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12話 追跡とギャング

 屋根から屋根を飛び、凄まじいスピードで追いかける。

 真昼の追跡劇が始まった。

「おい、止まれ!次の問いかけで止まらないと無理矢理止めるぞ!!」

 ジャックは警告する。

 しかし、リアを攫った黒い影は止まろうとせず、更にスピードを上げて逃げようとしている。

「忠告はしたぞ!!!」

 ジャックは炎を影の目の前に発生させた。

 影は避けようと左に避けたが、避けることに必死だったのか屋根から転げ落ちた。

 転げ落ちた先は裏路地で、人の気配はなく、行き止まりになっていた。

 ジャックも屋根から降り、リアの確保に行った。



「もう逃げられないぞ!リアを離せ!!」

 昼にも関わらず、降りた先は夜のように暗い。

「被検体342 死を見る瞳、回収する。回収中妨害を受けた為、戦闘を開始する」

 黒い影は途絶え途絶えに言い、リアを降ろしてジャックに飛びかかって来た。

 飛びかかったところをジャックは蹴ったが、影はヒラリと躱して短刀をジャックの横腹に突き刺した。

 その時見えた影の顔には、カラスを象った骸骨のような仮面を着けていた。

「グッ……こいつがヤードの構成員か」

 カトレアの話を思い出す。今戦っている相手が能力者に対しての死神と言われるヤードだということを。

「ギシャシャシャ!!」

 笑い声のような音を出す構成員はジャックから距離を取り、今度は壁から壁へとジグザグに跳びながらスピードを溜め、一気にジャックめがけて飛んできた。

「同じ手を喰らわない!!」

 ジャックの目が輝き、自身の周りに炎の壁を発生させる。

 構成員は炎の壁に突っ込み、転倒し、もがく。

「ギャ!ギャア!ギャアアアア!!!」

「まだ倒れない……のか!」

 構成員は着ていた黒いローブのようなものを脱ぎ捨て、肉体をあらわにした。

 細く黒い痩せ細った人型のカラスのような体に、白い仮面の姿が何処か恐怖を感じる。

 短刀を持ったその姿は異形の暗殺者を彷彿とさせる。

「ギシャアアアア!!」

 構成員は叫び、目にも止まらぬ速さで手に持つ短刀をジャックに向けて投げた。

 短刀はジャックの頭に当たり、カボチャにヒビを入れた。

「やってくれたな……やってくれたなあああ!!」

 ジャックは吠え、構成員はジャックに近づき右手に持つ短刀を横に振る。

 短刀を軽くいなす。構成員は左手を握り、ジャックの頭に一撃入れた。

 ガリッという音と共に、ボロボロと何かが崩れる音がした。

「あ、ああ…………アアアアアアアア!!!」

 ジャックは激昂し、構成員の元へ駆け寄る。

 近づけさせまいと構成員は短刀を投げたが、ジャックはそれを躱し、構成員の元へ跳び、一瞬で近づいた。

 構成員は攻撃に気づき、ジャックの横腹に刺さった短刀を引き抜いた。

 その間に真上に跳び逃げようととしたが、ジャックはそれをもろともせず、同じく真上に跳び、構成員の足を掴み、地面に叩きつけた。

 地面は凹み、構成員の仮面は割れ、動かなくなった。

「アァ…………ア、あ、君、大丈夫……?」

「だ、大丈夫なんですけど、お兄さんこそ大丈夫なんですか……?頭のカボチャ割れちゃいましたし、お腹の傷だって……」

「大丈夫。腕のいいお医者さんがいるから……」

 遠くからバイクの音が聞こえる。

「遅いぜ……もう終わったよ」

 バイクは裏路地に入り、運転者がジャックに駆け寄る。

「ジャック!悪かったわね。今すぐ治療するわ!」

 カトレアは急いで応急処置を施した。

「ふぅ……とりあえずこれで一安心ね。頭に関しては後でじっくり話してもらうから」

「オレはもう大丈夫だ。リア、怖かったろ?」

「はい……とても……」

「もし良かったらオレ達の拠点に来ないか?少し話したいこともあるし」

「…………皆も連れて行ってもいいなら……」

「そうか、なら一緒に______」

「伏せて!!!」

 カトレアが叫ぶと、突然黒く羽の生えた大きな生き物が3人の居た路地裏に降り立った。

「ひっ…………!」

 その生き物は黒い体毛に獅子の足に尻尾、大きな猛禽の羽、鋭い嘴と牙を持っている。

 その生き物を見たリアは震え、ジャックは戦闘態勢をとり、カトレアは銃を抜いた。

「あー待った待った!そんなつもりじゃないんだよ!!」

「え、喋った……?」

 場の全員が驚く。

「ちょっと待ってて……」

 生き物はだんだん黒い塵になり、塵の山からカジュアルな格好の金髪の少年が現れた。

「俺はグリンって言うんだ。女の子を探してる。アリスって言うんだ。もし見つけたらここに電話をくれると嬉しい。じゃ!」

 グリンはジャックにチラシを渡し、路地へ歩きだした。

「待て待て、アンタ何なんだ!?獣の姿といい、少女を探してる事と言い、説明が足りな過ぎる」

「そうだな……バースデイと言えば分かるんじゃないかな、ジャック?」

「どうしてオレの名前を……?」

「バースデイって……まさか!」

 ジャックはグリンに疑いの視線を向け、カトレアはピリピリしだす。

「じゃあね!紳士淑女のみなさん!」

 グリンは答えず、黒猫へと姿を変えて通りに溶け込んでいった。

「……とりあえず皆をつれて私達の家に行きましょう。リアも一緒に」

 カトレアが優しく言ってもリアは怖がっている。

「じゃ、じゃあ皆を呼んできて、リア」

「う、うん」

 リアはテクテクと走り、仲間達を呼びに行った。

 それを見たカトレアは不満そうにしている。

「なんで君みたいなオレンジ髪のヤバそうな奴には懐くのかしらね?」

「さ、さぁ?何でなのかなぁ〜ハハ……」


【ノウリミット 繁華街の一角にて】


「ふざけんなよあのジジイ!!俺が酔ってるとか言いやがってよォ……気づけば夜だし……」

 よろよろと筋肉質のスーツの男が歩く。

「そんな態度じゃ君の目指す探偵の姿とは程遠いんじゃないのか?おっと……まともに歩けなくなるまで安い酒を飲むんじゃないよ」

 隣の男を支えながら細身の男が歩く。

「確かに不倫調査で依頼人に引っ叩かれたらそうしたくもなるだろうけどさぁ……」

「うるせぇよ!俺達は探偵で…………前から何か来る」

「え?あ、どうしたの?この時間に君みたいな女の子が出回るのは良くないよ?」

 前からボロボロの洋服を着た少女が現れた。

「……助けてください」

「お前どっかで見た気がするなぁ……あ!お前ギャングが配ってたチラシに載ってたやつだな!」

 少女の顔はそのチラシに載っていたアリスという少女によくにている。

「そうなんです……私はそこから逃げてきたんです……だから、匿ってぇ……」

「泣いてる女の子を見過ごすわけにはいかないな。お兄さん達の家に来なさい」

 探偵達は少女を匿った。

 更に運命は動き出す。




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