その一の壱 スライム討伐
「久しぶりだな、ここに来るのも」
前にここに来た時には、こんなホームレス生活するなんて想像もしなかったな。
「今度こそ、ちゃんとした生活をするぞ〜。まずは宿代を稼ぐか」
俺はさっそく魔法協会に入ってクエストの掲示板に向かった。
すると中が妙に騒がしかった。
「何かあったのか?」
俺は騒ぎの元に向かってみると何やら受付の人と女の人が口論になっていた。
ん?あれって……
「ちょっとこれどうにかならないの?私が頼んだクエストと違うんだけど」
「申し訳ありません。でもミノルさんが予約したクエストはこれで間違いないのですが……」
「そんなわけ無いでしょ!私が頼んだのは報酬がうまいモンスター討伐のクエストよ」
「ですけどここに薬草のクエストと書かれていますし………変えようにも、もうモンスター討伐のクエストが無いんですよ」
「だったらクエスト掲示板で私の頼んだと似たようなクエストでいいわ」
「すみません。最近強いモンスターが現れてしまい他のモンスターが怖がって皆隠れてしまって討伐依頼が少ないんですよ」
「ああもう!分かったわよ!だったら次うまい討伐依頼が来たらすぐに教えて頂戴」
「分かりました。いいクエストが来たら真っ先にお伝えします」
「も〜朝っぱらからとんだ災難だわ」
俺は騒ぎの中心ミノルのもとに向かった。
「よ〜ミノル久しぶりだな。元気にしてたか?」
「あれかつ久しぶり。魔法の鍛錬は順調?」
「いや。しばらくホームレス生活してた」
その言葉を聞いたときミノルは何言ってんだこいつみたいな顔をしていた。
まあ普通はそうなるよな。
「えっ?ホームレスってあんた何で宿で休まないのよ」
「金が足りなかったんだよ。だからしょうが無くダンボール生活をしてたんだ」
まさか異世界に来てホームレス生活をするなんて思わなかった。
「そう言えばあのクエストだけじゃ足らなかったわね。だったらクエスト行けばよかったのに」
「何か行く気にならなくってな。でも今から行くところだ。せっかくだからミノルも手伝ってくれよ」
最初はひとりで行くつもりだったけど今考えてみればひとりでクエストをクリアするのは今の俺には難しいしな。
「まあ今暇になっちゃったし別に良いわよ。どのクエストにする?」
するとミノルは、早速クエスト掲示板に向かってクエストを選び始めた。
「そうだな。久しぶりに魔法を使うしモンスターと戦って感を取り戻したいな」
「感を取り戻したいってかつは感を取り戻すほど魔法使ってないでしょ。でも確かにモンスター討伐はしたいわね。これなんかどうかしら」
そのクエストはスライム討伐と書かていた。
スライムって確かメジャーモンスターだよな。
この世界にもちゃんとメジャーなモンスターもいるんだな。
報酬は5万か……まあ最初だしこれぐらいあれば今日の宿代も足りるな。
「よしこれにしよう」
「分かったわ。それじゃあ私はクエストの申請してくるから、かつは扉の前で待ってて」
「分かった」
ミノルはそう言って足早にクエストを申請しに行った。
久しぶりのモンスター討伐だな。
相手はスライムだけど本気でやるしかないよな。
今の俺にはスライムを倒せるかどうかも分からないし、まあやれば分かるか。
「申請してきたから早速行きましょう」
俺達は紙を機械にかざして扉の中に入って行った。




