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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第六章 ガルア様と黒の魔法使い
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その四 黒い建物

「ルージュ!ルージュ!!」


いくら叫んでもルージュの返事は来ない。


「どこ行ったんだあいつ」


勝手に何処かに行くような子には見えなかった。

だけど実際にルージュの姿は無い。


「もしかして攫われた!いや……まだその考えは早いよな」


最悪の想像は一旦やめて俺はルージュの捜索を再開させる。


「とりあえず聞き込みをしよう。まずは………」


俺は辺りを見渡した。

するとテーブルを拭いている店員を見つけた。


「あの人は………たしか料理を持ってきた人だったよな」


もしかしたらルージュのこと見かけたかもしれない。

そんな期待を持って俺は店員さんに聞くことにした。


「あのう……すいません」

「はい、なんでしょうか?」

「覚えてますか?たくさん料理を運んで来た席に居たんですけど」

「あー!はい、覚えてますよ」


よかったー、ちゃんと覚えててくれたのか。


「それじゃあその席に居た女の子を見かけてませんか?」

「あー、あの沢山料理を食べてた女の子ですか。そういえばさっき誰かと一緒に外に出て行った気が………」

「それっていつのことですか!」


俺は興奮気味に店員さんの肩を掴む。


「ふえ!?え、えっとほんの4、5分前ですよ」


てことはまだそう遠くには行ってないよな。


「ありがとうございます!」

「あ、ちょっと待ってください!」


そう言って、俺の腕を掴む。


「え?何ですか?」

「食事の代金払ってください」

「あ、はい………」


俺は代金を支払いルージュを探す為に外に出た。


「早く探さないと……だけどどこを探せば」


外に出たというところまでしか分かっておらず肝心のルージュが何処に行ったのか。


「また聞き込み……ってわけにもいかないよな。そんなゆっくりしてたら間に合わないかもしれない。こんな事をしてる間にも」


俺は嫌な想像をしてしまいまた焦りが出る。


「こうしちゃいられないとりあえず悪そうな奴が行きそうなところを白み潰しに行くか!」


とりあえず路地裏辺りを攻めてみよう。

2、3分路地裏を回ったがルージュの姿は無かった。


「はあ…はあ……やばいな、もうそろそろ居なくなってから10分になるな」


だいぶ探し回ったにも関わらず姿が見えないのはおかしい。

もしかしてもうここには居ないのか。


「くそ、どこに行ったんだよ。ルージュ」

「お前、かつか?」


名前を言われて、俺は後ろを振り返る。


「え?お前はケインか!?」


だが姿は人間のケインではなく耳としっぽを付けた半獣スタイルのケインだった。


「久しぶりだな。大丈夫だったのか?たしか処刑されそうになったと聞いたが」

「それはもう大丈夫だ。それよりケインは買い物か?」


ケインの手には食材の入った袋を持っている。


「ああ、そうだ。かつも一緒にどうだ?」

「ケインの手料理は美味いから食べたいけど今はちょっと……」

「そうか、急に呼び止めてすまなかったな」

「いいよ、それじゃあな。また今度食べさせてくれよ!」

「ああ、また路地裏で会おう」


そう言って、ケインとはここで別れることにした。


「ん?待てよ。ケインにルージュのこと聞けばよかったんじゃないのか」


俺はその事に気付きすぐにケインを呼び止めた。

幸いケインとはすぐに別れたばかりだったためすぐに会うことができた。


「おい、ケイン!ちょっと待ってくれ!」

「うお!?何だかつ、いきなり動かすな猫耳カチューシャが取れるだろう」

「え、あ、ごめん」


何かケインが猫耳カチューシャっていうの凄く変だな。


「それで何のようだ?」

「今さ人探しててさ、こんくらいの背の女の子知らないか?白いローブを身に纏っててバラの髪飾り付けてるんだけど」

「バラ?何だそれは」


もしかしてあの髪飾りはバラじゃなくて別の名前の花だったのか。


「それじゃあ白い花の髪飾りを付けてる子だ。見てないか?」

「う〜ん、そうだな……そんな格好をした女の子を見たような気がするな」

「ほんとか!?どこで見たんだ」


俺はさらにケインから情報を聞き出そうとするがなぜかケインが場所を言うのをためらう。


「それは……あまり言えないな」

「どうしてだよ!お願いだよケイン!」

「…………分かった。教える。だがくれぐれも無茶をするなよ」


無茶をするな、いったいどういう意味だ。

いや、今は意味を考えてる暇はない。

俺はすぐにその言葉にうなずいた。


「あそこの建物だ」


そう言ってケインが指差した方向には黒い異様な雰囲気を纏った建物だった。


「この建物って……人間が作ったって聞いたんだけど」

「その話知ってたのか。その通りだ。この建物の中には人間がいる」

「でもそれって………」

「不思議だよな。半獣は人間を嫌っている。しかもここに人間が居るのも知っている。なのになぜここを壊さないと思う?」


俺は改めて黒い建物を見つめた。

真四角の豆腐型の家、窓も無くあるのは扉だけ。

明らかにおかしな構造の建物だ。


「理由はどうあれあそこにルージュが居るんだ。行くしかないだろ」

「かつ、俺の話を聞いてたのか。あそこは明らかにやばい。俺ですら入るのを拒むほどだ」


確かにケインは建物から明らかに目を逸らしている。


「それでも行かなきゃいけないんだ。約束したんだよ。俺が守るって、ルージュのナイトになるって約束したんだよ」

「………最初から覚悟は決まってるようだな。来い。行き方を教えてやる」


そう言って扉に入らずに建物の横を通り抜けて行く。


「お、おい!どこに行くんだよ!!」

「いいから着いて来い」


俺は黙ってそのままケインの後ろを着いて行った。

嫌っている割には侵入口を知ってるのか。

するとケインは何もないところで立ち止まる。


「ここだ」

「ここって……壁か?」


目の前には特に変化はない普通の壁しかなかった。


「ああそうだ。一見ただの壁に見えるが」


そう言ってケインは壁の一部の窪んでる箇所を押した。


「こ、これって………」


押した瞬間壁が動き出し先程なかった入り口が現れた。


「ま、こういう仕掛けだ。あの扉はダミーでこっちが本命だ」

「この奥にルージュが居るのか………」


奥は暗く目を凝らしても見えないほどだ。

どんな仕掛けがあるか分からないが行かないわけにはいかないよな。


「よし、行ってくる」

「ちょっとまてかつ。お前その格好で行くつもりか?」

「え?あーたしかに耳もあるしローブを着てんのはおかしいか。でも換えの服もないし」

「ふっこんな事もあろうかと作っておいたんだよ」


そう言って、もう1つの袋の中から服を取り出し始めた。

いや、こんな事ってそんなの予想できないだろ。


「ありがとう着てみるよ」


俺は簡単にぱぱっと着替えを済ませる。

そして自分の格好を改めて見直す。


「どうだ?普通の人間に見えるか?」


何か昔の自分では想像できない台詞だな。


「ああ、中々似合ってるぞ。カツラが取れないように気をつけろよ」

「分かった。ありがとなケイン」

「助けたい奴がいるんだろ。早く行って来い」


俺は静かに頷いて入り口に入って行った。


「気をつけろよ、絶対かつ」


―――――――――――

「だいぶ暗いな」


地下水を歩いているのか中は涼しく音が響き渡る。


「ん?あれは、はしごか?もしかしてあそこから出られるのかも知れない」


俺ははしごをゆっくり登り上の扉を力を込めて開ける。


「よいしょっと!ここは廊下か?」


はしごを登って外に出てみると廊下のような明るい場所に出た。

どうやら中に入れたようだな。


「とりあえず人に見つからないように慎重に探そう」


俺は辺りを気にしながら廊下を進んでいく。

しばらく歩いていると分かれ道に遭遇する。


「さてと、どっちに行こうかな。どちらにしようかな神様の言うとおり〜右か」


少し適当に決めてしまったがどっちか分からないのでどんな決め方をしても変わらないだろう。

右に曲がりまた周りを気をつけながら歩いていると扉がたくさん見えた。


「へー部屋の数は多いんだな」


むやみに入ると人とばったり会う可能性があるからな。


「おい、さっきの子すごくないか」

「ああ、そうだな。まさかあんな子をここに連れてくるとわな」


後ろから誰かの話し声が聞こえる。


「やばい!誰か来たのか」


俺は急いで近くの扉の中に入って行った。


「ふー!危なかった。危うく鉢合わせするところだったな」


するとさっきの声が扉の向こうから聞こえる。

俺は扉に近づき聞き耳を立てる。


「しかしあんなキレイな女中々いないぞ」

「馬鹿野郎、下手に手出すなよ。何だってあいつは――――」


すると話に夢中になり過ぎて足で扉を蹴ってしまった。


「やべっ!」

「ん?なんかあそこの扉から音が聞こえなかったか?」

「そうだな。ちょっと見てみるか」


やばいこっちに来る!

俺は急いで近くの何とか姿を隠せる場所を探す。


「誰だ!」


その男は勢いよく扉を開ける。

バレませんように。


「居ないみたいだな。気のせいなんじゃねえのか?」

「たく、紛らわしいな」


息を殺しばれないように隠れ続ける。

そして男は愚痴を零しながら部屋から出て行った。


「ふー、あぶねえー!扉の後ろに隠れて正解だったな」


でもあいつらの会話多分ルージュの事だよな。


「やっぱりあいつはここに居るんだ。早く助けないと」


俺は何か情報がないかこの部屋を調べる事にした。


「何だ?この積み上げられた木箱は」


何か物が入っているかもしれないと思い俺は1つだけ木箱を開けることにした。


「にしても釘で打ち付けられててどうやって開けるか」


俺は辺りに使えるものが無いかさがしていると、ちょうどよくバールが置いてあった。


「これで開けろってことか」


俺はバールで釘を固定し思いっきり下に降ろした。


「おら!」


そうすると釘が木箱からきれいに取れた。

俺は同じ様な手順で他の釘を取る。


「よし、これでもう開けられるな」


俺は全部の釘を取り終え木箱を開けた。


「な、何だこれ………」


木箱の中には沢山の銃らしき物が入っていた。

それはかなりの重さで偽物じゃないとすぐ分かった。


「何でこんな物があるんだよ」


異世界には剣とか置いてるのを見たことが無いから銃なんて存在しないと思ってたけど。


「初めてみたけど完璧に銃だよな。でも何で人間が住んでいるこの建物にあるんだ?」


もしかしたらここはヤバイ組織の本拠地なのかもしれない。

俺はとりあえずバレないように木箱を元の状態に戻した。


「やっぱりこの建物なにかあるな」


色々と気になるところはあるが先ずはルージュが先だ。


「とりあえず、誰かに情報を聞き出すか」


―――――――

「ふわあ〜、眠たいな―――――うわあ!」


俺はちょうど1人だった関係者を捕まえて部屋に入れた瞬間、壁に男を叩きつけて腕で首しめる。


「ぐふ!?な、なんだ!?」

「俺の質問だけ答えろ。女の子を攫ったよな。その子は今どこに居る?」

「な、何言って――うぐ!」


俺は首を締める力を強くする。


「質問にだけ答えろ!」

「わ、分かった!その女は牢獄にいる!」

「牢獄?それはどこだ!」

「こ、この通路を真っ直ぐ進んで左に曲がった所の3番目の扉の中に入れば分かる!」

「それは本当なのか?」

「ほ、本当だ!だから開放してくれ!!」

「分かった。でもごめん。眠ってもらうよ」

「ふぐっ!…………」


俺はそのまま男を眠らせた。

正体を知っているやつはなるべく増やしたくないからな。

俺はその男を縛って見つからないように隠した。


「よし、これで場所は分かったな。急ぐか」


俺はさっそく男が言っていたルート通り向かった。

道中他のやつに見つからないように警戒をして進んでいく。

そして目的の場所に到着することができた。


「よしこの部屋だな」


俺は周りを見渡しながらすぐに部屋の中に入っていく。

その部屋は薄暗く、少し鉄臭い。


「この下に居るのか」


そこには下に続いている階段があった。

もし敵にあった時脅し用に銃を持ってくれば良かったと少し後悔をしてしまうほど異様な空気が漂う。


「ゆっくりゆっくり、慎重に慎重に」


罠もあるかもしれないから足元や壁にも注意しながら慎重に進んでいった。


「ん、広い所に出たな」


階段を降り終えると周りは牢屋だらけの場所に出た。


「何でこんなに牢屋があるんだ?」


本当にこの建物が何のために建てられてるのか気になってきたな。

すると何処からか叫び声のような声が聞こえてきた。


「な、何だ?」


俺はその声の方向に向かった。

近付く度に徐々に声が大きくなってくる。


「な!?こ、これは………」


そこには沢山の半獣が牢屋に捕まっていた。


「全員半獣なのか。でも何でこんな所に、まさか全員犯罪者とかか?」

「た、助けてくれ!もうここに居たくない!!」

「お願い助けて!」


みんな必死に俺に助けを願って来る。

でも、全員を助けるのは無理だ。

ここはグッと我慢するしかない。


「済まない。用事があるんだ」

「行かないで!行かないで!!」


そんな悲痛な叫びを背中に受けながら俺はルージュを探した。


「どこだルージュ!ルージュ!!」

「ナイトさん?ナイトさん!」


その時ルージュが俺の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。

今の声はルージュだ、すぐさまその声が聞こえる方向に向かう。

そしてついにルージュを見つけることに成功した。


「ルージュ!!」


怪我はなさそうだが乱暴をされたのか少し服がボロボロになっている。


「よかった。ごめんな、俺が目を離した隙にこんな事になっちゃって」

「ナイトさん、私の方こそごめんなさい。簡単に捕まっちゃって」

「反省は後だ。まずはここを脱出しよう」


ルージュの手は手錠で鉄格子と繋がってしまっている。

まずはこの手錠を何とかしないとな。


「待ってろよ。すぐにこの手錠外してやるから」

「ナイトさん後ろ!!」

「え?――――――がっ!」


その時頭に強い衝撃が響く。


「ぐっ―――――」


そしてどんどん意識が遠くなっていく。


「ナイトさん!ナイトさん!」

「ルー……ジュ………」


薄れゆく意識の中でルージュの声がいつまでも響き渡っていた。



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