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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第六章 ガルア様と黒の魔法使い
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その五 女の喧嘩

かつが悔しそうに叫んでいたその頃ミノル達はコ車の中で談笑をしていた。


ふかふかのシート、窓に差し込む暖かい太陽の光、心地よいコ車の揺れ、それらが私を眠気に誘わせる。


「ふわぁ〜あ、眠くなって来たわね」

「すごいぞ!このコ車あんな気味悪い行為をしなくても動くぞ!」

「特殊な訓練を受けておりますので」

「ちなみにそれってどんな訓練を受けているんですか?もしかして乗り終わった後にそういう写真を渡してるってことですか?でしたらこれを――――」

「うおーい!何を渡そうとしておるのじゃ!ていうかそんなもん燃やすのじゃ!」


寝られるわけがない。


「あのーみんなもう少し静かにしてくれる?私ちょっと眠たくなってきたから」

「あー、すみませんミノルさん。どうぞゆっくり休んでください」

「ありがとう、それじゃあおやすみー」


ふーこれでゆっくり寝られる――――


「おいリドル見るのじゃ!あれはコ車らしきものが転倒しておるぞ!だっさいのう!」

「そうですね。まるでデビさん見たいですね」

「それはどういう意味じゃ!」


うるさくて、寝られない。


「あのー2人共ちょっと静かにしてもらえる。寝られないから」

「何じゃミノル、こんな朝っぱらから寝てたら太るぞ」

「な!?べ、別にそんな長い時間寝る訳じゃないんだから大丈夫よ」

「でも寝過ぎると太りやすいと聞きましたよ」


そんな情報をしれっとリドルが言う。


「え?いや、でもそんな話聞いたことないし……そんな寝ないし………」


少しずつ自信を無くしていきどんどん声が小さくなってしまう。


「あれ?ミノルさん寝ないんですか?」

「眠たくなくなったのよ」


内心眠たいのを我慢して気を紛らわす為窓を見る。

そんな時デビちゃんが肩をちょんちょんと触ってくる。

私は無意識にデビちゃんの方を見る。


「何を心配しておるのじゃ?寝ればいいじゃろ。もしかして太るのが嫌なのか〜!」

「デビちゃん少し黙っててくれるかな〜?」

「わ、分かりました………」


デビちゃんは私にキツく言われて反省してるのか黙ったまましばらく静かにしていた。


「ミノルさん、デビさんもわざと言ったわけではないので許してあげてください」

「女の人にそんな事言うデリカシーのない人は知りません」


でもあとになってみると少し言い過ぎた気もするわね。

デビちゃんも女の子だし。

そんな後悔をしているとデビちゃんが反省したような声で私に話しかけて来た。


「すまんのうミノル。妾が悪かった」

「デビちゃん……ごめんなさい。私も言い過ぎたわね。だからもう―――――」

「お主が太っておるのにそんなデリカシーの無いことを言ってすまんかった!」

「は?」


予想外の謝罪に流石に思わず声が漏れてしまう。


「本当にすまん!」

「で、デビちゃん?何言ってるの?」

「もう2度と太ってるお主にそんなことは言わん!だから許してくれるか?」

「絶対許さない!!もう2度と口もきかない!」

「が、ガーン!」


そんな会話をしながらも気にもせずコ車は前に進んで行った。


―――――――――――

「着きましたね。ミノルさん、デビさん」

「……………」

「………………」

「あのう……お2人共聞いてます」

「聞いてるわよ」

「聞いておる」


私はリドルの方を振り向いたせいでデビちゃんと目があってしまった。


「「ふん!」」


私がそっぽを向いたと同時にデビちゃんも同じ行動をとる。


「……………かつさん助けてください」

「皆様お待たせしてしまい申し訳ありませんでした」


先程何か慌てた様子で行ってしまったシニアさんが帰って来た。


「何をしておったのじゃ?」

「少しばかり面倒なことが起こってしまいまして」

「面倒な事ってなんですか?」

「皆様はお客様なので心配なさらずに。どうぞガルア様がお待ちしておりますので」


何か気になる部分を残しつつ私達はシニアさんに導かれるように城の中に入って行った。


「すごい警備の数ですね。何か非常事態でも起きたんですか?」


リドルの言う通り少し警備の数が多いように見える。


「これは通常通りの警備の数ですよ。こちらです」


これが通常通りの警備の数なの?

それでもやっぱり多い気がする。

まあ普段の警備の数も知らないし、ガルア様は心配性なのかもしれない。

するとデビちゃんが興奮したように壁にかかってる絵を指差す。


「何じゃあれ!ものすごくでかい絵が飾ったあるぞ。しかもあの描かれてる人物は誰じゃ?」

「あれは先代のこの島の王ガイス様よ。デビちゃんはそんなことも知らないの?」

「何!?」

「何よ!?」

「「ふん!!」」

「何かあったんですか?」

「シニアさんは気にしないでください」


ガイス様の絵を通りすぎ更に奥に進む。

そして階段を2回上がって右の通路の3番目のドアの前で止まった。


「こちらでお待ち下さい」


そう言ってシニアさんはドアを開け私達を中に入れる。

だがそこには誰もいなかった。


「あの、ガルア様は?」

「すぐお呼び致します。それまでごゆっくり」


そう言ってシニアさんは行ってしまった。


「それじゃあこれからどうしましょうか?」

「決まっておるじゃろ、探検するのじゃ!」

「話聞いてなかったのデビちゃん。ここで待っててって言われてたでしょ」

「お主はつまらない女じゃのう」

「な!?つ、つまらなくないから!」


すると何かを察知したのかリドルが私達の間に入る。


「落ち着いて下さい2人共。それより多分このままだと誰もここに来ませんよ」

「え?それってどういうこと?」

「ミノルさんも気になったと思います。あの警備の数どう考えても異常です」

「たしかに私も少し多い気がしたわね」


実際何か慌てた様子も見えたような気がするし。


「そうですよね。これから考えるとガルア様に何かあったのかもしれません」

「何かあったなんて……もしかして連れてかれたとか!?」


この非常事態多分それ位のおおごとだと思う。


「理由はよく分かりませんが、もしかしたらコ車に乗ってる時に見たあの事故が関係してるのかもしれません」

「事故?私それ見てないんだけど」

「それは窓が―――――え?デビさん急にどうしたんですか」


話してる途中でデビちゃんがリドルを自分の方に引っ張る。


「ちょっとデビちゃんまだ話してる途中なんだけど」


その瞬間デビちゃんはリドルの腕を組む。


「リドルこんな奴と話さなくても良いんじゃぞ。つまらん人間になってしまうからのう。あ、リドルはもうすでに手遅れじゃったか」

「ちょっとデビちゃん、誰がつまらない人間ですって」

「すいません、僕なぜかディスられたんですけど、その事については何も言わないんですか?」

「言わなくても分かってるじゃろ。ほら行くぞリドル」

「なるほど、無しの方向なんですね」


私を置いて行こうとするデビちゃんを行かせないためにリドルの腕を掴む。


「行かせないわよ。リドルは私と行くの!」


私は力負けしない様にデビちゃんと同じ様にリドルの手を組み引っ張る。


「何を言っておる!妾と行くのじゃ!」


デビちゃんも負けじとリドルを引っ張る。


「あの〜僕の意見は聞かないんですか?」

「「(お主)(リドル)は黙ってて(ろ)!」」

「なるほど無いんですね。分かりました」


このまま引っ張り合っても切りがないわ。

ここは少し提案をしてみましょうか。


「ねえデビちゃんこれ以上はリドルが可哀想と思わない?」

「思わない」

「すごい即答ですね」

「へえ〜そうなんだ。じゃあリドル、私とデビちゃん、どっちについていきたい?」

「それは完全にミノルさんですよ」


リドルは即答で私を指名した。


「何でじゃーー!」

「そりゃ少しでも安全な所に行きたいですしね」

「それじゃあさっきの嘘じゃ!リドルとっても可哀想じゃのう。ほれ私の胸に飛び込んでくるのじゃ」

「すいません。僕ロリコンじゃ無いので」

「おい!お主今ロリコンと言ったな!」


予想通りこれでデビちゃんからリドルを取り戻したわ。


「それじゃあ行きましょう。あ、デビちゃんも着いて来たかったら私に謝罪したら考えてもいいわよ」

「ふん!妾は妾で好き勝手させてもらう!」

「そう、それじゃあね」


そう言ってリドルと私は部屋を出た。


「うーん!言い返せて気持ちいいわ!」

「それは良かったですね。そろそろ腕組むのやめてもらっていいですか」

「え?」


自分の腕を見てみるとリドルと腕を組んでることに気付く。


「きゃっ!ご、ごめんなさい!私無意識に」


私は組んでた腕をすぐに引き離す。


「別にいいですよ。それよりいいんですか?」

「な、何が?」

「デビさんのことですよ。このまま放置していいんですか?」

「た、たしかに私自身もう満足したし最初よりも怒りはもう無いし、素直にごめんなさいって言う事にするわ」

「それが1番です」


私は素直に謝る為に再び部屋に入った。


「デビちゃんちょっと話があるんだけど………」

「ミノルさん?これは………」


そこにはデビちゃんの姿は無く先程開いていなかった窓が全開に開けられていた。


「デビちゃん!」



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