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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第六章 ガルア様と黒の魔法使い
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その十三 ミノルとかつ

「それじゃあ早速ガルア様の所へ向かうぞ!」

「ミレイさんはガルア様の居場所をご存じなんですか?」


リドルは素朴な疑問を口にする。

ミレイはその問に対して自信満々に答える。


「当然だろ。ガルア様はあそこの森にいらっしゃる。長年ガルア様のお側に使え、出かける時も、食事をいただく時も、そしてお風呂を浸かる時も、服を着替える時も、用を足す時も、歯を磨く時も、寝る時も私はずっとずーっとガルア様の側にいたのだ。だから私はガルア様の魔力を感じ取れることが出来るのだ」


そんな変態的な言葉を得意気に語りだす。

というかそこまでいくと怖いんですけど。


「なあリドルよ。ずっと側に居れば遠くに行っても分かるものなのか?」

「はい、個人差はありますが出来るようになりますよ」


え?出来るようになるの?


「かつ、嘘よ。そんなわけ無いでしょう」

「べ、別に信じちゃいねえよ!」


やべ、顔に出てたのか俺。

次からちゃんと気をつけよう。


「なるほどー出来るようになるのか。それは良いことを聞いたのう」


余程嬉しかったのかデビは抑えられない程の笑みが溢れている。

デビ、これは嘘だぞ。

ま、面白そうだから黙っとこう。


「て、こんな話をしてる場合じゃないんだよ!俺の話を聞いてくれ!」


俺はようやく先程のルージュとの出来事を皆に話した。

するとミレイが険しい表情で俺の話を遮る。


「ちょっと待て!貴様!これ以上私達の時間を無駄に使わせるな!もしガルア様の身に何か起きたらどう責任を取るつもりだ!」


ミレイが、俺の話をやめさせ急かす様に俺に伝える。


「こっちだって人の命がかかってんだぞ!」


俺も負けじと言い返す。

するとミレイが、俺の言葉を鼻で笑った。


「ふっ、この島の王と、一般市民の命、どちらが大事か貴様には分からないのか!」


そう言って、再び俺を叱りつける。

だが今の言葉、明らかに問題発言だ。


「今のは聞き捨てならないな。命はどれも平等だろ!王とか一般市民とか関係ない!救える命があるんだったら何が何でも救う、それがこの島の王の役目!それに従うお前らの役目でもあるんじゃないのかよ!」


俺はミレイの声量に負けないくらいの声で言い返す。

さすがのミレイもこれには効いたのか険しい表情が少し緩む。


「うっ!た、確かに。す、すまない。少し気が立っていた。ガルア様の護衛として恥ずかしい発言をしてしまった。申し訳ない」


そう言って、律儀に頭を下げる。


「あ、えっと……顔、上げてください。俺も少し言い過ぎました。ミレイさんにとって、ガルア様は大切な人ですもんね。早く助けたい気持ちは分かります」


この人は多分真面目な人なんだろうな。

悪い事をした人にはちゃんと叱り、自分が悪い事をしたらちゃんと謝る。

そういう人なんだろうな。


「ありがとう。でもあの事はまだ許した訳じゃないぞ」


あと、根に持つタイプだ。


「それより、もしかつが言っていたことが本当なら一大事だわ。すぐに助けに行かなくちゃ」

「ですがガルア様はどうします?そちらの方に行ってしまうとかなり遅くなってしまうと思いますが」


確かにそうだけどちらか1つ、何かこういう選び方は好きじゃないんだよな。


「う〜ん……それだったら二手に分かれるのはどうかしら」


その提案はかなりいいが少し問題があった。


「確かにそれなら2人を助けに行けますが、戦力が半分になるのは少し躊躇ってしまいますね」


そう、この先に何があるか分からない。

少しでも安全性を高める為に一緒に行動した方がいいだろう。

だけど俺はリドルの案に賛成する。


「でも、やるしかないだろ。俺はその提案に賛成だ。みんなは?」


その提案にみんなも納得する。


「それで行くとしたら、どう分けるのじゃ?」

「俺はミノルと行動する!」


俺は一目散にミノルを確保する。


「わ、私!?別にいいけど………」


少し動揺してるように見えるが多分気のせいだろう。


「それじゃあ後はガルア様の所を向かうという事でいいんだな」

「僕は構いませんよ」

「わ、妾はかつと一緒に………」


俺の方に向かおうとするデビをリドルが無理やり引っ張り自分の方にこさせる。


「な、何をするのじゃ!妾はかつの――――」

「デビさん?写真」


すると先程まで騒がしかったデビが急に黙り込み表情が強張る。


「リドルと一緒に行ってくるー」


かとおもったら何故か急に棒読みで言葉を発する。

何だ、あいつついにおかしくなったのか?


「それじゃあ私達はもう行く。ミノルよ、ご武運を祈る」

「ええ、ミレイもね」


そう言ってお互い握手を交わす。


「俺は?」

「…………がんばれ」


それだけ言い残し、ミレイはリドル達とテレポートをした。


「おい……頑張れはないだろ」


呆然と立ち尽くしてる俺を尻目にミノルは、準備を進める。


「それじゃあ私達も行きましょうか」

「そうだな」


モヤモヤする気持ちを残したまま俺はミノルの元へ行く。


「それで何処にその子は居るの?」

「えっと、確かあそこの森に連れさらわれたって聞いたな」


俺は向こうの森を指差す。

その時ミノルが不思議そうな顔をする。


「え?あそこってミレイさんがさっきテレポートした場所じゃないの?」

「え?あ……」


言われて見ると確かに同じ場所を指していた。

しまった、目的の場所は一緒だったのか。

俺は何か申し訳なくなってしまい、ゆっくりとミノルの方を見る。


「え、えっと………ごめん!」


俺は精一杯土下座する。


「はあ……かつって何か抜けてる所あるわよね」


するとミノルがしゃがみいきなり俺の頭を撫でる。


「でも、だからこそ何か守りたくなっちゃうのよね」

「………!?」


俺はしばらく黙ったまま思うがままに撫でられていたが次第に恥ずかしくなっていき耐えられなくなった。


「あ、あの……ミノル?」


俺は自然といつもより小声になってしまった。


「ん?なぁに?」


ミノルが優しく答える。

白い髪が頬を伝い俺は思わずドキッとしてしまう。


「な、撫でられるのは嬉しいけど恥ずかし………」

「え?きゃっ!?ご、ごめんなさい!」


すると、撫でていることに気付いたのか、すぐさま手を引く。


「え、いや、そこまで驚かなくても」


もしかして無意識にやっていたのか?

だとしたらミノルって意外と大胆だな。


「私、ちょっと今日変かもしれない」

「いつも通りだろ」


するとミノルが鋭い視線でこちらを睨む。


「は?私に喧嘩売ってるの」

「冗談だよ、冗談!本気にするなよ」


やっぱりミノルは怒らせないほうがいいな。


「こんなことしてる場合じゃないんでしょ。助けに行かなきゃいけないんだから、ほら、早く捕まって」


そう言って、ミノルはこちらに手を差し伸べる。


「何だ?手を握って欲しいのか?」

「違うわよ!テレポートするから捕まってってこと!ほら、早くして!」


怒りながらも再び手を出す。


「分かったよ」


俺はその手を握る。

ミノルの手は暖かく、ほっとする。


「それじゃあ行くわよ!テレポート!!」



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