その十四 夢オチ
「こ、ここは………」
テレポートで来た場所は草木が風で擦れる音とモンスターのようなうめき声など森では無くジャングルのような不思議で少しワクワクするような場所だった。
「ここがその女の子が連れて行かれた森よ」
「ここがその森か………」
薬草の森とかと違ってやばそうな雰囲気を感じるな。
「そう言えばいい忘れてたけど、この森他とは違ってモンスターが群を抜いて多いのよ。だから特別な許可証がなきゃ入れない禁止エリアなのよね」
「え?それって大丈夫なのか?」
だがミノルは平然とした顔を見せる。
「大丈夫よ。でもバレると少し面倒くさいことになるから早く見つけましょう」
ていうか禁止エリアなのにテレポート出来るのかよ。
まあテレポートだし、しょうがないのか。
「それでこれからどこに行くんだ?」
モンスターの声が聞こえる森にむやみやたらに行動したくは無い。
「へ?何処ってかつが道案内してくれるんじゃないの?」
「え?ミノルが知ってるんじゃないのか」
そしてしばらく沈黙が続く。
お互い今思ってる事は一緒だろう。
「「これからどうするの?」」
そんな希望が無い言葉を2人同時に言ってしまった。
「絶対に今揃っちゃいけない言葉だよな」
「かつがそれ言わないでよ。もう!だったらとりあえず奥に進みましょう!」
そう言ってミノルはガンガン奥に進んでいく。
だが先程とは違い少し焦っている様子だ。
俺が道を知らないと知ってしまったせいだろうな。
あ、ていうか俺、ミノルに魔法が使えない事言ってないじゃん。
「なあそういえば俺魔法が―――――うわぁ!?何だ!」
その瞬間モンスターの叫び声が森中に響き渡る。
声は結構近い所から聞こえた。
「ミノル、今のって」
「静かにしてかつ」
ミノルは真剣な表情で声の方にゆっくりと進む。
騒がしい森の中でも自分の心臓の鼓動が1番大きく聞こえる。
すると何か咀嚼音が聞こえてくる。
「こ、これは………」
そこには大型のモンスターが自分より少し小さ目のモンスターを食っている現場だった。
「う、うぐっ!」
あまりのショッキングな現場に吐きそうになるが何とか耐える。
それは日本のテレビで見た動物が狩られて食べられる時とは比べられない程に異型の生物の食事シーンはかなりグロテスクだった。
「ちょっとかつ、こんな所で吐かないでよね。これはモンスター達にとっては日常何だからね」
「わ、分かってるけど、初見で耐えろって言う方が無理あるだろこれ」
だけどミノルは顔色1つ変えない。
その表情が今目の前で起きてることがこの世界での日常だと物語っていた。
「バレると厄介になるしここは無視して行くわよ」
「分かった」
俺達はモンスターが食べているのに夢中になっている隙にその場を離れた。
「ふーっこれくらい離れてればもう大丈夫だよな」
俺は額の冷や汗を拭う。
モンスターが多いと聞いていたが毎度こんな場面に遭遇するなら心臓が持たないぞ。
「そうねとりあえず早く行きましょう。もしかしたらかなりやばいことになってるかもしれないし」
ミノルは何かに焦っているのか顔が少し強張る。
「やばいってどういうことだ?」
「さっきも言ったけどこの森はかなり危険な森なの。それなのにわざわざこの森の中にその子を連れて行くなんて危険だと思わない」
草木を掻き分け奥に進む。
「確かにそうだな。どうしてわざわざこんな所に来たんだ」
不思議な色の花など不気味な物を避けながら進んでいく。
「まあ考えられる理由は、バレにくいってことかしら。ここに来るには色々な手続きをしなきゃいけないしね」
「でもわざわざバレにくいってことだけでこんな危険な場所を選ぶのか」
小型のモンスターが木から飛び出したりツタを使って飛び移ったりしている。
「そこよ問題は。わざわざこんな所に行く理由、見つけにくいなら他の所にすればいいのにここにした。それは多分ここにしなければいけない理由があったのよ」
「理由か……もしかしてここで何か実験とかしているのか!」
俺は自信満々に自分の考察を披露する。
「………とにかく、どっちみちこの場所に来てる時点で腕に自身があるのは確かだわ。気を引き締めておきましょう」
「お、おう」
俺の推理を華麗に無視してミノルは、奥に進んで行った。
「ねえ、そこの人ちょっと待って」
「うおっ!?な、何だ!?」
俺はびっくりしながらも声の方を見る。
それは体が地面と一体化していて、頭につぼみのような物がついているモンスターだった。
「この先はデスベアリーの巣ですよ。こっちの道の方が安全です」
そう言って先程まで無かった場所に道が続いていた。
「えっと、さっき道なかったよな。これ絶対罠だろ」
俺は植物女の言葉を疑う。
モンスターが、しかもこんな森に居るやつ何て信じられるわけが無い。
「信じてください。私はライフプラント、この森に迷い込んでしまった方を導く役目をしています」
そう言って優しい声で俺を誘惑する。
「う〜ん、でもな………なあミノルはどう思うってあれ?」
そこにはミノルの姿が無かった。
周りを見渡しても姿は無い、もしかして先に行ってしまったのか。
「もしかして、女の人を探しています?」
「え?何で分かったんだ」
急に図星をつかれ俺は動揺する。
「その人なら先にこちらの道に行きましたよ。だからあなたもすぐに向かったほうがいいですよ」
子供のようなあどけない表情でツタを例の道に指す。
童顔のせいなのもあって疑いにくくなってしまう。
「さあ早く」
するとツタが絡まり合い人の手に変化した。
そしてその手は俺の手を握る。
暖かい、見た目は植物なのに。
「な、何だ……頭が、ぼーっとして」
まるで眠っている様なぼんやりとする意識の中俺は無意識に歩き出した。
「こっちですよ………」
俺はライフプラントに導かれ例の道に入って行った。
――――――――――――――――
「う、う〜んここは何処だ?」
気が付くと先程いた森とは違い何処かの部屋の中に居た。
「これはベットの上に居るのか?おかしいぞ、さっきまで森の中に居たのに」
その時扉を叩く音が聞こえた。
「かつ、入っても良い?」
扉の奥から聞こえたのはミノルの声だった。
「え!?あ、はい!」
つい反射で答えてしまったが、本当にミノルなのか?
俺は疑いつつも期待を持ちながら開く扉を見つめる。
「あんまり見ないでよね」
俺はその瞬間ミノルかどうなのかを確認するどころでは無く、薄いピンク色の上と下が繋がっているランジェリーを着ていることに目が行ってしまった。
「え、あ、その格好は………」
もう薄くて見えてはいけないものが見えそうなのだが。
「しょうがないじゃない、私だって………」
そう言って、頬を赤らめる。
何だ何だ一体どうなってんだ。
「えっと……これはどういうことでしょうか」
急な変な雰囲気に丁寧語になってしまう。
「何ってかつが言ったんじゃない」
「な、何を?」
「な、何って………言わせないでよ、バカ」
な、何を言ったんだ俺は!
すると顔を赤くしながらミノルがベットに乗り出す。
「ふえ!?な、何してるの?」
「何って決まってるでしょ?」
そう言って俺の方に近づいてくる。
俺はいきなりの展開で動揺して後ろに後ずさるがミノルが俺の手を掴む。
「え、えっと………」
「かつ、顔赤いよ」
「ミノルだって…………」
そう言って、俺の胸に手を当てる。
「かつ、心臓すごい鳴ってるよ」
「そ、そりゃそうだろ」
俺は見える下着から目をそらす。
自分でも聞こえるくらい聞こえてしまっている。
「私のも聞いて?」
そう言って、俺の手を掴んだまま自分の胸に手を当てる。
え?えええええ!?
な、何やってんだよこいつ!
俺は動揺のあまり逃げようと手を動かす。
だがそれが結果的にミノルの胸を刺激してしまった。
「んっ……ちょっとかつ動かないでよ」
「――――――――っ!?ごごごごごめん!」
なんか結果的にやばくなってしまった!
ていうか柔らかかった!
「どう、かつ。私の鼓動聞こえる?」
どうしたんだミノル、いつもより色気が出ててやばいこれまじで。
「き、聞こえる……」
するとミノルが顔を近づけてくる。
「もっと近くで聞きたくない?」
ミノルが耳元でそう囁く。
唇が触れてしまうんじゃないかと思う距離で見つめ合う。
近いせいでミノルの吐息が顔に触れる。
それになんかいい匂いがする。
このままじゃだめだ!
でも今の状態で冷静な判断を出来るわけもなく自然と体が動いてしまう。
「ミ、ミノル………」
「かつ…………」
そしてお互いの限界を迎え唇と唇がふれあ――――
「おらぁぁぁ!!」
「ぐはぁぁ!!?」
その瞬間ものすごい衝撃が腹に来る。
「ごほっごほっ!」
「よし!それじゃあもう1発行くわよ!」
そう言って目の前にいるミノルは拳を強く握りしめこちらに振り下ろそうとしてきた。
「ちょ、ちょっとまで!もう、げほっ!治ったから」
俺は痛む腹を抑えながらミノルを必死に止める。
「あれ?戻ったの?良かったわ。正気に戻って」
この女俺が正気に戻るまであの威力のパンチを何回も打つつもりだったのか?
だとしたらまじで殺されそうだな。
「いててて、ここはどこだ?」
そこはジャングルのような不気味な森だった。
「かつ何言ってんの?元々ここにいたでしょ」
「いや、俺は確か何処かの部屋の中に居て………」
するとミノルが呆れたように溜息をつく。
「かつ、それは夢よ。かつはライフプラントに夢を見させられていたのよ。こいつらは相手に気持ちのいい夢を見せてその内に命を奪うモンスターよ」
その言葉を聞いて俺は思わず聞き返してしまう。
「え?夢?」
俺はあまりの出来事に思考が停止する。
「そう、何を見たか知らないけど。全部夢よ」
「あのミノルの行動も全部夢なのか?」
あんな魅力的なミノルはもういないってことか。
「え?今なんて言った!?私が夢の中で何をしたのよ!」
まじかよ。
あれが全部夢だったのかよ。
「くそっ!あともう少しだったのに!」
「ちょっと何があと少しだったのよ!確かライフプラントは男だと………ちょっと本当にどんな夢を見たのよ!!」
その時、近くから爆発音が聞こえた。
「――――――っ!?今のって………」
「夢なんだから最後まで見せてもいいだろ!!」
俺は悔しさのあまり地面を殴る。
くそう!こんなことならもうちょっと積極的になればよかった!
「かつ、正直言ってかっこ悪いからやめて。それより今の爆発音魔法かも知れない行くわよ!」
「へ?何だ?て、ちょっと待て!そっちはデスベアリーの巣だって」
「そんなの嘘に決まってるでしょ!ほら行くわよ!」
そう言って音のする方に向う。
「なあ!さっき爆発音が魔法だって言ってたけど本当なのか!」
俺は走りながらミノルに質問する。
「分からない!でも、その確率が高いわ!」
もしかしてあいつらが戦ってるのか?
だとしたらガルア様の身に何かが起きたのかもしれないな。
「この先よ!かつ、戦う準備はいい!」
「その事なんだけど俺魔法が使えないんだよ」
するとミノルが目的の場所につくなり立ち止まる。
「なあ、ミノルってば、俺の話聞いてるのか―――なっ!?」
そこには俺達と別行動していたリドル達が倒れていた。
「こ、これって………」
だがミノルはその先を見つめていた。
「いやぁ……呆気なかったな………ねえ、ミノル」
その男はこちらに気付くとニヤリと笑いだした。
「ラルダーーー!!!!」




