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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第六章 ガルア様と黒の魔法使い
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その二十 命拾い

その時ミノル達の方から何かが爆発したような音が響き渡った。


「うわぁ!?いつの間にか結構ヤバそうな状況になってきたな」


ミノル達が戦ってどれくらい経ったんだ?

そろそろ戦いも終盤って感じだと思うけど。


「おいガルア、ラミア、感動の瞬間の所申し訳ないけどそろそろこの森から出よう」

「あ、ああそうだな。黒の魔法使いの交渉はまだ完全には決めきれてないが今はラミアの安全が優先だ」


そう言って、抱きしめ合うのをやめ、魔力を溜め始める。


「よし、早速テレポートで城に帰るぞ。かつお前も早くこっちに来い」


ガルアはラミアと一緒にテレポートの準備をする。

すぐさまこんな場所脱出したい所だがまだ行くわけには行かないよな。


「すまん、まだミノル達が残ってるんだよ。だから………」

「分かった。俺の護衛もこっちに居るはずだからあいつがもしピンチになってたら助けてやってくれ」


ガルアの護衛って確かミレイのことだよな。


「分かった。任せておけ」


正直助けられるか分からないけどな。


「俺もラミアを城まで届けたらすぐに戻ってくる」

「分かった。急ぎで頼むぞ」

「分かってる。それじゃあまた後でな。テレポート!!」


そう言って、ガルアはそのまま消えてしまった。


「よし!それじゃあ早速ミノルの所に行くか」


今戦況はどうなってるんだろう。


「ちょっと待つのじゃ!」

「うひゃあ!だ、誰だ!?」


いきなり声をかけられ思わず変な声が出る。


「何って妾じゃ妾!まさかこの最強美少女を忘れたのか」

「うざすぎ幼女なら知ってるけどな」

「誰じゃそやつは!まさか妾じゃ無いだろうな!違うよな!」


俺の胸ぐらを掴み何か訴えてきてるこいつはデビだな。


「まあーまあーデビさん事実ですし、そこまで怒らなくてもいいんじゃないですか」

「おい、今お主妾がうざすぎ幼女と言いたいのか」


爽やかな笑顔で毒を吐くこいつはリドルだ。

コイツラいつの間に現れたな。


「お前ら何処にいたんだよ」

「そこら辺を歩いてました」


こいつらこんな非常事態に何やってんだよ。


「お前らも黒の魔法使いと戦ってたんじゃないのか」

「そうしようと思ったんですけど、何か皆さん各々盛り上がってしまい入りづらくなってしまったんですよね」


確かにミノルとかミレイとかもかなり自分がやらなきゃ駄目なんだ!みたいなふうになってたしな。


「とりあえずガルアは今ラミアと一緒にテレポートして、ラミアを無事に送ったら戻ってくるみたいなんだ。だからそれまで何とか持ちこたえるぞ」


するとデビがいきなり鼻息をたて張り切っている。


「なるほど持ちこたえるという事は妾が、全部ぶっ飛ばせばいいってことじゃな!」

「え?ちょっと待て、お前何言ってんだ!?」


頭がおかしくなったのか急にぶっ飛んだ発言をしてくるデビ。


「かつさん!面白そうな展開になって来ましたね」


それを面白そうと言うサイコパス半獣リドル。

俺の身近な人にまともという言葉が合うやつは居ないのだろうか。


「そうと決まれば前は急げじゃ!早速向かうぞ!」


そう言って、ダッシュでミノル達のところに向かう。


「おい!ちょっと待て!」


やばい!あの目は完全にやる気だ!

このままじゃあいつ1番の激戦区に突っ込むぞ。


「おい、リドル!お前も協力してあいつを止めるぞ!」

「すみませんかつさん。それは出来ません」

「は!?おまえ何言ってんだよ!」


こいつまさか何か特別な理由があるのか。


「だって………面白そうじゃないですか!」


そう言って、満面の笑みでデビに続いて走って行った。


「まじでどうしよう」


―――――――――

俺はミノル達が戦っている場所に急いで向かった。


「はあ……はあ……あいつらどこに行ったんだ?ぐおっ!?すごい衝撃だな」


所々に木が焦げた後や氷に押し潰されたりと戦った痕跡が残っている。


「ミノル!何処だ!」


その時何かが上空に飛んでいくのが見えた。

あれは人か!?


「もしかしてミノルか!?」


俺は人のような物が落ちた場所に急いで向かった。


「はあ……はあ……あれは!」


誰かが倒れている。

あの姿はミノルだ!


「おい!ミノル大丈夫か!?」


その姿は何度も魔法を喰らったのか所々血を流し、服もボロボロになっていて、痛々しい姿だった。


「こんな状態で戦ってたのかよ。おい、起きろ!」


目を瞑ったままの状態で起きる気配が無い。

俺は生きてるのか確認する為脈を測ろうと首に手を当てたその時、ミノルの目がかっと見開いた。


「ひっ!?」


俺はいきなり目を開かれたせいで思わず後退る。


「お、おい、大丈夫なのか?」


俺は恐る恐るミノルに問う。

するとミノルが目だけでこちらを見る。


「………行かなきゃ」


思い出したように呟き勢い良く飛び起きる。


「み、ミノル?」


しばらく黙ったまま立ち尽くしていたが森に響く衝撃音ではっと目に生気が戻る。


「ラルダ……そうだ私がやらなきゃ!」


するとまるで獲物を狙う獣のような鋭い目で遠くを見る。

さっきまでのミノルの状態を見るにもう限界が来てるはずだ。


「おい、もういいだろう。早くテレポートでっておい!」


ミノルはボロボロの体とは思えないほどのスピードで森を駆け抜ける。


「ミノル!俺の話を聞けって」


何とかミノルに追いついて説得するが興奮状態のせいなのか俺の言葉が耳に届いていない。


「アドレナリンもドバドバで痛みが来ないのか。このままじゃ、死んじまう。こうなったら」


このあと何言われるか分からんが背に腹はかえられない。

俺は覚悟を決め走っているミノルに向かって突進した。


「うぐっ―――――」


ミノルを抱きかかえたまま地面を転げ回る。

そしてそのまま止まると俺が上に乗っかるような状態になった。


「おい!ミノルしっかりしろ!」


俺はミノルを何回も揺すり正気に戻させる。


「ふ、ふえ!?え、ちょ、え!?」

「お前がこのまま戦えば死んじまうかもしれない!だから正気に戻ってくれ!」

「ちょ、かつ!戻ってる戻ってるから」

「え?あ、すまん」


ミノルの目は先程とは違く、驚いて真ん丸になってしまっているが元に戻っていた。


「もう、一体どうなってるのよ。ていうか何でかつが私の上に乗ってるわけ」

「えっと………ふっ、言わせんなよ」


その瞬間頬に衝撃が走った。


「痛って!何すんだよ!」

「それはこっちのセリフよ!あんた何考えてんのよ!?」

「冗談に決まってんだろ!」

「時と場合を考えなさいよ。全く」


俺は痛む頬を擦りながらミノルの方を見る。


「それで、少しは冷静になったか」

「え?な、何が?」

「ラルダと戦う事ばっかり考えてたから」


するとミノルが飛ばされた方向を見る。


「かつは私に冷静さを取り戻そうとしてくれたのね」

「ま、まあ一応仲間だからな。ミノルが死ぬ所とか見たくないし」


俺は何か恥ずかしくなりそっぽを向き痛む頬を掻く。


「でもごめんね。私はここでやらなきゃいけないの」


あの時と同じ決意に満ちた表情だ。

やっぱり黒の魔法使いとミノルの間には何かあったに違いない。


「ミノル、でもお前の体はもうボロボロだぞ!そんな状態で戦えば命を落とすかもしれない。ここは一旦諦めてテレポートで帰るぞ」

「それは………出来ないの」

「何でだよ!」


ミノル自身この状態で勝てないこと自体理解してるはずだ。

それなのにここまであいつを倒すのに固執するってことはやっぱり何かあったのだろうか。


「ここで倒さなきゃもっと酷いことになるかもしれない。これ以上黒の魔法使いを野放しにする訳にはいかないの!」


それが自分の使命のように拳を握る。

だかそれを見て思わずミノルの肩を掴む。


「確かに黒の魔法使いはやばい奴らで早く倒さないと何か嫌なことが起こるのも分かる!けど、もし黒の魔法使いを倒してお前が死んじまったら意味無いだろ!お前の命はもう自分だけのものじゃないんだぞ!だから勝手な行動すんなよな、ていうか俺がこのパーティーメンバーのリーダーなんだから俺の言うことを聞け!」


何か長々と説教みたいな事を言ってしまったが変な奴と思われてないだろうか。

俺は恐る恐る、ミノルの方を見る。

するとそこには涙を流しこちらを見つめるミノルの姿があった。


「え?ちょ、ミノル!?」


やばいもしかして怒られたと思って泣いちまったのか!?

するとミノルがしゃっくりをあげながら喋りだす。


「ご、ごめんなさい………ひっく!私、こんなに怒られたこと……ひっく!ないから、嬉しくって」

「お、おう」


逆にこちらは困惑してるけどな。

でも、怒られたことないってことは結構優しい両親に育てられたんだな。

俺のところはちょっと特殊だったし羨ましいな。


「ぐすっ、ごめんなさい。もう大丈夫。よし、それじゃあ行きましょうか」

「よし、そうと決まればデビ達を迎えに行こう」

「その心配は無用だぞ」


その時森の奥からクラガが出てきた。


「クラガ、あんたいつの間に」

「貴様等の仲間ならさっきガルアが連れて帰った。それよりもう帰るのか?つまらんなここからが本番だと言うのに」


嘲笑うかのようにこちらを見つめる。

周りに外傷がほとんど見られない辺りミレイは相手にすらされなかったのかもしれない。


「私もあんたを殺せなくて残念だけどこれ以上やっても意味ないことは私自身もちゃんと理解してる。次こそクラガ!あんたを殺すわ」


そう誓いクラガの方を指差す。

だがクラガはそれを鼻で笑い軽く受け流した。


「ふっ、楽しみにしてるよ。ミノルが俺を止めてくれるのを」


そう言うといつの間にかクラガの姿は無かった。


「それじゃあ行きましょうか」

「あ、ああ………」


色々と気になることはあるがそれは今追求すべきじゃないよな。


「とりあえずテレポートしたいんだけど魔力が無いのよね。かつちょっと失礼するわよ」

「え?ちょ、え?」


するとミノルの顔がどんどん近付いてくる。

も、もしかしてこれはき、キス―――――


「マナドレイン!」

「ぐおぉぉぉぉ!!」


その瞬間体の何かを絞り上げられる衝撃が首筋から伝わった。


「な、何すんだよ!?」


俺は突然の事で思わず俺の首筋に触れているミノルの手を振り払う。


「何ってかつの魔力吸ってんのよ」

「何当たり前ですけどみたいに言ってんだよ!事前に説明しろよ」


本当に吸われたような感覚があるからすごい嫌だ。

そしてミノルは反省の色を見せずまた俺の首筋に手を置こうとする。


「とりあえずテレポートする為に魔力が必要なの。我慢してね」

「う、うう……分かったよ」


俺はテレポートする為と言う言葉に折れ渋々了承する。


「それじゃあいくわよ」


そう言って俺の首筋に手を置きマナドレインを開始する。

うう〜嫌な感覚だ。

慣れる気がしないな。


「おい、まだかよ。早くしてくれ」

「もう少しよ。あとちょっと……よし、オッケー!」


結構吸われた気がするが体調はあまり変化してない所まだ魔力に余裕があるという事だろう。


「よし!それじゃあテレポート!!」


魔方陣が展開されそれが光輝くとそのまま景色が変わっていく。

こうして俺達は黒の魔法使いの激戦を経て城に戻っていった。



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