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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第六章 ガルア様と黒の魔法使い
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その三 かつはナイト

「へ?ナイト?」

「はい!なってくれますか?」


何を言ってるんだこの子は!?

水色の髪、白いローブを身に纏い俺の肩くらいの背の女の子はそんな支離滅裂なことを言ってきた。

もしかして護衛してくれって意味なのかも知れないな。

だとしたら俺なんかよりも適切なやつがいるはずだ。


「ごめん俺――――」

「だめですか?」


するとうるうるとした瞳で俺に訴えかけている。

やめろ!そんな瞳で見つめないでくれ!


「う…あ……ふう……分かった。なるよ。お前のナイトとやらに」

「ありがとうございます!!」


そう言って嬉しそうに俺に抱きつく。


「おわっと!いきなり抱きついて来るなよな」


でも、こんなに嬉しがってるってことはそれほどさっきの出来事を怖がってるってことだよな。

こんな小さい子を襲うなんて……


「許せない!絶対守ってやるからな!」

「はい!よろしくお願いします!」


と言ったもののこれからどうするか。


「とりあえずどこか行きたいところは無いのか?」


て、言っても俺もそこまで知らないんだけどな。


「服を見たいです!」

「服?分かった。それじゃあ服が売ってる店に行ってみるか」


ここら辺に服屋なんてあったかな。

まあいいか、とりあえず歩いていればどこかの服屋にでも付くだろう。

そう思い俺はその子と一緒に町を歩き始める。


「そういえば名前聞いてなかったな。俺の名前は絶対かつ、君は?」

「私はラ――――じゃなくルージュです」

「ルージュかよろしくな。服屋によりたいんだったな、んーっとおっあそこなんかどうだ!」


ちょうどよく服が並べられている店を見つけることができた。

何とか近くに服屋があったおかげで途方に暮れることはなかったな。


「うわぁー!」

「ほら、好きなの見てきな」

「本当ですか!?それじゃあ……」


そう言って嬉しそうに店の中に入っていった。


「すごいですたくさんあります!これも可愛いですしこっちも――――」


楽しそうだな………

何か親になった気分だな。

すると俺の姿を見つけるとルージュは優しく手を振る。

それに対して俺も自然と手を振り返す。


「日本とは違って異世界の子供は可愛いな」


正直子供はあんまり好きでは無かったが異世界は別だな。

するとルージュが両手に服を持ってこちらに近づいてきた。


「あのナイトさん。どっちの方がいいでしょうか?」


なるほど服を決めてほしいのか。

二つの服を見比べて俺はルージュに似合う服を選択する。


「こっちの紫色の服より白い服の方がいいんじゃないか」

「分かりました。それじゃあこっちを買います」


俺が選んだ服を即決で買うことを決めた。


「え?そんなんで良いのか!?もうちょっと慎重に決めてもいいんじゃないのか?」

「大丈夫です。だってナイトさんが選んでくれたから」


うっ!そう言われるとなんかすごい責任を感じてしまう。


「ルージュがそれでいいならいいんだけど」

「はい!大丈夫です!それじゃあ買ってきますね!」

「ちょっと待って!俺が買うよ」

「え?いいんですか!?」

「大丈夫、大丈夫―――――」


俺は値札を見て固まった。

じゅ、18万ガルア!?

まさか意外と高級店に来てしまったのか。


「えっと………」

「大丈夫ですよ。ナイトさんはここで待ってて下さい」

「面目ない………」


何かカッコ悪いところを見せてしまった。

ていうかルージュ意外とお金持ってるのか。


「このままじゃ、ルージュを守るナイトとして恥ずかしいぞ。ん?これは………」

「ナイトさん買って来ましたよ。あれナイトさんは?」

「ル〜ジュ!」


キョロキョロと辺りを見渡しているルージュを見て俺はいたずら心が出て後ろから驚かした。


「わ!?ナイトさん!?驚かさないで下さい!!」

「ごめん、ごめんそれよりこれ」


俺はルージュに、白いバラの髪飾りを渡した。


「これは……」

「一応俺からのプレゼントかな。まあ安もんだけどな。いらないなら別に――――」

「いります!」


食い入るように言うと俺が買った髪飾りをルージュはすぐ付けた。


「ど、どうですか?」

「うん、自分で言うのも何だけど似合ってるよ」

「えへへ、そうですか」


ルージュは髪飾りが嬉しかったのか幸せそうな顔をしている。

まさかこんなに喜んでくれるとは思わなかったな。


「それじゃあ次は何処に行きたい?」

「う〜ん……」


するとルージュの腹がなる音が聞こえた。

するとルージュは少し恥ずかしそうに頬を赤らめる。


「飯でも食べに行くか」

「それじゃあ私行ってみたいところがあるんです!」


――――――――――

「ルージュが行ってみたい場所って魔法協会なのか?」

「はい!私1度でいいからここでご飯を食べたかったんです!!」


すっごい、今までになく目が輝いている!

そんなに来たかったのか。


「よし!今日は俺が奢ってやる!好きなもんいっぱい食べろ!」

「え!?本当ですか!」

「ああ、早速中に入ろうぜ!」


早速俺達は魔法協会の中に入って行った。

中は相変わらずの人混みだな。


「いらっしゃいませー!クエストの受付はこちら!ご飯ならお好きな席にどうぞー!」

「それじゃあ好きな席に座るか」

「はい!」


席について早速メニューを見始める。


「すごいです!これがここのメニューですね!」

「なんでも好きなもの頼みな。遠慮なんかすんなよ」

「分かりました。それじゃあ……」


それにしても昨日魔法協会で飲んでたのにいつの間に宿にいたんだよな。

てことは魔法協会の人が俺達を運んでくれたのか。

それだったら後でお礼を言っておかないとな。


「お待たせしましたー!」

「お、いつの間に頼んでたのか。え?」


すると机に入りきりない程の量の料理が置かれていた。


「すごいです!どれもおいしそうです!いただきます!!」

「え?ちょ……」


それをすごい勢いで食べ進めていく。


「お前って結構食べるんだな」

「あ、すみません。あんまり見ないでください……」

「え?何で?」

「は、恥ずかしいので………」


そう言って恥ずかしそうにちびちびと食べ始めた。


「別に恥ずかしくないだろう。逆にものすごく幸せそうだなあーって思うけど」

「し、幸せなのは本当ですけど………とにかく見ないでください!」

「分かったよ。それじゃあ俺あっち行ってるから終わったら教えてくれよ」

「はい、分かりました」


そう言って俺は一旦席を離れた。


「女心ってのはよくわからんな」


とりあえず暇になったし昨日のこと聞いてみるか。


「あれ?かつさん?」

「あ、ルルさん!ちょうどよかった。ちょっと聞きたいことがあったんですよ」

「そ、そうだったんですか……」

「あれ?どうしたんですか。急に目をそらして」

「いえ、別に何でもありませんよ」


何だ?なんか変だぞ。


「えっと……俺なんかしましたっけ?」

「え!?いや!別に何もされてませんよ!!」


何だ、ものすごく怪しいのだが。


「もしかして昨日俺なんかやらかしましたか」

「ふえ!?いや、し、失礼しました。別に何もありませんでしたよ」

「ふーん何も無かったんですね……」

「は、はい、何も無かったですよ」


絶対!何かあったなこれ。

昨日飲み過ぎて全く覚えてない。

これは他のやつに聞くしかないな。


「ウルフー!居ないかー!」

「ちょ!かつさん!周りの人の迷惑になってしまいます!」

「俺の声より周りの声のほうがうるさいから問題ないでしょ!どこだーウルフ!!」

「たく!何だよ。朝っぱらからうるさいぞ」


そんな文句を言いながらウルフが出て来た。


「おー、ウルフ!ちょうどよかった!なあちょっと聞きたいことがあるんだけど」

「なんだよ急に。ていうか顔が近い」

「そんなことより、昨日俺何かしなかったか?」


こいつに聞けばなにか分かるはずだ。


「何ってまさか覚えてないのか!?」

「え?やっぱり俺何かしたのか。なあ俺何したんだよ!」

「う!そ、それは………」


するとウルフが顔を赤らめる。


「私の口で言わせんなよ」


俺は一体何をしたんだー!


「お、俺は……」

「よー少年!どうした、顔色がかなり悪そうだな。ちゃんとご飯食べてるのか?そんな少年に嬉しいクエストが――――」

「あー!今はそんな事どうでもいいんだ」

「それじゃあ昨日のことが気になるのかな?」


もしかしてこの人知ってるのか。


「どうしてもと言うなら教えてあげるぞ」

「お前は嫌いだけどしょうがない。教えてくれ」

「おいおい、年上にそんな聞き方ないんじゃないのかな?少年」


くっ!ここはぐっと我慢だ。


「教えてください、アカネさん」

「ふっふっ!いいだろう少年。実はあの後少年が酒の飲み過ぎでデロンデロンに酔ってたんだけどその時ルルが心配そうに少年に近づいてき来た瞬間!ルルのスカートを掴みそのまま―――――」

「ごめんもういい」

「ちなみに止めに行ったウルフも―――――」

「だからもういいって言ってんだろ!」


俺はまだ喋ろうとしてくるアカネの口を強引に止めた。


「何だ、少年が教えてくれと言ったんだろ」

「だからもういいってば。教えてくれてありがとう」

「ま、いつでも私を頼ってくれ!」

「ああ、もうこれっきりだと思うけどな」

「ありゃりゃ、この調子だと少年は私の事をまだ嫌いみたいだな」

「それじゃあ俺もう行くから!」


このまま話してたらきりが無いと思い俺は無理矢理話を切った。


「またなー少年!」

「くそ、とんだ災難にあったな」


とりあえず俺は昨日盛大に何かをやらかしてしまったらしいから後でちゃんと謝っておこう。

そろそろ食べ終わっただろうしルージュの席に戻るか。


「あれ?ルージュがいない」


ルージュは席に座っておらずこつぜんと姿を消していた。



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