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19話 旧友?と決闘

そびえ立つ摩天楼、肥えた紳士やスーツの営業マン、荷物を積んだ車でごった返す取引街はいつだって人間で溢れている。

探偵二人はキングズリー商会に用があって、夕暮れ時の取引街を進んでいる。

「前から思ってたが、やっぱ好きになれねーわここ」

「一度来た事が?」

「終戦後、ヤードにいた頃にな」

「……あぁ!お前がやらかしまくった時か!」

「やめろ!その話はやめろ!今でも思い出すと死にたくなんだよ!」

「ハハ、まぁいいや。そろそろ着くが、作戦覚えてるよな?」

「ぶん殴る」

「要約しすぎだ。もっと正確に」

「すまん、もっかい説明頼む!」

マグニは手を合わせて懇願する。

「はぁ……いいか?ここに来たのはコルネルの借金を帳消しにする為だ」

「どうやって?」

「ぶん殴るんだよ、正式な決闘で。知ってるだろ?キングズリーが決闘好きなのを」

「あぁ、戦争の時は俺が代理人やって金稼ぎをしてたからな。だがもし応じてくれなかったらどうするつもりだ?」

「いや、アイツは応じるさ。新しい代理人を手に入れたと仲間から報告があってな、試したくて仕方ないらしい。この作戦の欠点はお前の敗北を考慮してないとこだ」

「リスキーだな……ま、お前の仲間って奴を信じるわ」

「他にも色々考えたんだが、俺の能力がイマイチ戦闘で強くなくてなぁ……」

「そうだな……衝撃波、凍結、狂化、思考能力の強化、自然治癒力の活性化、それと破裂か」

「そう、決闘向きのはどれも俺が持たんから。さぁ、着いたな。あとは勝つだけだ。気張っていくぞ」

「当たり前だ」

夜の帳が降りるなか、二人は超高層建築物が立ち並ぶ取引街に構えるキングズリー商会へと足を踏み入れた。


【ノウリミット 取引街 キングズリー商会】


受付嬢に探偵だと伝えると、エレベーターにねじ込まれ、即社長室部屋に連れて行かれた。

「最上階、社長室でございます。このままお進みください」

二人は黙って進んだ。進んだ先に男はいた。

「ようこそマグニ!それとカステル……どうだね?連れてきてくれたか?」

ウィリアム·キングズリー、裕福そうな肥えた体、ブロンドの髪、憎たらしい顔付き、社長椅子にでっぷりと座っている。

終戦後から何一つ変わっていない姿に二人はどこかムカついた。

マグニは発言を全てカステルに任せ、先陣を切らせる。

「それなんだが……決闘で決めないか?」

「何?」

「ダスティ·コルネルのだよ。そちらが勝ったら借金を五倍にして返す。俺達が勝ったらチャラにして金輪際付きまとうな」

「ふーむ…………条件がある」

キングズリーは深く考え、発言する。

「代理人を立てても良い事。決闘後、敗北側の代理人の処分は相手に任せるというのなら良いだろう」

「いいだろう、守れよ?」

「もちろんだとも!ならば今から地下へ行こうじゃないか!ささ、ついて来たまえ!」

謙虚な姿勢の欠片もないキングズリーの姿に、二人はどんどんイライラしていく。

ガラス張りのエレベーターに乗り込み、どんどん降りていく。

「どうだね?我が商会が誇る100階建てのビルは!そのエレベーターは!早いだろう?」

何かと話を振ってくるキングズリー。塩対応する探偵二人。

「「すごいな、うん」」

ガラス越しに見える装飾品の数々はキングズリーの性格を象徴するかのように黄金だらけだ。

考えている間にもキングズリーは一人で喋り倒している。

「それでその部下が…………お、見たまえよ!あのコロッセオのような美しいステージを!!」

足元に見えるステージはコロッセオその物だが、まるで星空のような自然の美しさを感じる。

その美しさに二人の心は飲まれた。

エレベーターが止まり、音声で到着を知らせる。

「最下層 闘技場でございます」

「見たまえよ!この煌めき!ここで命のぶつかり合いをしようじゃないか!」

「上等だ……やるなら早くやろうぜ」

ここに来てマグニが初めて口を開く。

「よろしい!!今すぐ始めよう!さぁ、そのまま鉄格子まで進みたまえ!私は準備をしてくるよ」

キングズリーはのそのそと歩いて何処かへ行ってしまった。

探偵二人はとりあえず言われた通り進み、門のような鉄格子の前まで歩いた。

少しだけ闘技場内が見えるが、砂の殺風景な平たい広場しか見えない。

「なぁ、このパターンは俺も参加させられるパターン?」

カステルがメガネをTシャツで拭き、トボながら言う。

「まぁそうだろうな。なんたってお前嫌われてるし」

「どれが悪かった……身体的特徴についていじったことか?」

「じゃないか?どちらにしろ、俺達でその代理人ってやつを倒せばいいんだろ?」

「まぁその通りだな」

話しているうちに鉄格子の門が上がり始めた。

「さぁ!お進みください!決闘士よ!皆さんがお待ちですから!」

陽気なアナウンスに従い、二人は前に出た。

ライトアップされた闘技場は先程とはうって変わって人工的で穢れたように感じる。

「今回も始まりました!死亡遊戯のお時間です!えーこの死亡遊戯はキングズリー商会の支援で運営されています!」

カステルは提供を忘れぬ司会者を高く評価した。

「今回は飛び入り参加!マグニ探偵事務所から来た戦争帰りの探偵二人組!マグニ&カステル!!!」

歓声と拍手が混じり、熱狂に包まれる。

闘技場観客席は見渡す限り仮面で顔を隠した沢山の男女で溢れている。

「なるほどな、能力使用可能地下格闘場って事か」

「お前は能力無しだが、まぁ勝てるだろ、腕っぷしで」

「冗談きついぜ」

「さぁ!ゲスト側の紹介も終わったところで、我らがキングズリー様の専属剣闘士、殺人人形!キリングドール!!」

コールと共に現れた剣闘士は、アリスと同じぐらいの背丈の人形のような少女だった。

登場に合わせて観客はより熱狂する。

黒いロンググローブにサイハイソックス、白いリボンの付いた黒いエプロンドレスを身に着けた金髪の少女は血のような赤い目で二人を睨みつける。

「皆様準備は良いですか?」

「準備?」

「始まりの合図ですよ!マグニさん!まぁ、我々に任せてください!」

司会者が生き生きしている。

「それでは!!『汝ら、決闘章典に従い、勝負を申し込むがいい!!』」

「我、汝らに決闘を申し込む」

少女が口を開き、それに合わせてカステルが言い放つ」

「よかろう!我ら汝の誘いを受けよう!」

カステルに合わせ、観客と司会者が口を合わせる。

『我らが立会人となり、決闘を見届けてしんぜよう!!それでは決闘!開始!!』

掛け声に応じてキリングドールは動き出した。

決闘の始まりだ。





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