その六 モグリンを倒そう
「と言う事で今回はこのモグリンの討伐クエストをやるぞ!」
「「「おおー!!!」」」
俺達は現在家を手に入れる為にモグリンが居ると言われる山に来ていた。
「で、クエストにはモグリンの討伐って書いてあるけど、そのモグリンってやつはどれくらいの強さなんだ?」
「何言ってんのよ。モグリンごとき私達なら大丈夫よ」
なんかルルと同じ台詞を言ってるな。
「そういえばモグリンはどんなに穴を掘っても全部の穴が繋がってるって言いますよね」
「そうなのか?でもその情報役に立つのか?」
「さあ?僕はちょっとした豆知識な事を言いたかっただけなので」
こいつ、たまに変なこと言うんだよな。
「ていうかデビはどこに行ったんだ?」
俺はデビが居ない事に気付き辺りを見渡す。
「デビさんならあそこにいますよ」
そう言ってリドルが指差した方向にデビが鳥のモンスターに鷲掴みにされていた。
「え?ちょ、え、何やってんだお前!」
「すごいぞ!妾、空を飛んでおるぞ!!」
モンスターに捕まっている人とは思えない程のはしゃぎっぷりだった。
「何言ってんだお前は!?このままじゃお前連れてかれちまうぞ!」
「はっはっは!今の妾を止められるやつは居ないぞ!」
「いや、止まれって!お前モンスターに連れてかれてるだけだぞ!お前自身飛んでるわけじゃないから!」
このままじゃ本当に連れてかれるぞ。
「私に任せなさい!サンダーボルト!」
空中から雷が鳥のモンスターに直撃した。
そして悲痛な叫び声を上げそのまま真っ逆さまに落ちて行く。
そしてそのまま地面に思いっきり激突した。
「いや、モンスターを撃つのは良いんだけどさ。まだデビ捕まってたんだけど」
「あ、ごめんなさい。忘れてた」
その時鳥の死体から何かが勢いよく飛び出した。
「何するのじゃ!誰じゃ!妾に雷を落としたやつは!」
「良かった。無事みたいだな。それじゃあ早速行くとするか」
「ちょ、妾の事は無視か!?誰がやったのじゃ!」
デビがぶつぶつと文句をいいながら鶏肉を頬張り山道を登る。
山のせいなのもあってゴツゴツした岩場が目立ち、周りの木には虫のような奴らが群がっている。
「ていうか本当にこんな所に居るのか?」
「かつさん普通に歩いても見つかりませんよ。モグリンは地中に住んでいるので掘った穴を見つけながら進んだほうが良いですよ」
「穴ねえ……そんな簡単に見つかる訳が………」
その時目の前にドデカイ穴が立ち塞がった。
「これだな。完全にこれだな」
「良かったですね。案外早く見つかって」
「凄い大きいのう。何処まで深いのじゃ」
そう言ってデビが穴の近くで顔を覗かせる。
「変なことして落ちんなよ。それで、見つけたけどこれからどうすんだ?」
「モグリンの対処法は主に3つよ。1つは穴を埋めて出てくるのを待つ。1つでも穴に以上があるとすぐに直しに行く習性を利用するのよ。2つ目はひたすら出てくるのを待つ。そして最後が外から攻撃するのよ」
「なるほど、そん中だとまだ待った方が面倒くさく無さそうだな。よし、どっかで隠れて待つぞ――――」
「デビルオンインパクト!!!」
その瞬間デビが大穴に向かって魔法を放った。
「お前何やってんの?」
「何って攻撃じゃ」
「いや、何で攻撃すんだよ!今隠れようって言ってただろ!」
「何言っておるのじゃ!先手必勝じゃ!」
その時地中から何かの叫び声が聞こえた。
「今のってもしかして……」
「モグリンね。デビちゃんの攻撃が当たったんじゃないかしら」
その時地響きで辺りが一斉に揺れる。
あまりの揺れの大きさに立つのがやっとだ。
「な、何だ何だ!?」
「来るわよ!みんな構えて!」
その瞬間地面が一気に盛り上がり、そこから弾けるようにして地面から巨大なモグラが出てきた。
「で、出たーーーー!!!」
「これはかなりデカイ個体ですよ!」
そして出てきたモグラは空中で体を捻って再び地面に潜りだす。
「かつ!空から岩が降ってくるわよ」
ミノルの言った通り空から岩が降り注ぐ。
さっき出てきた時に飛び散ったのか。
「くそ!インパクト!」
俺は降り注ぐ岩をインパクトで消し飛ばす。
ミノル達も同じ様に魔法で岩を固めたり飛ばしたりしている。
「お主ら!また地面が盛り上がったぞ!」
デビの宣言通りまた地面が盛り上がりそこから再びモグリンが飛び出してきた。
「うわっ!?また飛び出して来たぞ!」
「やるなら今よ!喰らいなさい!プリズンフリーズ!!」
姿が見えたのを見計らってミノルがモグリンに魔法を撃つ。
だが、モグリンが巨大な腕で風を起こし魔法を吹き飛ばした。
「ぐわっ!まじかよ!吹き飛ばしやがったぞ!」
「きゃっ!」
あまりの風力に吹き飛ばされそうになっている隙に、また地面に潜っていった。
「あいつまた潜りやがったぞ!」
「これじゃあいつまで経っても攻撃できないわよ」
「何やっておるのじゃ。妾に任せろ」
そう言って俺達より前に出る。
「どうする気だ?」
「ふっふっふ、妾はお主らとは違って天才じゃからのう。このモンスターの弱点を早々に見つけてしまったのじゃ」
そう自慢げに言い鼻息を荒くさせる。
こいつ本気でいってるのか?
するとデビは辺りを見渡すと何かを見つけたのかその方向に走り出す。
「見つけたぞ!そこじゃな!!」
そう言って地面が盛り上がってる場所に魔法を放つ準備をする。
「喰らえ!最強の妾の魔法を!デビルオン―――ぐふっ!」
その瞬間出てきたのはモグリンでは無く巨大な岩だった。
それによりデビはそのまま岩に直撃してしまう。
「ちょ、今のは何じゃ!」
「モグリンは喋れないですがある程度知能はあります。自分が出る穴に何かの気配がすれば警戒して岩などを先に出すんですよ」
「だとよ。お前の作戦はモグリンに負けたんだよ」
「何かすごい、屈辱的じゃ」
すると再び突然地面から飛び出した。
「くそ!また飛び出してきたぞ!」
「次は僕がやります!アグレッシブフルート!」
だがその魔法も巨大な爪によって弾かれる。
「な!?あの強度……やはり普通のモグリンよりも明らかに強いですよ」
「何なんだよ一体。ていうかまた岩が降ってきたぞ!」
これじゃあきりがない。
でも出てくる瞬間撃とうとしても気配を察知して避けるし………
そして何も出来ずにまたモグリンは岩を撒き散らして潜って行った。
「また倒しそこねたわ。このままじゃ、私達の魔力が尽きちゃうわよ」
潜った瞬間に魔法を放つ?
いや、それだと岩の対処が間に合わなくなる。
出てくる時も駄目、潜る時も駄目、これ無理じゃね?
「すまん、お前ら俺行くわ」
「え?ちょ、かつどこ行くの!?」
俺は皆と距離を取る。
これは無理だ、正攻法じゃ敵わない。
「何じゃあいつ、このパーティのリーダーだと言うのに逃げたのか!」
「デビさんそんな事よりまた地面が盛り上がってますよ」
あっちの方ではまたあいつが出て行こうとしてるのか。
もう色んなとっから出過ぎて地面が穴だらけだな。
「今度こそ倒してやるわ!岩は任せたわよ!」
「ミノルさん!流石に僕ひとりでは捌ききれません!!」
意外と真っ暗だな。
やっぱり明かりがないからか。
「くっ!岩が邪魔で当たらないわ」
「ミノルさん!上に岩が!」
う〜んここらへんか?
「デビルオンインパクト!」
「デビちゃん!ありがと、助かったわ!」
「妾は最強じゃからな。弱い奴を助けるのは当然じゃ」
「そのセリフ、倒れながら言わなきゃかっこよかったのにね」
今の地響き、あいつが潜ったな。
「ていうかかつはどこに行ったのじゃ?」
「かつさんは今頃暗い道の中で待ってるんじゃないんですか」
この音来たな。
「モグっ!?」
「よお、やっと真正面で会えたな」
――――――――――――――
「ええ!?地面の中!?」
「はい、かつさんは今別の穴からモグリンと対峙していると思いますよ」
「インパクト!!!」
その瞬間地中から物凄い衝撃波と共に地面からモグリンが飛び出した。
「ミノルー!リドルー!後は頼んだぞ!!」
「まったく!無茶するんだから!」
そう言いながらも2人は空中に飛んでったモグリンに向かって魔法を放つ。
「リドルいくわよ!アイスガン!!」
モグリンに上から氷をぶつける。
そして氷の一撃で体を思いどおりに動けなくしながら、急降下していく。
「行きます!アグレッシブフルート!!」
そしてそのまま落下していくモグリンの胸に穴を開けた。
「モ……グ……」
そしてそのまま地面に力尽きて倒れる。
「ふ〜これで討伐完了だな」
結構無茶な賭けでもあったな。
ちょうどこっちに来てくれたから良かったけど、穴が全部繋がってて良かったよ。
「妾の勝利じゃな!」
「違うでしょ。私達よ」
その言葉で俺達はパーティーとして初めてモンスターを倒したという実感が湧いてきた。
「それじゃあ早速戻るか!」
俺達のパーティーとしての討伐は見事達成した。




