その九 おはようの水
「まてー!ゴラー!!」
「何でこんなことになってるんだよーー!」
現在人間達に怒り狂った顔で追い駆けられている。
「くそ!出口は何処なんだ!」
この建物はかなり入り組んでいて出口が検討もつかない。
「ごめんなさいナイトさん。私がもたもたしてしまったせいで」
実はあの後ルージュが他の捕まってる人も解放したいと言い出し俺は後で解放をしようと言ってお互いの意見を言い合ってる内に見つかってしまったのだ。
「別にルージュのせいじゃねえよ!ていうかまずはこの状況を何とかしないと、解放どころかまた牢屋行きだぞ!」
ていうか俺何回牢屋入ってんだよ。
自分でもびっくりするぐらい何回も入ってる気がするな。
「私も牢屋行きはいやです!だからナイトさんお願いします!」
「へ?お、お願い?何を?」
突然のお願いに全く見当がつかなかった。
「何をってあれですよナイトさん!忘れてしまったんですか?」
「あ、あれ?あ〜あれか!あれだろあれ!」
「そうですあれです!思い出したんですね!」
思い出してるわけ無いだろ!
ついルージュをガッカリさせないように分かってるふうにしたが全く検討つかないぞ!
「それじゃあナイトさん。お願いしますね!」
「お、おう!任せろ!」
そう言って俺は一旦追いかけて来る奴らの方に体を向けた。
「おいあいつら立ち止まったぞ!」
「逃げるのを諦めたのか?ちっ!面倒ごと起こしやがって」
くっ!どうする!?
あれも全く検討つかないし、魔法も使えないし。
そんな事を考えているうちに奴らはどんどんこちらに近づいてくる。
「ナイトさーん!頑張ってください!」
やばいルージュが応援してくれてる。
ここはもう引くに引けない状況なってしまったな。
くそ!もうやけくそだ!
集中しろ俺!
俺は一応、空手やボクシングや柔道や護身術とか、色々やってたんだ。
色々やり過ぎてほとんど全部基本の事しか覚えられなかったが素人には負ける気がしない。
「さあ来い!」
「うおおぉぉぉ!」
「さ、さあ来い!」
「うおおおぉぉぉ!!」
「こ、こい……」
「うおおおぉぉぉぉぉ!!!」
「……………」
「うおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「ギブ無理!」
俺はたまらずルージュの手を掴みその場を逃げた。
「な、ナイトさん!?」
「すまんルージュ!これは無理だ!」
「でもナイトさんならあれで何とかできますよ」
「ていうかあれってなんだよ!正直言って全く分かんないんだけど!!」
俺は必死に訴えながら走り続ける。
後ろの人達の怒鳴り声も聞こえより一層走るスピードが自然と速くなる。
「そうだったんですか。ナイトさん大丈夫です!ナイトさんのあれは魔法ですよ。いつも凄い魔法で私を助けてくれましたよね」
「いつも?俺お前にそんな凄い魔法見せた事あったっけ?」
俺はルージュの言葉に矛盾が生じてる箇所を指摘する。
確か初めて会った時に魔法は見せたと思うがそこまで凄い魔法ではない気がする。
「そんな!ナイトさん忘れちゃったんですか?」
この目嘘はついてないみたいだな。
だったら尚更そんなものを見せた覚えが無いんだけど。
「いたぞ!おいまて!」
すると目の前に追っ手が現れた。
「やば!おいルージュ行くぞ!」
「は、はい!」
すぐさま方向を変え何とか捕まらないようにする。
だがそれも限界に近付いて来た。
「おい、ルージュ俺がさっき伝えた作戦覚えてるか?」
「はい!ちゃんと覚えています」
俺は走りながらルージュに確認する。
「その作戦実行するかも知れない」
「分かりました。それじゃあ作戦開始ですね」
その瞬間さっき俺が強面の男から奪った鍵をルージュが持って行き牢屋の方向に走る。
「え、ちょ、はや!?」
ルージュは振り返ることも無くそのまま行ってしまった。
「まじかよ。意外と行動力あるな。て、そんな事言ってる場合じゃないよな」
案の定怒り狂った人達がこちらに一気に向かって来る。
これは本気で止めないとやばいな。
「もうやけくそだ!かかって―――ごふっ!?ちょ、少しは手加減―――ぐえ!?く、苦しい………」
予想以上の容赦の無い攻撃と圧倒的な多勢に呆気なく俺はやられた。
「く、くそ………」
「よし、例の脱獄犯を捕まえたと、浜崎さんに報告しろ!」
そして俺はなんの活躍も無く情けなく意識を失った。
――――――――――――――
「う〜ん痛い……苦しい……やめろ………」
「おい、起きろ」
「そんな方には曲がらねえよ……」
「起きろってば」
「あー死ぬ〜………」
「…………………」
「し―――ぐわっ!?な、何だ!?」
突然何か顔に冷たいものを被った衝撃で思わず飛び起きる。
咄嗟に顔に触れると何やら冷たいものが顔中にかかっていた。
「み、水?えっと………これはもしかして俺捕まったのか?」
「捕まったな完璧に」
目の前には見知らぬ人間の男がバケツをもって立っていた。
すると男はバケツを置きしゃがみこんでこちらの顔を見る。
「な、何だよ?」
その男は黙ったままこちらの顔を興味深そうに見る。
「ふ、ふふ、ふはははは!」
と思ったら次は突然笑い出す。
何なんだこの男は!?
そんなやばそうな男は笑うのをやめるとこちらをニヤニヤしながら見てくる。
「まさかとは思ったがこんなところで会うなんてな」
その男は俺の事を知っている様子だった。
「お前何者だ?」
するとその男は再びにやける。
「俺は浜崎陸矢。お前と同じ人間だ」




