。


「妾もう腹減って動けん。早く終わらせてご飯食べに行きたいぞ」

「分かってるよ。だったら尚更早く終わらせようぜ」


俺は扉を開ける為にドアノブを捻った。

だが扉は開かず、ガチャガチャと言うだけだった。


「は?何だこれ。鍵でもかかってんのか?」

「何やっておるのじゃ。妾に任せろ。こんな扉一瞬にして―――――痛!?何をするのじゃ!」


俺は魔法を撃とうとするデビの頭を叩いた。


「お前何しようとしてんだよ。この家壊す気か。入れないもうはしょうがない。鍵が無かったかミノル達に聞きに行こうぜ」


俺達は掃除道具を持って階段を降りた。

この階段を掃除道具を持ちながらは疲れんな。


「おーいミノルー終わったぞ!」


ミノルは椅子に座りながら何かを食べている最中だった。

向かいの椅子にはリドルが座っていた。


「あ、おつかれー。今リドルとアップルプル食べてたのよ。かつも座って食べなさいよ」


そう言って隣の椅子をぽんぽんと叩く。

俺は掃除道具を床に置き早速椅子に座った。

デビは俺より早くすでに椅子に座っていた。

相変わらず食べ物に関しては行動が早いな。


「それでこれ何の果物なんだ?」

「アップルプルと言った甘い果汁が豊富の美味しい果物ですよ」

「へーうん……うまい!これならジュースにしても美味しそうだな。ミキサーとか無いのか」

「確かにそれ美味しいかも」

「えっと……ミキサーと言うのは何ですか」


リドルはアップルプルの皮をめくりながら素朴な疑問を聞いた。


「あれ?ミキサー無いのか?でもミノル知ってそうだったけど」

「私も友達から聞いただけだから、正確には知らないのよ」


ミノルの友達ってリツ以外もいるのか。


「そうなのか。それと後さっき鍵が閉まってる扉があったんだけど鍵とかなかったか?」

「閉まってる扉ですか?僕は知らないですね。ミノルさんはどうですか?」

「私も知らないわよ。多分鍵はここに元々住んでた人が持ってっちゃったんじゃ無いの?」

「やっぱりそうなのか……」


鍵が付いてる部屋はあそこだけだったから何か大切な物が入ってると思って期待してたんだけどしょうがないか。


「それよりこれからリツの店に言って謝ってこないと」


あ、まずい、その話題になってしまったか。


「どうかしたんですか」

「この2人がふざけてスイットを壊したのよ」

「壊したの俺じゃないからな!」

「あ〜なるほど。だからさっき怒鳴ってたんですね」


そのスイットを壊した張本人は未だに呑気にアップルプルを食べていた。


「おい、デビ!お前の話をしてんだぞ」

「はふへへほの?うっ…ごくん!ふーお腹いっぱいじゃ」


こいつ今アップルプル丸ごと4個くらい口の中に入れて丸呑みしたよな。

どんな胃袋してんだこいつ。


「それじゃあ早速行くわよ。ほらデビちゃん準備して」

「これから怒られると分かっておるのに行くのは憂鬱じゃのう」

「それは同意見だな」


俺達は掃除道具と壊れたスイットを持ってリツの店に向かった。



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